2009年10月19日 15:45 [Edit]
日本は砂漠、ただし現状 - 書評 - 今さら聞けないクラウドの常識・非常識
洋泉社依田様より献本御礼。
幻滅した。
もちろん本書に、ではない。本書は新書としてははじめてクラウド・コンピューティングを扱った本の一つであり、極めてよくまとまっている。クラウド・コンピューティングとは何かを知りたかったら、本書が第一選択肢となる。
それでは、私は何に幻滅したのか。
本書「今さら聞けないクラウドの常識・非常識」は、日本における「クラウド評論家」第一号の感もある著者による、クラウド・コンピューティングの傾向と対策。前著「クラウドの衝撃」のダイジェストという位置づけの本書ではあるが、ある重要な事が前著には載っていない。というか載せようがなかった。
目次- Chapter1 クラウド・コンピューティングとは何か?
- Chapter2 クラウド・ネイティブ企業が推し進める戦略
- Chapter3 クラウド時代に向けて大きく舵を切るIT業界
- Chapter4 クラウドの利用が進み始めた日本
- Chapter5 クラウドのダークサイド
- Chapter6 国産クラウドの挑戦
- Chapter7 クラウドが描く未来予想図
それは、「日本ではどうなっているのか」ということ。本書の Chapter 6 が答えてくれる。
結論から言うと、実にお寒いとしか言いようがない。
P. 171 - 172 数十万台の仮想サーバ環境を構築する富士通月額利用料金はシステムプラットフォームサービスが17万5000円から、セキュリティサービスが25万円からとなってます。P. 174 社会インフラを支えるクラウド・コンピューティングの提供を目指す日立製作所
価格はプラットフォームリソース提供サービスが Linux OS, CPU1コア、メモリ2GB、システムディスク40GBの仮想サーバ環境で月額8万9000円からとなっています。
ばかなの?死ぬよ!
これのどこに顧客メリットがあるのか。これならただのサーバーレンタルの方がずっと安くていい。ちなみにさくらインターネットで日立のそれと同等のサーバーを借りると、月額4,500円である。
orz.
とはいえ、こういった現状は、コンシューマー回線でも見られた。64kbpsのPPP接続の値段が一分30円だった時代だってあるのだ。それが今や、日本は世界で最もブロードバンド回線が安い国だ。クラウドコンピューティングサービスに同様のことが起きる余地はないのか?
私は、あると考える。
確かにクラウド・コンピューティングで最も費用がかさむのは、不動産と電力であり、この二つを考える限り、日本で米国よりも安いクラウドを実現するのは一見無理である。しかし歴史に目を向ければ、製鉄業だって同様の縛りを受け、そしてそれを克服してきたのである。
製鉄業がやったのは、臨海工業地域を作るということであった。原材料が手元にないことは、運搬船で克服出来た。貨車ではなく船で直接搬入することで、かえって安くなったのだ。
これと同じことが、クラウドにも言えるだろう。船に相当するのは回線であり、そして回線に関しては貨車対船と同じ構造が既にある。あとは「製鉄所」ならぬ「製報所」を作るだけだ。いっそ製鉄所跡地に作ったらどうだろう?臨海工業地域は大消費地に意外に近い上に、海水という冷媒がふんだんにある。ガスタービン発電所を併設するのも容易だ。
要は、必要性に目覚めるかどうかだろう。
これらを見ると、クラウドというのは、むしろ一極集中が得意な日本に向いた産業のように思える。大消費地が近い点も見逃せない。ニコニコ動画がYouTubeと同じように帯域利用料を決済していたらどうだろうか。そして生放送をやるには、往復200msは遅すぎる。
ただし、やるには一つ条件がある。メーカー主導であってはならないということだ。あくまでコンテントをリードする連中にやらせるべき。GoogleもAmazonも、まずは自分自身が最大の利用者だということを忘れてはならない。メーカーにやらせようとするとどうなるかは、本書が教えてくれるとおりだ。
Dan the Man Under the Cloud
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(案外DMMが候補に挙げられるかも。でも、日本の企業だったかな?)
物理的な問題だけじゃなくて、法的な問題もありそう。
著作権法とか、名誉棄損と表現の自由とのバランスとか
いつの間に「クラウド」にすりかえられた件
ここ、本のタイトル入れるツモリだったのでは?
安くはない。値段なんてないのだから!
たとえば、ニコ動が足回りで苦労して対処しているうちにいつの間にかとんでもない○○になっちゃった!・・・的な展開もあり?なのかもね。
レンタルサーバでクレジットカードの決済トランザクション
処理ができるの?
品質とコストは非線形の関係。8割まで作るのは激安なんだよ。
コモディティサーバを大量に並べて、EC2の真似すれば
そりゃ月額4500円にもなるかもね。
スペックだけで全てを語ると本質を見誤る。
コストのかかる残りの2割にギークが熱狂する部分
があるのはほぼ自明ではないか?
日本の構造で幻滅するのはコストではない。
そもそもクラウドという発想や、その他重要な概念の
発明が殆ど行われていないことにある。
かの国と日本の差を分かったふりをしないで、慎重に
比較し、分析してみるべきだろう。
たしかに、メーカーは顧客の満足より技術を売りたがるから、こういう分野は弱いでしょうね。
でも、スーパーコンピュータを作るとなると、やっぱりメーカー。
まあ、棲み分けです。
でも、もしかしたら、クラウドも過渡的な技術で、ある程度時間がたったら、一般性汎用性を喪失してしまうのでは?
世の中なんでも、陳腐化との戦い。小飼弾氏のブログだって、陳腐化との戦いですよ。極東ブログだって、404blogだって、「enneagramみたいな陳腐な種類の連中しか集まらない」と思われて、みんなに飽きられてしまう前に新機軸を打たないと、廃棄物扱いになりますよ。アルファブロガーの称号がはずされるのなんて簡単なんだから。
>でも、スーパーコンピュータを作るとなると、やっぱりメーカー。
>まあ、棲み分けです。
ひとことで言えば水平分業ということでしょうね。
それにつきます。
GoogleもAmazonもコンピューターメーカーではない。
小飼弾氏の発言の中で私がちょっと気になるのは、「だれそれにやらせる」というくだり。
まあ、言葉尻をとらえているだけと言われればそれまでかも知れないけれど、
結局のところ誰がやれば一番うまくいくかは実際にやってみないとわからない。
だから、やりたいところがみんなどんどんやればいい。
そして、成功したところが生き残り、失敗したところは撤退してゆく。
だたそれだけ。
誰もメーカーにやらせようとしたわけでもなく、彼らが勝手にやっただけ。
失敗するのも彼らの勝手。
意外なところが瓢箪から駒的に成功するかも知れないのが新しいビジネスの面白いところ。
それが本人の望んだ結果ならいいのですが、そうでなければ、やはりため息が出ます。
大学時代、僕が知り合った新聞奨学生は3名います。簡単に言うと、学費と寮の面倒を見てもらう代わりに、新聞配達をするというものです。
1日の生活を聞くと、朝は早く、仕事の疲れで学業に集中できそうもなく、相当に厳しそうでした。
対照的に、付属校から上がってきた学生の生活は優雅なものでした。設備の充実したワンルーム・マンションに済んで、「バイトをしなくて済むように」ということで、月に7万円のお小遣いをもらっていたようです。
そうそう、彼はよく部屋に女の子を呼びこんで、"悶絶"していたそうです。
早稲田大学は、一般に庶民派の大学とされていますが、入学後の生活には、結構な格差がありました。
新聞奨学生のように、学費と住む場所にも事欠くような貧乏学生がいる一方で、親の脛をかじって優雅な生活を送っている者もいました。
おそらく、新聞奨学生は労働基準法に違反しています。それでも、カネがなくて大学に行きたい人にとっては、最後のセーフティ・ネットなので、やはり維持すべき制度と言えるでしょう。
授業にも出れず、サークルもできず、就職活動もできず、既卒として実社会に放り出される。それだけで、人生において、かなりのハンディになります。
毎日、午前3時に起き、雨の日も黙々と新聞配達を続けたところで、誰かがそれを見ていて、評価してくれると考えるのは、やはり甘いでしょう。これを言うのはつらいけれども、それが現実です。
むしろ、親のカネで外車を乗り回し、部屋で女の子と"悶絶"しているような学生の方が、就職活動でも「コミュニケーション能力がある」などと評価される可能性が高そうです。
新聞奨学生諸君。これ以上、「頑張れ」とは言わない。ただ、何とかこの社会システムの間隙を突いて、自分なりに納得のいく人生を手にして欲しいと思います。
追記.最近、つい優しくなってしまったりして、自分でも困っています。
山田宏哉記
アイスランドとかチリとかニュージーランドとかに作るのも手です。
マスターベーションなら、自分のブログでやればいいのに。
権兵衛氏
>GoogleもAmazonもコンピューターメーカーではない。
知らないことは恥ではないよ。
まさかとは思うが、ああいうのもコンピューターメーカーと呼ぶと言いたいんじゃないだろうね。
