2009年10月25日 03:30 [Edit]

この記事をクリップ! newsing it! Buzzurlにブックマーク b.hatena.ne.jp/entry 一度議論してみたかった - #書評_ - 若き友人たちへ

集英社新書編集部より献本御礼。

著者は少し産まれるのが早かったかも知れない。

私ぐらいの年齢だったら、リアルとネットを取り持つ最高のアルファスポークスパーソンとなりえたのではないか。


本書「若き友人たちへ」は、ジャーナリスト筑紫哲也のラスト・メッセージ。

目次
「まえがき」にかえて
若き友人への手紙
第1章 まず憲法について話してみよう
第2章 そもそも日本人とは何者か
第3章 二つの日本人論を読む
第4章 沖縄から日本が見えるか?
第5章 さまざまなメディアを歩いてみよう
第6章 雑誌と新聞をめぐる私的ジャーナリズム論
第7章 国家、この厄介なるもの
第8章 教育こそが国の基本である
第9章 「知の三角形」という考え方
第10章 この国がおかれている現実を見つめる
第11章 そして、この国の行方は…
「あとがき」にかえて

私は「朝日ジャーナル」の全盛期を知らない。よって「書き手」としての著者はほとんど知らないと言ってよい。私が知る著者は"News 23"を通したもので、その印象は「説教臭いおやじ」というものであった。

しかし、本書を読めば、著者が若者に媚びず、しかし年と名声をかさに着て若者を威圧せず、あくまで言葉で対等に勝負する、この時代に最も必要なtalent=才能であったことがよくわかる。長いが引用させていただこう。

若き友人への手紙 第二回
 「言葉」の話を欠きます--と書き始めながら、「語られざる言葉」で話を終えるわけには行きません。
 実は、今月私が書こうと思っていたのは、流行語にロクなものがないとはいえ、なかでも世に現れたもののなかで最悪と思っているひとつの流行語のことでした。
 KY
 がそれです。
 「空気が読めない」の略なんだそうです。
 流行語のセンスがないのは今に始まったことではないのですが、なかでもひどいですね。頭文字を取った略称だと言うのなら、「空気が読める」だって可能です。
 そんなことより何より気に入らないのは、この言葉の脅迫的なことです。  空気を読め、さもないとお前は時代遅れだぞ、仲間外れだぞ、とおどしている。そうでなくとも「命令型」でよかった日本語を「懇願型」の婉曲話法に変えていくほど心優しい若者たちが、この同調努力にどう耐えられるのだろうか--と私はまたお節介な心配をしています。
 それどころか、この国の歴史のなかで、何を残し、何を捨ててもよいから、これだけはあなたたちが引き継いで欲しくはないと私が思い続けて来たもの、それが「KY」に凝縮している思考なのです。
 言うまでもなく、この国の歴史のなかでの最大、最悪の国家的失敗(破滅)は、一九四五年八月十五日に決着しました。なんでそんなことになったのかを辿るとやはり「KY」に行き着くのです。その話をもっときちんとできる「手紙」を書かないといけませんね。

これが、著者の最後の手紙の、そのまた最後である。

この後に本書の第一章が来るが、これらは講義録をまとめたものであり、時系列で言うと前になる。

『若き友人たちへ──筑紫哲也ラスト・メッセージ』 | 集英社新書
愛国主義は悪党の最後の隠れ家である。本書の中で筑紫さんが語る言葉の一つである。誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。二〇〇三年から二〇〇八年にかけて、筑紫さんは早稲田大学と立命館大学で主に大学院生に向けた講座をもっていた。その中で再三伝えようとしたのは、情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。この一連の講義録をもとに、本書は構成された。「若き友人」を「日本人」と置き換えてもいい。筑紫哲也さんからの最後のメッセージである。

「空気を読むな、本を読め。」の著者として、本書の著者に同意してもしきれない。

空気を読むな、本を読め。」はじめに
はっきり言います。空気なんか読んでいたら確実にバカになります。

漢字で書くべきだったかも知れない。私はここでバカを二通りの意味で用いているからだ。一つは、現代日本語の「愚鈍」という意味で、そしてもう一つは、この言葉が成立したとされる故事の意味で。

馬鹿 - Wikipedia
秦の2代皇帝・胡亥の時代に権力をふるった宦官・趙高が、あるとき皇帝に「これは馬でございます」と言って鹿を献じた。皇帝は驚いて「これは鹿ではないか?」と尋ねたが、群臣たちは趙高の権勢を恐れてみな皇帝に鹿を指して馬だと言った、という『史記』にある故事からくるとする説。

著者が存命中に一度話しておきたかった。「お話を伺いたかった」という表現はこの場合ふさわしくない。あって思う存分遠慮なく議論してみたかった。

それはもはやかなわない。しかし何を話したかったのかを、著者は本書に遺してくれた。

だからこそ、本を読むべきなのである。

もはや話すことがかなわぬ相手と、話すために。

今際の際の貴重な時間を、ありがとうございました。

Dan the Speaker for the Dead

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この記事へのコメント
筑紫哲也発言集をどうぞ
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid228.html
●阪神大震災でご乱行(中宮崇)
・地震発生当日、ガス漏れによる引火の危険もものともせず、煙草を吸い吸い、さっそく現地神戸に乗り込み、燃え盛る街並みを眼下に、「まるで温泉のようです」と口走った。
●坂本弁護士一家殺人事件(中宮崇)
96年、オウム真理教による坂本弁護士一家殺人事件に絡んで発覚した、TBSビデオ問題。TBSが「オウム信者にビデオを見せた事実はない」と全面否定したその日、筑紫は「真相は見せた見せないという水掛け論に、最後は終わらざるをえないのだろうと思います」。「従軍慰安婦」の「証言」なら、ろくに裏もとらずに嘘でも何でも信じ込んで垂れ流す方の言葉とは思えない。


Posted by ロビー at 2009年10月25日 05:52
米軍側の主張によれば、2007年統一軍事裁判法における「強かん」の定義を「誘拐や暴行を加えて同意なく性行為をすること」と変更したので「女性が明らかに同意していなかったのに性交渉した」ことは「強かん」にはあたらず、「不正な性的接触とみだらな行為」("wrongfulsexual contact and indecent  acts")にすぎないというのである。 http://www.meij.or.jp/members/kawaraban/20090227114736000000.pdf
Posted by 自民の悪事 at 2009年10月25日 07:58
こんなシーラカンスみたいな「左翼ジイサン」の本を
何の疑問も批判もなく感心して読んじゃうあたりに
弾氏の左翼イデオロギーに対する無邪気さがある。
普段の「斜目のツッコミ」が影をひそめてしまうのは何故か。
Posted by スタン反戦 at 2009年10月25日 12:47
>普段の「斜目のツッコミ」が影をひそめてしまうのは何故か。

弾氏の何らかのコンプレックスが起因してる気がします。
非常にもったいない・・・
Posted by 774 at 2009年10月25日 13:05
>シーラカンスみたいな「左翼ジイサン」

しかし、その「左翼ジイサン」「左翼バアサン」が
現在国会の右側つまりは与党にいることは
どう思いますか?
Posted by fino tonic at 2009年10月25日 14:05
>しかし、その「左翼ジイサン」「左翼バアサン」が
>現在国会の右側つまりは与党にいることは
>どう思いますか?

それは社民党のこと?
社民党は選挙で国民に選ばれてないんだから
与党にくっついて偉そうな顔してるのは問題だと思いますよ。

民主党にも確かに「筑紫的」な守旧左翼はいますが
枝野や前原や細野のような若手がいづれ主流になるでしょう。

多分あなたは、左翼を古臭いというのならなぜそういう左翼が
国民に選ばれて与党にいるのか、という皮肉を言ってられるのだと思いますが
国民の大半は「政権交代の必要性」から民主党を選んだのであって
イデオロギーで投票したわけではないと思います。
岡崎トミ子や興石のような議員を支持してる国民はそんなにいないでしょう。

Posted by スタン反戦 at 2009年10月25日 14:28
ここで批判している人は本をちゃんと読んだの
ですよね?
まさか、映画を見ないで街宣(脅迫)をした輩とは
ちがいますよね?
Posted by 本は嫌い? at 2009年10月25日 15:43
本は読みます。これからですけど。
筑紫さんは、好きな方なので。

福島みずほが与党にいて、権力者であることは、
明らかですよね。いわゆる「左翼」的な考えを持って
いる方が。

単なる「左翼ジイサン」「バアサン」
と切って捨てられるものではないので、
弾さんはこういう書評をしていると
思います。
Posted by fino tonic at 2009年10月25日 16:11
「誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。」

これに関しては愛国主義だけでなく、理想論的社会主義も同様ですね。
Posted by bob at 2009年10月25日 16:29
>「筑紫的」な守旧左翼

筑紫哲也が、守旧と言えるかどうかですけど、
"liberal"な方だったと思います。
テレビで見る限り、かなり柔らかい方だったような。
"liberal"とは"social liberalism"的なニュアンスです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB

さっきアマゾンでこの本注文しました。

あなたの、おっしゃる枝野幸男さんは、
「『筑紫的』な守旧左翼」ではないと書いていらっしゃいますが、
存じ上げなかったのでウィキペディアを見ました。

かなり労働者の待遇重視の方で、派遣も期間も正規も
同一賃金・待遇を目指している方ではないですか?
かなり"liberal"な方だと思うのですが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%9D%E9%87%8E%E5%B9%B8%E7%94%B7

Posted by fino tonic at 2009年10月25日 16:44
ラベリング思考、レッテル貼りは2ちゃんねらーのもっとも得意とするところです。分析ができない(思考力が無い)から、他人に色をぺたぺたつけて、あいつは俺より下だとうぬぼれます。思えば哀れな教育格差の被害者です。
2ちゃんねらー
提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レッテル貼り
政治スレでの煽り合いは非常に多い。右翼的なレスに「ネット右翼必死だな」と叩いたり、左翼的なレスに対し「ホロン部工作乙」と罵倒するなどのレッテル貼りがよく見られる。さらには話題に関係なく、相手をニートや低学歴と判断すればそれをネタに叩いたり、煽ったり罵倒したりする。
定番として使われるのが、ニート、低学歴、童貞、ネット右翼、ホロン部、「○○工作員」、「○○オタ」、「○○信者」など。レッテル貼りに対しレッテル貼りで返すことも多い。
異常な憎悪
2ちゃんねらーの中には、敵視している人々が何らかの不幸に見舞われることを喜ぶ者もいる。
Posted by はひろ at 2009年10月25日 19:34
枝野氏は少なくとも「イデオロギーありき」の人ではないと思います。
彼は人権派としてチベット問題では中国を徹底的に批判しましたし
憲法改正を可能にするための国民投票法の成立にも積極的でした。

筑紫さんの場合、普段は「人権」などと言いながら
北朝鮮拉致問題では、被害者家族の集会に対して
「あれはナショナリズムの運動だから」というような理由で
積極的に番組で取り上げようとしませんでした。

つまり、利敵行為(保守派を利する)になるようなことは
それがいかに「正しい」ことであったとしても行わない
というのが彼のスタンスであり、私からすれば
極めて卑劣な二枚舌だと思います。
筑紫氏は徹底して、イデオロギー(党派)の人なのです。
彼が一部で嫌われる理由もそこにあるのではないか。

本には関係ないので、もうやめましょう。
Posted by スタン反戦 at 2009年10月25日 19:41
>「言葉」の話を欠きます--と書き始めながら、

 弾さん独特の、韜晦だなぁー。
Posted by 結果を出せない奴 at 2009年10月25日 21:23
書きたいことだけ書いて、これで終わりというのも、
なんなんで、、、。

枝野氏については、あまり知らないのでこれ以上書きません。

しかし、筑紫さんは党派の人と言いますが、
NEWS23では、後藤田正晴さんをゲストに迎えて
特別なコーナーを作っていたりしましたから、
保革両方に顔が利く人だったと思います。

あと拉致問題については、筑紫さんそう言っていたんですか。
ただ拉致は問題が問題なので、書くのを控えさせていただきます。

彼が一部から嫌われていたのは、年収がすごかったのと、
彼のマスメディアの露出の仕方から、
商業主義的な匂いがしたからだと思ってます。
ただ、資本主義社会では、本人が望もうと望まずとも
本人の資本的価値が追求されるようになります。
TBSの今の落ち方を見ていると筑紫さんの資本的価値は
すごかったんじゃないかなと思います。

本をじっくり読みたいと思います。
Posted by fino tonic at 2009年10月26日 00:55
この人がどういう人かよく知らないけど、日本のマスコミにうまくビルドインされていた時点でいい印象は無いな。

いくら予定調和的な性善説唱えたって誰も救われないんだよねー

東京裁判史観の亡霊も媚中左派も早く死んでくれないかな
こいつらが居なくならないと日本は前へ進めないんだよ
Posted by デジタルナナシ at 2009年10月26日 05:33
「愛国主義は悪党の最後の隠れ家である」

これ物凄い当たりだろうね。
星条旗など国旗への忠誠 日本のかつての国威発揚・富国強兵

軍産業が儲けるため関係者を工作。結果滅茶苦茶儲かるいう。連中は達者で賢い。
Posted by jjishii at 2009年10月26日 10:11
従軍慰安婦問題を語るなんてどうでもいい。
同意かなんてことより、お前がホモ米兵に
ケツの穴差し出して米兵を満足させれば
それも立派な貢献ぢゃね?
つか、お前カラダで貢献しろよ
ろくに税金払ってないんだろからさ
Posted by 自民の悪事 とやらよ at 2009年10月26日 10:20
筑紫氏の本はまだ読んでいませんが、「日本人論」は小熊先生の2冊の本が
印象的でした。ちょっと値段が高くて、ボリュームもあるのですが、言葉
遣いは難しくなかったです。

「単一民族神話の起源」
http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d.html?uid=NULLGWDOCOMO&a=4788505282
「日本人の境界」
http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d.html?uid=NULLGWDOCOMO&a=4788506483

大まかに言えば、日本や日本人の概念や規定って結構いい加減なモノだと
いう感じです。
明治の頃、国家国体維持の為に北海道をロシアに売る、なんてアイデアも
あったとか。
Posted by 俗人 at 2009年10月26日 11:06
朝日ジャーナルに立花隆氏のロッキード裁判に対する反論に対する反論が掲載され、後に、成書化されましたが、小室直樹先生は、「立花隆の取材力は卓越している。しかし、彼が展開する法理論はめちゃくちゃ。」と評しておられました。

わたしは、反左翼の小室直樹信奉者。そんなわけで、朝日ジャーナルは信用していません。
Posted by enneagram at 2009年10月26日 13:34
死後未だに悪し様に言われているところをみると、一部の方にとっては、かなり痛いところをつかれていたのでしょうか。
Posted by zzz at 2009年10月26日 13:53
 今回の政権交代を、是非とも見届けて欲しかったです。
Posted by umeboshi at 2009年10月28日 01:12