2009年11月14日 05:00 [Edit]

全てがF(ree)になる? - #書評_ - 自由をつくる 自在に生きる

集英社新書編集部より献本御礼。

著者のミステリィ(著者風の表記)にはいまいち乗れない私も、本書は納得づくしであった。著者のノンフィクションとしてはこれが一番だと弾言する。

自分の「手口」とここまで同じだとは。


本書「自由をつくる 自在に生きる」は、建築工学者を経て作家となり、そしてますます自由人としての風格を強めている森博嗣による、自由論兼自由術。

目次
まえがき - 「自由」に対する誤解
1章 人生の目的は自由の獲得である
2章 他者からの支配、社会からの支配
3章 身近に忍び寄る支配
4章 支配に対するレジスタンス
5章 やっかいなのは自分による支配
あとがき

「手口」にかんしては「ここまで似ている」と書いたが、「動機」に至っては私と100%同じだから呆れてしまう。

自由を目指して生きる理由は、それがとんでもなく楽しいからだ。

そう。自由を獲得する過程というのは、とんでもなく楽しいのだ。

ただし、痛くもある。

P. 47
自由を前にして尻込みするのは、動物的な「人間の性」だといえる。
しかし、知性をもって前に進むことが大切だし、それこそ「人間的」な選択だ、と僕は思う。

本書は著者が自由というものをどう考えているかという自由論であると同時に、いかに痛みを回避しつつ 、それを楽しむかという自由術でもある。それがいかに徹底しているかといえば、ミステリィ作家としての活動を、金という自由を得るための道具を得るための手段だと言い切るところにも表れている。決して書くことが嫌いではないが、得意どころか苦手だと言い切る著者は、まず売れる作品を書いた後、書きたい作品を書いた。

逆では、ない。

私自身、同じ順序で書いてきた。プログラムも文章も。著者と異なるのは、少なくともプログラムに関しては、著者が文章を書くよりもやや好きで、そしてずっと得意だったこと。その差が、「咲いた年齢」の違いになって表れたのかもしれない。建築工学者として比較的自由な著者が「すべてがFになる」で華麗にデビューしたのは、今の私の年齢に近い。私がCTOを引き受けたのは、30歳になる直前だった。

実は森作品を「上手だな」とは感じても「美味だな」とは思えない理由の一つが、私がプログラマーだということにもある。「すべてがFになる」を読了して真っ先に出た感想が、「いまどきunsigned shortはないだろJK」というものだった。それが何を意味するかは同作で確認していだくとして、ある職業を扱ったフィクションを、その道のプロが「ないわー」と感じることはよくあることである。映画の Jurassic Park の"Unix"のようなものか。

しかし、自由の獲得、あるいは支配からの脱却に対する姿勢は、「開花年齢」が遅い分ずっと徹底している。その手口をわずか714円で公開してくれるのはありがたい。読者にも、そして著者にも。まだ金に不自由しているのであれば「セミナーやればもっと儲かるのに」となりそうなものだが、著者はすでにそこからは自由になっているのだ。

P. 126
非合理な常識よりも、非常識な合理を採る。それが自由への道である。

非合理な常識に安心していたいのであれば、本書に触れてはならない。自慰を覚えた猿と同じ運命をたどることになる。ポルノよりずっと危険である。

しかし、あえて非常識な合理を採ることを選ぶのであれば、本書は自由というジャングルの中で、かけがえのないコンパスとなってくれるだろう。

健闘を、祈る。

Dan, Freer the Man than Ever


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書籍:自由をつくる自在に生きる – 森 博嗣
書籍:自由をつくる自在に生きる – 森 博嗣【まさるblog】at 2010年01月18日 23:07
集英社新書編集部より献本御礼。 創るセンス 工作の思考 森博嗣 前作「自由をつくる 自在に生きる」に力の入った一冊。その力の入れようは、今まで未公開(だよね?)だった著者近影が入っていることからも感じることが出来る。 この手応えは、「本物」だ。
Making of the Making - 書評 - 創るセンス 工作の思考【404 Blog Not Found】at 2010年02月19日 19:36
この記事へのコメント
では、非常識な合理の披露。

どの慣性系から見ても、光速度一定の仮定はよし。
対称性は保存されるだろう。数学的抽象世界では完全相対性が。
だが、物理は実験の科学。以下の、野生の思考に気づけば、
21世紀の物理学スタート。




おみやげ: トリック解明の補助線、まずはなしで。


風景のない宇宙空間で銀河鉄道333と999がスレ違った。
互いに相手が左から右に動いて見えた。対称性がある。万歳。

単線路線。鈍行列車が特急列車通過待ち。田舎駅。
ホーム両端先に、遮断機のない踏み切りがある。よくある光景。

状況は宇宙空間と同じ。ただ違いは、停止している鈍行列車からは、見えた。
特急列車が踏み切りを越えた。乗り越えた。通過した。ホームを通過した。

踏み切りやホームを風景とする。鈍行列車と風景は同じ慣性系。
ここに非対称が存在する。特殊相対性理論は座標トリック。

注意して考えろ。宇宙空間に方眼のマス目を入れる。
マス目1つの中に銀河鉄道列車がすっぽり入る。

相手側333銀河鉄道列車がマス目を越えて移動した場合と、
マス目を越えずに、333側慣性系そのものが横ズレする場合があることに。

ローレンツ変換の再解釈 長さの秘密。
http://www.yamcha.jp/ymc/DSC_sure.html?bbsid=2&sureid=49&l=78
黒板
http://sites.google.com/site/zionad0c200910/home/kokuban
zion-ad 字音 ジオン じおん 
Posted by zion-ad at 2009年11月14日 08:10
「非常識な合理」とは言っても、分析を終えた後なら、誰にとっても、「斬新かつ自明」という感想を持たせるようでないと本物ではない。

まあ、小飼さんも、気が向いたら、旧字体の漢字とその熟語や歴史的仮名遣いの学習をしてみてください。自由の最大の源泉は、おそらく、正しい言葉遣いがきちっとできるようになることだと思います。

それで、さらに意欲があるなら、ラテン語を勉強して、ニュートンの「プリンキピア(自然哲学の数学的叙述)」やリンネの「システム・ナチュラエ(自然の体系)」をラテン語の原書で読んでみてください。ニュートンやリンネがどれほど高次の精神の自由を獲得できた人たちだったかよくわかるだろうと思います。

あたしゃ、妙法蓮華経を真読(漢文音読)で読誦しています。そのうち、サンスクリット原典の法華経の読誦に挑戦するつもりです。テキストだけは、法句経(ダンマパダ)のパーリ語原典も竜樹菩薩の「中論」のサンスクリット原典も持っています。まあ、こういう経典は、何度も繰り返し音読して、頭に叩き込んで、どこででも諳んじられないと大して意味のないものなんですけどね。
Posted by enneagram at 2009年11月14日 09:09
正しい言葉遣いができたり、ラテン語の文献が読めたりするのは
実に結構だと思うのですが、それが自由の源泉になったり、高次の
精神の自由に繋がったりする理由が今ひとつ良くわかりませぬ。

お経の暗誦にいたってはもはや???
enneagramさんお俺スゲエ感はびしびし伝わってくるのですが、
なんでこのエントリにそのコメントなのかもう少し詳しく書いていた
だけるとたすかるんですけどね。
Posted by 通りすがり at 2009年11月14日 09:36
誤字脱字空目空耳が多そうなblog主へのあてつけは、そこまでだ。
Posted by おっと、 at 2009年11月14日 09:45
ここは現状否定原理主義者の妄想を語る場なのかえ?
Posted by ツー......... at 2009年11月14日 12:09
>自慰を覚えた猿

 交尾が終わったらさっさといなくなる奴が
 死ぬまでオナニーするでしょうか?それこそ
 非合理な常識じゃないでしょうか。
Posted by ルシフェリアン at 2009年11月14日 12:47
切込隊長のブログに池田信夫さんの記事が多数アップされているが、池田さんに対して嫉妬してばかりだなこの人。ブログの質は池田さんと隊長では比較にならない。
Posted by 寒くなってきたな at 2009年11月14日 19:18
>健闘を、祈る。
ありがとう。

>dankogai: その通り。そのかわりつまらない。人生はラクツマラナいかイタオモシロいのトレードオフかも知れない
自由とは「自分で決定した方向に進める状態」のことだと思います。
自分の意思を諦めて、流れに身を任せれば楽。流れとは関係なしに進みたい方向に進むにはそれなりに+αのエネルギーを注がなければならない。
ということですね。
ただ、前者は流れの先に予見できる痛みがあったとしても逃れられないでしょうね。
Posted by 浦川 真一 at 2009年11月14日 21:00
ここにも池田信夫さんをイジって遊んでる人がいました。
http://snsi-j.jp/boyakif/wd200903.html#0301

この本の著者です。
http://snsi-j.jp/boyakif/wd200909.html#0301


Posted by ルシフェリアン at 2009年11月14日 22:45
池田さんは口が悪いが、とても勉強になることを書いていることが多い。それに対し、切込隊長は他人をいじっているだけで見るのが時間の無駄。時間を無駄にしたい人はぜひお勧めです。
Posted by 通行人 at 2009年11月15日 00:08
ラクオモシロイ
イタツマラナイ
ソノタオオゼイ
Posted by at 2009年11月15日 00:45
>ルシフェリアン

なんか怪しげな本ですね、それ・・・
Posted by 山椒大夫 at 2009年11月16日 05:34
「おもしろき こともなき世を おもしろく」ってことで。
自他共に。
Posted by とおりがすり at 2009年11月16日 13:00