2010年04月07日 01:30 [Edit]

すぐ役立つ、一生役立つ - 書評 - 知的ストレッチ入門

『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』読書会にて著者ご本人より献本御礼。

一言で言うと、「ラクをしないと成果は出ない」知的生産編。真打ち度は同書に勝るとも劣らず、そして主題がより専門的な分、指示もより具体的。生産に知的要素が少しでもある人であれば、必ず元が取れる。これで540円。同業他者涙目。


本書「知的ストレッチ入門」は、同名の単行本の内容をさらにストレッチした上で、版形と単価を文庫本にシュリンクした一冊。

目次
序章 知的ストレッチとは
第1章 読む―ストレッチ読書術
第2章 構える―ストレッチ書斎術
第3章 考える―ストレッチ検証術
第4章 創る―ストレッチ仕事術
第5章 書く―ストレッチ文章術
第6章 疑う―ストレッチ回避術
第7章 出逢う―ストレッチ互助術
第8章 変わる―ストレッチ改造術
第9章 決める―ストレッチ決断術
おわりに
本書は、すぐに使える21世紀版「新・知的生産の技術」をめざしました。

この著者の目標は十二分に達成されていると太鼓判を押させていただく。別に「知的生産の技術」を卑下しているのでも著者に迎合するのでもない。私が生まれる前に著された同書は依然読まれてしかるべき名著であるし、だからこそ著者は同書を目標として掲げたのだから。

それでも、「知的生産の技術」と本書とどちらがすぐその場で役に立ち、そして10年後そして20年後にも役に立っているかといえば、圧倒的に本書である。なぜなら、本書というテキストは1969年ではなく、2010年というコンテキストを存分に利用できるからだ。

それがどれほどの違いかを、著者は「おわりに」でまとめてくれている。ほぼ一ページあるが引用させていただこう。

PP. 298-229
 梅棹忠夫さんは『知的生産の技術』の中で《日本語をタイプライターにのせるというのは、日本における知的生産の技術としては、もっとも大切な問題であるといわなければならない》と書いておられます。
 もちろん、この夢は完全に実現しました。
 渡部昇一さんは『知的生活の方法(続)』において《ドイツではコピーを頼むと、短いものなら翌日、厚い本なら三日後にできあがってきた》と紹介しておられたのですが、今や家庭用高性能コピー機が数万円程度で買えるようになりました。
 板坂元さんの『考える技術・書く技術(続)』では、本は《出版したときに買っておかないと、すぐ品切れになって、あとで入手困難ということになりかねない》という注意が発せられています。
 現在はネット古書店も充実しており、そのような心配は無用と断じて良いでしょう。
 立花隆さんが40代に書いた『「知」のソフトウェア』も読み継がれるべき名著ですけど、《新しいニュースについては、やはり毎月の縮刷版を順次めくっていかなければならない》とあり、懐かしい思い出に浸りたくなります。
 その後、一世を風靡した『スーパー書斎の仕事術』のなかで山根一眞さんは、《汗をたらしながら、駅の階段を重い鞄を抱えて旅を続けたが、いちばん困ったのは百科事典だった》と嘆いておられました。今なら内ポケットに入ります。
 野口悠紀夫さんですら『パソコン「超」仕事法』で、インターネットは仕事に使えず、《必要な情報を集めるなら、紙メディアの方がずと便利だ》と断言していらしたのです。

これを見るだけで、著者が「知的ストレッチャー」である以前に、「知的ストレッチド」であるかが伺える。本書はこれらの先人の技をふまえた上で、先人にとっては夢でしかなかった知的ストレッチ用品を縦横に駆使した上で、

P. 4
続けるために役立つのは、長期的な目標だけではなく、目に見えやすい短期的な目標を掲げて、それを一つずつ踏破してゆくやり方

を教授してくれるのだ。これでだめなら、知的生産は諦めるべきだと弾言させていただく。

たとえ20代は気力と体力で乗り切っても、知的ストレッチなしでは35歳限界説を身を以て証明する羽目になることはかけてもいい。

35歳を過ぎてもなお知的生産に携わり続けるあなたは、私を含め本書が披露する術の一つや二つはすでに実行しているからではないか。だからこそ今日がある。と同時に、まだやっていないこともいくつも見つけられるのではないか。喜ぶべきかな。それはあなたにさらに伸びしろがあるということなのだから。

とはいえ、本書の結びには少し抵抗させていただく。

P. 301
IT方面のツールや製品は、ほぼ成熟したといってもいいでしょう。量的な進歩や応用レベルの変化(容量やキンドル的なものの日本語化など)は今後もつづくはずですが、もう本書をもって死ぬまで大丈夫な新・知的生産の技術を、というつもりで書きました。iPhone的なものはこれ以上小さくならないでしょうし、電子書籍と印刷書籍の共存も半永久的に続くでしょう。

ツールのユーザーとしての私は、寂寥感とともにこれに同意している。確かにiPadのありようを見れば、量的な進歩が質的な進歩とはもはやならないという実感はむしろ強くなったとすら言える。

しかしツールをつくる側の一員としての私は、それを受け入れることができない。今のツールはせいぜい"Smart"どまりでとても"Intelligent"と言えるものではない。ヒトに勝てるのはせいぜい物量で、そして物量で勝負できる知的領域、ゲームであればオセロやチェスぐらいしかヒトを負かすことは出来ない。知的生産がヒトの専売特許である限り、ツールがツールである限り、目標は今の先にありつづけるのだ。

しかし、そこにたどり着くためにこそ、知的ストレッチが必要なのだろう。

それまで、私も続けるとしよう。

「新・知的ストレッチ入門」が書かれることになるその日まで。

Dan the Intellectual Stretcher


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この記事へのコメント
理詰めで物事を考えることによって、新しい発見をしたことは、私には一度もない。
─アインシュタイン
Posted by jpndefender at 2010年04月09日 00:04
ツールによって高いところまで手がとどくようになった。
いわば下駄を履かせてもらっている状態だけれど、
人間自身は成長しているのだろうか。
Posted by light_house2005 at 2010年04月08日 09:39
ほんと、わたしも、アナログ回線のパソコン通信時代の有料オンラインデータベースの利用経験がありますが、知的環境は、非常に"Smart"になりました。

あとは、翻訳の問題、と、イメージ検索の問題でしょうね。これがクリヤーされればほんとにすごいと思います。
Posted by h7bb6xg3 at 2010年04月07日 08:09