2010年05月20日 19:30 [Edit]

自家松戸菜園 - 書評 - Mad Science 炎と煙と轟音の科学実験54

オライリーより献本御礼。

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Mad Science

炎と煙と轟音の科学実験54
Theodore Gray / 高橋信夫
[原著:Theo Gray's Mad Science]

Definitely too mad for your kitchen.

これはやばい。台所でやるのはヤバすぎる。

しかし本にしてみまえばご安心。少なくとも本書を読むだけで火災になることはないだろう。本書にあることを家でやりまくったあげく家裁のお世話になる人もいるかも知れないが。


本書「Mad Science 炎と煙と轟音の科学実験54」は、表の顔は Mathematica の Wolfram Research の役員にしてその正体はマッドサイエンティストである著者がPopular Scienceで連載していた"gray matter"を一冊の本にまとめたもの。

はじめに
CHAPTER 1 実験料理
危険すぎる製塩法
マイナス196℃のクッキング
いたずらスプーン
アイス・マジック
クッキー・ロケット
ドライアイスクリーム
CHAPTER 2 地球最後のDIY
ヴァン・ヘルシングの銀の弾丸
電球を自作する
ガラス・バーベキュー
引き上げナイロン
弾丸タワーを再現する
空き缶で作る超高輝度サーチライト
ベストマッチ
自家製鉛筆
CHAPTER 3 原始力
スパークの破壊力
DIY水素
水銀モーター
コップ一杯の電気
家内制酒工業
CHAPTER 4 火遊び
酸素の滴を燃やす
鋼鉄を燃やす
溶けないものを溶かすアーク炉
炎のない火
シャボン玉爆弾
恐怖の太陽を作る
CHAPTER 5 ヘビーメタル
火花の真相
金属は燃えるがままにせよ
頑丈なビットを作る
チタンを彩る
テルミット反応で鉄を作る
高電圧でコインを半分の大きさにする
薄皮銅貨
何でも溶かして鋳物を作る
アルミはこんなに錆びるもの
誰でも使えるプラズマアーク
自家製チタン
CHAPTER 6 自然の驚異
凍りついた稲妻
肉眼で素粒子を見る
無知の勝利―磁気浮遊
金属の結晶を暴く
雪の結晶を永久保存する
砂からケイ素を取り出す
グラスのなかの量子力学
自然に引きあう(磁)力を暴く
アトムとイブ
CHAPTER 7 おかしな工作教室
ライムライトを浴びるライムライト
iPodをメッキする
凍てつく熱さ
ルパート王子の涙
ニッケルの木
19世紀のフラッシュ写真
最悪の象嵌細工
あらゆるものを金色にする
石灰温泉
訳者あとがき
索引
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図解アリエナイ理科ノ教科書シリーズ
薬理凶室

「ヤバすぎる」と書いたが、純粋なヤバさ日米対決は「図解アリエナイ理科ノ教科書」シリーズに軍配があがるだろう。こちらも献本いただいたのだが(この場を借りて御礼)、そのヤバさはピンナップイラストが氏賀Y太というだけでわかる人には分かるだろう(笑い)。さすがに私でも小学生の娘と読むのは気が引ける。

それに対して、本書には安全な実験に関しては娘さんも登場する。水銀を何リットルも使ったり、一歩間違えば家屋全焼になりかねない本当に危ない実験もあるが、それらは一目で危ないとわかるようになっている。madではあるがtoo madではないといったところか。

「アリエナイ理科ノ教科書」が白黒で文字がメインなのに対し、本書がフルカラーで写真メインというのも違いだ。「アリエナイ理科ノ教科書」は「オトナ読本」に対し、本書は「一家で観る絵本」という違いになるだろうか。

もう一つの違いは、ギャグの質。「アリエナイ理科ノ教科書」はタイトルどおり教科書のパロディでもあり、日本の教科書や授業に触れているというのがギャグ成立の前提であるが、本書のそれはオヤジギャグ。「ドライアイスクリーム」に「アトムとイブ」。まさに理系「かいけつゾロリ」。オヤジギャグだけあって科目にこだわっていない点も「絵本的」である(強いて分類すると化学)。

これ翻訳者にとっては地獄なのだが、本書はMakeシリーズの一環として邦訳されただけあってか、採算度外視クォリティに仕上がっている。

正直これであなた--ないしあなたの子息--の理科の偏差値が上がるかどうかはわからない。しかし理科の楽しさは十二分に伝わるだろう。伝わりすぎて手足が実験したくてむずむずするのが難点かもしれない。スティールウールならうちにもあるし…やばい、誰か私を止めてくれ。この勢いでテルミットなんてこさえた日にはもう…

Dan the Mad Blogger


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