2010年07月21日 18:00 [Edit]
一読してご卵 - 書評 - 金の卵
築地書館佐々木様より卵とともに献本御礼。
いや、卵のついでに、本書を頂いたというべきか。
「つまんでご卵(らん)」とはよく言ったものだ。名前はシャレだが味はガチである。これなら一個50円は高くない。
この卵がどうやって生まれたかが、本書である。卵に劣らぬ傑作である。
本書「金の卵」は、養鶏ビジネスを根底からくつがえす一冊。
目次金の卵より
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読み進めるにつれ、驚きは深まって行く。
養鶏のビジネスとしての特殊性ではなく、ITビジネスとの共通点に。
この業界は、凄まじいまでのデフレ圧力の中にずっといた。その様子は「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」でも活写されていたが、あちらにとってのニワトリは研究対象であるのに対し、こちらは主力商品。筆圧も一段と高まる。
P. 31卵は「物価の優等生」と言われる。
卵の価格は、五〇年間、ほとんど変わっていない。
一九五五年の卵の平均価格は、一キログラムで二〇五円。当時の国家公務員の初任給は、八七〇〇円。初任給で卵四二キログラム買える。
二〇〇七年の卵の平均価格は、一キログラムで一六八円。当時の国家公務員の初任給は、二〇万二四九六円。初任給で卵の価値は三〇分の一に下がっているのである。
これを支えて来たのが、近代養鶏技術である。
そんな万年デフレの業界にあって、著者は価格ではなく品質で勝負し、勝利を収めた。
よんでご欄 -有限会社緑の農園公式ブログ- これもマンガ、あれもマンガ?「美味しんぼ」にでてくる養鶏法は、どう見ても素人のものである。そのような人たちによって生産された「自然卵」は、今ではかなりの数が淘汰されている。価格の割りに、消費者を満足させる卵ではないからだ。雁屋氏の不満と、同じ不満を、消費者も感じたのである。
どこかで見た構図ではないか?
そう。Appleである。
シェアではなく利幅を追求し、最終製品の品質にはこだわりながら、各要素では「業界標準」を臆面もなく使う。Appleがファウンドリーを活用するように、著者もアグリビジネスが生み出した品種、ボリスブラウンを活用している。そこにものづくり至上主義は存在しない。存在するのは本当の合理主義だ。
そんな養鶏を確立した著者は、こんな人である。
P. 233体をこわさなければ、たぶんサラリーマンを続けていただろう。一級身体障害者、すなわち人工透析患者になったからこそはじめることができた私の事業である。社会に相当な負担をかける身となりながら、それなりの仕事ができたのは、非常にうれしいと思っている。
こんなところまであの人にそっくりではないか。
スティーブ・ジョブズの感動スピーチ(翻訳)君たちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にする暇なんかない。ドグマという罠に、絡め取られてはいけない。それは他の人たちの考え方が生んだ結果とともに生きていくということだからね。その他大勢の意見の雑音に自分の内なる声、心、直感を掻き消されないことです。自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当になりたいことが何か、もうとっくの昔に知っているんだ。だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。
シリコンバレーでなくとも、そういう生き方は可能なのだ。
23才ではなく39才で起業しても、そういう仕事の仕方は可能なのだ。
それを味わえるだけでも、本書を一読せざるを得ないではないか。
Dan the Amazed
Posted by dankogai at 18:00│Comments(0)│TrackBack(0)
