2010年12月02日 19:00 [Edit]

真面目を真面目に考えてみた

真面目な私も考えてみた。おい、君たち何を笑ってるんだよ(怒)。

真面目が“バカ”を見る?! 日本社会の未成熟:日経ビジネスオンライン
ところが、世間では真面目であることは、必ずしも評価されない。「真面目だよね」と言われると、からかわれているような気分にさえなることがある。

その結果は、真面目な人であればあるほど不愉快なものだ。

真面目に"バカ"を見させているのは、他ならぬ真面目な人々自身なのだから。


その理由はただ一つ。

先進真面目は発展途上真面目に、そして発展途上真面目すらメカ真面目に真面目度において敵わない

これだけだ。

日本の1世帯あたりの年間停電時間は10分未満で、これは世界的にもダントツに低い。それを支えているのが、高い技術力と、日々真面目にミスをすることなく、寡黙に働く工場の人々の努力だ。

発電所の人たちがおそらく言わなかったことが一つある。

その日本の電力会社を本当に支えているのは、北米の二倍以上の電気料金を真面目に払い続けている日本のユーザーだということだ。

Industry-and-Household-Electricity-Prices-2007q1 知っておきたいエネルギーの基礎知識 P.97
それにしても日本の値段の高さが際立っています。電力料金は多くの産業生産物の価格に反映されますから、国際競争上大変不利に働くでしょう。

同書のグラフは元データが2002年とやや古かったので、ここでは2007年のそれを引用しているが、おそらくほとんどの人はこのことを知らない。しかし真面目に製造業に取り組んでいる人々はこのことを知っている。その結果日本ではもうアルミニウムの精錬はやっていない。電力が安い国で作られた地金を買っている。

それでもまだ電力に関しては、差額を「真面目代」として捉える事もできるだろう。

しかし、こちらはどうなのだ。

ボーイング777機長まるごと体験 P. 17
大型機では、機長と副操縦士にフライトエンジニア(航空機関士)を加えた3名のパイロットがかつては乗務していました。それが777などの最新鋭旅客機では、機長と副操縦士の2名常務体制に変わっています。アナログ表示の計器類が並んでいた従来型コクピットが「グラスコクピット」に進化して、システムの監視・管理をコンピュータが行うようになり、パイロットの作業量が大幅に軽減されたからです。

777ではエンジンの数も四発機の747の半分になっている。それでフライトの質が下がったかといったらそんなことはない。エコノミークラスでさえ液晶ディスプレイが各座席についているし、食事の質もずっと上がっている。それでいて料金はずっと安い。LCCでない主要キャリアでさえ。

なぜそうなったか?航空サービスに取り組み各社が真面目に取り組んだからだ。より安全に、より快適に、そしてより安く。

真面目な人々の居場所が減ったのは、真面目な人々の真面目な仕事の結果なのだ。

その行き着く先はどこか?その一つの究極例が、こちら。

「1円家電のカラクリ・0円iPhoneの正体」には、フリーどころか逆転経済という言葉さえ登場する。そこでは売る人が金を払い、買う人がお金をもらうのである。そんなバカな?ところがそんなバカなことは、本blogでも起きているのである。ここで紹介した本は、すべて献本いただいているものである。私にとって本というのはもはや読めば読むほどお金が入るものになっているのだ。

しかし言いたい事はそんなことじゃない。

この「逆転経済」の中に、不真面目な人がいるか、ということである。

誰も、いない。売り手も買い手も真面目にやってきた結果、こうなったのである。

真面目には、強力な自己破壊効果がある。

真面目をつきつめると、自分より真面目な奴に席を譲るしかなくなるのだ。米国の真面目はインドの真面目に。日本の真面目は中国の真面目に。そして全人類の真面目は、機械の真面目に。

これが、真面目が"バカ"を見るの正体だ。

なんのことはない。それは真面目の自画像なのだ。

…ということは、実は「小飼弾の 「仕組み」進化論」に全て書いた。そのためにはどうしたらよいのかも。真面目の自己破壊効果について真面目に考察した本なので、真面目な人に読んでいただけると真面目な私としてこれほどうれしいことはない。

しかし読まない人も、これだけは知っておいて欲しい。

真面目の首を真締めているのは、真面目な人々だということは。

「真面目にやってるんだから認めてよ」と言っているうちは、真面目さが足りないのだから。

Dan the Serious


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小飼弾さんのところ で取り上げていたので、私も真面目を例によって大雑把に考えてみます。第一に、 確かに今回の 河合氏の記 事に頷けはするものの、地域独占である電力会社を例にする手は無いのでは。 今だったら、「 “ありがとう、知らない誰か!”何てことは、あ...
[2095]電力会社の真面目さは阪神大震災で通用しなかった【プログラマー 大塩高志の断片談義】at 2010年12月03日 12:12
この記事へのコメント
ひゃー、僕達って北米の2倍以上の電気料金を支払ってるんですねー。また1つ、新しいことを知りました。ブログいつも楽しく拝見してます。
Posted by kobayu44 at 2010年12月06日 20:28
”ごく一部のシステム管理者と大多数のスコレーの社会”


一見そういう方向に進んでいるように見えるけれど、もしかしたら、起業家精神の大爆発の社会になるかもしれませんよ。

人間の精神というのは思いがけなく発想が柔軟で、機会を探し当てるものですから、優れた道具があれば、今までの世の中では資源化されていなかった物事がどんどん資源化されていってしまうものなのです。
Posted by h7bb6xg3 at 2010年12月05日 13:31
毎度の小飼弾流の弁証法の講義ですね。おもしろかった。

キリスト教も教義の中に自己否定要素を内包していたというbobbob1978さんのお話もありましたが、仏教も、実存の探求(ゴータマ・ブッダ)→詭弁論理学(アビダルマ・中論)→深層心理学・言語哲学(唯識)と進歩して、ついには、呪文を唱える呪術(密教)という風に展開して、当初否定したバラモン教の姿に回帰してしまったのです。

物事は、自己否定要素を内包しないものはなく、「この道はいつか来た道」が世の常なのかもしれません。
Posted by h7bb6xg3 at 2010年12月04日 08:47
前略 大塩です。

bobbob1978さんへの突っ込みに対する返答に答えると、だから日本と欧州は衰退するということで。先進国がスコレー(暇人)の時代といっても人件費の低い国の労働者に支えられているからであって、人類のほとんどがスコレーを享受できる状況を、私は想像できなく。

もし到来したら人類史の終わりの始まりだと。私としては中国の次はアフリカだという筋書きの方が説得力があり、希望を感じさせもする。大分話がずれてしまいますが、多分人は貨幣を発明したことで貨幣を回し続けなければならない動物になった。ならば貨幣を回すためには仕事が必要であり、スコレーの時代は本来、否定や拒否すべき状況のはず。

現に先進国で特に地球環境の問題が取り上げられているので、環境分野の仕事はあるはずで、しなければならない物。
                        草々
Posted by ohshio_t at 2010年12月03日 17:30
「犯罪のない社会も、火事のない社会も、病気のない社会も、あり得ない」

それはその通りです。しかし、問題はあり得るかどうかではなくシステムがそれを目指しているということです。
ニーチェは「キリスト教の誠実さが神を殺した(要約)」と書いています。単純に言うと、キリスト教徒が神に対して誠実であろうとするなら論理的でなければならないが、論理的に物事を考えれば考える程神の存在を否定せざるを得なくなってしまうという事です。キリスト教は教義に自己否定要素を含んでいるのです。
文明も同様です。文明が発達し、システムが洗練されればされる程、人間の労働は必要なくなっていきます。マルクスは資本主義社会が崩壊した後にプロレタリアートの時代が来ると考えましたが、私はそうは思いません。資本主義後に来るのはスコレー(暇人)の時代です。極一部のシステム管理者と大多数のシステムによって生かされているスコレーで構成される社会になるでしょう。現に先進国では既にそうなりつつあります。
Posted by bobbob1978 at 2010年12月03日 13:14
前略 私も一筆書いてみました。

確かに真面目は尊いですが、度が過ぎるのも考えもので。犯罪のない社会も、火事のない社会も、病気のない社会も、あり得ないということで、bobbob1978さんに反論いたします。私も不真面目な人間だから。
                        草々
Posted by ohshio_t at 2010年12月03日 12:00
警察が目指すべき社会は犯罪のない社会であり、消防士が目指すべき社会は火事のない社会であり、医者の目指すべき社会は病気のない社会であり、文明が行きつく先は脳を働かさなくても生きていける社会です。これは文明の必然です。
Posted by bobbob1978 at 2010年12月03日 10:29
ツイッターで自分に都合の悪い質問をされると、反論どころかブロックする人のどこが"真面目"なのかお聞きしたい。
Posted by jpndefender at 2010年12月02日 22:51
「真面目」って、「真面目な人柄」で伝わるニュアンスと、「真面目に働く」で伝わるニュアンスは違う感じがします。前者の場合は、誠実とか真摯な態度、後者はコツコツコツコツって感じ?。真面目な人柄は一つの徳だと私は思います。
Posted by sarikatagi at 2010年12月02日 21:38