2010年12月14日 17:30 [Edit]

Delivering Happiness - 書評 - ザッポス伝説/起業のファイナンス

ダイヤモンド社木山様より献本御礼。

これは二重にありがたい。

これで「起業のファイナンス」も紹介できる。

単体としても素晴らしいのだが、両方あわせて読むと最高の組み合わせになる。


本書「ザッポス伝説」の原題は"Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose"。直訳すると「幸せお届け:利益、情熱、そして目的への道」となる。この原題に名前負けしていないだけでも、本書の価値があるだろう。

確かにZapposが成し遂げた結果だけ見れば、邦訳の「伝説」は実にそれにふさわしい。

オビより
  1. オンライン靴店として、創業10年で年商10億ドルを達成し、全米第1位。
  2. カスタマー・サービスは全社員の仕事、顧客がネットで「素晴らしい会社」と讃える。
  3. サービスにマニュアルはない。顧客の商品選びで電話で6時間つきあうことも。
  4. 自社に在庫がなければ他社サイト3社以上をチェックし、あれば顧客に教える。
  5. 採用では、能力よりも「終業時間外も一緒にいたい人かどうかを重視、徹底した教育。
  6. 4週間以上の新人入社研修期間中、「今辞めたら2000ドルを支払う」退職金制度がある。
  7. 社員はコア・バリューを仕事だけではなく、生活に活かす。会社が大好き、社員は家族。
  8. 社員は社内の様子を自由にブログ、ツイッター、SNS、YouTubeで情報発信。自由自在のブランディング。
  9. 世の中のツイッターでの「ザッポス」に関するつぶやきを(悪口を含め)ホームページに全部掲載。
  10. 同社の「ビジネスモデルとしてのハピネス」は新しい経営戻るとして、世界の経営者、経営学者も大注目。社内見学ツアーに、日本からも経営者が多数訪問。「ザッポスに学べ」。

しかし本書の価値は、「伝説」ではなく道程にある。その過程で読者は二つの伝説が神話に過ぎなかったことを知るだろう。伝説その1は「米国では経営者個人の資産と会社の資産がきちんと分離している」。その2は「ベンチャーキャピタルが充実している米国では、資金は直接金融によって賄われる」。

とんでもない。

Link Exchange の売却で得た2億6500万ドルの富で得た著者は、ザッポスの運転資金を得るために不動産を売価の四割で手放し、それでも足りずにウェルズ・ファーゴ銀行からやっとの思いで600万ドルの融資限度枠を引き出す。セコイアが同社に投資したのは、その後である。

いずこも、変わらないのだ。

これを実感できて、はじめて「起業のファイナンス」がピンとくるのではないか。

今までこの本を紹介してなかった一番の理由は、実際の起業のファイナンスにつきあったものの一人として、副読本の必要性を痛感したから。実際にやったことがある人にとってはすこぶる良本なのだが、しかし理論中心ということもあって、やったことのない人には「勉強になりました」で終わってしまう印象を強く受けたのだ。その点で同書の位置づけは「正義論」に似ている。いくら骨太でも、血肉がなければ立つこともままならないではないか。

「ザッポス伝説」は、「起業のファイナンス」に肉付けするのに格好の一冊だ。

あるいは、「起業のファイナンス」は「ザッポス伝説」の骨を強化するのに最適の一冊とも言える。

一緒に読んでほしい。いや、そこに留まらず次に進んでほしい。

もし情熱と目的がすでにあるのなら。

いや、もしあなたにとどけるべき幸せがあるのなら。

Dan the Man of Delivery


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この記事へのコメント
最近注目されるような企業はその会社の文化が独特でどれも社員の事を考え、社員一人一人がいきいきと仕事ができる環境を提供されていると思います。個人が集まっての団体ですから一人一人の力が重要なんですよね。
Posted by osusume_business at 2010年12月14日 23:50
「採用では、能力よりも「終業時間外も一緒にいたい人かどうかを重視、徹底した教育。」
面白そうですね。読んでみようと思います。
自分は骨ばかり太くして、血肉が貧弱な傾向があるので気をつけなくちゃならないです。
届けるべき幸せ・・・。
Posted by kobayu44 at 2010年12月14日 22:15