2011年10月03日 10:30 [Edit]

Kindle Fireがいまいち燃えない3つの理由

Dual Core & Silk 速い、$199 安い、クラウドコンテンツうまい!

三拍子揃った、「iPadに対抗しうる」はじめてのタブレット、Kindle Fire。

なのに私が Kindle Fire にいまいち萌えなかったのは、私の期待が大きすぎたからなのだろうか。


What offers the best Kindle experience?

Kindle は Amazon がデザインした、読書体験を再発明したハードウェアの名であると同時に、ソフトウェアの名でもある。

iPod が Apple がデザインした、音楽視聴体験を再発明したハードウェアの名であると同時に、iOS標準搭載のアプリの名であるのと同様に。

だからこそ以下のようなCMも成り立つのだが…

それではどのデバイスの Kindle がもっとも優れた読書体験をもたらすのか?

iPadであることに疑念をはさむのは難しい。

以下は Kindle User Guide 5th Ed. を、Kindle 2SMT-i9100、そしてiPadで表示した例である。いずれもクリックでピクセル等倍表示。

kindle2
smt-9100i ipad

見ての通り、iPad がもっとも読みやすい。公平を期すために上の例では Kindle の取扱説明書というモノクロ図版のみ入った Kindle book を表示しているが、最近増えて来たカラー図版入りの Kindle books もより「原本」に近い形で表示されるし、E-inkでは避けられないページめくりの待ちもない。

それだけであれば iPad 以外のタブレットも同一条件であるが、横置きにするとその差ははっきりする。

kindle2 smt-9100i
ipad

横置き(landscape mode)にして見開きになるのは、iPadのみなのである。

なぜ iPad にそれができるのかといえば、アスペクト比が3:4と、1:√2に近く、かつ短辺も768pxと十分な解像度を有しているから。E-inkでDXでないKindle もアスペクト比は iPad と同じ3:4だが、短辺が600pxとページを見開きで表示するには不十分なのだ。

というわけで iPad 登場以来、私にとって Kindle とは Kindle 2 ではなく iPad アプリを意味する言葉となり、Safari for iPad 上の Kindle Cloud Reader で購入した Kindle book を同アプリで読むのが日課となっている。私だけではなくもう一人のDan (Pink)もそうしていた。

だからこそ、ちょっぴり願っていた。

Kindle Fireが、the Best Kindle Experience を Kindle に取り戻すことを。

ところがKindle Fire が採用した解像度は、600x1024px。私が熨斗付きでもらったSMT-i9100と同じ。

実際デモを見てみると、Kindle Fireも見開き表示をサポートしてなさそうだし、雑誌の表示はやけに横が窮屈そうだ。

iPad 以外の Tablet が軒並み討ち死にしているのは、価格もさることながら、何も考えずに採用したワイド画面も大きいのではなかろうか。PCの世界で画面のワイド化を推進したのは Apple だが、そんな Apple がなぜクラシカルな768x1024を採用したことに誰も注意を払わなかったのか? Jony Ive が初代iPadを紹介するにあたって"There's no up there is no down. There's no right way or wrong way of holding it"と言っていたのに、誰も真剣に耳を傾けなかったのだろうか?

If content is the king, device is the throne.

Monolingual Again?

apple-intl

それよりも米国外の Kindle ファンを失望させたのは、Kindle Fire もまた米国のみの販売になったことだと思う。

最初のKindle2007年11月19日最初のiPhoneと同年である。

それから丸4年。iPhone も iPad も、全世界で売られている。Android も。ところが Kindle は未だに amazon.com から輸入せねばならず、それも海外発送に対応しているのは一部モデルのみ。要するにKindleの商圏はあくまで米国を主とする英語人口であり、海外発送もあくまで海外在住の米国人にとどまっているのだ。

しかも Kindle Fire を見る限り、I18Nは始まってもいないどころか遠ざかったようにすら見える。

2007年に4割台だった Apple の本国外売上は、今や6割台。米国が1/3を切るのも時間の問題と思われる。この違いだけでも、Kindle が iPad Killer となるシナリオは「ねーよ」としか言いようがねーよ。

You sure that's enough profit?

2006年から2010年の売上の伸びは、Appleが3.38倍に対しAmazonは3.20倍。どちらも遜色ない。

しかしPERを見てみると、先週終値でなんと95もある。Kindle発表直後は100を超えていた。Apple のそれは15、Wal-Mart のそれは11。日本の企業でみてみると、DeNAが15程度、セブン&アイ・ホールディングスが17程度、任天堂が18程度、グリーが30程度、楽天が34程度。

上々仕立てのベンチャーならとにかく、ドッグイヤー的には「老舗」の企業がこの悪地合でこのPERというのは、すごい実力を上回る、とんでもない期待が集まってると見ざるを得ない。

Living in Both Ecosystems

私は Apple のエコシステムの住人でもあり、Amazon のエコシステムの住人でもある。そしてどちらのエコシステムからも、投じた金額以上の収益を得てきた。で、どちらのエコシステムからより大きな収益を挙げたかといえば、Amazon。付き合いと言えば前者の方がずっと長い(Amazon 創立前から!)だが、Mac から上がった収益は、仕事効率化などエコシステム外のものが主だし、iOSアプリからの収益はAmazonアフィリエイトを上回るものではない。

というわけで私としては一刻も早く"Kindle Books"ではなく「キンドル本」をがんがんアフィリエイトで紹介したいのであるが、その日は一体いつ訪れるのだろうか…

Dan the Resident of Both Ecosystems


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