2012年10月02日 01:00 [Edit]

与えよ、さらば求められん - What #yapcasia gave me

そういえばentryがまだだった。

とりもあえずはスライドはこちら。

その二週間前のPycon JP 2021のキーノートの姉妹編になっているのであわせてどうぞ。


で、本題。How Perl Changed My Lifeから頂いた。なんでこんなことを書こうと思い立ったかというと、本日のはじまりがあまりに不愉快で、心を洗濯する必要を感じたからだ。

しかしこんなのは氷山の一角に過ぎない。持てる老人が持たざる若人を絞り上げるという氷山の。消費税を上げるための努力は惜しまないが、払いすぎた年金はそのままお持ち帰りいただくのが、この国の形というやつである。

その消費税を上げるための努力を惜しまなかった首相より三歳も年長の爺さんが、彼の孫であってもおかしくない参加者の目の前でライブコーディングする。それが、YAPC。

全ては、この爺さんからはじまった。

この爺さんが、まだ Web すらなかった Internet にソースコードをuuencodeして流したときから。ちなみにその時の場は、NetNews。この爺さん、実はこのNetNewsを読むためのrnという「ブラウザー」の作者でもあるし、ソースコードのやりとりには欠かせない、patchの作者でもある。

つまり、Perlというただの一プログラミング言語の父である以上に、オープンソースという文化の育ての親あり、 Programming Republic という「国家」の産みの親である。

その Programming Republic とはどんな「国家」だろうか。

ワカモノ、バカモノ、ヨソモノが、「国父」と対等に扱われる、「国家」である。

そして「富」の多寡が、どれだけ持っているかではなく、どれだけ与えられるかで決まる、「国家」である。

与えるべきもの、 something to give.

YAPCとは、与える喜びを参加者に与える場なのである。

「国父」にちなんで、与えるべきものは Perl というプログラミング言語にまつわるものが多いが、それは「米国では人々は主に英語を話す」の「主」であって、実のところ公用語ですらない。別の「言語」でもおkだし、(電脳が実行可能な)コードですらなくても歓迎される。

たとえばこんな風に。

そしてここが重要なのだが、この「国家」における「報酬」とは、「与える機会」のことなのだ。

「与えられる機会」ではなく。この「国家」の住人は、貰いたがる以上に与えたがる人々なのだ。

その意味で、今回のYAPCの最大の功労者は、LTソンという場を開発して与える場を革命的に拡充したhachioji.pmではないか。

その「与える機会こそ報酬」というシステムは、今回ベストトーク賞にも発揮されている。

YAPC::Asiaで発表&ベストトーク賞1位をいただきましたー - ゆーすけべー日記
どうやらベストトークの賞品が「YAPC::NA または YAPC::Europe へ派遣」ということで、 来年ヨーロッパもしくはアメリカのYAPCに行って発表してきます。

与えよ、さらば求められん。

それが、YAPCが私に教えてくれたこと。

そのYAPC::Asiaも今回で7回目。学生は社会人になり、社会人は配偶者になり、配偶者は父母になり、そして父母は祖父母になる。私は第一回目から父親だったが、今年は二月に公式に伯父になった。やっと現実が見た目に追いついてくれたわけだ。

正直、この「国家」を見出すまで、老とはいかに若から吸い上げることかとばかり思っていた。それが私の実家の光景であった。まだYAPCの平均参加者より若かった22歳の冬。全焼した実家の隣の隠宅に避難していた我々に火事見舞いを渡そうとした見舞客に「私が受け取る」と宣った祖母の姿を私は死ぬまで忘れないだろう。この「家」をズームアウトした姿に、今の日本が重なって見えてしまう。

そして老人とは過去の若人のことであり、若人とは未来の老人のことである。

若人が老人を生むなら、みんな死ぬしかないじゃない。あなたも、わたしも。

心の底から、そう思っていた。

赤ラクダ本に出会う前は。

There's more than one way to do it.

やり方は一つじゃない。

それなら、老い方だって。

その著者は、身を持ってそれを示してくれた。自ら四人の子の父となり、そして子は母となり。そしてその間ずっと、与えることを報酬としてきた。

貰う報酬しか知らぬ人々は、何歳になろうが文字通りの餓鬼なのである。

与える報酬を知って、はじめてこの餓鬼道から抜け出せるのだ。

私が夫となれたのも、二人の娘の父となれたのも、つまりそういうことなのだ。

Perl, the first postmodern computer language
So, look at all of you out there. You're just a big, dysfunctional family trying to create meaning.

What a family we have created!

Thank you for giving me a place to give.

Thank you for giving me a family I belong.

Dan the Give(r|n)


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この記事へのコメント
まあ、99.99%の人には不要ですけど、爺さんにWikipediaかなんかへのリンクがあってもよかったかな、と思いました。
Posted by http://www.hatena.ne.jp/inabahiroto/ at 2012年10月02日 13:01