中村ゆきつぐのブログ

現場の声を国政へ

年齢、社会経済で区切るがん治療 議論しましょう!

読売新聞記事です。現在のがん治療における費用対効果に対する議論をテーマにしています。一般社団法人全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野さんから情報頂きました。

この記事の元になったと思われる厚労省の会議で使用された経産省作成の資料です。(バイオ医薬品関連政策の視点 ー 我が国における創薬事業の発展に向けて ー)突っ込みどころはたくさんありますがパンドラの箱(必要な医師数とは そろそろパンドラの箱を開けましょう)の資料としてとてもいいものです。

前半は経産省らしく、製薬関連分析。中村祐輔先生がブログで言ってているようながん医療の輸入超過情報紹介です。(これでいいのか、年間医薬品貿易赤字額2.46兆円

○ 医薬品産業は、本来日本が強みを持つべき分野であるが、現状は大幅な輸入超過 (約2.4兆円)。
○ 国民の半数が「がん」になる時代であるにもかかわらず、国内で「がん」の新薬が殆ど生まれず、国内がん治療薬市場は、2000年を境に輸入品が急速に増加している。(p3)

5.ビジネスモデルの転換 (低分子医薬からバイオ医薬等へ)
○ これまで化学合成に強みを持つ日本の製薬メーカーは、多くのブロックバスターを産出し、売上高を伸長。
○ しかしながら、1990年~2000年頃を境に、新薬候補は出にくくなっており、大型新薬を狙ったブロックバスターモデルは綻び始めている。
○ これは、
① 低分子化合物を中心とした有効成分の探索がピークを越え、新たな発見は困難になりつつあること
② 開発対象が患者数の多い疾患から、患者数の少ない疾患へと移行しつつあることなどが原因。
と(p7)で創薬業界の流れを分析しています。

まあこの太字の解釈は間違っています。米国から低分子化合物はどんどん出てきていますし、京都大学の小川先生をはじめとする、ディープシーケンサーによる疾患解析にて、現在も新規遺伝子関連の情報は報告されつづけています。ただ日本にこの発見を創薬に結びつける流れがないだけ。つまり米国と比べて研究費等が全然足らないという、政府/経産省の失敗であることは中村佑介先生が言っている通りです。

だってPD-1は日本の企業小野薬品の製品ですが、世界への販売戦略はノウハウがないためブリストルマイヤーズが扱うという、まさに国が日本企業に対し何も手助けできずに稼げる手段を海外企業に捨てた薬です。

 また後半はQALLY、Health Utilities Index (HUI) 改善度を尺度に社会経済的ポテンシャルと展開して解析しています。(p12)これはとてもいい試みです。 

全体に対する医療から、個に対する医療への変換を創薬の立場から分析しています。米国のプレシジョンメディスン(米大統領一般教書演説と科学技術に関する施策案概要)、以前中村佑介先生がオーダーメイド医療と呼ばれていたものへの変更をという狙いですが、全く政府が出しているお金が米国に比べ全然足りませんし、しかも創薬部分の解釈が間違った前提で話されていますので、実現性に乏しく補給のみこみがない机上の空論です。 

それよりもっと凄いのは(p19)の表。白血病の病期も知らないことが笑えるけど(急性リンパ性白血病にも病期はないよ。リンパ腫と勘違い)、経済学的に見ると白血病は45歳以上、その他の癌でも60歳以上の治療は無意味と結論付けています。 そうなると高齢者に発症するMDSや骨髄腫は発症しても治療しない?

そして下記の経済的まとめ。

① 社会的にも患者にとっても効果が期待し難い治療に膨大な医療費(財政負担)が支払われている。
(こうしたリソースを新たな治療方法の開発や診療報酬等の充実に振り向けることで、医療サービス全体の質の向上に繋げるべき。) 
② 高い治療効果を期待するには、より早いステージで発見・治療することが重要。
③ 高齢やステージが進んでいても稀に治癒する患者は存在するが、どのような患者に有効性が高いかについての検証に注力することや、新たな治療方法の開発・導入を行うことが必要。
(僅かな治癒の可能性に期待してこれまでの治療を種々試すことは、大半の患者に対して経済的負担と副作用の苦痛を与えるだけの結果になる(医療財政も圧迫)。) 

暫定ながら社会的生産性を生まない高齢者への無駄な治療はやめろと宣言されています。  

そして結論は

年齢、ステージによってがんに対するアプローチの手法を変えるとともに、患者のニーズが満たされていない領域については、現行の治療を続けることは適当でなく、新たな治療方法等を開発すべき。 

前提が間違ったものから導きだされた結論は、正しく見えてもそれは無意味です。それゆえこの結論も間違いなのですが、方法論などについては議論は必要です。だからどうするを言わないと意味がありません。ただはっきり言うと現在ほとんどの血液内科領域の白血病治療は無駄と言っていることには腹が立っています。

また、他省の施策との整合性はどうでしょう。高齢者の労働の活用、がんサバイバーの活用などは一体どこに行ったのでしょう。現在の老人?は捨てて未来にということでしょうか。

ただこの議論しっかりすべきです。政治家も巻き込んで、今の日本の医療をどうあるべきか、どこまで保障し、どこまで行うか、そしてどう発展させるか。単に切り捨てるのではなく、いい施策を作らなければいけません。

中村祐輔先生がブログで(われわれは知識量の急激な増大についていけるのか?
「医療関係が生み出すGDPが、医療関係のコストを上回るようにすることが国として生き延びるために必須である」
という海外の先生の言葉を引用し、
医療は浪費・消費ではなく、未来のための投資である」と述べています。

また別の日のブログですが
「数兆円の医薬品の無駄を削減するために、そして、人が人として後悔のない人生を生きぬくために、家族が患者さんの死を後悔をもって看取ることがないように、なぜ、日本の研究者・医師は断固として立ち上がらないのか、私にはわからない。研究者よ、患者さんの苦悩に、そして、それを支える家族の気持ちに思い至らないのか! 」

という経済優先主義の日本に喝を入れています。

経産省、厚労省の方へ。以前民主党と決別された中村先生をまた国の中に取り込むことをお勧めします。化血研の天然痘ワクチンの輸出もできませんでしたし、本当日本製品の海外輸出を含めて製薬企業とのコラボを米国のように柔軟にすることを要望します。(ボーイング社に軍人を含む国防省職員は入っていますし)でないと新幹線や潜水艦のようになかなか海外には勝てません。日本をまた創薬立国にするためにはあなたたちの正しい知識とそれを解釈する力、そして協力が必要なのです。 

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少子化問題 下手な政治家の施策より女性の気分に任すことがいいのかも

日本の出生率が久しぶりに上がりました。(出生率、2015年は1.46に上昇 21年ぶり高水準

>厚労省は出生率の伸びについて「13~14年の経済状況が良かったことが、出生率改善の一因になったと考えられる」

いろいろな施策が効を奏したんだと思っていましたが、民主党政権時代の2010年も少し上昇しており、その頃のニュースでは(日本の出生率わずかにアップ 団塊ジュニアが「駆け込み出産」?

>育児休業や、自治体独自の「手当」など公的な子育て支援策の効果
を政府はあげていました。しかし巷は

「駆け込み出産」説
大都会での「ママ友効果」

などをあげていました。これ見ると2010年の頃から政治家の背策は結局変わっておらず、結果は安定していないことがわかります。

そんな中こんなブログ記事を見つけて、なるほどと納得しました。(もしかして少子化問題って10年後には解決してるんじゃないの?非婚が進む30代と早婚志向な20代の溝

この先輩を見ながら自分の行動を決める女性たち。本当周りの医師、看護師を見ても同様の意見が出ていました。

 ある医師のツイッターです。
>先日30歳の病棟看護師と飲んでいた時、私が入職した当時の先輩達は「早目に結婚なんて損だよ!!楽しまないと」と公言して憚らなかったが最近の後輩は入職数年で結婚して、仕事もそのまま続ける子が多いと言っていた。10年くらいで雰囲気も変わる

不況が続いた日本において、仕事とプライベートのどちらかでは勝っておきたいという考え。先輩を見て、どのようなキャリアプランを描こうかと考える場合、まず結婚は抑えておこうという価値観の変化はそのあと続く出産に向かうことが期待できます。とはいえ、シングルマザーも含めてまだまだ晩婚問題、少子化問題は解決されてはいません。それでも出てきたこの早めに結婚という気の変化と出生率増加。少し期待できます。

ちなみに沖縄の出生率の1位は、経済環境、基地問題はどうあれ、子供を育てやすい仕事と家族と社会環境なんでしょう。鶴瓶の家族に乾杯見たときそう思いました。「美しき海SP 東出昌大 沖縄県本部町ぶっつけ本番旅」

景気回復が遅い、少子化問題対策ができていない、介護問題も棚上げ、保育所待機児童対策も遅いといろいろ現政府に文句ばかり言っていますが 、発表されている数字が本当であればやはり成果は出ています。でもそれはどちらかというと施策よりも景気と同じで気の問題が大事だったのではと思いました。ただその気を出させたことは評価すべきでしょう。

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医療とお金 命と症状改善 いくらまでなら妥当 薬価問題

私が医者になってから医療は進歩し続けています。いろいろ病気も深くわかってきています。それゆえ薬も進歩しています。ただそれでも永遠の命は叶えられません。人間はまだ死を免れることはできません。

医療者がやれること。それは現在の状況において最高の医学を基にして最善の医療を行うことです。(最高の医療・介護のあり方:医療者と事務と行政のチーム医療 その人の生活に関与)価値観が異なり、患者によって最善の基準はいくらか異なっても、医学的妥当性に基づき情報を提示し、共有することしかできません。

ただし医療は医師だけの考えでできるものではありません。保険、政治、教育などその国家においての立ち位置に基づいて施される内容は異なります。先進国、発展途上国では医療レベルは異なりますし、めざましい発展を続けている新興国でも、ジェネリックでないとHIVを治療できない国が存在します。またお金が払えないため簡単な手術が受けられず命を落とす先進国も存在します。つまり世界規模において他の物と同じように医療に格差は存在します。 

日本はその意味において医療のインフラは整っている方です。少なくともコストにおいて保険制度のため格差は少ない方でした。しかし整っていたからこそ、より良い医療を求めていろんなことが生じます。そしてもっと良い医療があるに違いないという患者の思い込み、それを使って騙し儲けようとする輩(医師を含むとんでも医療や悪徳弁護士、企業等)が正しい医学に基づく医療(現在において)を行っている医療者たちを疲れさせます。

疲れた医療者に余裕がないと患者に優しくなれません。それこそ間違ったことはしていないと、最高の医学を行うために、患者に寄り添う努力を省きます。自分達が決めたわけではない薬の値段が高くてそれが払えないと言っても、患者に優しく対応する余裕はありません。それは病気にとっては最善でも患者にとっては最善の医療ではないかもしれません。

それこそ大きな病院の医師達は患者に治療手段は提示しますが、仕事をしないと生活できない、タバコ、酒は止めれない、生活習慣は変えれない、そのような患者の言葉に寄り添う時間がありません。(それをカバーしようと介護保険や、ソーシャルワーカーができているのですが) 医師たちは医学以外に社会に対応する余裕がないのです。

今お薬の値段がいろいろな場所で取りざたされています。PD−1抗体を始め、それこそ医療が国を滅ぼす論議もまた出ています。 (昔そのため医師は増えなかったのですが)でも高くても命に関わる薬となると少し仕方ないという気持ちが湧いてきます。ところが命に関係ない症状の場合どうでしょう。

1日薬価1200円の薬を使うことで生命は10年以上保証できるけど、少しだるさと皮膚が痒い状態が続くという病気があるとします。(支払いは3割で月1万円前後)生活はそれほど支障があるわけではありません。ここに新薬で5年以上生命は保証され(多分10年以上大丈夫)様々な症状が取れる薬が出たとします。ただし1日薬価は30倍の37000円!(支払いは3割40万ぐらいですが、高額療養制度を使い多分月4万から11万で済みます)これを使うべきかどうか、値段に見合うかどうかは保険制度、高額療養制度を取る日本では考えなければいけない課題です。もちろん4万でも厳しいという方もいます。

現場の医師たちは、患者さんのためとこの薬を使うことをためらわない人がいます。私もその一人かもしれません。それでも一生飲み続ける可能性があるこの薬、月に100万以上税金を使う薬、そして命には関係ない薬、 悩ましく思っています。

薬価問題。(医療費お薬代考察 1人から1000万とったら後は30%でどう?)あまりにもうかった薬は翌年薬価を減らすという施策で厚労省頑張っていただだいているのですが、製薬会社の態度(あるアメリカの会社がHIV薬の薬価を社長が変わったら10倍以上にあげたという歴史)も含めて少し政治のネタにしなければいけないと思います。

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