2012年02月

放射線と健康についての知識 池田信夫先生どちらも学説です

 放射線関連が続いています。

 アゴラの池田信夫先生のコラムに、血液内科 王 伯銘先生のコメントが出ています。
GEPR 医師からの手紙「放射能と健康についての知識を医師に学んでほしい」—「患者の利益のため」ヒポクラテスの教えに私たちは常に従う—王伯銘博士(血液・内科医)寄稿

 そのなかで「原発事故により一定量の放射線物質が被災地以外にも飛散され、放射能被ばくは十分警戒しなければならないが、放射線量が比較的高い「ホットスポット」が検出されても日常生活において健康へ及ぼす影響はない程度のものだ。」

と述べてます。

 そして医師の誓いである、ヒポクラテスの誓いを引用して、医師を信じろ、そして医師も勉強しろと述べています。現在疎開しているお母さん達に精神的、金銭的に負担をこれ以上かけないで冷静な行動を呼びかけるべきだと言っています。ただそう断言できる根拠がどこの文章にあるのか私にはわかりません。

 また池田先生はブログ文藝春秋の自殺のなかで前回の週刊文春の甲状腺がん疑いの記事に対して

「良性腫瘍(結節)と悪性腫瘍(癌)はまったく別物で、前者が後者に発展することはまずない。もちろん癌になる可能性はゼロではない。日本人の50%が癌になるので、当の子供が将来、癌になる可能性もあるが、それと原発事故との因果関係考えられない。低線量被曝による晩発性障害が1年未満で発症することはありえないからだ。」

 
池田先生は原子力のエネルギーの必要性を強く支持されている方で、日本の経済発展において原子力発電は必要だ、反対するやつはばかだ、健康被害はあり得ない、心配している人間は根拠があるのだから、その心配は間違いでおろかな行動だと明快に述べています。

 池田先生の言葉の使い方はすばらしいのですが、医学的には明らかに間違っています。なぜなら自分でゼロではないと言っているのであれば、そのあとの考えられないありえないと断定する根拠にはならないからです。(言葉尻をとらえるようなコメントですいません。)
 リスク評価とリスク管理の違いを説明し、おなじく福島は心配ないといっている東大の中川恵一先生も、ICRPのデータを根拠に現在の福島は問題ないと言っています。 でもその根拠もあくまで、広島、長崎、チェルノブイリの疫学のデータ、今の医学レベルにおいて本当にどれだけ正しく集められたか解らない情報に基づくもので、ICRPの専門家が提案したものにすぎません。エビデンスレベルと言われている医学根拠としては非常にレベルとして低いものです。

 例えば日本ではCT撮影があまりにも多いため、その放射線により発ガン率が上昇していると疫学のデータの論文も存在しています。また広島で高齢者に使用するある種の抗癌剤の使用量が高いというデータもあるようです。こんな噂話のような話も全て疫学を基礎とした医学的学説です。

 私はむやみやたらに心配だと言っているわけではありません。この2人の医師達の意見は信頼に値すると思っています。現在の福島の放射線の影響は個人的にはタバコと同等ぐらいかなと思っています。しかし今の医学では間違いなく断言してもよい信頼できるデータはない、わからないということが今わかっている唯一の事だと言いたいのです。

 だからどんな不都合なデータでもオープンにして、みなさんに不安を取り除く行動をとるべきだと言い続けています。中途半端な根拠で押し付ける事は間違いです。だからいくら放射線量が下がっても、国民は不安から脱却できないのです。

 経済活動において、格付けレベルがどんなに高くても海の藻くずとなってしまった後、その後の人間の行動は理屈では説明できません。それを心配ないからこの経済活動を行えと池田先生は言わないと思うのですがどうでしょうか。

 人間は感情の生き物です。そしてそれを扱う医学はいつも新しい事に満ちあふれています。過去の否定は医学では日常茶飯事です。そしてマスとして扱う医学と個として扱う医学は異なります。

  池田先生の言っている事、反原発派が言っている事どちらもひとつの医学における学説にすぎません。どちらも正しい可能性がある事をご理解いただければと思いますし、皆さんも相手を攻撃する無駄なことはやめて、全てのデータをオープンにしましょう。それが不安を最終的に除く唯一の方法です。

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週刊文春『郡山児童に甲状腺がんの疑い』2つの会見を聞いて あおり?情報公開?

 また放射線関連です。週刊文春で上記の記事が出ています。

 情報源であるかもしれない北海道の医師(内科専門医である開業医:一生懸命甲状腺が専門ではないと言っています)と、文春とマコさんの会見を確認させていただきました。

 マスコミの取材方法の問題などもあげられていますが(医師は取材と言われていない。情報源協力者の一人の主婦からのこの記事のネットでの否定、記事の医師が全て匿名等)、医学的問題点を整理したいと思います。

 まず表題のがんの疑い。医学的には問題ありません。甲状腺超音波検査で結節などがあれば、医学的病名は甲状腺がんの疑いになり、実際の診療でもその病名をつけます。つけなければその後の検査で保険がつかえません。ただ質問者の意見でもありましたが、その病名を週刊誌の題にするということは公益的には議論の点でしょう。

 そして確定診断のための細胞診をしなかったことにたいする不安。 これもひとつの医学的解釈の違いです。この子達に細胞診を行わなかった事を医学的に
100%間違っているとは言えません。甲状腺がんの進行スピード(他の癌に比べて非常にゆっくり)、画像所見(この画像所見がでれば癌というのがあります)、年令、針を刺す事に伴う危険性、それらを総合的に判断して細胞診や生検等を行います。つまり細胞診を行うかどうかは医師によって解釈が異なる事例だという事であり、全員にやるわけではないのが実臨床です。しかしこれをマコさんは全員にやっていないことはおかしい、いやわざとやらないようにさせられていると言っている訳です。

 ただ子供の甲状腺がん疑い疾患は、ほとんど日本の医者はあまり経験していないでしょうから、すこし細胞診等のすこし危険な検査に対して控えめになっているかもしれませんが、福島医大に流れたと言われている深く研究するなという依頼は、2次検査をおこなったと思われる北大には流れていないでしょう。

 北海道の医師は7月に甲状腺学会に発表する予定で、福島医大の計画である子供達の甲状腺を3年間かけて超音波で調べるではなく、もっとはやく甲状腺超音波検査を全部の子供達に実施しようと提案するそうです。

 事実子供の腺腫、嚢胞等の良性疾患の超音波における頻度はわからないため、今回の2人の病変が頻度としておかしいものなのか、そうでないのか、つまり放射線の影響なのかどうかは全くわかりません。

 マコさんの気持ちもよくわかります。山下一派に負けるなと言っていた田中さんの記事もよく目にしています。本当に正義感が溢れ、子供達を危険から守ろうとしている方達です。

 でも今回の話はすこしあおりと言われても仕方がないでしょう。

 いや山下さん達、政府のやっている対応が気に入らないから、子供を持つ母親達の不安に対処していないから記事にしたというのであれば、今回出た記事からくる不安はどうするのですかと言いたいですね。もうすこし話し合っても良かったのではないですか?

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放射線事故対策 米国と日本の危機管理 今後の対応

 原発事故後の米国対処の議事録が公開されました。日本との対応の違いがあきらかにされています。

 50マイル(80km)と20(〜30)kmの避難指示、1言1句もらさず書かれた議事録を作成する国と存在すらない国、最悪を考慮して動く国と大丈夫だろうとたかをくくった国、事故の対処を一言で水だと断言できる国と砂はどうかという馬鹿げた事を聞く国、そしてなにより、国家として当然の行動であるはずの、海外に住む自国民を守るために最大の努力をする国と自国に住む自国民に犠牲を強いる国

 私は米国より日本が大好きです。でもこの危機管理に関しては米国の素晴らしさを認めざるを得ません。

 NHKで危機管理の専門家が、「有事への対応が米国と日本ではちがう。米国はしっかりとした準備ができているんだ。」と解説していました。

 このコメント、なにも説明できていません。日本も準備はしています。政府には計画、文書を含めて形上しっかりした(と本人達が考える)ものが存在します。ただそれを実際に使いこなせる人がいないんです。今回の保安員、原子力安全委員会の人間達も全てある一定以下の対応までは完璧にこなせても(このレベルは定期異動で着任する素人でも可能)、今回のような事象、危機管理、危機対処を全く想定できていないんです。想定していないからこそ行動にも移せません。

 また日本の政府の計画はだいたいの部分を定め、後は運用でという計画が非常に多く、実際具体的に何をやっていいのかがあまりわからないものが多いのです。

 しかも国はその計画を作った後、あとは地方に丸投げし細部は地方の計画でという文章が本当にたくさんあります。丸投げした人たちが、あまりわかっていないのですから、された地方は解る訳がありません。質問しても、それそちらの裁量でとか、地方の特性に準じてとかはぐらかされ、そのまま形だけの文章が残ります。でも時期がくれば対処計画はしっかりしたものができあがったことになるんです。

 ついこの間、米国のロバート・ゲール博士の講演会が栃木でありました。資料を読む限り、放射線事故の健康被害は、今まで述べてきたようにそんなに多くはないと思います。だから日本の政府の対応は正しかったと言うつもりはありません。結果オーライ(いや不安をいまだに招き、信頼を失わせた事を考えると最悪なんですが)なのかもしれません。

 学問はある前提をもとに成り立ちます。例えば経済学は正しく行動する人間達を母体として行動が規定されており、その前提が正しければ不景気、恐慌等は発生しません。ところが実際の経済はそうでないことはみなさんご存知のとおりですし、この人間の不安、信頼をコントロールすることが、難しいながら危機管理において一番必要な事になります。

 今回の民主党政府の危機管理対処はこの点において大失敗でした。前の口蹄疫を含めて本当にへたくそです。事故分析最終報告を待ちましょう。

 でも日本人の「喉元過ぎれば熱さ忘れる性格」がこの危機管理下手の原因なんですけどね。

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「新型うつ病」は首に原因とする学会発足 雅子さまも? 脳科学の時代に

 新型うつ病に対して新しい学会の設立、そしてマスコミ発表がなされました。

 非定型うつ病である「新型うつ病」は、首のこりが原因であり、ここをマッサージを含む治療をする事で治るという学説を唱えています。この病気の提案をした松井孝嘉・東京脳神経センター理事長 (脳神経外科)が学会長を務めるそうです。この人によれば雅子様もこの病気で、今の治療では改善しないと言っています。

「首からの新型うつ病の最も典型的な患者は皇太子妃の雅子さまではないでしょうか。毎年3万人超の自殺者の多くもこの病気であり、精神科では治らない」

「微熱や風邪症状、天候による変化、のどの渇きやめまい、疲れやすい、不安感などが報道されていることから、典型的な首からの新型うつ病であり、精神科治療では治る見込みがないことを医師団に指摘した」

 すこしこの医師を信じられないのは、香山リカさんと同じで、雅子様を診察しないで、この病気と診断しているところです。

 この学説は突然出てきたものではありません。しかしあまり全国的には認められていません。私も前回のマスコミ発表(週刊誌?)は覚えていますが、そんなもんかと気にはしていませんでした。

 ホームページで患者さんの体験記を読ませていただいたところ、2ヶ月前後会社を休んで入院し、首に電気マッサージを受け、全体の諸症状が改善すると書かれてあります。残念ながら、仕事を現在再開しはじめたで終わっているものが多く、仕事を開始してどうなっているのか記載していませんでした。

 学問と学説は異なります。この学会にお願いしたいのは、首のマッサージあり、なしで患者さんを分けて入院させ、首への処置が本当に必要かどうか検定していただきたい。

 仕事を1ヶ月以上完全に休めば、うつ病の人はかなり改善します。だからこそ首のこりが原因という学説を証明してください。それが学会の使命だと思うのですが。ただの一般人を集めるための宣伝なら迷惑です。

 実際、会社のストレス、仕事から肩こり、頭痛、うつ症状を呈する人は本当にたくさんいて、その人には単純な薬では今ひとつのコントロールなのは事実です。コンピューターの普及、莫大な仕事量、生活パターンの変化、人間関係、親子関係の希薄化等、本当に団塊の世代に比べ今の人たちは厳しい時代を生きています。個人的には以前書かせていただいた人間は機械じゃない
ということだと思うのですが。

 新しい病気がみつかれば、それを研究し証明し治療をすることが医師の努めです。しかし学問になっていないものは、全ての医師が対応することは難しいです。

 今回の病名を含む病態は論文化はされていません。慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症、など最初はみんな信じなかったものもそこそこ認められてきているのは事実ですが、そこにはちゃんとした研究がなされています。慢性EBウイルス感染症等も、DNAが測れるようになって初めて出てきたものです。マスコミにだけ受けて、学問の部分をなくしてしまうとただのまやかしです。

 NHKでこの間やっていたように、脳科学でうつが判定される時代です。しっかりと見ていってください。

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政府の放射線対策 なぜみんな納得できない

 地震、津波、そして原発事故からもうすぐ1年になろうとしています。神戸に比べ遅くなりましたが、東北地方は地震、津波からは着実に回復してきており、仙台の繁華街は地震前よりにぎわっています。

 それに比べ復興を遅くさせた原発事故対処は迷走を続けています。民間会社に(東電系列?)除染を含めてお金がいっぱい使われていますが、食品にも基準を超える数字が認められた、汚染された建材が混じって家が建てられた、洗い流した水で下流が汚染されている、原発の温度計が壊れた、など本当に冷温停止宣言が出されてもうかなりたちますがとても安定しているとは思えません。基準が平時のものと有事のものとが混在しているんですから当たり前なんですが。

 東電の責任、国の対応のまずさ、今までの安全神話にのっていただけで給料をもらっていた保安員、原子力委員会の面々の責任を今しっかりと分析されていると思われます。本当はここにマスコミの報道姿勢の分析も必要です。プロメテウスの罠の記事で今書いている情報がなぜあの当時出てこなかったのか。マスコミの自省が欲しいです。

 いったいもうすぐ1年というのにこの迷走はなぜなんでしょう。それは一言で言えば初期対応のまずさです。一番ひどい汚染がおきた時(爆発後)、政府は健康被害はすぐには出ないと言い続け、避難させることはありませんでした。あのとき避難させていれば全ては放射線事故対処の教科書のとおりに動かせたのです。

 SPEEDIの結果があったわけですから、パラメーターが少なくても、過剰反応であっても、危機管理の鉄則に則れば、少し遅れても避難させていれば、その後の対応はすごく楽で、今みたいな混乱はなかったはずです。

 ある地域住民は避難させ、後で調べたらそこよりも汚染がひどかった地域はそのまま居住を許してしまいました。こうなると当時より放射能が低下した今避難しろとは言えません。言ってしまったら最後、そんな被害があるところに放置したと政府は責任を取らなければいけません。飯館村の時の対応は正直訴えても良いと思うのですが。

 あの時避難させていれば、ここまで低下したから戻りましょう、ほぼ爆発前の数字になりましたので戻りましょう、と言えたはずなんです。そして戻るかどうかは住民に任せれば良かったんです。危険の度合いはこれ位で、原爆の後住んでいた人でも長生きしているよ、健康上まだわからないところはあるけどねと正直に伝えて。

 放射線除染対処はまだ世界どこにいっても時間、隔離以外確立された技術はありません。それなのにできもしない除染にお金をかけてしまいました。(必ずできると言ってくる業者があって、それにだまされる役所があるんです。いつもの事です。ただ対処していますというポーズです)この業者の仕事ぶりを公開してください。どういうふれこみで仕事をとり、どこまでのお金をかけてどこまで除染できたか。税金の無駄使いを公開しましょう。

 批判されるとは思いますが、原発周辺の地域は当分すむことはできません。それは爆発した時点でわかっています。年間1mSv基準ではいったいいつもどれるのかわかりません。だからこそ、そこに汚染物質を集め、がれきなども含めて集合させ隔離するという教科書的放射線防護措置をとればよかったんです。そうすれば人的被害は限りなく少なくできます。(もちろん地域の被害はあります)

 福島県知事の勉強しない感情的な発言、メルトダウンを隠した官邸の人間、東電の責任をとらない性格、原発を再開させたい政府、経済界、全ての人間が爆発当時の避難対応を決定しました。当初からこの方針は間違っていると言い続けましたが、こうなった以上もうじたばたしても仕方ありません。放射線を減らすと言う結果が出ないけど、経済対策になったと思いましょう。

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