2012年07月

医者、製薬会社がつくる病気

 20年以上医者をやっていると、最初の頃常識であった医学が全く反対のものになっていることがよくあります。

 基本進歩に伴うもので、CMLのグリベック、APLのATRA、リンパ腫のリツキサン、MDSのビダーザ、骨髄腫のベルケード、抗生剤、抗真菌剤、サイトカイン製剤等、血液内科分野でも今まで治す事ができなかった病を劇的に改善させる事ができるようになってます。

 しかし中には何だろうと思われる事もありました。

 例えば、高コレステロール血症なんかまさにその典型で、最初はT-Chol240以上を異常と考え治療介入を行うとなっていたものが(当時それ位しか下げる薬がなかった)、ある薬が開発されたとたん、The lower the betterと専門家が仮説を唱え、その仮説に伴いT-Chol220未満を目指すと急に基準が学会から下げられました。

 結果患者数が莫大な増加となり、その製薬会社の新しいビルが東京に建ったそうです。

 しかしその仮説は正しくなく、現在と言えばT-Cholの数字は診断基準からはずされています

 若かりし頃、一生懸命症状のない人に説得しながら治療を行っていたときだったので、いったい何だったのだろうかと当時憤っていました。

 血液の治療においてもありました。なるだけ早く治療を終わらせるために、サイトカインを使って白血球をあげて、結果たくさんのお金をかけて治療をおこなっても予後は全く変らないというのもありました。

 医学は学問の要素もあるため、医師や学会等でも意見が異なる事が多々あります。エビデンスを重視するようになったこの時代では、有為さをもった治療法等を金科玉条として扱うのですが、微妙な差の場合結果は反対のことになることも多々あります。

 チャンピオンデータ(自分の自説を説得するために一番いいデータ)を駆使して製薬会社は売り込みにきます。ネガティブデータはほとんど出しません。

 薬価の高い新しい薬を、「海外でいいデータが出てきています。この仮説で考えると患者さんにとっていいに違いありません。保険はこの病名をつければ大丈夫です」と言ってくるMRさん。若い先生はすぐに信用してしまうと思います。

 ビジネスとして潜在患者数を掘り起こす事が会社としては必要で、権威付けをするために専門家が使われます。どちらが正しいかまだ決定していないのに、権威者が強く言うとそれだけが正しいと錯覚します。いわゆる医者が病気を作り患者を増やす事が結果としておこります

 この介入が正しいかどうかは、10年後でなければわかりません。正しいかどうかわからないまま10年間薬が使われ続けます。

 こういう事象は予防医学の面においていままでよくおこっています。CKD、糖尿病、高LDL血症、高尿酸血症等の生活習慣病がその代表例で、症状はないが潜在性(今後重篤な疾患を引き起こす可能性)を考え、基準を決め新たに病気として扱い、早期に治療介入をしようと仮説をたてて介入するのです。

 また前回書いたうつ病もそうです。今までより副作用の少ない抗うつ薬が出てきたからこそ、精神科専門医以外の処方が増加し、早期に介入すれば患者のためになるとこの薬を出すために、安易にうつ病の診断がつけられていきました。

 うまくいく人はいいのですが、診断が難しい人等は本当に薬害のようになってしまっています。

 医者の性として新しい薬が出てくると使いたくなってしまいます。その効き具合を判断しながら今後の治療を行っていくのですが、もうけばかりかんがえる医者は薬を出す事が目的になってしまいます。

 新しい薬が出続ける医療だからこそ、常に勉強していかなければいけませんし、病だけでなく患者をみる事も忘れないように戒めなければいけません。

 これだけ発達した時代でも、薬だけで病を治そうなんてやっぱり無理です。

 正しい食事をして、適度に運動をおこない、しっかりと睡眠をとる。そしてたまには余暇をとりながらも頭に刺激を与え続けて働き続ける。どんな薬よりこれに勝る事はないと患者さんに説明しています。


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うつ病ガイドライン;新型うつ病は病気でない

 日本うつ病学会から、大うつ病勢障害(大うつ病)の治療ガイドラインが提出された事を、本日朝日新聞朝刊に出ていました。

 そのなかで、「「現代型(新型)うつ」は、マスコミ用語であり、精神医学的に深く考察されたものではなく、治療のエビデンスもない」とはっきり述べられました。

 このことは新型うつ病は、精神科疾患、つまり病気ではないと言っている事と等しいです。

 また「適応障害や気分変調症は大うつ病との鑑別が特に難しい場合がある。しかもこれらは。治療法も含めて、十分に研究されているとは言えない障害であるので、本ガイドラインでは対象としなかった」
とも述べています。性格の問題とよく言われるタイプです。

 今回出てきたガイドラインは、DSMーⅣという学問的に精神疾患を取り扱う基準を用いながら、エビデンスを鑑みて精神科専門医以外がうつ病をしっかり診るためのガイドラインです。

 これが出てきた事は、現在うつ病の治療が、新型うつ病を含めて、あまりにもいいかげんにされていることに他なりません。

 薬漬け、話を聞かずに投薬、本当にいいかげんな治療がなされ、その事を医師に確認すると、お前の病気は治らないと捨て台詞を言われたという症例も経験した事があります。

 新型うつ病はマスコミ用語と専門医の方々が言うこの状況で、診断書等が書かれている現在は今後変えなければいけないでしょう。

 でも精神科専門医も難しいようで、精神神経学会でこのようなような記事が出ています。

 「北里大精神科の宮岡等教授は「精神科医の診察は自己流が多く、評価基準がほとんどない。患者さんとの基本的なやりとりは、今の研修医のほうが上」と指摘。他のシンポジストたちも「医療面接には、精神療法の基本がすべて入っている」「癒やしの場であるはずの精神科の診察室でコミュニケーションがうまくいかない場合も多く、面接の基本に戻ることが大切」と精神科医の育成に医療面接の導入を求める意見が続いた。

 会場からは「対話自体が治療の一環であり、内科系と同じようにはできない」など反発の声も上がった。」 

 精神科は今、さまざまの試行錯誤がなされています。その中間であることを社会は認識する必要があります。 


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メルトダウン連鎖の真相 現場はがんばったけど やっぱり危機管理の基本

 7月21日NHKスペシャルです。

 SR弁の問題、ベントができなかった問題。電気だけではなかった事を示し、本当に現場の雰囲気をうまくつくれたドラマ形式でした。

 専門家のSR弁、ベントが作動しなかった分析は興味深いものです。でもあくまでも机上の話ですね。ならどうすればよかったかまで専門家というのなら話して欲しかった。

 本当の事故になったら、想定していた事が全く機能せず、本来の安全策が何一つ効果をおよぼさないとう意味で、危機管理という本来の状況です。

 現場は一生懸命やるも、水素爆発時には死を意識せざるを状況の中、現場を責めるのは難しいでしょう。でも3号機は本当に水素爆発なんですかね。

 そして3号機。2号機で想定できたためバッテリーを緊急に外部に調達要請。でも来たのは使えない2V。12V10個あればメルトダウンは防げたかも。自動車のバッテリーの発想をもっとはやくできなかったのかはドラマだからですかね。

 現場の分析として東電は、その時の手配が場当たり的で優先判断ができなかったと。少し情けない。

 それよりも、集配場所に届いていながら現場に運ぶ手段がなかった。その理由が汚染された地域に運ぶ手段がなかったということは、本当に問題。

 ここで大事な事は、有事なのに平時の対応をしたという危機管理において最低の判断をした人間がいたということ。軽度汚染のひろがりを心配をして、ここまで過大な汚染をさせてしまった責任者は政府なんでしょうか?それとも本店なんでしょうか?

 まあどちらであってもこの連鎖的メルトダウン部分だけでも、米国対応との比較において人災と言ってもいいと思います。

 アメリカは失敗からすぐ学ぶ。事故は起きる前提。でもそれを悪化させないように万全の準備をおこなう。

 日本はすぐ忘れる。事故はおきない前提。だからまわりがみんな納得しない。


 最後の福島第1の責任者の発言。「仕方がなかった。現場は一生懸命やった」

 このしゃべりを聞いて医学的にミスはなかったと話す医師、学校対応上問題はなかったと話す教師、犯人の対応に問題はなかった警察を思い出しました。

 現場ではなく、組織の問題なんです。現場が対応できるようサポートしなければいけないんです。

 政府の事故調査が万が一不可抗力と分析するのなら、この国は危機管理ができないことをまた証明することになるでしょう。

 今後廃炉まで40年作業がかかると言っていますが、実際はどれくらいかは予想がついていません。

 除染をちゃんとやるといって、いまになって立ち入りを禁じる場所をつくる政府。

 公聴会に従業員を出して会社の立場を説明する東電。

 作業員の被曝をごまかすよう指示する東電作業下請け会社役員。

 本当に事故処理も下手で、どこまでばかなんでしょう。


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さあ 橋下叩きがはじまった

 文春に橋下市長の昔の浮気話が出ています。

 大阪の高級クラブのホステスとの話だそうですが、彼の性癖等を見出しにし、まさにゴシップ誌です。

 昨日の会見の内容がツイッター朝日新聞・橋下番に載っています。以下引用します。


記者「(女性問題の報道を)率直に肯定されるのか否定されるのか」。

橋下氏「ちょっと前置きになるかもわからないですが、今の姿がこんな状況なんでね。あの

記事見るとすごい違和感あるのかもわかりませんが、知事になる前の茶髪の姿を重ね合わせ

てもらって、皆さんにご判断していただきたいと思う」。

橋下氏「あのー全部間違っているわけでもないし、だからといって全部事実というわけでも

ない。まあ事実でもあり、事実でない部分も混ざっている。
週刊誌報道の範囲だと思いま

」。

記者「2006年に女性と飲食をし、関係を持ったことは事実?」。


橋下氏「飲食をしたことまでは事実です。あとまあ、その情報源になった人との関係とか

色々あるところもあり、知事になる前までは聖人君子のような生き方をしていたわけでもな

いですから。クラブに行ってホステスの…そういう女性と話をすることもあります」。

橋下氏「僕のような立場であれば、色々と報じられることでもあるでしょうしね」。

記者「週刊誌にご自身の出自のことを書かれたときと反応が違うが?」。

橋下氏「出自の問題はこれは公人であろうが、なんであろうが守られるべき一線。日本社会

で守らなければならない基本的人権のぎりぎりの所と思う」。

橋下氏「が、今回のような報道は、僕が公人になる前のことであっても、それは、僕自身

人間性を判断するための要素として報じられるのは仕方がないことだと思う。僕という人

間を見るために、報じることはある意味、当然のことなのではないでしょうか」。


橋下氏「だから、いま黒髪でこうやってこんな格好をしているからあれですが、前の格好で

でてきたら、誰も何にも違和感を覚えないことだと思いますが……。まあ、普段は問われた

ことをきちんと答えると言っていますが、この件はどこまで答える義務があるのか、ちょっ

と考えさせてもらいたい」。
 

 この対応をすこし笑いながら行ったそうです。

 今第3極の要と言われている橋下さん。ダブル選挙の時と同じ橋下叩きがはじまりました。彼を貶めたい既得権益組織はあの手この手でいろいろやってくるでしょう。

 彼の対応を見ていきたいと思いますが、前回の行動からさらに進歩していると感じます。彼はやはり打たれ強い。簡単には崩れないでしょう。

追加
 昨日の会見は終始奥様に対する謝罪でしたね。さすがに笑顔はなくなりました。

 20日朝のテレ朝の番組で、コメンテーターが危機管理の広報の教科書と分析していました。被害を最少限度に抑える。私もそう思います。


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プロとして、労働者として。仕事の流儀

 本日の朝ズバで、大津の自殺事件に伴ういじめ防止策があげられていました。

 その際の教師の対応として、医療と同じように視診、触診、問診を用いていじめの診断をしっかり行い、治療をおこなうことが必要だと専門家が提言していました。

 いまこそ現代の学校にいじめに対する対応策をしっかりマニュアル化してシステム化すべきだというものの、今の学校の99%にそんなものは存在しないとも述べていました。

 現場から変えていこうという提言です。以前のブログ記事も含めて対応すればなんとか変ると思うんですが。

 番組の途中の視聴者からのFAXで

 「いじめの相談を教師にした後、教師の発した言葉が、「自分たちは契約した労働者である。いじめは当事者同士の問題。それをどうこうするのは教師の仕事ではないため自分たちで解決してもらいたい。もし気に入らないのなら転校すればいい」私はすぐに娘を転校させました」

 という事例が紹介されました。

 みのさんのコメントは予想通り、「こんな先生はいらない。プロとしてどうなんだ?」とこの教師への攻撃でした。

 しかしコメンテーターが教師を責めるのではなく、そんな子供との接点が持てなくなるような文章雑務ばかりの仕事を与えている教育委員会がだめなんだとまとめました。教育委員会の現在の問題点(常勤は1人だけ、責任感のなさ、給料は日給制等)をあげた後このテーマは終了しました。

 教師達は雑務に追われながらも、生徒を守ろうという気概は忘れない教育のプロだと思います。しかし仕事が忙しすぎると、どうしても手を抜こう、面倒なことにはかかわらないようにしよう、給料分だけ働けばいいやという気持ちが出てきても仕方がないのかもしれません。

 今の医療も同様です。患者を助けたいという気持ちがいくらあっても、自分の体が倒れてしまっては仕方ありません。ある程度余裕を持ちながら仕事をするようにしないと、共倒れになってしまいます。

 患者さんが言う事を聞いてくれない、わがままをいう、間違っている事を要求する、無駄な書類の作成等、余分な仕事が出てしまうと本当に嫌になります。

 マスコミはすぐ当事者を攻撃します。でもそれでは解決しません。本質はどこかを見極め、対応していく事が必要です。プロとしてどうなんだ。素人のその思い込みがいつも当事者を怒らせ悲しませていると思います。

 今回のいじめ事件。教育だけではなく社会のタブーもネットの世界では取り上げられています。本当に膿を出していきましょう。個人攻撃は無意味ですし、正義なら何をしてもいいわけではありません。


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