2014年03月

もうからないから開発しない! 結局損をするのは患者

前回の記事について一部追加しました。

送別会!球春!暖かくなりました。今日は薬の開発の話です。

日本において保険適応がない薬は、基本使えません。海外でどんなに効果があっても、第1選択薬であっても、日本で認可されていなければ使えません。

患者さんを助けたいと思う時にどうしても保険外の薬を使おうとすれば、倫理委員会を通じて使用許可を受け、病院が全てのお薬代を出させていただいて治療させていただくということが今は主流です。

実は昔は保険病名という、ある意味嘘の病名をレセプトに記載して、その薬の適応外使用が当たり前のように行われていました。
今でも少しは行われており、今日の治療薬という薬の本にも適応外使用という項目が存在します。

ハイドレアという薬はその代表選手で、つい最近保険認可されましたが、真性多血症、本態性血小板血症の患者さんに対してみんな慢性骨髄性白血病と嘘の病名を書いて出していました。 欧米の第1選択薬でしたのでずっと見逃してくれていたのです。(いつまでもさぼっていたとも言えます)

製薬会社はできる限りたくさんの効能、効果を得てたくさんの患者さんに投与されるよう保険適応を得るように開発(治験)します。

しかし薬には特許があります。特許があれば独占してその薬の利益を得る事ができますが、特許が切れれば開発費を全くかけないジェネリックが出てきます。


そのため特許が切れそうな薬にはお金をあまりかけず、同じような薬で新しく利益が高いものを売り込もうとします。ノバルティスのグリベックとタシグナがいい例です。

そのため特許が切れているような薬では、いくら新たな効能を追加承認させてももうけはあまりでません。そのため患者さんのために使いたい薬でも、製薬会社ががんばらないためいつまでも使う事はできないのです。

そしてジェネリックの会社はあらたな効能を追加するような開発は行いません。結果患者さん達が損をします。

これをなくすにはどうすればいいのか。先発薬にジェネリックと同じ値段にする権利を与えればいいのです。でもこれはなぜか厚労省で認められていません。なぜそれができないのか
厚生労働省の資料みてもよくわからないんですよね。(ジェネリック会社への利益誘導や天下り?)

特許が切れたらもうからないから、薬の値段もできる限り高くなっているのではと勘ぐってしまいます。

儲けすぎている製薬企業にお灸をすえ、ジェネリックにして医療費を減らしていると言いながら、調剤薬局のトップが4億円(ジェネリックの薬価差益等?)とか、あまりいいお金の使い方をしていません。

患者さんのために、本当にいい薬を届けるために何をすればいいのか。PMDAを含めドラッグラグ解消等みんな頑張っているんですけどね。何か変です。

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平成26年度診療報酬改定 実務上の問題点

前回の記事に、自治医大だけでは地方僻地医療はカバーできないとコメント頂きました。ありがとうございます。総務省がんばりましょう。

平成26年度診療報酬改定の教育が獨協医大でアルフレッサ株式会社の担当から行われました。

一部問題点を挙げます。

一番の問題は病院側に責任を押し付けようとしている事です。

1 特定機能病院は30日分以上の投薬をしたら、その費用の60%しか請求できない。
つまり受診回数を減らそうとして3ヶ月処方なんてすると病院が赤字になります。患者に取ってはいい事かもしれませんが、病院は大変です。つぶれてしまっては話になりません。

本来、長期処方をする患者は安定している。よってそういう患者さんはかかりつけ医にもどしなさいという厚労省の指導です。

はいわかりましたと言いたいところですが、かかりつけ医は血液内科の患者を診てくれませんし、お薬も置いていません。ITP、CMLなどお薬が高くて高額療養の場合、3ヶ月に1回処方する方が患者さんの負担は減るのですが、多分わかってくれていないでしょう。いやたくさん払わせようとしているんでしょうか。

2 紹介状を持たない患者さんの特定機能病院の初診料金を引き下げ
初診料を高くして患者さんが来ないようにすると、保険から出される金額が結果あがってしまいます。よって病院側に鋭意努力しなさいと言っているわけです。

そのため今大きな病院では差額ベッドみたいに保険とは関係ないお金を取っています。基本的にそういう患者さんは軽症が多く、待たされた上に、大した事をされていないのに医療費が高いとクレームをつける事が多いです。 (以前U.Nさんが炎上しました)

3 抗がん剤外来化学療法加算の皮下注の廃止
抗がん剤を皮下注でやると、外来化学療法加算が取れなくなりそうです。副作用を減らすため静注から皮下注に変えたベルケードなど本当に困ったものです。

だといって静注に戻したりはしませんが、手間をかけて安くなるのは勘弁してくれませんかね。

もちろんいい改訂もあります。
手術・処置の休日・時間外・深夜加算なんて、医師の仕事量を減らし、加算をつけ、チーム制など救急の医療の改善がみられます。徹夜明けで手術なんてなくなりそうです。

今まで楽して高利益を取っていた一部のところを締め付けるのは構いませんが、新たな難民を作らないようにお願いしたいですし、お上に対して学会もしっかり意見を言って欲しいのですが 。

各学会の重鎮が厚労省に陳情していただくようお願いします。私もやれることをやってみます。

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PS
1についてですが、紹介率50%以上、逆紹介率50%以上両者を満たすと薬剤費60%にはならなくてすむそうです。ただできないわけではないそうですが、
医師の書類を書く仕事は増えてしまうみたいです
でも逆紹介率とは、元の病院にもどすということなので、紹介の効率が悪いということにもなるのですけど。

3は学会を通じて動きがあるそうですが、まだわかりません。

 

10年後の日本の医療へ 岩手からの提言 努力をしないで犠牲を求めるな

本日の朝日新聞朝刊12版の記事です。

地域医療再生目的で岩手県主催で開かれた東京でのシンポジウムの内容が要約されて出ています。すこし解説を加えます。

まず自治医科大学教授 地域医療学センター長 梶井英治先生。今後の地域医療問題解決に向けての提言です。

1 かかりつけ医の定着
開業医を含めた医師の意識改革も必要になり、今回の診療報酬改定にも主治医制があげられています。しかしこれには、患者さんの協力が必要になります。簡単に言うと、ちょっとした病気で大きな病院に行くな、救急で行くなというアクセス自由の制限です。この点は悪い事ではありませんが、何かあったらすぐに送ってくる主治医のレベルが低い場合には、かかりつけ医制度はあまり定着しないでしょう。

2 住民が参加する地域医療づくり
先程の患者さんが自由に病院を選べる権利の剥奪、救急車の適正利用、健康増進のための活動等、医療者と一緒になって病気予防をやっていく必要があります。その上でどのような死に方を選択するのかという死生観の教育も必要です。

3 医療機関の機能分担・連携
専門治療を重視する病院と、一般健康状況を管理する病院の棲み分けが必要になります。簡単に言うと高度な医療が必要なくなったらかかりつけ医にもどりなさいということです。その医者が嫌だと言われたらなど課題はあります。(なかなかもどってくれません)先程述べた死の考え方も必要です。

4 保険・医療・福祉の連携
切れ目ない連携が必要です。ただ医療だけで人間は生活できませんので、ここに経済もいれないといけません。

5 地域という枠組みの再構築
その地域に必要な医療は異なります。救急等全部東京ルールである必要はありません。地域の人達がどれだけのお金を使って、どれだけの医療を望んでいるのか理解する必要があります。

6 地域医療を支援する体制の充実
国、地方行政、家族会を含むボランティア、医師、看護師の安定供給のための取り決め等でしょうか。医療費優遇なども必要でしょうか。

7 各都道府県挙げての地域医療体制の構築
医療に対する考え方、どのような医療をどのような額でといったところでしょうか。5、6の結果ですかね。

自治医大としては地域医療の専門家として坦々と発表されています。97%の卒業生が僻地医療に従事しているとのことです。それなのに地域医療は足りていません。

次の発言は岩手県立釜石病院長 遠藤秀彦先生です。 まとめると医師達に総合医マインドを持たせ、少数精鋭でも頑張るといった内容です。

正直言わせていただくと、短期的にはこの方法しかありませんが、ただ長期的にもこの考えだとしたら今の現状がどうしておきたのか全くわかっていない、若い人達はついてこない方策です。院長がこれでは話になりません。やめて医師が少なくなった理由の一つでしょう。

次にパネルディスカッションで発言されていた結核予防会結核研究所 顧問 田中慶司先生ですが、「社会保障と税の一体改革が新鮮味がない」「自由標榜・自由開業にも介入しなければいけない」と医療者側だけの施策に言及されています。これではまわりの協力は得られません。先程の院長よりせっぱつまってないのもあるかもしれませんが、他人まかせがみえてしまいます。

最後に岩手県知事達増拓也氏の発言です。「 
国は地域の努力目標として医師不足について対策をとらない。『地域医療基本法』を選定し消防や警察と同じ考えで医師不足地域で医師に強制的に勤務を課すことを義務づける」ことを国に提案したい」とのまとめです。

提案はいい事です。議論の種になります。では私の反論を書きます。

勤務地を義務化させるということは、今の自治医大、防衛医大が行っていますのでそのやり方に準じればいいでしょう。若い時の研修と地方医療とが両立できるようならばOKです。実際東北大医学部で、必ず後ほど大学に戻すという確約と、教育体制の確立をおこない、少しうまくいっているようです。

防衛医大や自治医大卒業生は学費免除、給料、住居費、食費込みで学生生活を行ったので、勤務地の選択制限がなくなることは最初にわかった上で契約しています。それゆえ強制ではありません。

また実は医療者の当直問題で明らかなように、大部分の医師達は労働基準法無視で働いています。

もし警察や消防のように、自治医大や防衛医大のような契約をしていない医師達に、地域医療に勤務させるというのならば、仕事の場所を選べず、労働基準法違反、俗に言うブラック企業に強制的に就職させ、退職される権利もなくさせるということになります。

せめて労働基準法を改善させようとするのなら、今以上に医師数は必要となります。だから今回の改訂では、パラメディカルの活用がうたわれているのです。

基本的人権侵害の憲法違反になるのではないでしょうか。

また岩手県は私立医大1校しかない唯一の県です。(実は自治がタテマエ私立ですので栃木は私立2校です)

もし本当に自県に医師が欲しいのであったら、各地方自治体でやっている卒後勤務する事で与える奨学金を増やす、自治の岩手枠を増やす、岩手医大の地域枠を増やすといった、ある意味長期的にはお金で解決する方法があります。

お金は出さない。契約もさせない。だけど医師は職業選択をしたら、住む地域選択の自由を捨てろでは誰が納得します?

マスコミを使って広報されることは構いませんが、もう少し分析される事を望みます。

医療者だけではなく国民1人1人が考えなければいけない問題であることを今まで書いてきました。

自分たちの腹は痛めず、誰かに犠牲になりなさいでは解決しません。 

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ベビーシッター問題 新常識と旧常識

娘の小学校の卒業式が水曜日に終わりました。無事育ってくれた事に感謝します。私たちは子育てという問題に関して祖父母に頼る事ができとても恵まれていました。

それを踏まえてのベビーシッター問題。WEBでいい議論がなされています。それこそ女性の労働問題と日本の少子化問題にまで発展して欲しいと思っています。

認定NPO法人フローレンス代表理事で、政府の会議にも参加されている駒崎弘樹氏が自分のブログで今回の母親バッシングを防止する意味も含めて記事を載せています。(ベビーシッター宅での2歳児死亡事件についての解説

そして翌日、鈴木宗男氏が自身のブログ(3月20日(木)ムネオ日記)で、「こどもを見知らぬ人に預けるのはけしからん」と述べたところ、乙武洋匡さんがそれに対する反論(鈴木宗男氏への回答「政治家だからこそ、弱者への心配りを」)をあげています。

今までの日本の旧常識、子供は母親が育て父親は仕事がほぼ完全に崩れているこの時代。ある意味旧常識と新常識の戦いです。

今回、待機児童0の横浜市でおきたことがある意味驚きですが、少し問題を整理しましょう。

ネットを使った、ある意味本当に信頼できるかどうかはっきりしていないところに子供を預ける事がいいことか?

論点は共通です。新常識、旧常識でも悪い事です。

しかしできる限り安いところに預けないと生活できない、つまりやむを得ないという現実があります。

だから新常識支援者は現状を知らないで母親を責める事は悪だと鈴木宗男氏を責めます。そして「安心して預けられる制度整備」
とまとめます。

それでは2泊3日という長さはどうななのか、祖母はなぜ協力しなかったのか、一度預けた失敗体験分析は、等個別の倫理の問題は多々あります。

甘やかしではないですが、自分たちが、家族が、当事者がやらない(やれないではない)ことに補助をつけてあげるべきなのでしょうか。生活保護、病院の患者問題など共通の問題点がそこに存在します。

つまり自助で解決できる範囲への考え方の違いです。

旧常識者はもっとがんばれるはずだ。人に頼りすぎては行けない。

新常識者はいやだめだ。もっとお上が助けなければ。

昔常識を教えてくれたコミュニティも崩壊しています。そのため各自の常識はとても幅が出ています。

子育てと仕事において、現在昔の常識である母親だけのの子育ては、少なくとも若年者の間にはほぼ否定的です。だからこそ安心して預けられる体制は間違いなく必要です。

どこまでの支援を行うのかは子供を預ける労働への対価と、自分の仕事の対価との比較になるでしょう。

静岡県立病院の植田育也先生のツイートです。

「セーフティネットは必要ですが、守られれば守られるほど人間は依存的になり「生活の常識・知恵」を失います。甘やかしは、新たに「生活の常識・知恵」のない大人を生み出すだけです。」

患者さん、家族達と対峙している私も同じ意見です。ただ絶対に意見は擦り合わせが必要です。新常識、旧常識どちらも子供の命を守りたいという目的は一緒なのですから。

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インフルエンザはやはり奥深い 予防法と薬

暖かくなりましたが、まだまだインフルエンザ患者がたくさん出ているようです。息子や娘の学校は卒業式直前なのに学級閉鎖寸前だそうです。

自衛隊時代は
感染症のコントロールという、他人に感染させない、拡大させないという研究をしていました。そのため治療薬の使い方だけでなく、備蓄の仕方、隔離の考え方など、現実的な対応を主として研究のネタにしていました。

新型インフルエンザのときも日本での死亡率が
世界で1番低かったことをブログにも書きました(抗インフルエンザ薬の大部分は日本で使われています。)

自衛隊時代に得た知識をもとに、実臨床でインフルエンザ患者を今までたくさんみていましたが、獨協大学病院に勤務してから血液患者さんばかりで、ここ数年ほとんど診ていません。

今の時代、インフルエンザ疑いの患者さんがみえると、一般の外来の部屋では診ずに、隔離しながら検査を行い、他の患者さんに感染を伝播させないように処置をします。

基本インフルエンザは、症状を緩和させる治療も大事ですが、他人に移させないようにする事がもっとも大事な事になります。そのため、診察をした後の手洗い等はかかせません。

今抗インフルエンザ薬として、タミフル(内服)、リレンザ、イナビル(吸入)、ラピアクタ(点滴)が使えます。(最近塩野義のラピアクタのCMが問題になって、感染症の先生がお怒りになりました インフルエンザ治療に点滴薬」CMの是非) 

H1N1で
ウイルス耐性がタミフル、ラピアクタで言われていますが、吸入薬での報告はありません。そのため今までも吸入薬をメインに使っていました。

今回たまたま知り合いの方の娘さんがB型インフルエンザに感染し、吸入薬イナビル(1回だけでいい)を使用したにもかかわらず、熱は下がらず、咳も出て、結果10日間落ち着くまでかかってしまったとの話を聞きました。

ネットで検索すると、B型にはイナビルの効果が低くリレンザが一番いいとか、ラピアクタはタミフルより早く熱を下げるとか、いっぱい学会報告レベルの話が出てきました。

有意差がなくても傾向があると言って、自分たちの薬が一番いいと言ってくる会社は多いです。だまされないようにしています。

私は、自分に使用した経験からタミフルよりリレンザが好きです。(切れ味がいい!)

でもそう言ったらある感染症の医師から、「N=1で述べるな」と怒られました。有意差はありません。

でも思い出したみると、Aにリレンザを使い、Bにタミフルだったかもしれません

そして、調べた範囲だと、BはAより抗インフルエンザ薬効果が低いようです。あまり書いていないんですけど勉強になりました。

そうするとやはり基本インフルエンザは予防が一番です 

1 手洗い、うがい

付着したインフルエンザを物理的に排除する。うがいの代わりにお茶を飲むと言っている先生もいます。

2 人ごみへの外出を控え、外出時にはマスクを着用
ウイルスとの接触や身体への侵入を回避する。マスクは本来ウイルスを除けませんが、飛沫の予防と加湿の効果が言われています。

3 適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下 適度な加湿が重要です

4 十分な休養と栄養摂取
身体の抵抗力を高める。とても大事な事です。休んで食べることが治療です

5 ワクチン接種 
感染を予防できる割合は30%台ですが、重症化を90%の確率で予防します。

5はもう無理ですので、1−4をがんばりましょう。でもそれでもかかったときはあきらめましょう。抗インフルエンザ薬だけでなく、漢方を使ったりして、すこしでも体力を落とさないようにして家でじっとして、感染を拡大させないようにしてください。普通は治ります。

5日たっても熱が下がらず、水も飲めなくなるようなら再度病院に行ってください。教科書とは違う事がおきています。

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