2016年07月

群馬大学医学部 この分析が本当なら悲しい

栃木の隣の群馬県。その医療の中核群馬大学病院における医療事故調の調査報告が公開されました。そこで示された群馬大の組織的問題。事実であればとても悲しいものです。少し今までの経験から解説します。

1 医師の労働環境
その日の仕事に追われ、カルテ記載などが不充分となり、とりあえず手術、研究をこなす状況。気がついたら、マニュアルをこなすのみ。悲しいかなこれが大学病院の一部に存在します。説明不足という患者の反応はそのような影響もあるでしょう。

ただこの医師は学会に死亡者を除いての報告をされています。これは捏造で科学者としては最低の行為です。こんなことをしているということは、患者が死亡しても、失敗しても自分の責任ではなく患者の特殊性と疾患の問題と考えていたのでしょうか。手術が下手とかの問題でなく医師として認められない行為です。

2 外科同士の協力体制の欠如
同一組織にあるライバルであるため、協力体制がないのはどの大学でもあると思われます。また同じ大学として科をまたいで共同してやっていこうという気持ちは正直少ないと思います。官僚の縦割りと少し似ています。そのため協力し合うのはどちらかというと個人の関係に限りますし、その協力体制を上司が認めてくれないこともしばしばです。

3 倫理審査体制不備
これもどの大学も倫理委員会の委員が兼務で行われているため、どの担当者も専門的知識もはさほど高くなく、だからこそ自分の組織に性善説が働き余分な仕事はしないようにします。また専門外の分野では保険適応外かどうかの判断は難しいことが多いです。血液の問題なんかはほとんど誰もわかりません。よって正直このようなことは全国どの大学でも起こりえます。

4 バリアンス、アクシデントの報告体制
1にもよるでしょうが、報告する余裕がなかった、いやする気もなかったのでしょう。医師が失敗と思っていないのですから。

5、6  教授の対応
これはもうどうしようもないんですが、もともと教授はその分野のトップですので、他の人の意見をあまり聞く人種ではありません。であれば今回の事故を防止するには院長含めてトップの管理責任と考えていいのかもしれません。また専門ではないのに指導医(専門医を指導する)の認定は正直今の専門医制度の問題ではあります。

7 病院のICU許容能力
これは工事などを含めてある程度仕方がない部分もありますが、それに合わせて手術数をコントロールすべきだったのでしょう。いや腹腔鏡手術は本来ICUに入るべき手術ではなかった患者と想定されていたのでしょうが。 

この報告書を見る限り、この医師を放置したこの教授の責任が正直大きいのでしょう。ただこの教授も問題でそれを放置した病院組織の責任もあります。残念ですが、今の医療安全というより、患者の死というものをどう考えるのかを間違った2人の医師の問題、そしてそれを指導できない病院組織の問題なのでしょう。

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東京都知事選挙お疲れ様でした

嫌な事件がありましたが(公と私 社会を守るためにどこまで制限できる 津久井やまゆり園事件から)都知事選挙活動は無事最終日を迎えました。巷では小池さんが優勢だそうですが、正直敵失による勝利でしょうか。何せ鳥越氏はあのざまだし、増田氏は石原さんのオウンゴールを防げませんでした。とはいえ明日の結果はわかりませんが、山口氏やマック赤坂さんが演説会場で小池さんを応援してしまうこの状況。まさに無党派を取り込む戦術が組織を打ち破ったという興味深い選挙でした。

興味深いといえば、年取ったマック赤坂さんに変わり今回新たに巷で受ける候補が出ています。

NHKをぶっ飛ばすの立花孝志さん。(東京都知事候補者 2016 政見放送 立花孝志)まあこの政見放送のために300万。宣伝費としてはとても安いものですね。

また橋下市長と喧嘩して政治に興味はないと言っていた桜井誠さん。今演説で訴えていることを橋下さんと議論してほしかったなあ。(政見放送 桜井誠 都知事選 2016

そして自己満足のためだけに出ているとしか思えない後藤輝樹さん。([政見放送] 無所属 後藤輝樹)本当このような人が選挙に出ることができる日本は平和な国だと思っていたんですけどね。

7月31日結果が出ます。確定が何分頃に出るのか。テレビで確認したいと思います。

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人権!強制はできない!今後危険思想者は逮捕?

山ゆり事件。やはり予想どおり北里で行われた措置入院に対する検証が行われました。(厚労省が措置入院の病院に立ち入り カルテなど確認)安倍さんのこの発言から来ているのかもしれません。(「速やかに対策実行を」…相模原殺傷で首相指示)8月には見直しのために有識者会議も検討されています。(措置入院のあり方検討へ 厚労省、8月にも有識者会議

今回の問題、細かいところは 省いて一般的な解説をします。さすが人権の毎日新聞がいい記事を書いています。(相模原殺傷 注目「措置入院」 退院後の事件、何が課題か

>「行政部門ですべてフォローするのは人的にも財源的にも現実的ではない」
その通りです。お金がいくらあっても足りません。まして強制できません。(退院後の動向把握できず=転居申告、行政支援の隙間に-相模原事件)かといって病院でもこの手の疾患?患者の対応は無理です。他の治療適応の精神疾患患者の迷惑になります。

>「訪問看護など地域の精神医療と連携してフォローを進めるのはどうか」
これが認知症高齢者などと同じにという考えです。前回書いたようにやはり対応が異なることが想定されます。だってこの手の患者は他の部分は正常なのですから他人に関わりを持つことを嫌がります。これも嘘をつかれても強制はできません。(公と私 社会を守るためにどこまで制限できる 津久井やまゆり園事件から

今までで一番大事なこととされていたのは、精神疾患があるからといってむやみに拘束などをしてはいけないということ。(暴れる認知症の老人などでも言われています。)そして患者の人権を守るために入院決定にはかなり高いハードルが設定されています。だからこそ医療的に自傷他害の恐れが低くなったら速やかに退院させなければいけないわけで、そしてそのあとは病院側の介入も基本希望がなければ行えない、つまり何度も書きますが強制はできないということになります。

市の担当者がテレビで発言していた人権の問題という言葉が今までの歴史を表しています。はっきり言うと、少し危険だぐらいでは社会はその方の自由を犯してはならない、監視はするが逮捕などの強制力は持たない、ほっとけということになります。

>「精神障害ではなく、薬物の影響が強い犯行の可能性がある。その場合、措置入院のあり方を見直すよりも薬物対策や更生プログラムを検討する方が重要だ」
今回の事件、犯人の診断は正直難しく、措置入院自体が本当に正しかったかどうかも医学的に問われています。だからこそ退院の難しさは並大抵ではなく、人権問題が出てこないように病院側も行政側も必死だったでしょう。そして薬物の影響だとしたら、今おかしくなっている人はそのままでいいのか。これも綺麗事で放置してはいけません。ASKAさんのブログ(aska_burnishstone’s diary この半年間のできごとについて)なんかも読むと薬剤で犯された人が元に戻ることが医学の限界含めて難しいことが理解できると思います。

そして大事なことは、退院後数ヶ月後の事件であること。これは医療に責任は正直ありません。医療という漠然としたものに対する高望みになります。

>入院医療中心から地域生活中心へと転換する方針
この部分が猛獣化する危険な人間を外に出すリスクを容認してきたことを表します。少なくとも厚労省が行ってきた施策。検証すると同時に、テロ防止の観点からも見直す必要があるのか、つまり日本もそういう危険な国になってしまったのかを判断する時期なのでしょう。テロ防止のため思想犯を逮捕しろなんて日本ではありえないことでした。オウムみたいに実行しないと逮捕はできません。ISと一緒にするわけにはいきません。そう信じていたのですが。

黒岩知事の言葉です。
>黒岩祐治知事は冒頭で「凄惨な事件を二度と起こしてはならないと決意を新たにした。どこにどんな課題があったか徹底的に洗い出したい」

暴力団は法律で規制しかなり昔に比べ弱くなりました。そのような法律ができるのでしょうか。人権派の人も巻き込んで、罪もなく殺される人をいかに少なくするか検討することを望みます。タブーをなくして行政、政治家がやるべきことと思います。

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公と私 社会を守るためにどこまで制限できる 津久井やまゆり園事件から

昨日の事件(津久井やまゆり園事件 この地域の救急担当に感謝)、色々情報が出てきました。

措置入院患者の退院後の大量殺人。退院後なんとか予防できなかったのか。テレビで議論されていました。

まず前提として精神科領域において、措置入院後の退院決定は人権の制限という点において永遠のテーマで、どうすればいいかという確実な方法は確立されていません。本当現場は手探りでやっています。そしてこの犯人の状況を聞く限りでは、この患者を措置入院をさせるかどうかの判断も難しかったと思われます。

認知症対応専門の結城康博さんは「地域社会で情報を共有して退院後守るべき」と話します。認知症患者の地域の見守りと同じ方法です。それに対し個人情報を含めてそんな簡単なものではないと批判する弁護士八代英輝さん。応用は構わないのですが、家族の状況を考えると(助けてほしいとそっとしておいてほしい)認知症患者と措置入院後患者を一緒にするのはかなり無理があると私も思います。この公のために私の個人情報などの権利をはずす問題。池田小事件からどれだけ進歩したのでしょう。

また様々な番組で衆議院議長あての犯行予告をしていても逮捕できない現在の法律の問題も論じられていました。殺す相手などの具体性がないと観察はできても逮捕はできないという法的解釈。後述する疾患患者や洗脳されたテロリストは事件起こす前に何とかできないなのかというジレンマを感じます。

弱者迫害といえばナチスの影響とか心理学者が分析しています。なるほどと納得するものもありますが、正直正常な思考過程をもとに分析することは無駄と感じています。

精神科的には概ね診断はパラノイア(妄想性障害)でいいのでしょう。行動は理不尽以外の何物でもなく説得は不可能です。また本人が病気と認識していないため薬を飲んでもらえません。だからこそ正直現代の精神科における治療は難しいものです。 それこそ首に縄をつけて薬を飲ませるような個人の自由を制限することは今の医療ではできません。

今回容疑者は家族には謝罪しているそうですが、犠牲者には謝罪の言葉はありません。だって彼の中では正義の行動、いや日本国の代理で行ったと思っているのですから。(だから5億円の報酬要求!2年以内の懲役要求!)前もってわかっているこんな犯罪予備軍をなんともできない自由な日本。本当に問題がたくさんです。 

お金や手間がかかってしょうがないから重複障害者を生かしていても仕方ない。だから家族の同意のもとの安楽死という提言は、以前の高齢者の夕張議論(夕張の病院を潰したら夕張は本当に健康になった? 高齢者の医療の制限)と似ているのかもしれません。議論はいくらしても構いません。いややりましょう。

ただ今回の事件の一番の問題は、家族の同意もないのにあなたが私刑を執行する権利はないということです。でも正論をいくら言っても彼には響きません。そういう病気です。外来で大変だった患者さんを思い出します。

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津久井やまゆり園事件 この地域の救急担当に感謝

悲しい事件です。今後詳細はわかってくると思いますが、動機(恨み、障害者に対する偏見など)も含めて詳細な解析を期待します。( 44人刺され19人が死亡…相模原の障害者施設

被害者のご冥福をお祈りします。

私は被害者の搬送先病院の情報が気になりました。(「全員が首に刺し傷」 搬送先の病院が会見

俗にいう重体の患者さんが夜中に一気に4人!現場はきっと戦場になっていたでしょう。1人助けようとするだけでも医療者が5人ぐらい必要。それが4人の重体!待機している医療者に応援を頼んで出てきてもらったかもしれません。

神奈川県相模原市緑区千木良の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」。ここから一番多く患者が搬送されたのは北里大学病院になります。そこまでの時間は43分!。そして先程の東京医大八王子医療センターは25分!夜中の救急車ですから時間は半分くらいでしょうが、一番近いところが重傷者対応でパンクしたということが予想されます。多分これ以上の受け入れは難しいと判断されたのでしょう。(この状況を皆さんたらい回しと言っているんですよ!)

ただこの地域には概ね救急車で30分以内に受け入れ可能な施設が複数存在していました。それゆえあの時間帯に63人もの被害者の受け入れができたものと思われます。東京、神奈川が互いに協力できている地域なのでしょう。

被害者が何人助けられるかはこの残虐な手口からは予想がつきにくいのですが、こういう何の罪もない被害者を助けようとする救急に関わる方に感謝すると同時に、前回書いたこういう医療をなくしても健康だという記事(夕張の病院を潰したら夕張は本当に健康になった? 高齢者の医療の制限)に医療者として違和感を感じます。 

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