2018年04月

悲しい限界 どうしても助けられない患者がいる

昔の患者さんから、今緩和治療病棟に入院しているという連絡がきました。治療の難しさに立ち向かい、治癒することを信じながら医療者とも激しい議論を行ってきた患者さんが、今は少し気分が安らいでいるけどまだ生きたいという文面は本当難しさを感じています。

その方はエホバの方で、本当様々な治療をするも再発を繰り返し、入退院を繰り返しながら5年半病気と戦ってきた方です。正直神様に守られていると思うと同時に、この方の疾患に対する最近の医療の進歩からここまでできたのかなと感じてはいます。しかしそれでもどうしても限界はあります。(ちなみにエホバだから、輸血できなかったから、正しい治療ができず再発したとは明らかには言えないとだけは言っておきます)エホバの血液疾患治療について書いた昔の記事です。

またツイートからある若いお母さんが白血病再発後移植後、GVHDでお亡くなりになったという情報も流れました。

また別の患者さんの情報も


CAR-T、免疫チェックポイント抗体、骨髄腫のダラツムマブなど本当医療の進歩は激しく、いつかがんが撲滅する時代が来る可能性があります。そして今でも抗がん剤、移植、免疫治療でかなりの方が改善し長期生存を得る時代になりつつあります。それでも個に対しては残念ながら限界があります。むしろ治療の副作用というもので命を落とす方も。仕方がない部分があるのですが、医療というものの難しさ、そして個人ごとの違い、いつもそれに悩まされながら診療しています。

エビデンスという科学を持って医療を行うことは今の時代絶対です。でもそこから外れた時、ナラティブ、その人の人生をどのように医療者と共有するか。オーダーメイド医療、、個別化医療、プレシジョンメディスン、言葉は色々ありますが、答えの多様性を意識しながら診療を続けています。

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がんが予防できる でも死亡率は変わらない 薬は必ず反作用がある

少し昔の論文ですが、ある薬の臨床試験でがんが予防できる画期的結果が出ました。
Effect of interleukin-1β inhibition with canakinumab on incident lung cancer in patients with atherosclerosis: exploratory results from a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
日本語サイト:アテローム性動脈硬化症患者の肺癌発症に対するIL‐1β阻害薬カナキヌマブの影響:ランダム化二重盲検プラセボ比較試験の探索的解析から(1)(2)

炎症で起きると考えられている動脈硬化。その原因であるサイトカインIL‐1βを阻害することで、動脈硬化が原因と考える循環器疾患を予防できるかという研究だったのですが、薬を投与した人間の肺がん発症が優位に少なかったという予想外?の効果が出ました。

ちなみに心筋梗塞発症後の患者に薬を投与して、再発率をCRPがやや低めの人には低下させたという結果があります。

さあ心筋梗塞後に投与することで、再発率を低下させ、がんの発症率を下げる薬。もしこれだけなら本当画期的な薬です。ところが

>Fatal infections or sepsis were significantly more common in the canakinumab groups than in the placebo group. 

>All-cause mortality did not differ significantly between the canakinumab and placebo groups 

薬を投与することで死に至る敗血症を増やす!(炎症が止まるため)
そして全体の死亡率は薬の有無、両者で変わらない!

一つを良くすると必ず反作用がある薬の難しさです。

がんを予防しても、循環器疾患を予防しても、結果は意味がない!これが医療の難しさです!

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現役自衛官も国民だ! 「国のために働け」「ばかなのか」もダメ? そして政治家は嘘をついていい?

いやプチ炎上しました。


幹部自衛官の小西参議院議員への罵声事件について上のようにツイートしたら反対意見続出。それでも最初は文民統制、自衛隊法などという建設的意見でしたから対応していましたが、途中からはバカだの無知だとまあ罵声の連続。

元幹部自衛官がこんな考えじゃ、自衛隊がいつクーデーターしでかすかわからないというほとんど無理くりな理屈まで飛び出すしまつ。あんたたちは面識のない俺に罵声あびせていいんかいというツッコミは置いといて、あのね私は自衛官だよ。今は基本何を言ってもいい状態。そう現役自衛官じゃないからねと念のためことわっておきます。

ただ銃を持つ権利がある自衛隊が一般国民代表の国会議員に罵声を浴びせるなんて、文民統制ができていない、元自衛官は一体どんな教育を、と厳しい意見のオンパレードは、まあ一部のみなさんが自衛官に聖人君子としての対応を要求されていることが再度わかりました。そして自分たちはそれを批判する権利があるという意見も。意見傾聴します。まあ現役時代はある程度耐えてやっていたつもりです。

私は基本小西議員が大嫌いです。それこそ議員なのにツイッターで国民からの意見をブロックするせせこましい根性も嫌いだし、自分は頭がいいと見せる態度も嫌い。そして何より自衛隊を侮辱する。(民主・小西洋之氏「自衛隊員は他国の子供を殺傷する使徒」→ツイッター削除し「自衛隊員を救わなければ」に変更)。そう彼を一番信用できない政治家の一人として認識していたため、ある現役自衛官が罵声を浴びせたのは、彼のとんでもない行動に鬱憤が溜まっていたからだろうと推定しその行動を肯定した自分がいたからです。

ただその後統幕長、小野寺大臣が小西議員に謝罪したという報道を見て、あのツイートは現役自衛官へツッコミどころを与えてしまう悪手だったと反省しました。そう現役自衛官が路上で突然暴言を国会議員に発したことはやはりまずかったと今は理解しています。

そう思っていたら、今回防衛省から中間報告書が出て来ました。(小西洋之議員罵倒の自衛官供述全文 「国のために働け」「ばかなのか」 “国民の敵”発言は否定)そこにはなんと国民の敵という言葉はなく、そして小西議員が握手して自衛官を許すといったコメントが出て来ました。

>見解の相違もあるけど、あなたも家族がいるでしょうし、組織の中でも若いだろうから、しっかりがんばってもらわないといけない。今回のことはそうやって言ってもらったから、防衛省には言わないから。

おいおい、大嘘つきかよ!政治家が国民に嘘をついていいのかよ。NHKニュースでは小西議員は防衛省が組織的に隠蔽しようとしていると述べてたけど、最終報告の後それなりの行動、説明責任を果たしてくださいね。どっちが嘘つきかメディアも与党ばかりでなく最後まで報道お願いしますよ。

それにしても防衛大臣も統幕長もさすが。ただ単に謝罪するだけではなかったんだ。それでもこの自衛官は処分はされるだろうけど、小西議員のあり方を全国民、そして千葉県の選挙民にしらしめることができたのはとてもいいこと。

その上で、自衛官は政治家に物申すことはできない、そんなの当たり前だ、そんなことも知らないのか、という人に言いたい。本当に自衛官、公務員は意見を排出することすらダメなのか。それこそグローバルではない日本のミリタリーの政治への関与をいつまで放置し、このような政治家等の自衛官への人権侵害を残そうとするのかをもう一度考えていただきたい。もちろん今の法律を変えなければ政治的活動に関与せずは承知しています。だから自分は自衛隊をやめて立候補したんです。

追記 小西議員からの反論が出ています。言った言わないの泥仕合になりそうです。
追記2 中田さんの一般的な考えのブログです。

>ということは国会議員は何を言っても許され、自衛隊は何を言われても内面をコントロールして我慢しなければならないということで、そんな内面育成ってあり得るのでしょうか?
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損壊?虐待? 終末期の医療の考え方

ある医師の言葉です。

「最近緩和医療という医療者が多いが、終末期の患者に点滴を控えたり、利尿剤を投与しなかったりするのは患者という人間に対する虐待ではないのか」

生命維持=心臓の拍動を維持することを教育されて来た医療者からすれば当然のことかもしれません。

それに対し日本では心臓の拍動という生命を維持するために、意識のない、回復の見込みもない方、特に脳死の患者さんにも延命治療を行なうことがあると米国の医療関係者に伝えたところ、

「それは(死体)損壊罪にあたるのでは。本人はもう神に召されている」

という言葉が出たそうです。

日本と米国で全く逆の解釈ができる終末期の医療行為。今血液内科という急性期医療から慢性期の医療を担当してわかることは、結局本人、家族との話し合いをしっかり行い、その上で医療にできること、そして限界をしっかり伝え、医療者と患者関係者の意思を統一することが一番、いやそれしかないと感じています。

そこにはあまりマニュアルも使えず、その患者さんの人生の終わり方、残された家族の社会性、歴史を踏まえてオーダーメイドの医療、介護を行うしかありません。

ある医療行為を損壊となるからやらないのか、虐待になるからやるのか。日本という国の特殊性を考えながらも現状を把握した上で最善を提案することが必須だと信じています。

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肺がん:治療は抗がん剤から免疫治療+αへ

昨日の記事を書いた後、NEJに2つの論文が報告されていることに気づきました。(Pembrolizumab plus Chemotherapy in Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer:転移性非小細胞肺癌におけるペンブロリズマブと化学療法)(Nivolumab plus Ipilimumab in Lung Cancer with a High Tumor Mutational Burden:高腫瘍突然変異負荷を有する肺癌におけるニボルムブ+イピリムマブ)

まあどちらも今までの抗がん剤治療より、免疫チェックポイント抗体であるキートルーダ(ペンブロリズマブ)と抗がん剤の併用や、オプジーボ(ニボルムブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)(いわゆる"イピニボ")の方が抗がん剤より肺がんによく効くという報告です。

まして最初の論文なんて抗がん剤と免疫治療の併用が抗がん剤や免疫治療単独より効果があるというもの。前回の記事の仮説はやはり当たっていると思います。(4月16日の論文ですので答えを見て書いたのではと思われるかもしれませんが、本当にこの2つの論文本日確認しました。言い訳ですw)

今後もこのような組み合わせ(抗がん剤と免疫治療薬)などが増えてくると思います。それこそがんの種類は問いません。そのがんによく効く分子標的医療薬と免疫治療薬(PDー1含む免疫チェックポイント抗体、レブラミド、ポマリドミド含むiMid、CD38Ab?など)の組み合わせでより良いがん治療ができ、それこそがんの治癒に導ける組み合わせがどんどん出てくるはずです。

医療の進歩は果てしない。だけどこの言葉に騙されてはいけません。今ある民間の免疫治療などのとんでも治療はよほどのことがない限りやめましょう。

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