2018年08月

急性期と慢性期 医療と介護の狭間 実臨床はどうなっている

私は血液内科というバリバリの急性期の医師です。でも現在は慢性期病院の院長もやっています。その中で今回の事件で医療界では常識と思われることを少し書きます。

今回の藤掛第1病院、いわゆる療養型病院で、看護師含めた職員の数も少なく、基本介護主体の業務となり救命だとか手術だとかの急性期医療はまず行いません。それこそ生活に必要なアメニティーグッズなどを患者に売りつけて、急性期病院の差額ベッド代のように一所懸命医療費だけではもうからない部分を補っているようなところです。

それゆえ、丁寧にやるとお金のかかる医療安全の分野、患者と従業員の健康管理、環境管理などは急性期病院ほどそこまできっちりとはされていないと思います。実際病院も古い事が多いです。

今回も慌てて冷風機を買っているところをテレビに見つかりどんどん立場が悪くなっていますが、正直環境管理にお金をつぎ込む必要、余裕が今までなかったのでしょう。そしてこの暑さの重大性をあまり認識できていなかった、そう熱中症の重大さもあまりわからなかったのだと思います。

あるテレビ局で、「15時間で4人も病院で亡くなるなんて異常じゃければおきないでしょう」としたり顔でコメントされている方がいましたが、療養型病院では正直日常茶飯事、当たり前のできごとすぎません。本当今の医療の現場の必要悪の部分がそこにはあるのです。

どの病院も引き取らない、役所も面倒見ない、家族・親戚もいない、そんな居場所のない患者を低い利益率で一生懸命対応していた療養型病院。そこにバリバリの急性期機能を求めてはダメなのです。

ただ前回も書きましたが、正直対応はお粗末で事の重大さを院長も理解されていません。今回出てきた家族も連絡は欲しかったと述べています。それでも言いますが殺人罪なんてありえません。

警察バカです。ストーリーを作るにももっと勉強しろ。

ブログランキング参加しています。ボタンを押してよろしければ応援お願いします。
 
ツイッターもやっていますので興味のある方はフォローお願いします。

エアコン故障で4人死亡 業務上過失致死

岐阜の療養型病院藤掛第一病院での死亡の話です。(岐阜の病院で80代の患者4人死亡 冷房故障で熱中症か)(4人死亡の病院長「エアコン、20日から故障」 岐阜

病院のHPからです。
>本院にご入院の患者様はご高齢の方が多く、本院が終(つい)のすみかとなられる事が多く、患者様の快適性を追求して日々改善して運営しております。
>当院は老人医療を専門に、療養病床を119床有しております。

医療療養型病床を持つ病院で、横浜のあの事件の起きた病院と同じタイプの病院です。正直退院を目的とはしておらず、家では面倒見きれない、かといって施設でも医療行為が多すぎて預かってもらえない患者が多数入院している病院です。

それこそ入院の点数は低めで、高度な医療は基本行われません。また人工呼吸器等の延命処置を施すこともほとんどない病院が多いです。そう治癒はさせないけどなるだけ悪化をさせない医療を施す医療施設です。

>「問題があったとは考えていない」

院長の言葉です。多分素直な感想でしょう。

>岐阜県警はエアコンが利かない部屋で熱中症により死亡した可能性も含め、業務上過失致死の疑いを視野に捜査している

エアコンが壊れているのに放置して患者が死んだという告発があったようです。解剖、捜査の結果を待ちたいと思いますが、正直熱中症が原因で死亡と証明するのはかなり困難だと思います。ただこの温度管理が死亡のきっかけにはなった可能性は高いと思いますし、新聞記事見る限り印象はとても悪いです。

最後に病院のHPから
>当院の診療方針  
>与えられた範囲内での最高の質の医療を施し、最善の努力をする。
>患者様の入院生活の快適性を常に求め、これを提供する。

残念ながらエアコン故障の放置は診療方針に反します。(もちろん修理業者が1ヶ月後にしかできないという仕方がない部分はありますが)そしてこの異常な暑さは状態を悪化させた可能性は間違いなくあります。それぐらい今回の夏は暑く、それを軽めに評価した病院のミスだとは思いますが、業務上過失致死に値するかどうかは司法の判断を待つしかありません。個人的にはあわないと思いますが。

ブログランキング参加しています。ボタンを押してよろしければ応援お願いします。
 
ツイッターもやっていますので興味のある方はフォローお願いします。

医師はブラックな労働状態を我慢しろ!医療の崩壊の流れをメディアはしっかり報告を!

日経新聞記事です。(残業規制、医師は緩く 厚労省方針 救急・産科は上限見送りも

医療の値段を絶対あげたくない日経ですからある程度仕方ないのですが、特に会議もなかった厚労省、どのような策略でこのような情報を日経にながしたのでしょうか。

>一般労働者と同じ規制だと医師不足などで医療現場が混乱しかねないため、独自のルールが必要だと判断した。

まあ医師会と病院学会の意見です。繰り返しますが正直医療費を絶対にあげるわけにはいかない厚労省として、残業代含めて人件費を適正化することは絶対に認められないのはわかりますが、勤務医を全然代表していないこの学会のお偉いさんの意見を取り入れて、さらに現場と乖離させて一体どうするつもりなんでしょう。

>厚労省は医師の残業上限は一般労働者の年720時間よりも緩くする方向だ。厚労省内では「最大でも年960時間」との意見がある。

いや医師の仕事は睡眠不足の状態でも、疲労している状態でも安心、安全に患者の治療をおこなえるのね(棒)

>さらに業務の性質上、長時間労働になりがちな救急や産科などで働く医師には例外規定を設け、規制を一段と緩める方向だ。こうした診療科には上限そのものの設定を見送る可能性がある。

ああ、これでさらに全国の救急、産科が潰れる!いい、身の安全を守ってもらえない医師たちが患者の安全を守れる仕事ができる?いやそんな専門科をどんな医師が希望する?学会声明出さなきゃ!

>ただ例外扱いになる場合でも、産業医との面談など健康確保措置を義務付け、労働時間の正確な把握など長時間労働を抑える仕組みを整える。

今まで通り我慢しなさい。その代わり法律の規制がない仕組みは作ります。そんな性善説で今までのブラック企業問題、長時間労働は抑えられたの?
>一般労働者向けの枠組みでは努力義務となっている勤務間インターバル制度の導入も積極的に促す。

だから促しても法律、罰則なければ意味がありません。今でも出産明けで給料なしで働かされている大学病院の医師がいることを普通の人は信じられる?医師たちはそうやって教育のために我慢する人種なんだよ!だからブラックな状況を与えられても、心の優しいいい医師に限って上にこき使われるんだよ。

>厚労省は応召義務を「組織として果たすべき義務」に改める。複数の医師や看護師などが連携して対応するチーム医療を想定し、医師個人への負担を和らげる。

医師の仕事の分配です。ここは評価したいと思いますが、ただ具体策が少し見えません。

>医療界の一部が要望している医師向けの裁量労働制などの仕組みの創設は見送る方向だ。

当たり前だ!今より悪くしてどうする!

他のメディアの方にお願いします。NHKはじめ東京医大の女性入試問題で開放された医師の働き方問題。現状を変化させないで潰れることを良しとする厚労省の動き、医療界重鎮をしっかり報じてください。

ブログランキング参加しています。ボタンを押してよろしければ応援お願いします。
 
ツイッターもやっていますので興味のある方はフォローお願いします。

肺炎が減って老衰が増えた死亡率 医者が少し覚悟を決めた? 心臓病死の増加は学会の誘導?

平成28年度までの人口動態がまとめられています。(平成30年 我が国の人口動態

その中の19ページ:主な死因別にみた死亡率の年次推移−昭和22~平成28年− をみてください。

がんが増え続け、脳卒中が減り続けています。これは高齢化に伴うものと、血栓溶解含めた脳卒中救急の進歩によるものだと思われます。そう心筋梗塞や脳卒中ですぐには死ななくなったため、そこから復活し高齢となった人間に最終的にがんが増えてくるのは仕方がありません。

そして高齢化に伴い増え続けていた肺炎が減って、老衰が最近増えてきています。このことを何を意味するのでしょう。それこそ誤嚥性肺炎含む肺炎を治癒させるいい治療法が開発したのでしょうか。いや少なくとも現場ではそのような実感はありません。それとも胃ろう含めて食べさせないことが増えて肺炎が減ったのでしょうか。唾液の垂れ込みを考えるとそれも微妙です。

そうすると医療では治せない誤嚥性肺炎を死因とはせず、自然の死亡つまり老衰と診断し、死亡診断書に医師が書くようになったからではと考えます。在宅が増えてきているのもこの診断名が増えてきている理由でしょう。以前老衰問題について書いた記事です。(老衰死が何を表すかの解説がない!無駄な治療はせずに死にましょうという間接的誘導

これだけ肺炎による死亡は減ってきていますが、我が国は男女とも肺炎が、諸外国と比べて高いということは大切な事実です。それは諸外国に寝たきりがいないということと同じことを意味している可能性があります。そう寝たきりになることで肺炎を起こす患者を今までいっぱい作っていたということなのかもしれません。

そうすると同様な心臓病死は一度減っていたのにまた増えているのはなぜでしょう。死の最終形態である心不全という病名はなるだけつけないようにという指導もあったのですが、正直正確な理由はわかりません。ただ新薬を含めて心不全治療に進歩がかなりあり、学会主導で法律制定含めて心不全を大々的に広報していることがもしかすると影響しているのかもしれません。

肺炎が減ったのは医者が覚悟を決めた?そして心臓死が増えたのは?まだまだ今後の死亡率の推移をみていく必要がありそうです。

ブログランキング参加しています。ボタンを押してよろしければ応援お願いします。
 
ツイッターもやっていますので興味のある方はフォローお願いします。

オプジーボ 4年で3500万から1000万へ 医療の値段はどれくらいが適正?

オプジーボさらに値下げされました。(オプジーボ、4割値下げへ…1人当たり年1000万円に

最初は再発難治のメラノーマだけの適応。人数が本当に少ない対象だったので、2014年の頃は年間3500万!の医療費がオプジーボに認められていました。

その後肺がんに適応拡大され、使用される人間の数が膨れ上がったため、共産党の質問もあり、政府含めてあまりにも高いと文句が出てました。そして例外的に薬価の改正ルールが変更され、2017年2月には50%、2018年4月に再度20%値下げ(やっとアメリカ並み)となりました。(オプジーボ最初からは60%引き! 薬と経済 色々難しい

そして今回さらに40%値下げ、ついに4年間で最初の1/3以下になりました。それでも年間1000万ですからまだまだ高いですけど、小野薬品やブリストルは特許期間中なのに本当なかなか辛いですね。といってもまだまだ疾患適応拡大中ですが。

今回のオプジーボ値下げ、他の同じような抗体もどんどん減らされます。今後一体どんなルールを適応するのか。それこそジェネリックの問題含めて医療費、薬価の問題、海外メーカーの薬価不満からの販売延期も含めてまだまだ少し荒れそうです。

特許期間中なのに日本では値段が下がるという現実、医療費を徐々に下げていくという薬価のルールが少し限界なのかもしれません。医療費はどこが適正なのか。前回の記事含めてそれこそ今後の医療において決めなければいけない大切な問題です。

ブログランキング参加しています。ボタンを押してよろしければ応援お願いします。
 
ツイッターもやっていますので興味のある方はフォローしてください。
Twitter プロフィール
記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

dannapapa

カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード