2019年10月

村中先生敗訴 池田氏は常識が違う

村中先生の控訴審が敗訴となりました。詳しい内容はバズフィードのこの記事で。

>「控訴人(村中氏)は十分な裏付け取材もせずに繰り返し被控訴人(池田氏)の行為を『捏造』と記載したこと、本件各記事により信州大学の副学長の任にあった被控訴人が結果的に全ての役職を辞任せざるを得なくなるなど影響は甚大」

私も判決内容については仕方がないと思っています。そう法的に「捏造」というには村中先生の取材が甘かった。でも文句書きます。

>信州大の調査でも「捏造」に当たる不正行為は確認されなかったことから、村中氏側の主張は認められないとした。

そう「捏造」ではないのでしょう。でも本来科学者であれば、n=1の結果(ましてコントロールも取れていないネズミの実験)をもってして何も結論めいたことをいうことはできないことは当然知っているはずなのに、テレビでそのプレリミなデータを公表することによって、ワクチンが強い毒をもっているかのような誘導をおこない、その結果今の日本のHPVワクチンの摂取率を落とした。

これを実験のイロハも知らない人間がやったのならまだしも、厚労省が指定した教授という研究代表者。(だからメディアも信じたのだけど)そして今世界から馬鹿にされているだけでなく、今後世界で減少する子宮頸癌を日本では食い止められない恐れがある。そう、倫理的には私はこれでがんが消えたといってとんでも医療を行う悪徳医師とほとんど内容は変わらない。

>「一例に基づき結論を出したなどという行為は、生命科学研究者の常識としては、作為の捏造と同等である」

本庶先生のこの言葉がすべてです。ただ村中先生にはこの名誉毀損という裁判はもう諦めた方がいい。この「捏造」という行為を彼はおこなっていない。ただ常識的な科学者なら誰も行わないレベルの低い間違いをしでかし、それを反省せず裁判という揚げ足をとるような人に関わっても時間の無駄にすぎないから。

3年前に書いた記事ですが、気持ちは何も変わっていません。
でも弁護士の力ってある意味すごい。

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病床削減待ったなし 医療介護難民を出さないために 街づくりまで踏み込んで

ついに総理から病床を削減すると発言が出ました。もう待ったなしです。

以前の記事からですが、

>複合的な対策で、地域ごとに急激に変化していく医療介護での需要の変化に対応

それがとても難しい。

私は今の病床を削減することは反対していません。ただその過程で以下のことを決めないと、結局のところ医療・介護難民が出ます。

まず
1 今回指摘された小さな病院に入院している患者の対応
2 その上今後増加する高齢者の、医療介護の受け入れ対応とキャパの整備問題
少なくともやらなければいけないこの2つはすぐに浮かびます

でも本質はその地域で継続して住むことが可能かどうかをインフラ含めて決定する、街づくりの一貫ということになると思っています。

また保険医療の適応も大切です。医療の限界を知った上で、そして患者の気持ちに寄り添いながら以下を決めなければいけません。それは高齢者医療の適応をある程度明確化することです。

1 癌の治療は何歳までどこまでやる?
 併存症がいっぱいある人に、今の高額ながん医療をどこまで行う?
2 急性期の治療は何歳までどこまでやる?
 認知を含む要介護の患者さんに、心筋梗塞、脳卒中のカテーテル等の治療を行う?
3 救急車はどこまで対応する?
 どんな疾患で、どんな状況で救急車を呼んで救急施設で対応する?
4 慢性期の医療は病院?施設?在宅?
 安定化はできるけど、もう医療では状態を改善させれない患者を病院で診る?
5 患者の精神的サポート
 もう有効な治療法がなくなった時など、どのような患者家族サポートを誰がどういうお金で行う?
6 その他
 労働力含めた病院のあり方。遠方地からの患者搬送の問題。災害時の感染症対策、予防医療含めた健康管理、社会的入院患者の対応等、細々したことはまだまだたくさんあります。そしてどうやればいいかのエビデンスは津川先生が言っているように正直乏しいものばかりです。

この条件が決まった上で、臨床における不可抗力という
7 法的対応
を明確化する必要があります。そう年齢、病態、疾患内容での不可抗力の定義を行い、病態変化に伴う法的免責条件の定義をしっかり行わないと、現場はある意味防衛医療、訴訟を受けない医療から抜け出せず、すべてが今のまま、ある意味過剰医療になってしまいます。

正直パンドラの箱になります。田舎はつぶせ。高齢者の病気の治療は保険を使うな。リテラシーがない人は騙されても仕方ない。すべて自己責任だ。多分そんな暴論も出るでしょう。

100%の正解はありません。でもどこまで保険で賄う?みんなを説得するのは誰?税金をどこまで使う?そのような本質的な原則を決めないで、ただ病床を潰しても難民作るだけです。このようなことを決めていく上でメディアの広報の力は絶対必要なものとなります。少なくとも年齢だけで区切るのはダメでしょう。

繰り返しになりますがこれは医療だけの問題ではありません。今回判明した様々なインフラ整備の問題含めてある意味コンパクトシティーの必要性にも関わってきます。個人の自由はできるだけ守りたいのですが、居住の自由等を捨てさせることも必要になるでしょう。でも公的サポートの制限はここまで許して欲しいとはっきり言わないと難しいと思っています。

やるのであれば街づくりまで踏み込んでやって欲しいです。(夕張ではできたと森田先生は言っていますが、住民の公的制限はご存知の通りです)

有識者はここまでわかって言っているのかな。

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免疫治療 進歩はしているけどまだ道半ば 

日本医師会主催の公開フォーラム(がん治療における正しい免疫療法の理解)に参加しました。どちらかというと、患者さん向け、開業医の先生向けの内容予定だったと思うのですが、やはり免疫治療という内容の難しさがところどころに出ていた講演でした。

>がん免疫療法の仕組み:効果と副作用
  河上  裕
(国際医療福祉大学医学部長・教授/慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所・特任教授)

腫瘍免疫研究の日本の第一人者です。相変わらずの整理された、でも複雑な免疫を説明していただきました。ただ正直1年前からの進歩はそこまでという印象でした。(一般向けだからだったかも)

腸内細菌も、免疫治療にいい菌はわかったけど、それを飲めばいいレベルにはなっていないとのお話もされていました。質疑でどうやったらがんにならないかのを丁寧に説明されていたのは今の時代かなと思います。

>正しいがん免疫療法情報の入手方法
  勝俣 範之(日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授)

SNSでのとんでも治療撲滅運動の第1人者です。エビデンス、インターネットの医療情報の話をされました。ただこの話を聞きに来る聴講者のリテラシーがやや高かったため、少し内容は簡単すぎたかもしれません。(これも一般向けだからだったかも)

>免疫療法の効きやすさは何が決める?
  土井 俊彦(国立がん研究センター東病院副院長(研究担当)/先端医療科長)

胃癌の免疫治療の臨床側の第一人者で、がんセンターの研究者西川先生と共同研究をやられている方です。この人の話は正直私が大好きなマニアックなもので(エビデンスは少し低め)、特に免疫治療で急速に悪化するHyper Progressive Disease(HPD)の症例を提示されていました。(西川さんの講演で聞いた同一症例)。あと話題の光免疫療法の話もされていました。

そう免疫治療の諸刃の刃です。それがTregの影響と以前西川さんが言ってましたが、化学療法後でも少数ながら起きることも示されていました。そう昔私が書いた記事の内容を支持するものです。あと免疫治療後の化学療法奏功性の高さの話もされていましたが、機序はまだわからないとのことでした。

1000以上のがん細胞、リンパ球(TIL)を西川さんと一緒にすぐに解析されているメリットも話されていました。次世代シーケンサーを使って解析してわかったことは、Tregだけではわからない、CD8がなきゃダメ、その比が大切かもという研究も話されていました。

免疫治療の効果の低い人(PSが悪い、腫瘍量が多い)は抗がん剤治療と同じ条件というのも以前の記事の仮説と合致しますし、ウイルス感染の有無、TMBの関連の異なりなど胃癌と他のがんの違いも面白かったです。

次世代の免疫療法
  保仙 直毅(大阪大学大学院医学系研究科癌幹細胞制御学寄附講座准教授)

血液医で骨髄腫のCAR-Tを大塚製薬と開発されている方です。それほど簡単ではないCAR-Tの現状を話してくれました。まだ固形がんの有効なCAR-Tは難しそうです。

免疫治療、進歩はしているけどまだ道半ばです。そう抗がん剤との関係をもっともっと研究していけば、がんも慢性疾患にできる時代が来ると思っています。私の仮説も1年前からは少し変わっています。一度まとめたい!

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医療の限界 精神的に疲れる

あたりまえだけど医療ってやっぱ難しい。

別の病院で治療放棄されていた患者さんを、外泊ができそうなくらいある程度までいい状態にした。ところが感染症で突然急変した。なんとかリカバーさせたけど、元の一番よかった状態には戻せない。この手の患者さんに急変は防げないことはこの年になる医師としてとわかっている。でも口惜しい。

エビデンスなんて正直役に立たない世界がある。エビデンスを金科玉条として机上の空論ばかり言っている人間がいる。その人たちに聞きたい。

ある標準治療で30%治しても、残り70%は効果がない。そしてそれは70未満の合併症がない良好な状態の患者から導き出された数字。ならそれ以上の年齢の患者や試験から除外されるべき合併症のある人にはエビデンスがないからと治療はもうないと見捨てる?(実際そういう寄り添いが下手な医師が多いから悪徳な補完代替医療、とんでも医療が消えないんだけど)

現実はエビデンスを拡大解釈してそのような患者を扱っている。でも本当はそのエビデンス弱いからね。それこそ状況によっては補完代替医療と変わらないただの思い込みにしか過ぎないかも。

ある病院では超高齢で治療どころか診断すらしない。またある意味治療が本当に必要かどうかも難しい患者もいる。本当医療適応のこのグレイな部分が今の医療を混乱させている。そして医療費の問題はここを解決しないと多分変わらない。

また別の例では、外ではどう考えても生活できない社会的弱者を在宅酸素だけ吸わせて退院させる。そしてその人はまた救急車で病院に運ばれる。いったい何がしたいの?行政はどう関与するの?

こんな事を繰り返してきたから、私は多分いろいろな補完代替医療(漢方もその一つ)を完全に否定しきれないんだと思う。そういう人に少しでもなんとかならないのかを模索し続けることは医療者の努めじゃないかな。だからいろいろ巻き込もうとしているけど、こういう臨床、患者さんの急変はやはり疲れる。

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血液クレンジングというとんでも医療 補完代替医療と標準医療 エビデンスというマクロとナラティブというミクロ 悪いのはだます医療者

バズフィードが血液クレンジングについていっぱい書いています。
芸能人の責任騙されないためには患者の気持ちなど)

おおむね同意しているのですが、家族会の方から少し意見が出ています。
 一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長 天野さんのFBより

 NPO法人 希望の会 - スキルス胃がん患者・家族会 理事長轟 浩美さんノートより


この2つの意見に共通するのは、エビデンスに基づいた標準治療がなくなった時に、医療者が家族の不安、感情に対し対応できていない事を表しています。

現代医療で改善できない状態に対する補完代替医療。がんの代替医療について信頼する第1人者大野先生が解説しています。

>「がんの進行抑制」「がんの治癒」「苦痛症状の緩和」「精神的な希望」

エビデンスのある現代治療にてがんの進行抑制、治癒どれもできなくなった時、最後の精神的な希望のよりどころは中国3千年の歴史の漢方療法等を含む補完代替医療です。

信頼レベルはいろいろあり、この血液クレンジングはプラセボ以上の効果はありませんが、ホメオパシーなどの一つの思い込ませという洗脳操作も精神療法としてはうまくいくことがあるかもしれません。

また正式な医療として苦痛症状をとる緩和療法も、体動を維持し心の安寧を導くことでPSの改善をうながし、一部延命効果を導いているのではと個人的には思っています。そう精神的な希望はとても大切です。

代替医療を優先して標準療法が不十分だと予後が悪いことは論文でも証明されています。それでも補完代替医療をおこなって精神的な希望を持たせ続けることは、本人のQOLの上でも大切なことだと思っています。

>優しいウソでも欲しかった
>科学的に捨てられたと思ってしまったことにあります
>私は、命の大切さを知らなかったわけじゃないのです

医療者はエビデンスというマクロとナラティブというミクロを同時に理解し、どちらも時と場合において使い分けなければ患者が追い込まれます。本当に難しいです。

そしてエビデンス重視だけではダメです。でもエビデンスを無視してとんでも医療を推進してお金儲けだけをやってきた医療者は軽蔑されるべきです。ただその医療者を批判しながら、結果として騙された患者関係者を間接的に追い込んではいけません。本当これもとても難しいです。

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