前回の記事(若年者がん対策 満足できる施策とは)、BLOGOSで興味深いコメントいただきました。そこに引用されていた記事です。(今井雅之氏のケースから「がんのリスクマネジメント」を考える 金森徹也さん

がんが食事で80%予防できるというコメント。彼の記事を読ませてもらう限り、信憑性も高く、資料もしっかりしており、ひとつの仮説として十分立案できるものです。その記事に基づく保険の選び方も興味深いものです。ただ80%という数字はやや盛っていますでしょうか。

全てが予防できないと作者も言っているように、例外は必ず存在します。実際食事でがんが80%防げるというのなら、食事をともにする1家族において1人だけ個別に発生するがんの説明ができません。それこそ同じ食事をしている全寮制の学校、会社の若年者にがんが連鎖的に発生することはありません。そして工場の溶媒での胆管癌は食事で発生したのではありません(職業性胆管癌

また高齢化社会における様々な解析により、高齢になると言うことで遺伝子異常が生じることが証明されていますが、それは必ずしもがんと同一ではありません。がんにはなりやすくなっていますががんの発生は生じていないのです。別の言葉でいうと、遺伝子の異常はがんの必要条件ですが、遺伝子に異常がおきた途端にがんになるわけではない、つまり十分条件ではありません。そして以前は血管病変(脳梗塞、心筋梗塞)で命を落としていた方々が、治療の進歩により命を延ばすことが可能になり、その結果死をもたらすのはがんしかなくなったというのも避けれない事実なのです。(がんと遺伝子 加齢はある程度許容しなければ

若年者のがん対策、完全に予防できるのであれば、たぶんすばらしいことですが、まだまだ抜けてくるリーキーな症例は出続けるでしょう。それでも半分近くは予防できそうだと提唱されています。(日本人のためのがん予防法 現状において推奨できる科学的根拠に基づくがん予防法)、(科学的根拠に基づくがん予防

ただ予防をしててもできた人に我々はどうするか。そのがんに一番効果があると予想されている治療をおこない(ガイドライン等)、効果がなかった方にまた一番効果が予想される治療を続けていき(サルベージ治療)、一番確率のいい治療を提案し続けることが医師の役割になります。

ただ正しいといわれる治療をして寛解状態になり、以前治癒と考えられていた5年寛解が経った後に、10年後、20年後に再発してくる患者さんも最近経験してきています。この再発には高齢だけでなく、社会のストレス変化による免疫の低下等も影響しているのでしょうか。医学だけをサポートしても社会をいい状態にしなければという難しい時代になってきています。

そのなかで1%しか効果が予想されていない治療でも、それにある人がうまく当たると本人にとっては100%になり、結果として1%の治療を推奨するとんでも治療が横行します。ただ次ぎに当たるのは残念ですが1%です。

抗がん剤治療。放射線治療、免疫治療、健康食品、民間療法。いまだどれも100%の効果は保証できません。それ故医師がおこなうのは最終的には個別の対応、最善と言われている治療法の提示しかできないのです。
 
今回書いた医学的な対応と、それをサポートする社会的対応。謙虚にならなければ進歩はありません。 そこにはお金も人も効率よくいれていかないといけないのです。

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