以前から報告されていたオプジーボの初発肺がんの治療成果の論文が出ました。結果は既報通り抗がん剤との差がないというものでした。

日本語の解説もあります。(ニボルマブ、転移・再発NSCLCの1次治療で予後改善せず/NEJM

中村祐輔先生も記事を書かれてています。(無治療ステージ4非小細胞肺がんに対するニボルマブ;抗がん剤に優位性なし

いろいろ解説がされていますが、大事なことは
Ⅰ 肺がんでも効く肺がんと効かない肺がんがあり、そこにはがんのPDL-1の発現は関係なさそう(キートルーダとの差はまだ不明)

Ⅱ 腫瘍の遺伝子変異負荷(tumor-mutation burden:TMB)が多い肺がんに効果があり、効いた症例は抗がん剤より長期間効果がある

Ⅲ 概して抗がん剤より副作用が少ない(副作用はある)

Ⅳ 以前の報告では既治療の肺がん患者には抗がん剤より効果がある

というものです。

特にⅡにおいて、オプジーボ、キートルーダはFDA匂いてがんの種類に関係なくTMBが高い癌腫に認可されました。そう遺伝子検査が必要ですが、どのがんにも適応が認められたのです。こういうところの速さは本当アメリカすごいです。

中村祐輔先生のブログからの引用です。

 >免疫チェックポイント抗体が有効に働くには、分子標的治療薬、抗がん剤、放射線療法などによって、ある程度の数のがん細胞を殺すことが必要だと考えた。これらによって殺されたがん細胞(1)が、マクロファージなどの抗原提示細胞に取り込まれて(2)、抗原提示細胞ががん特異的抗原を提示し(2)、ある程度の免疫細胞の活性化を起こしておくのが重要だと思う(3)(4)(5)。これまでの試験結果でもそうだが、免疫チェックポイント抗体が効果を示すまで、6ヶ月以上に期間が必要なことが少なくない。これはがんを攻撃するリンパ球が十分な数に増えるまでに要する期間だ。多くの医師が作用機序を十分に理解しないままに薬剤を利用している。(数字は下記引用)

本当同意します。この抗がん剤が免疫を誘導するという仮説ずっと思っていました。

実は教科書レベルにおいて腫瘍免疫には段階が必要であることがわかっています。
1 腫瘍抗原の放出 がん細胞の破壊等(この部分が抗がん剤等)
2 抗原提示(APCの機能)
3 T細胞のプライミング(CTL誘導)
4 T細胞の移動(ケモカインなど)
5 腫瘍へのT細胞の浸潤
6 T細胞の腫瘍細胞の認識(PD−1、接着因子など)
7 腫瘍細胞の破壊(パーフォリン等)

これが全てうまくいかないと免疫でがんは殺せません。

そう1がないとダメなはずなのよ。だから初発がんには効果がなかった?ただ上記はネズミでの証明がほとんどで、人間での実践でうまくいったのははPD−1以外ほとんどありません。まだまだです。

そしてPD−1抗体だけで効く癌腫は、

1 高免疫原生抗原(TMBが高い、抗原が特殊)
2 十分なT細胞がガンに浸潤している(TILが多い)
3 免疫抑制状態がそれほどではない(悪液質がひどいと厳しい)
であるがんのみと考えられています。

ちなみにこの3つのパラメーターの状態で4つにがんを分類し治療薬を検討する方法もあります。

実はついこの間免疫治療について資料をまとめてあるところで発表したばかりです。血液内科医ですが免疫治療の知識は本当豊富です(分かりやすいそして正しい免疫治療の講演依頼いつでも引き受けますw)

水素温熱免疫療法、HSP、アクセル+ブレーキ療法、活性化リンパ球、などの言葉を使って患者を騙すクリニックに言いたい。最低でも私以上にわかった上で免疫治療をやりましょう! (ただ一部のクリニックは知識はあるんだけど倫理が?)

そしてこの記事、とんでも医療に騙されないためのオススメです。(がん患者を惑わす「甘い言葉」とは? インチキ医療で命を落とす前にできること

ヨッピーさんのツイートから少し流れが出てきています。今こそ金儲け主義のとんでも医療に騙されないために動き続けましょう。

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