レギュラー王者のパッキャオとスーパー王者のサーマンとの王座統一戦は2-1の際どい判定でパッキャオが勝利しました。

数々の名勝負を繰り広げたパッキャオは40歳となり、既にピークを超えています。

対するサーマンはパッキャオよりも10歳も若い30歳です。現代ボクシングにおいてはピーク真っ只中とも言える年齢です。

鋭いパンチで相手を一撃で仕留めることから付いたあだ名は”ONE TIME”であり、強打のスーパーチャンピオンです。

40歳と30歳という年齢差およびサーマンが無敗ということを考えれば、普通ならサーマンが勝利するだろうと考えられるマッチメークです。

ところが、サーマンは2年以上前に激闘を演じたダニー・ガルシア戦以降、度重なる両手の故障・負傷に見舞われ、2年近いブランクを作っています。

そして、ようやく今年の1月にホセシト・ロペスを相手に復帰(防衛戦)を果たしましたが、ブランクの影響は予想外に大きかったと感じました。

というのも、相手のパンチに対する反応が随分鈍ったと感じられたからです。

復帰戦の相手のロペスは下位ランカーであり、この一戦の目的は手慣らしと現状把握などを兼ねたものだったと思います。

序盤こそ、軽快なフットワークを駆使しながら、入ってきたロペスの顔面にタイミングのよい左フックを当てダウンも奪ってみせました。

しかしながら、それ以外のパンチにはこれまでの鋭さや威力を感じることがありせんでした。

何と言うのか力感がないといった印象です。

ダウンを奪って以降、持て余し気味にラウンドが進行し、中盤過ぎだったか、よけたと思ったはずのロペスの強打をまともに浴びてしまい、さらに猛打も浴び、あわやダウン寸前(ストップ寸戦?)まで追い込まれてしまいました。かつてのサーマンには全く無かったシーンです。

このピンチは何とか凌ぎましたが、今までのように一撃で仕留める切れ味鋭いパンチは最後まで見られませんでした。

一方、パッキャオのこの一年間の戦い振りは充実したものでした。

ネームバリューのあるマティセを7年振りのKOで仕留めて見事に王座復帰を果たします。
続いてスピードスターのブローナーとの対決では強打で煽り続けて明確な判定勝ちで退けます。

ここに至って勢いと強さを取り戻してきました。

このような実情のもと、世紀の本一戦が行われたわけですが、サーマンは年齢差の優位性より、ブランクによる深刻な問題を抱えていたように思います。

実際に今回の試合でも、サーマンのパンチはブランク前に比べて、鋭さ・切れ・威力は目減りしていて、パンチに対する反応はやはり戻っていないと感じられました。

パッキャオの方は調子が良く、前半はよくパンチが出て足も動いていました。
ただ、中盤に入ると打ち疲れから手数が減ってフットワークも落ち、勝負を掛けることができませんでした。

総じて、ブランクによる反応の鈍さを取り戻せなかったサーマンに、往年の体力が無くなり仕留めることができなかったパッキャオといった構図となりましたが、1Rにダウンを奪い10Rには見せ場(ビッグラウンド)を作った分、パッキャオが上回ったという印象です。

ただし、レジェンドのパッキャオとブランク前までこのクラスのトップに君臨していたサーマンが対決したという事実に高揚感を覚えたのは確かなことです。

そして、力が拮抗したハイレベルな攻防は十分に興奮できるものでした。

また、パッキャオがダウンを奪ったシーンでは、やはり只者ではない、レジェンドであると思った次第です。一方、中盤に立て直し反撃に転じたサーマンも流石だと思いました。

パッキャオがサーマンに勝利したことで、早速周囲がざわつき始めているようです。
パッキャオの評価も一段と高まったようです。

なお、対抗王者のポーターとスペンスの統一戦が行われることがこの日の試合前に発表されました。

前述の統一戦に勝利した者とパッキャオはすぐに戦うのか?そこには無理があるのか?
それとも、元ビッグネームのカーンとの対決に向かうのか?
はたまた、別の路線や引退もあり得るのか?

パッキャオとしては、まずはポーターとスペンスの戦いを見定めてから今後について考えるのだと思います。

誰もがパッキャオと戦いたいのであり、パッキャオには自由に選べる選択権があるわけです。

ボクシングファンの心理としては、ポーターvsスペンスの勝者との対決が見たいですが、体調面も考慮のうえ無理のない判断をして欲しいと思います。