前回の「なぜデジカメを使ったスキャンなのか」に引き続き、今回はデジタルカメラを使ったブックスキャンに必要な機材について考えてみたいと思います。実際に自分が使っている機材にも、触れてみたいと思います。

1. カメラ (ボディ/レンズ/付属品/ソフトウェア)
 もちろんデジタルカメラがなければ、スキャンする事はできません。ただし、カメラについては考えるべき事柄が非常に多いため、次回にまとめて触れたいと思います。
 カメラについては、「デジタルカメラについて〜デジカメスキャンを考える(その3)」を参照して下さい。 

2. PC (PC/周辺機器/ソフトウェア)
 スキャン(撮影)したデータを加工したり、場合によってはスキャンをする際にもPCは必須です。PCに求められる事柄は、何をさせるかによって変わるため、折にふれて考える事とします。

3. コピースタンド (または代替としての三脚)
 コピースタンド(複写台)とは、被写体を上から撮影するために、カメラを下向きに固定するスタンドです。(コピースタンドのリンクはこちら) 業務であればもちろん、個人でもある程度の量のスキャンをする際には、コピースタンドの導入がオススメです。

 コピースタンドをすすめる理由ですが、逆に三脚を使った場合のデメリットから考えてみます。


a. 場所をとる
 カメラを下向きに固定するために、手前側に2本、奥側に1本という配置にすると、奥行き方向にスペースが十分に必要になります。机上で作業する場合には、スペースを確保するのは結構大変です。

b. 動きやすい
 ウェイトをぶら下げるなどである程度軽減できるのですが、脚に触れる事により動く/倒れるケースはコピースタンドでは発生しません。カメラの位置決めなどは、慣れていないと時間がかかるので、三脚に触れるたびに修正するのは時間のロスです。手前側に脚を2本配置した場合には、ページをめくるなどの作業をする際に、手をぶつけやすいので注意が必要です。

c. 脚の陰
 照明によって回避できるのですが、脚が多い分、陰が落ちやすいので注意が必要です。

 逆に、コピースタンドの三脚に対するデメリットですが、ブックスキャンに関する限り、あまり思いつきません。価格というのもありますが、高級三脚もいい値段しますからね。個人であれば、他に使い道がない、重くてかさばるため片付けるのにも苦労するという事はありますが。自分で使っているコピースタンドは、king の L-4 という物ですが、梱包状態で 22×47×95 cm というサイズです。(ただし、照明4灯を含みます) いわゆる自炊で、裁断機の大きさ/重さに困っている話はよく聞きますが、コピースタンドはそれに高さが加わるので、より大変です。

 次にコピースタンドを選ぶポイントです。


i. 高さ
 スキャンする本の版型、使うレンズの焦点距離によって変わってきます。大きな版型の本や、焦点距離の長いレンズを使う場合には、より高さが必要です。この点は改めて書いてみようと思います。また、版型によってはカメラの前後の移動量についても留意が必要です。

ii. 台の広さ
 スキャンする本および本を固定する器具類を含めて配置できる広さが欲しいところです。狭い場合には、照明の設置など工夫が必要になります。

iii. 耐過重
 使用するカメラのボディ/レンズの重量を支えるだけの耐過重が必要です。

iv. その他
 他には、昇降機能の使いやすさ、精度などが考えられます。

 自分が使用している king L-4 というコピースタンドですが、高さが十分(70cm 以上を考えていました)なものが、ネットオークションで比較的安く(照明付きです)入手できたから、という理由で選びました。コピースタンドは、早々壊れる物でもないですし、撮影機材の中でもあまり動きのある商品ではないので、中古を含めて丹念に探せば、個人でも安く入手できるかもしれません。

 なお、三脚を使用する場合には、雲台の選び方/使い方や、カメラの固定方法などに工夫が必要だと思うのですが、自分では三脚を使っていないため、有効な助言はできません。申し訳ありません。

4. 照明
 4番目の紹介となりましたが、個人的にはこの照明が一番重要だと考えています。自然光や屋内照明でももちろん撮影する事は可能です。ただこれらの場合には、ムラができる、陰が落ちる、本のノドの陰が残る、1冊を撮影する間の明るさが安定しないなどの欠点があります。特に最後の1冊の撮影データの中で、明るさが安定しない場合、撮影データのコントラスト調整などを行う際に、ページ毎に個別に調整を行うことになり、これは作業効率の低下に直結します。

 照明を選択するポイントですが、十分な明るさで、ムラなく、陰ができないように当てる事ができればよいので、コピースタンドに標準またはオプションで付属する照明でも十分な場合が多いと思います。電球型×4灯か、管型×2灯という構成が多いと思います。自分は、コピースタンドに付属の電球型×4灯の構成で使用していますが、概ね十分だと考えています。稀にノドにもう2灯当てたいと思う事もありますが。

 照明についてもう一つ注意が必要なのは、その発熱です。本を撮影する間、ずっと点灯し続けますので。火傷もさることながら、本が可燃物である事には注意が必要です。ちゃんとした照明器具を正しく使っていれば問題はないのですが、覆いをかける場合には特に注意が必要です。


 なお、カラーの撮影の場合には、照明の色温度を含め、考慮すべき点はかなり多くなります。

5. その他撮影小物類
 使うと便利な小物類も多数ありますが、改めて紹介したいと思います。
 小物類については、「小物類とデジタルカメラについての補足〜デジカメスキャンについて考える(その4)」を参照して下さい。