ショートショート

2007年12月21日

時期が時期なのでこんなSSを。ハルヒの2次創作です。

ある日の文芸部室にいつものように入ってくるキョン。
「あれ?長門一人か」
頷く長門。
椅子に座って読書に励む姿はいつも通りだ。…が、ちょっと違う。
手に持っているのはいつものハードカバーではなく、雑誌のようだ。
緑に縁取られたA4サイズの本。
「珍しいな。雑誌なんて」
と近づいてみる。
足元を見ると、スポーツ新聞やら分厚い本やらが積み上げられている。
昨日までなかったものだ。
これだけの量を一人で持ち込んだのか…なんて疑問はこの宇宙人には愚問かもしれない。

「なんだって急にこんな大量に買い込んできたんだ?」
根っからの読書好きである長門が本を買い込むこと自体は珍しいことではないが、持ってきた物が物だけに、キョンは興味を引かれ、尋ねてみる。

「…今週末、日本各地で極めて小規模でありながら、間歇的な情報爆発が観測されることが確実視されている」
雑誌から目を離すことなく、淡々と告げる長門。
「なんだって?…ハルヒ絡みか?」
「涼宮ハルヒは無関係。情報爆発の規模は無視できるレベル」
「なら…」
なんで、と言おうとしたキョンの疑問は、
「しかし、情報統合思念体は、興味を抱いている」
途中で遮られた。

「情報爆発が確実に観測される時間は、日曜日の15時30分前後。この時間が最も大きい。昨年もほぼ同じ時間に観測された」

さらに長門は続ける。
こんな長い話を長門の口から聞くのは何時以来だ、と思いながら、キョンは次の言葉を待つ。

「わたしは統合思念体から指令を受けた。その日に限り、涼宮ハルヒ観察の任は解かれる」
「まさか…お前が消えてしまうわけではないのか?」
だったらハルヒをけしかけてどうにかしてやろう、という意思を言外に含めつつ問いかける。
「それはないと断言する。わたしの仕事は、涼宮ハルヒ観察が最優先事項」

そこでキョンはある疑問に気付く。
「…で、その情報爆発とやらと、その雑誌やら新聞やらは何の関係があるんだ?」
「参考資料として統合思念体に提示された物件。我々は情報の不足を何より瑕疵とする。それに…」
「それに?」

長門はいたって変わらぬ口調で、
「わたしと言う個体も、興味深く読めている」
「言わんとする事はわかった。だがな…長門」
キョンは足元の新聞を拾い上げて、呆れたような口調で、

「お前の親玉に伝えろ。未成年の馬券購入は法律で禁止だ、と」







…要は統合思念体が「有馬記念の馬券買ってきて♪」と有希を使おうとしてるわけで…お粗末。有希が読んでいるのは週間競馬ブック。足元にあるのは種牡馬辞典とかギャロップ・サラブレ・優駿など競馬関連の書籍とスポーツ新聞各紙。

番外。
週間競馬ブックのあるページだけが通常よりめくる速度が遅いのを見て。
「何でそこばかり読み返してるんだ?」
「…この文章がとてもユニーク」
読んでいるのは八方破れでしたとさ。

まぁ時事ネタということで…(逃亡)


dark2005 at 05:13|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2007年10月01日

なんか気分が乗ってきてしまったので二次創作その2。私の趣味全開ネタだけど、でも、見て(なくてもいいけど)

競馬ネタ入りなので興味がない方はスルーの方向で。
小ネタばっかりです。

「ウインガースレ代表、涼宮ハルヒ。ただのG1馬には興味ありません。この中に、ネタ馬、ヘタレ馬、珍名馬がいたら、あたしのところに来なさい!以上!」

「わたしの仕事は立川ウインズを観察して得た情報をJRAに報告すること」

「競馬社会の中心に、社台がいたの」

「お察しの通り、ノミ屋です。そう呼んだ方がいいでしょう」

「僕たちが何とかしたとしても、確実にJRAに金は流れていくのです。んっふ、困った物です


「信じてもらえないかもしれないけど、あたしはJRAの人間じゃありません。もっと地方から来ました」

「上手く言語化できない。情報の伝達に齟齬が生じるかも知れない。でも、買って。それがわたしがここにいる理由、あなたがここにいる理由」

「ただのG1馬を応援している暇はないの!」

「武豊降着時における我々が受けた精神的ショックはこの際だから忘れてもいい。いや…忘れたい。………お互い忘れよう」

「乗ってないんだから豊を返せよ!」

「朝比奈さん!次のレースの買い目は何ですか?」「禁則事項です♪」

思いつく限り上げてみた。またネタが乗ってきたら書こうと思う。


dark2005 at 22:34|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2007年09月09日

初の二次創作!勿論作者出版社には何の関係もありません!

ってことで最近はまったハルヒネタで思いついたので小ネタをば。

【カレー】

「ただのカレーには興味ありません」
ハルヒはそう言い残して、北海道へ飛んだ。

「このカレー業界を統括する情報統合思念体によって生み出された対有機生命体コンタクト用カレー専門コック、それがわたし」
「カレーには自律進化の可能性を秘めている」
長門が淡々と告げて差し出したのはキーマカレーだった。

「カレーブームの歪の中心に、彼女がいたの」
「信じてもらえなくてもいい、ただ、知っていて欲しかったんです」
朝比奈さんが出したのは、ホワイトカレーだった。

「お察しの通り、インド人です。そう、呼んだほうがいいでしょう」
古泉、どうでもいいがお前のその風貌からはインドの匂いが全くしないんだが。

「考えても見てください。我々のようなインド人や、朝比奈みくる、長門有希のような存在が都合よく一堂に会するかのようにここに登場するでしょうか…?」
ここがカレー屋ならそういうこともあるだろうさ。

「………やれやれ」
ただカレーを食いに来ただけなのにどうしてこいつらはこうなんだろうな。
まぁいい。目の前のシーフードカレーを平らげてしまうほうが今の俺には先決だ。
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dark2005 at 01:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年07月25日

自戒

仕事柄、帰りは朝の4時頃、酷いときには5時にもなったりしてもう朝日が昇ろうとしている頃だ。
休憩所で一服しつつ、コーヒーでも飲みながら、買って来ていた週刊誌に一通り目を通して。
何の変哲もない帰り道は寮で支給された自転車を走らせ、途中の大手系列店の豚丼に卵をかけて夜食とする。

いつもどおりの日常、交代制だけにそれなりには大変だが楽しく仕事が出来ている。
そんな中、ふと思い出す。

食べ物どころか、その日のタバコ代にすら苦心していた、それどころか自由な時間も何一つなかった昔のことを。
今の生活と引き換えに失ったものを。
捨て去ったものを…。

今でも、あの日々を忘れる事はない。
それは、己への自戒のため。
あの時、出会った人々が全て悪い人ばかりだったわけでもない。
今でも、腹が立つ出来事だってある。
それでも、一定の収入があって、自分で自由に使える時間があって、それを得るための仕事が得られた。
そんな今の生活を、心から愛している。

そう実感して、眠りにつく。
暦の上では真夏だと言うのに、朝日が昇ろうとしているこの時間にもそぐわないほどに、空気は冷たかった。
それすらも、何か心地よいものだと感じながら…
また、目覚めれば、普段と変わりない日常。


あとがきと言う名の自己弁護。
ミクシィの某コミュでやってるSSトピに合わせて即興で作ってみました。
まぁリハビリもちょっと兼ねてるということでひとつ。


dark2005 at 04:56|PermalinkComments(3)TrackBack(0)