今回は、月光号の修理を巡るエピソードです。リフレクションフィルム（機体の装甲板でしょうか？）を求めて、ケンゴウは知り合いの職人を訪ねますが、すでに亡くなっており、その息子が代わりに作業を請け負います。でも、その部材がスカイフィッシュとは……（カニの甲羅からキチン質を抽出して……と同じようなノリでしょうか）。しかも、本来の部材には、自己修復機能があるようです（トラパーの仕業？）。
今回に限らず、月光号を、人が集い、生活を営んでいるコミュニティとして描かれているのが、これまでの同種作品と違いますね。生きていくには、食べるものやお金が必要であると。どちらかというと、ストーリー上の必要性からのように見えますが、それによって登場人物たちのキャラクターが奥行きが増し、活き活きと感じられます。
ホランド曰く、修理費は先行投資。お金がなければ直せない、直せないと飛べない、飛べないと稼げない、稼げなくても生活費は必要と、当たり前ですが、何とも新鮮。まずは、化粧品からカット、と。
エウレカとニルヴァーシュの関係を巡る、思わせぶりな展開が続いています。今のところ、それは、ストーリー的な必然性というよりも、単に制作側がそのあたりを明かさないだけのようにしか見えませんので、明かされた暁には「なぁんだぁ〜」で終わる可能性（意外性なき落とし所）がありますが（そのあたりは、同じスタッフが手掛けた「攻殻機動隊 S.A.C」の笑い男事件の紡ぎ方のほうが上に思えます）。
ヒルダの洞察力は鋭いですね。ニルヴァーシュを女友だちにたとえると、話は明快。これまで、友だち（ニルヴァーシュ）が喜ぶ姿を見て嬉しく感じていたのに、彼氏（レントン）と親しげにされると、何だかいやな気持ち、と。キーワードは「嫉妬（やきもち）」（「女心と秋の空」もかな）。エウレカは、レントンではなく、ニルヴァーシュに向いていますね（レントンはエウレカですが）。視聴者に対しても、うまい状況説明になっています。このシナリオ運びと見せ方、いいですね。
嫉妬なんて感情、初めて。というか、言葉自体知らないそぶりのエウレカ。純粋培養された“生物”のような反応です。純粋＝純真という意味合いではなく、外部から与えられた情報を受け取ることのみで生きてきた、つまり、自らで考え、感じ取り、試行錯誤しながら、生を営んできたという蓄積のない人間のようにさえ映ります。人（軍）がLFOをコントロールするための、生体コンピューターのようです。
暗い顔してると誰も寄って来ない。ギジェットもナイスなアドバイス。
レントンは、ただの飲んだくれに見えていたニールの仕事ぶり＝プロ意識にじっちゃんを思い出し、またひとつ、自らの成長の糧になりました。ニルヴァーシュ使いのプロ（LFO職人）を目指すのか？ なんてね。
当初は、冷やかで、他人に対して干渉しないように見えた月光号のクルーたちは、実は、面倒みのいい人たちですね。人が好きな人たちのようですし。言動が、いささか無責任かもしれませんが。
ホランドとタルホの間に立ち込める暗雲。逃げてばかりのホランドの真意は？
今回もまた、朝から夜、そして翌日の朝と、ひと日の時間の流れを意識したストーリー運びに好感です（そのあたりは、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」はあまり意識されていませんね。たとえば、昨日の42話だと、41話からの流れとして、アークエンジェルの出航にはあと3日掛かるを振り出しに、カガリ参戦→キラ救援→アークエンジェル戦場へ、といった時間的流れの整合性が取れていないように感じます）。制作側による必然性の感じられない“出し惜しみ感”がなければ、より素晴らしい作品になると思うのですが。
並行して進む、デューイの狙いは、何でしょうね。社会の欺瞞を暴きだし、世界の真実をもって再び、人類をこの星の主にする。言葉だけを見ると、まっとうな大義のように見えますが、ブラックなニオイも少し……。アドロックの「アゲハ構想」とは？ その絡みと、「セカンド・サマー・オブ・ラブ」とは？ 「新世記エヴァンゲリオン」でのサード・インパクトを巡るストーリー展開を思わせますね。人類に至福をもたらすのか、ただの災いでしかないのか？ 今後の展開に期待です。
