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千秋真一&R☆Sオーケストラ、ブラームス「交響曲第1番」今話題の「のだめカンタービレ」企画盤、千秋真一&R☆S(ライジングスター)オーケストラによるブラームス「交響曲第1番」を聴きました。
 
千秋真一と桃ヶ丘音楽大学の仲間たちを中心とした若手演奏家により結成された「R☆Sオーケストラ」は、第1回演奏会を開き、好評を博する。プログラムは、シューマンの「マンフレッド」序曲、モーツァルトのオーボエ協奏曲、ブラームスの交響曲第1番の3曲。今回、同オケの初レコーディングが実現に至り、曲目に、第1回演奏会のメインプログラムであるブラームスの1番を決めた。というのが当ディスク誕生のストーリー設定です。
 
実際は、プロの指揮者と演奏者からなる覆面オーケストラにより、作品内で描かれている音楽を、実際に形にしてみようという“なりきり”企画。これまでにない試みです。ブックレットによれば、オーケストラとしての平均年齢は、日本のオーケストラで最も若いとのこと。そんな若手演奏家が真剣に取り組んだ、遊び心あふれる企画盤の出来は、果たしてどの程度のものなのか? まずは、その企画性を素直に評価、賛同し、演奏も楽しめたら儲けもの、という軽い気持ちでCDを聴いてみました。
 
以下、細部を聴き込んだり、他のディスクと比較したり、というレベルではなく、通して聴いての印象としてご覧いただければ幸いです。
 
第一印象は、ひと言でいうと、線の細い演奏。弦が弱いものの(コントラバスがセンター寄りに定位しているので余計)、基本的には、テンポも解釈もオーソドックスなものです。先入観として、指揮者の自己主張に満ちた演奏をイメージしていたのですが、良くも悪くも優等生的な演奏です。

聴いて気になった(印象的だった)部分をいくつか、以下に書きます。だからどうだ、というものではなく、他のディスクに比べて目立っていたという部分です(流し聴き程度でも結構耳につく内容です)。
 
【第1楽章】 11:04〜11:09にかけてホルンが大きく鳴り響くところですが、1stホルンは弱くて音がオーケストラに埋もれているのに対して、2ndホルンは逆に音が大き過ぎ、さらに両者がパート内でブレンドされず、明瞭に分離しているため、和音のバランスが通常とは異なって聴こえます。たとえば、アラウとデイヴィス&ドレスデン・シュターツカペレによるベートーヴェン「皇帝」第1楽章で、ホルンがメロディーを奏でるおなじみの部分で、1stよりも2ndのほうが音がずっと大きいため、メロディーラインが普通と異なって聴こえますが、それと同様の感じです。
 
【第2楽章】 5:46からのヴァイオリンとホルンが一緒に奏でるメロディーライン、6:04のところでホルンが音を外しています(外しているというよりも、パーン一発で音が決まらず、パオーという感じで出だしが低く鳴っている、というほうが近いかもしれません)。メロディーラインゆえに結構目立つので、録り直し or 要編集レベルだと思います。
 
【第4楽章】 全体的に縦の線が緩めです。11:12からのファゴットは、普通は聴き流してしまうところですが、独特な音色もあり、かなり明瞭に聴き取れるため、ファゴットのラインが結構耳に残ります。16:38〜16:57のコラールでは、ヨッフム&ロンドン・フィル盤同様に、ティンパニがベースラインの音をフルに叩いています(この処理、僕はオリジナルよりも好きです)。ただ、唐突にホルンを強奏させ、なのに、音の出だしがパーンと頭から鳴らず、パオーンという感じでクレシェンド気味で入るため、粗雑な響きに感じられます。エンディングの17:38、最後のジャーンのひとつ前の音=ジャンの頭が揃っていません。こういったわかりやすい(目立ちやすい)部分は、きっちり合わせてほしいものです。
 
余白に、ドヴォルザークの交響曲8番から第1楽章を、「プラティニ国際指揮者コンクール課題曲:間違い探しスコア版」と「スプラフォン版」の2種類が収録されていますが、これは、パッと聴いたくらいではわかりませんでした。もともと聴き流し程度でわかるようなレベルではないでしょうし、曲自体、思い入れがあるわけではないので、とエクスキューズ(自分の思い入れのある曲だと、結構細かい部分まで把握しているのですが)。
 
数多の競合盤ひしめく、ブラームスの交響曲第1番の棚に置かれる演奏としては、正直、物足りない演奏です。「のだめ」に思い入れのある方はともかくとして、ブラームスの1番のファーストチョイスとしては、お勧めできる演奏とは思えません。この盤よりも、もっと廉価で優れた演奏があるという意味で。聴き比べとしての2枚目以降、または、遊び心で聴くには一興ですが。厳しい言い方かもしれませんが、CDブックではなく、単独のCDとなると、「企画盤」とはいえ、演奏そのものの評価も問われますし、商品である以上、価格の問題も付いて回ります。
 
ただ、本来は「のだめ」が好きな人に向けての企画盤ですし、ある意味、「のだめ」のサウンドトラック盤のようなものかもしれません。その意味では、聴き手の受け取り方だけでなく、販売店等の売り方によっても、評価の軸足が変わってくる商品だと思います。商品としては、ファンのツボを抑えた魅力的なパッケージですし。美しいイラストに金押しの文字、ブックレットも充実しています(実際の演奏家が、自らの写真でなく、こんなテイストのイラストをジャケットにあしらう試みが出てもいいと思います)。
 
選曲的には、ブラームスの1番よりも、指揮者の解釈の違いがわかりやすい曲、たとえば、ベートーヴェンの交響曲第5番のような曲のほうが、企画としては、よりおもしろかったのではないかと思います(ブラームスの1番というのは、作者・二ノ宮さんの希望とのことですが)。個人的には、千秋と、さそうあきらの「マエストロ」天道と、歴代の名盤との聴き比べといった感じの、虚実入り交じっての企画盤を聴いてみたいと思っています。続編を期待しています。
 
 
>> 千秋真一&R☆Sオーケストラのブラームス「交響曲第1番」がリリースに
>> ブラームスの交響曲第1番、音盤あれこれ
 
作者からのメッセージ