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交響詩篇 エウレカセブン に参加中!
 
交響詩篇エウレカセブン今回は、前話からの続き。チャールズ&レイのくだりの完結編ともいえる内容です。あらためてオープニングを見ましたが、キメの絵の前に入る、ニルヴァーシュの姿のあまりの情けなさに、愕然としています。制作陣は、この仕上がりに対して、よくOKを出したものですね。
 
チャールズを失ったレイの回想。ここで、前話で引っ掛かっていたレイのセリフ、「アタシのような女を、これ以上増やす前にね」の意味が明らかになります。理由はわかりませんが、セブンスウェルの光が、レイを子供の産めない身体にしてしまったようです。特殊部隊という任務のせいでしょうか。家族を求めていたレイにとって、死の宣告にも等しいもの。それゆえに、エウレカに強い憎しみを抱いていたようです。それでも、レイを求めるチャールズの気持ちは変わりません。「アタシでいいの?」「お前じゃなきゃ、ダメなんだ!」。しかし、そんなチャールズの心を持ってしても、エウレカへの憎しみの気持ちは、消えることなく、心の底でメラメラと燃え続けていたようです。
 
レイの心の声のようなハミングの音楽。チャールズを追悼するメロディーなのでしょうか。白鳥号のリビングスペース。3人分の食器が並べられた食卓。チャールズ&レイのもとにレントンがいたときの、ふたりにとって一番幸せだった頃の象徴。それ以外は、ありとあらゆるものが散乱している艦内。レイの心そのものを現わしているかのような描写です。
 
自室に引きこもるレントン。チャールズの死は、自分に責任があるのではないかと、自問自答を繰り返し、自分を責めるレントン。「ニルヴァーシュのところに行こう」。エウレカのフォローが入ります。格納庫のニルヴァーシュを前にしたレントンとエウレカ。レントンは、ニルヴァーシュの傍に、血に塗られたエンゲージリングが落ちているのを見つけます。やり切れないレントンですが、エウレカに「眠ったほうがいい」とフォローするレントンです。エウレカも「レントンのために」という気持ちが芽生え、レントンのために、ポタージュスープのつくり方をヒルダに尋ねます。そんな、さりげない心情描写が、うまいですね。
 
ニルヴァーシュの自立歩行の考察を行なうウォズとジョブス。「ニルヴァーシュ自身が成長したがっている」「アミタドライブが、アーキタイプ側の意思を人へとフィードバックさせるという仮説」「レントンとエウレカの共鳴した意識が、アミタドライブを通してタイプゼロに働きかけている」。ニルヴァーシュとアミタドライブ、エウレカとレントンとの関係が、少しずつひもとかれて行くようです。
 
ホランドの自室。白鳥号と同じような散乱状態。チャールズを失った痛みは、ホランドも同じでした。ホランドのもとを訪れるレントン。それを影で見守るタルホ。レントンを気にして? ホランドを気にして? どうやら、ホランドのようです。ホランドが部屋に招き入れたのを見て安心するタルホ。それまでとは打って変わった態度を見せるホランド。いつものような、やり場のない、いらつきの気持ちはありません。自身の覚悟を語ります。「俺の命に代えても、エウレカとお前を守る。だがもし、俺に何かがあったときは、エウレカを頼む」。前話での謎の言葉、「王の資格を受け継ぐ者」に呼応するかのような「選ばれたのはお前だ」とのセリフ。そして、チャールズのことが、まだわだかまるレントンに、静かに語ります。「さっき、何故チャールズを殺したかって聞いたな? 俺たちが、それ以外のすべを知らない人種だからだ。それは、レイも同じだ」。
 
そこに「Get It By Your Hands」の音楽。チャールズにとってのフェイバリットチューン。レイの反撃の“のろし”です。白鳥号と2機の最新鋭KLFを操るレイ。1機目は機体を変形させながらブーメランを交わし、降下しながら月光号にビームを浴びせ、もう1機は下からビームを浴びせるという上下から挟み打ち。巨大な機体の月光号では応戦するすべもなく、雲のなかに逃げ込もうとする月光号。ホランドは、冴えた動きで1機目を撃破。そして、残る1機目も照準に捉えます。リモートコントロール信号を音楽に混ぜて送信していたことに気付いたマシューの耳。勝機はホランドの側にありそうでした。ホランドに撃墜されるもう1機のKLF。ところが、KLFは2機ともリモート。それに気付いたときは、すでに雲のなかから姿を現わした白鳥号が、月光号を道連れに突っ込もうという寸前。間一髪、ケンゴウの機転とホランドの機敏な反応で、ギリギリのところを交わした月光号。
 
戦いの間、ずっとレイに呼び掛けていたレントン。「やめてくれないなら、レイさんと、今度は戦います」「オレはエウレカを守るって決めたんです」「“貫け”ってことを教えてくれたのは、チャールズさんです」「だからオレ、あなたとだって戦います」。自分がふたりの子供になっていれば、互いに戦うはめにならずに済んでいたのではないか? それに対するレイからの回答は、エウレカに対する憎しみと狂気に取りつかれてしまい、レントンの声は届きません。レントンに対して自らを「ママ」と呼ぶ叫びが、虚しく響きます。今度は、自分からすべてを奪ったエウレカの未来を奪う番であると。レントンはエウレカという化け物に取りつかれているのだと。チャールズのところに一緒に行こうと。
 
白鳥号のコクピット。意識が朦朧としているレイ。チャールズとの日々がよぎります。「作戦は成功なんだそうだ。タイプゼロとアミタドライブの結合によって発生したセブンスウェル現象に伴い、アドロック・サーストン技術隊員が消失したことを除けばな」「あの光はオレたちにとって、未来を奪うものだったのかもしれない。だけどな、オレはレイと一緒なら、違った未来を見られると思うんだ。一緒に行こう、レイ!」。意識が戻ったレイの目に、チャールズとのエンゲージリングが光る自らの左腕が映ります。千切れた左腕を求めて、最後の力を振り絞るレイ。しかし、その思いも虚しく、あと少しというところで白鳥号は爆発。アニメとはいえ、ショッキングな映像です。「SOFは止められない」。タルホの言った通り、どちらかの命が消えるまで、終わることのなかった戦いでした。
 
月光号を救ったものの、チャールズとの戦闘で負傷した傷から出血があり、緊急輸血が必要なホランド。ミーシャは、レントンの血が最適という。ところが、レントンの姉・ダイアンを嫌うタルホは(なぜ?)、間接的とはいえ、ダイアンの血がホランドに混じるのが許せません。しかし、今はホランドの命が先決。ヒルダの説得に応じるタルホ。レントンに輸血を頼みます。病室で眠るホランドに、自らの血に塗られた口でキスするタルホ。あの女の血だけが混じるのは許せない。そんな女の業を見せつけるタルホ。子ども向けのアニメを超えた情念世界ですね。
 
独り言のようにエウレカに語るレントン。「みんな勝手だよ。自分の言いたいことばかり言って」「何も本当のことは言わない」「話てくれれば、力になれるのに。話してくれれば、支えてあげられるはずなのに」。エウレカのフォロー。「レントンを信じてる」「何でも話して」。エウレカの心に救われるレントン。「オレも話がしたい」。人と人とのコミュニケーションに希望を見い出したふたりです。
 
これまでも何度か書いてきましたが、ホランドとレントンの邂逅以来、ずっと引っ掛かっていたコミュニケーションの不在が、このような悲劇的な結末を迎え、何とも残念です。第2クールのオープニングで、レントン&月光号と一緒に戦っているようにも見えるチャールズ&レイの姿があり、そんなストーリー展開を期待していたのですが。ハッピーエンドがすべてとは思いませんが、やり切れない気がします。彼らのエピソードがここでバッサリ切られることにならずに、彼らの死が、この物語に不可欠なもので、その死の必然性を納得させる展開を期待したいと思います。タルホの言う「SOFは止められない」だけでは、悲しすぎるストーリーです。
 
次回、第29話は「キープ・オン・ムービン」。《主の不在に自らの手で活路を見い出すゲッコーステイト。その新たな流れのなかで、少年に真実が告げられる》。月光号は、ホランドの治療と月光号の修理とニルヴァーシュの改造を求めて、レントンの祖父の工場を目指すのでしょうか?