乃木坂太郎による同名コミックのドラマ化です。小学館「ビッグコミックスペリオール」にて2002年より連載が始まり、現在も「スペリオール」にて連載中。コミックスは1〜11巻が発売中で、累計200万部突破を誇ります。主人公の朝田龍太郎を演じる坂口憲二は、フジテレビ「マザー＆ラヴァー」（2004年10月〜12月）以来1年半ぶりの連続ドラマ主演です。「医龍」こと朝田龍太郎（坂口憲二）は、かつて難民キャンプで医療活動を行なうMSAP（万人のための医師団）の救命医療チーム「Team Medical Dragon（チーム・メディカル・ドラゴン＝医龍）」を率いていた天才外科医。大学からの帰還命令を無視して活動を続けたために母校の北日本大学を追われ、今は片田舎の海辺で破滅的な生活を送る日々。そこに、明真大学付属病院心臓外科の助教授・加藤晶（稲森いずみ）が訪ねて来ます。MSAPで朝田の天才的な腕を見た野心家の加藤は、バチスタ手術論文による教授昇進を狙って、朝田に協力を求めます。医師としてもう燃え尽きてしまったと言う朝田は、加藤の依頼を断りますが、患者の命を粗末にするような大学病院の医療体制に憤りを感じ、自分の意に叶うチーム編成を条件に、同じチームの看護師であった里原ミキ（水川あさみ）ともども、朝田のスカウトを受け入れます。というのが、今日の第1話。朝田の天才的な腕前を描くのがメインとなり、朝田が燃え尽きてしまった原因や医師を辞めようとする理由など、朝田の内面描写に物足りなさを感じました。
患者よりも教授の顔色を伺ったり、手術の腕を磨くよりも製薬会社の接待に溺れる大学病院のやり方に苦悩の日々を送る研修医の伊集院登（小池徹平）、担当患者が死亡したところを朝田に蘇生され面子をつぶされて以来朝田を毛嫌いする助手の木原毅彦（池田鉄洋）、大学総長の座を狙う「白い巨塔」の権化のような明真大学付属病院心臓外科教授の野口賢雄（岸部一徳）、外科医に嫌悪感を抱く循環器内科講師の藤吉圭介（佐々木蔵之介）、吸引麻酔薬でラリっているが天才的な腕を持つ救急救命部（ER）麻酔医の荒瀬門次（阿部サダヲ）、朝田の手術の腕に惚れ救急救命部への引き抜きを図る教授の鬼頭笙子（夏木マリ）、そして、ミキの腹違いの兄で加藤の恋人、かつては朝田の友人で、朝田を北日本大学から追放した張本人、北日本大学病院胸部心臓外科次期教授候補の霧島軍司（北村一輝）と、一癖も二癖もある登場人物とキャスティングにより、どのようなドラマが展開するのでしょうね。
「バチスタ手術」と聞くと、真っ先に思い出されるのは、NHK「プロジェクトＸ〜挑戦者たち」第36回「奇跡の心臓手術に挑む〜天才外科医の秘めた決意」（2001年1月16日放送）で紹介された湘南鎌倉総合病院（放送当時）の心臓外科医、須磨久善医師です。氏は、1996年、日本で初めて「バチスタ手術」を施行しました。番組では、氏とスタッフ、患者が一丸となって病気と闘う様が描かれました。一方、「神の手を持つ男」との異名を取るのが、デューク大学の脳神経外科医、福島孝徳医師です。こちらは、TBS「情熱大陸」（2003年5月11日放送）、TBS「これが世界のスーパードクター！ TV初潜入天才名医師仰天テクニック完全公開スペシャル」（2005年9月23日放送）、テレビ東京「ガイアの夜明け／名医を育てろ〜伝承せよ！医の技術」（2005年9月27日放送）などで、氏の人となりや業績が紹介されています（このブログでも紹介しています）。
「MSAP（万人のための医師団）」は、「国境なき医師団」がモデルでしょうか。貧困地域や第三世界、紛争地域を中心に、世界各地80か国以上で医療スタッフが活動している国際的なNPO組織で、日本では、京都府出身の貫戸朋子医師が、日本人初のスタッフとなりました。……現実の医学界をモデルにしている作品のようです。
