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のだめカンタービレ今宵は原作コミックの第8巻「Lesson 45」「Lesson 46」、そして日本編の最後にあたる第9巻「Lesson 47」「Lesson 48」をベースに、のだめのマラドーナ・ピアノコンクール本選出場と、千秋のR☆Sオケの再演(クリスマス・コンサート)に向けての準備が描かれました。序盤のコミカルな展開から一転、中盤以降は、コンクールに臨むのだめとそのピアノに、のだめを客席から見守る千秋のコメンタリーが見事に絡み合う、見応えのある音楽ドラマとなっていました(「意義あり!」な部分もありますが)。
 
ドラマは、原作よりも、のだめと千秋の恋愛部分が強調されていますが(強調というよりも、ドラマオリジナルの“振り”や“テイスト”と言えるかもしれませんし、強調ゆえにドラマでは、コンクール会場に千秋の母親を登場させなかったのでしょう)、限られた話数のなかでの展開では、物語の交通整理=それぞれのキャラと人間関係の構図を対比的にわかりやすく見せるうえで必要でしょうし、その脚色は概ねうまく行っているように思います。たとえば、のだめがコンクールに出る真の理由を、江藤が千秋に伝えますが(第9話「お前に追いつきたくて……」)、今回は、女性の視点から、彩子が千秋に語ります。彩子曰く、のだめは、千秋を振り向かせるのではなく、千秋を追い駆け、追い付き、千秋と肩を並べて歩こうとしていると。そして、そんなのだめの姿に打たれて、以前はライバルのように感じていた自分も、今では心から応援していると。音楽の前では、男を取った取られたなんて、もはやどうでもいいとでもいうような、音楽する者同士の心に響くシーンでした(R☆Sオケのチケットって、5,000円もするんですね。アマオケとしては、かなり高い値付けでは?)。ところで、その彩子ですが、今回はやけに化粧がキツくなかったですか? 眉が異様なくらいにクッキリで……。
 
●「本選も見にいくから頑張れ」「待ってます」
 
今回、のだめと千秋のメールのやり取りが、互いの心を動きを、いい雰囲気で見せていましたが(短い文章が効果的でした)、ドラマでは「本選も見にいくから頑張れ」「待ってます」と、千秋からのメールが先でしたが、原作では、結果報告という形でまず、のだめから千秋に行き、のだめを労う形で千秋からの返事が届きます(ドラマでは、のだめから千秋に直接報告する形に変更されていましたが、ここは直接顔を会わせないほうがよかったと思います)。のだめのがんばりを知って、自分も日本でやっておくべきことをがんばらなければと奮起する千秋が、3次予選を前にしたのだめに「頑張れ。本選は見に行けるから」とメールします。原作では、そのメールが「喜びの島」を弾く原動力=恋のイメージになっていますが、ドラマでは、客席の千秋を見つける形に変更されています。内面描写という点では、メールを見て心をときめかせる=想像力を演奏のモチーフにする原作のほうが、物語に深みがあって好ましいと思いますが、ドラマの「見つける→かおりの言葉→曲のイメージがわく」のほうが、映像としてのテンポはよくなりますね。
 
●「彼女はそれを表現しているわけじゃない」
 
そんなのだめの「喜びの島」を耳にした審査員たちが絶賛するなか、オクレールつぶやくのがこのセリフです。曲に対するのだめの解釈ではなく、今ののだめの気持ちそのものであると。のだめは、演奏者として音楽の表現を創造しているのではなく、心と身体がダイレクトにつながっているかのように、そのときの気持ちがそのまま、演奏に出てしまうと。それを自分自身でコントロールできないから(オクレール曰く「切れちゃダメだよ」
)、「赤ちゃん(べーべ)」であると。のだめの音楽の特質を表す、とてもわかりやすいコメントです。
 
●「それでも、だめだったじゃないですか……」
 
ドラマが、のだめと千秋の恋愛部分が強調されているとはいえ、原作の基本フレームを崩してまで、恋愛モードにはなりません。音楽性ではだめの演奏が圧倒だったものの、やはりそこはコンクール、千秋もコメントしていたように、楽譜を外れた演奏に賞を与えるわけには行きません。最高位が「1位なしの2位」というのは、実質的にはのだめの優勝を意味する結果ですが(審査員も粋ですよね。会場の拍手も、それを物語っていましたし)、演奏していたのだめ自身は、その結果に満足できず、身も心もボロボロの状態で会場を後にしますが、そんなのだめをほっとくことができない千秋のフォローは、恋愛感情よりも音楽的同志としてのそれにとどまります。ドラマ的には、「それでも、だめだったじゃないですか……」とつぶやくのだめを、いとおしく抱きしめる千秋という展開になってもおかしくないところです(というか、こっちのほうが“月9”らしい?)。そこがこのドラマのいいところである反面、生身の役者が演じるのを見ると、互いがもっと自分の思いの丈をもっとストレートほとばしらせてもと、物足りなさも覚えます。
 
●「まだまだ、こんなもんじゃないだろう?」
 
と、今回も基本的には原作に忠実、かつ原作のセリフがうまく活かされてはいましたが、実は意外に変更の手が入れられいてます。たとえば、3次予選の「ペトルーシュカ」を前にして、オクレールがつぶやく、「まだまだ、こんなもんじゃないだろう?」というセリフですが、原作では(もともとは)、客席からのだめを見守る千秋のセリフです。同じセリフですが、主体が変わると、ずいぶん意味も変わってくると思います。その言葉を発するまでの、発言者とのだめとの関わり(時間と密度、それに本作の場合は音楽性)が全然違うわけですから。ドラマのオクレールは、原作に比べて、すっかりのだめのピアノに心を奪われているようです。そのほうが、以降のストーリー展開は楽ですが、戸惑いを感じつつ、もっと聴きたいと感じる原作のオクレールのほうが、音楽ドラマとしての見応えは大きいと思います(原作のオクレールは、ある意味、千秋とスタンスは近いですね。一般的な音楽教育からすると、テクニックはあっても勝手流のダメダメな演奏ですが、そんな欠点を超える魅力=聴き手を引き込む力があると)。
 
課題曲を仕上げる時間がないため、あえて難易度の高い曲を選び、のだめの技術をアピールしようという江藤の選曲作戦(テクニック主義と揶揄される、コンクールの一面を垣間見ることができますね)とその際のセリフも、セリフは原作そのままながら、ドラマはコンクールの予選数を1回、課題曲を1曲減らしたため(原作は予選3回を経て本選、本選ではもう1曲、モーツァルトのピアノ・ソナタ第8番が加わります。江藤が「また、ダメバージョンか」とつぶやくのは、本来はモーツァルトに対してです。原作では別の曲に対して、ドラマでは曲の部分部分に対してのコメントとなっています)、この戦略が指している曲自体が変わっています。原作ではショパンのエチュードと海老原大作の現代曲(ドラマには登場しません)に対しての選曲戦略でしたが、ドラマでは、セリフは変わらないものの、シューマンとストラヴィンスキーに対して向けられています。ドラマ的な違和感はないものの、本選に際してこのセリフが用いられると、このコンクールはテクニカルな面を評価しがちなコンクールなのかと見てしまいますね(何度も振るいに掛けるのは、さまざまな角度から音楽性を見るためではないのでしょうか?)。
 
●「ペトルーシュカ」からの3楽章〜第1楽章「ロシアの踊り」+「きょうの料理」=???
 
設定が同じながら、その内容と効果が最も変わってしまったのが、NHK「きょうの料理」のテーマ曲(何と作曲はあの冨田勲さん!)のあり方です。時間までに曲を仕上げ切れなかったのだめが、会場までの移動中(原作は電車、ドラマはバス)に譜読みしていたところ、車内に響いた携帯の着メロ「きょうの料理」のメロディーが刷り込まれてしまうというくだりで、音楽的には、コンクール編最大の見どころですが、ドラマは、そのようにはなっていませんでした。のだめは、「ペトルーシュカ」からの3楽章の第1楽章「ロシアの踊り」の途中で記憶が飛んでしまい、「ペトルーシュカ」に「きょうの料理」テーマ曲のフレーズが頭のなかでクロスしてしまい(リズムパターンに共通するものがありますね)、途中で、原曲とは似ているようで別物な即興演奏=のだめの楽曲イメージによるオリジナル曲に変わってしまいます。
 
●「本当に即興で弾いているのか!?」「まるで最初からこんな曲があったかのように」
 
「こんな複雑な曲……」「本当に即興で弾いているのか!?」「まるで最初からこんな曲があったかのように」。これは、そのくだりの審査員がつぶやくセリフですが(原作を読んだ身には、先の「ピンクのモーツァルト」同様、この部分が、どのような形で実際の音として響かせるのか、非常に気になっていました)、ドラマではカットされていました。それは当然です。のだめの「即興」の意味合いが変わってしまっているのですから。原作では、原曲のテイストに違和感のないまま、別の曲へと作り替えられて演奏されたことに対して、曲通りに演奏しないことはコンクールとしてはペナルティながら、演奏の枠を超えたその行為における音楽性の高さに対しては、審査員たちも認めることとなり、それが「1位なしの2位」という結果になるわけですが、それが「きょうの料理」のメロディーが、それとわかる形で組み込まれただけでは、演奏ミスをとっさの機転で取り繕ったぐらいの評価にしか成り得ないのではないでしょうか?(「1位なしの2位」には無理がある) この演出では、のだめの才能を象徴させるエピソードには至っていません。ドラマとしてはおもしろく見たものの、それは「笑い(失笑)」としてであって、のだめの才能に対する「驚嘆」ではありません。ちょっとがっかりでした(具現化の難易度が高いのはわかりますが)。驚異の即興は、幻に終わりました(笑)。
 
●「こういう表現の時は弓の元で弾くんだ」
 
残念という意味では、できればカットしてほしくなかったカットも多々ありました。ひとつは、第8巻「Lesson 44」で描かれる、R☆Sオケの練習にカイ・ドゥーンがコンマスとして参加するくだりです。指揮者の意図(千秋の曲の解釈)を瞬時にくみ取り、それを音で具現化すると同時に、より効果的に音楽を響かせるための逆提案までをするという、世界レベルの音楽家の格の違いを、千秋に、そしてオケの面々に、まざまざと見せつけます。テクニックだけなら、なかなかのレベルにあるかもしれないR☆Sオケの“最新鋭の若者たち”ですが、音楽家が「音楽を演奏する」ということが、どのようなことであるのか(演奏の質とは何なのか?)、それがどれだけすごいことであるのかを(何のためのテクニックか?=表現したいイメージを形にするためにテクニックがある)、登場人物たちだけではなく、読み手であるこちらにも語りかけてくる(感じさせてくれる)くだりが丸々カットというのは、ちょっと残念です(もちろん、このくだりだけで、すべてが描かれているわけではなく、わずかな片鱗が伺えるだけですが、それでも、その意味するところが、何となくわかった気にさせられる……。原作は、そんな力を持っています)。
 
●「あの、たくさんの音がまぐわう感じ……」
 
同じく第8巻「Lesson 45」の、高橋がR☆Sオケに魅了されるくだりのカットも残念です。R☆Sオケの凄さをわかりやすいイメージで表していて、個人的にも好きな部分だったので。R☆Sオケの演奏会、原作では3回目の演奏会が千秋のラストタクトになり、高橋は第2回(再演時)にR☆Sオケの演奏を聴くことになるのですが、高橋視点で語られるR☆Sオケの描写が、いい感じです。清良に対しては、「なんだよ、あのコンミス」「押コンでG大の藤井に負けた三木って女じゃ……」(実際の演奏を目の当たりにして)「……ない?」と、菊地に対しては、「あれは噂の……」「島袋先輩女を盗ったっていう菊地亨──」(実際の演奏を目の当たりにして)「盗られて当然じゃないか!?」という具合です。世評との違いを、身を持って、しかも、驚嘆とともに感じる高橋の姿が描かれます。で、「なんだ? このオケ」「なんだ?」「なんなんだ──」と、その演奏に、どんどん引き込まれて行くのです。そんな、高橋言うところの「あの、たくさんの音がまぐわう感じ……」を、映像で見たかったと(笑)。その高橋ですが、初対面の千秋に対して「いいから早く脱げよ!」とは、どういう意味なのでしょう? 言葉通りでしょうか? このあたり、原作でも詳しくは説明されませんが(笑)。ごくりと唾を飲み込むところが、いいですね(笑)。
 
●「迷ってないで、心おきなくウィーンに帰っていいぞ」
 
その高橋のくだりといえば、清良の迷いと周囲への気遣いを吹き飛ばす龍太郎の言葉が、よかったです。言葉としては原作通りですが、生身の俳優が演じると、言葉のリアリティが違ってきます(「ドラゴン桜」でも同じような思いを感じ、書きましたが)。もちろん、演じる役者の演技力あってのものですが。「迷ってないで、心おきなくウィーンに帰っていいぞ」。ぶっきらぼうながら、繊細な心遣いが感じられる、深いセリフです(こういうセリフ、実生活のなかで言ってみたいものです)。
 
●「海外に行って、もっといろいろ見て、感じて、経験して、一緒に」
 
それに呼応するかのように、千秋は、本選でミスったのだめに、「海外に行って、もっといろいろ見て、感じて、経験して、一緒に」と、“俺様”キャラには似つかわしくない、優しい言葉を掛けますが、これも心温まる、素敵なセリフです。千秋からのだめへのラヴコールとも取れる言葉を耳にしても、のだめの心はピアノに向かわないのですね。R☆Sオケの練習シーンで、そこにいるべき主のいない空の席を見て心の寂しく感じる千秋は、まるでのだめに振られたかのようです(笑)。
 
●「彼は何に怯えているのかね」
 
瀬川の演奏を耳にしたオクレールがつぶやく「彼は何に怯えているのかね」は、ドラマオリジナルでしょうか?(僕の記憶がないだけかもしれませんが) 瀬川にとっては、幼き頃の特異な天才児、のだめの才能が、瀬川がピアノを弾くうえでのトラウマのようなものだったのかもしれません。上を目指すうえで、まず最初の障壁が、目の前にいるのだめというか。常にのだめの影を感じていて。それが怯えであり、あの憎悪の固まりのようなまなざしの裏側にあるのではないかと。原作では、意図してか偶然かはわかりませんが、瀬川は、のだめと同じ課題曲を選びますが、「もう君には負けないよ」言葉は、のだめと同じ曲を、のだめ以上に弾くことで、のだめの影の断ち切ることを意図していたのかもしれません。そのあたり、ドラマではあまり細かくは触れられていませんでしたが。
 
●「彼に追いつきたくて、ここまで頑張って来たあの子のためにも、神様祝福を!」
 
これもドラマオリジナルでしょうか?(僕の記憶がないだけかもしれません) 視聴者の心を思わず代弁するかのようなかおりの言葉です。原作よりも、のだめのよき応援者となっているかおりですが(原作では、自分の現役時代を懐かしんでの“着せ替え人形”のような楽しむコミカルな側面もありますが、それが薄められています)、それにも増して、江藤は、すっかり“教育者の鑑”のようですね。自分に奢ることなく(自分の力量をきちんと意識して)、どうしたら生徒の才能を開花させられるか、それに腐心します。以前の、生徒の入賞実績を自分の勲章のように捉えてきた頃とは大違いです。
 
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●第10話のあらすじ(番組ホームページより)
 
のだめ(上野樹里)は、「マラドーナ・ピアノコンクール」に出場した。このコンクールで優勝して、千秋(玉木宏)を追いかけてヨーロッパに留学する、というのがのだめの願いだった。一次予選を突破したのだめは、二次予選に挑んだ。しかし、幼いころ同じピアノ教室に通っていた瀬川(伊藤隆大)もこのコンクールに出場していたことを知ったのだめは、その当時起きたある出来事を思い出してしまい、1曲目のショパンの「エチュード」でまったく気持ちのこもっていない演奏をしてしまう。それでも、2曲目のドビュッシー「喜びの島」では、楽しいことを思い出して弾くように、という江藤(豊原功補)の妻・かおり(白石美帆)からのアドバイスを思い出し、千秋のことを思いながらきらびやかな演奏を見せるのだめ。その結果、のだめはなんとか二次予選も通過し、本選への出場権を手にする。
 
「本選も見に行くから頑張れ!」。千秋からメールをもらったのだめは、携帯電話をいとおしそうに胸に抱いた。
 
千秋は、R☆Sオケのクリスマスコンサートに向けて動き始めていた。そんな彼の元に、玉木(近藤公園)や橋本(坂本真)ら、元SオケのメンバーがR☆Sオケのオーディションを受けさせてほしい、と頼みに来る。その真剣な眼差しを見た千秋は、編成の多い曲のときはオーディションする、と答えた。千秋は、クリスマスコンサートが終わったらヨーロッパに留学することを決意していたが、まだオケのメンバーには言えずにいた。そんな中、ティンパニの真澄(小出恵介)が、プロオケの書類選考を通過し、実技試験と最終面接を受けることになった。プロオケに入ることが夢だった真澄は、もし合格したらR☆Sオケと掛け持ちで活動するつもりでいるようだった。それを知ったR☆Sオケのコンミス・清良(水川あさみ)は、師匠のドゥーン(ジョン・ヘーズ)が帰国前に言った言葉を思い出す。実は清良は、ウィーンで待っている、とドゥーンに言われていたのだ。清良は、それを龍太郎(瑛太)に打ち明けようとする。しかし、クリスマス公演のチケットが完売状態だと知って大喜びしていた龍太郎は、清良の話も聞かずに千秋の元に報告に行ってしまう。
 
そんな折、千秋の元に、高橋(木村了)というヴァイオリン奏者が現れた。R☆Sオケの初公演を見て以来、千秋に対してある特別な感情を抱いていた高橋は、いきなりR☆Sオケのコンマスにしてほしい、と言い出す。高橋は、昨年のブッフォン国際ヴァイオリンコンクールで3位になったという男で、先月、パリ留学から帰国したばかりなのだという。清良よりも自分の方が上手い、と自信満々に言い切った高橋は、千秋たちの前で演奏を披露した。その演奏は、高橋の言葉通り、見事なものだった。それを見ていた龍太郎は、高橋をメンバーに迎え入れると、迷っていないでウィーンに帰っていいぞ、と清良に告げる。
 
のだめは、江藤の家で合宿練習を続けていた。明後日に行われる本選までに、丸々2曲、仕上げなければならないのだ。のだめは、完成度よりもテクニックをアピールできる、という狙いで江藤が選んだシューマンの「ピアノソナタ2番」とストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」に取り掛かる。ブツブツと独り言を言いながらピアノに向い、時折、左右の人差し指を近づけたりしながら練習を続けるのだめ。その姿を見たかおりは、江藤にそれを報告した。江藤は、のだめがいつの間にかシューマンを完成させていることに、驚きを隠せなかった。
 
その夜、千秋のマンションに彩子(上原美佐)がやってきた。彩子は、のだめにR☆Sオケ・クリスマスコンサートのチケットを渡したかったのだという。「真一も日本で最後の公演になるんでしょ?頑張ってね」。寂しさを押し殺しながら、千秋にそう言って帰っていく彩子。その言葉を聞いた千秋は、何かを思い出したかのように、棚から1冊のスコアを取り出す。それはベートーヴェンの「交響曲第7番」だった。
 
同じ頃、江藤家では大変な事態が起きていた。のだめが高熱を出して倒れてしまったのだ。疲労がピークに達しているところに、食事もとらずにムリしてきたためだった。江藤は、ベッドの上で苦しそうにしているのだめの姿を見つめながら、「もうええから、ゆっくり休め」と優しく声をかけた…。
 
あくる朝、目を覚ましたのだめは、「ペトルーシュカ」のCDを聴きながら、必死に曲を覚えようとする。コンクール会場に向かう間も、楽譜に熱中するのだめ。そんな彼女に江藤は、1曲目を弾き終えたら舞台から降りるよう釘をさす。
 
マラドーナ・ピアノコンクールの本選が始まった。客席には、千秋はもちろん、龍太郎、真澄、桜(サエコ)らの姿もあった。
 
優勝候補の最右翼・瀬川は、安定した演奏を披露した。ミスもなく、叙情性に溢れたその演奏に、引き込まれる千秋たち。だが、審査委員長のオクレール(マヌエル・ドンセル)だけは、瀬川が何かに怯えていることを感じ取っているようだった。
 
28番目に登場したのだめの演奏が始まった。祈るような思いで見つめる江藤とかおり。千秋は、初めて見るのだめの渾身のシューマンに驚いていた。演奏が終わると、まだ2曲目が残っているにもかかわらず、観客たちからは大きな歓声が起きた。するとのだめは、江藤の言いつけを守らずに、2曲目の「ペトルーシュカ」を弾き始める。と、そのとき、いきなりのだめの指が止まった。会場に来るバスの中で楽譜を覚えているときに聞いてしまった、携帯電話の着メロ「きょうの料理」が邪魔をしたのだ。静まりかえる場内。頭の中が真っ白な状態になったのだめは、こともあろうに、「きょうの料理」のフレーズを織り交ぜながら再びピアノを弾き始め、やがて曲に戻った。ただ必死に、鍵盤を追いながら…。
 
審査の結果は、1位なしの2位が瀬川だった。のだめは、審査結果を待たずに会場を後にした。そんなのだめを呼び止めた千秋は、「俺と一緒にヨーロッパに行かないか?」と彼女に告げた。しかしのだめは、何故そこまでして勉強しないといけないのか、自由にピアノを弾いて何が悪いのか、などと言い放つ。コンクールも楽しくなかった、というのだめの言葉を聞いた千秋は、諦めたようにその場を去る。のだめは、悔しさをかみ締めて…。
 
数日後、千秋の元に音楽評論家の佐久間(及川光博)から電話が入る。千秋は、佐久間にR☆Sオケの後任指揮者の候補者選びを頼んでいたのだ。佐久間は、けえ子(畑野ひろ子)とともに、すでに数名の候補者に絞り込んでいた。
 
練習場に向かった千秋は、R☆Sオケのメンバーに、最後の1曲を決めてきた、と伝える。すると黒木(福士誠治)や菊地(向井理)たちは、すでにベートーヴェンの「交響曲第7番」の楽譜をそろえていた。彼らは、龍太郎から聞いてすでにこの曲の予習を済ませているのだという。千秋が初めて指揮したこの曲を完璧に演奏して、千秋のR☆Sオケを締めくくろう、という龍太郎に、千秋も黙ってうなずく。
 
同じ頃、のだめは、荷物を持ってマンションを後にしていた…。
 
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●第10話で使われた主なクラシック曲(ドラマ内登場順、2度目以降は省略)
 
ショパン/12の練習曲(エチュード) op.10〜第4番
ドビュッシー/喜びの島
シベリウス/交響詩「フィンランディア」
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第1番〜第1楽章
ベートーヴェン/交響曲第7番〜第1楽章
メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」〜第1楽章
レスピーギ/リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲〜第1曲「イタリアーナ」
ロドリーゴ/アランフェス協奏曲〜第2楽章
ハチャトゥリャン/バレエ組曲「ガイーヌ」〜剣の舞
サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」(ソロ・ヴァイオリンパート)
ブラームス/交響曲第1番〜第4楽章
ホルスト/組曲「惑星」〜第4曲「木星」
リムスキー=コルサコフ/歌劇「皇帝サルタンの物語」〜熊蜂の飛行
シューマン/ピアノ・ソナタ第2番〜第1楽章
サン=サーンス/組曲「動物の謝肉祭」〜水族館
ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」〜「夏」第3楽章
ムソルグスキー/交響詩「禿山の一夜」
ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章〜第1楽章「ロシアの踊り」
リスト/メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」
ブラームス/パガニーニの主題による変奏曲
ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章〜第3楽章「謝肉祭の日」
ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第2集(op.76)〜第2番(スラヴ舞曲第10番)
ドヴォルザーク/チェコ組曲〜第2曲「ポルカ」
ベートーヴェン/交響曲第7番(ピアノ編曲版)〜第1楽章
ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー
 
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先日、のだめの「オリジナル・サウンドトラック」を買いました。正直、ちょっと期待外れでした(笑)。映像と一緒に聴いているほうが、よく聴こえて。ちなみに、上に書いた「ベト7」のピアノ独奏版(非常にスローテンポ)は、サウンドトラックに、オリジナルタイトルで収録されています。
 
こうして書き出してみると、ドラマの印象に比べて、結構使用楽曲が多かったですね。しかし、メインの曲がシューベルトとシューマンのピアノ・ソナタとは、何とも渋い「コンクール編」です(そうでもないですか?)。
 
 
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上野樹里(のだめカンタービレ)