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志田未来(わたしたちの教科書)ドラマ全体を支配する、ラフマニノフの「交響曲第2番」第3楽章の、安らぎを感じさせるセンチメンタルなメロディーとは裏腹に、ドラマのどんよりとした重いテイストと展開、そして、中味がうかがい知れない「わたしたちの教科書」という意味深長なタイトル。いじめをテーマにした社会派ドラマなのか、それとも、新米教師がいじめに立ち向かう学園ドラマなのか。ドラマの視点となるのは生徒たちなのか、それとも、教師たちなのか。物語の結末は、明るい話に向かうのか、それとも、救いようのない暗い話なのか。どこへ向かおうとしているのか、先の展開がつかめないドラマです。まるで、誤って行き先のわからないバスに乗ってしまった感じです。乗り間違えに気付いて、最初の停留所で降りようと思っていたのに、なかなか最初の停留所に着かず、次第に心細くなる一方で、初めて目にする周囲の風景に目を奪われて、降り難い気持ちも感じ始めて……といった感じの、少々複雑な気分です。やられました。脚本家に、演出家に、役者陣に。
 
人気や売り上げ等、すでに実績のある原作モノのドラマ化が数字(視聴率)取りの定石になりつつある最近のテレビドラマ界にあって、意識的に「オリジナルドラマ」にこだわって企画されたドラマです。脚本はヒットメーカーの坂元裕二さん(「東京ラブストーリー」「ラストクリスマス」「西遊記」「トップキャスター」ほか)、演出はドラマづくりに定評のある河毛俊作さん(「ギフト」「沙粧妙子最後の事件」「きらきらひかる」「人間の証明」ほか)と強力なコンビ。フジテレビの番組紹介によれば、《「学級崩壊」「いじめ問題」「不登校」「指導力不足教員」。学校が抱えるさまざまな問題を描きながら、人の心に存在する“明”と“暗”の二面性、そして、実は誰もが転びうる“危うさ”に光を当てることで、単なる学校問題を描くにとどまらず、人間という存在そのものの有り様を浮き彫りにしていく》“闘い”をテーマとしたドラマとのことです。
 
「世界を変えることは、できますか?」 藍沢明日香(志田未来)からの、いきなりかつ、ストレートな質問に、返事に窮してしまった臨時教師・加地耕平(伊藤淳史)の、ドラマのなかの熱血教師に憧れて教員になったかのような、夢と理想と希望に満ちた、どこか初々しい新人教師ぶり。職員会議で教師たちに説く「生徒は顧客」という言葉が、決して本心のようには聞こえない副校長・雨木真澄(風吹ジュン)。職位は上ではないのに、副校長の腹心のように教員たちを仕切り、真顔で「教師は聖職者」と言いながらも、どこか無理して理想の教育者という仮面を被っているようにも映る社会科教師・大城早紀(真木よう子)。クレジットカードの与信枠を使い果たし、金に困っている体育教師・戸板篤彦(大倉孝二)。学校では何を考えているのかわからない無表情さ、家庭では娘との断絶に悩む国語教師・熊沢茂市(佐藤二朗)。一見、ことなかれ主義のように見えつつも、教師としての務めはそれなりにきっちり果たし、プライベートではネットやフィギアにどっぷりはまっているオタクな数学教師・八幡大輔(水嶋ヒロ)。明るく気さくで生徒たちともすっかり打ち解けている友だちのような教師ながら、夜はキャバクラでバイトをしている英語教師・吉越希美(酒井若菜)。おとなしい従順そうな生徒が多く、表面的には何の問題もないように見えて、実は陰湿ないじめがはびこり、臨界点寸前の中学校。そして、いじめを受けていることを誰にも言えずにきて、やっと加地という心を開ける大人に出会ったのも束の間、事故か自殺か誰かの悪意の結果(殺人)か、わからないまま、命を落す明日香。生前、藍沢がつきまとっていた、現実主義者でやり手の弁護士・積木珠子(菅野美穂)。そんな、表と裏の顔を当然のように持つ登場人物たちが、人間図鑑よろしく、スピーディーに描かれにドラマのペースに、一気に引き込まれました。
 
脚本の板元裕二さんが、番組ホームページのなかで興味深いことをコメントしています。《まず基本としてあったのは人間ドラマを作ろうということです。価値観の異なるふたりの人間が、時に衝突し、時に共感することによって、お互いの生き方を見つけていく、他者との関係性を描く物語》をつくりたかったと。《今回は学園ものですが、舞台をどこにするかということは後から決まったことなんです。本来は、職業が決まっていたり企画が決まっていたりするところから脚本が書かれるのですが、今回は人間像や彼らが戦う姿を描くというのが先にあった》という登場人物の設定。主人公の積木珠子が教師ではなく弁護士なのは、それゆえであると。《企画優先の作品だったら珠子の役は弁護士ではなく、教師になっていたと思います。何を描きたいのかを優先して、打ち合わせを繰り返し、実作業してみて、はじめて弁護士になった。人物を動かすうちに職業も決まったというイメージです》と。《誤解されるドラマでありたい。見る人によって異なる側面を持つドラマでありたい。勿論、その中心としてあるのは、菅野美穂さんと伊藤淳史さんの人間ドラマ。熱血弁護士と熱血教師が体制に立ち向かう、謎に立ち向かうという波乱に満ちた物語ではありますが》という言葉が頷ける、次回を待ち遠しく感じる展開です。
 
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■第1話のあらすじ(番組ホームページより)
 
積木珠子(菅野美穂)は、業界大手のクライサー法律事務所に所属する弁護士。職業柄か、極めて現実主義者的な考えの持ち主であり、今も20件以上の案件を任せられている優秀な女性。事務所の後継者でもある先輩弁護士・瀬里直之(谷原章介)との交際も順調で、珠子には明るい未来が約束されていた。
 
ある日、いじめが原因で「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」に苦しんでいるという小学生の両親から、学校側の責任を追及したい、という相談を受けた珠子は、大学病院の臨床心理学教授・日野(小市慢太郎)を訪ねる。日野からいじめ被害者の実態を教えられた珠子は、いじめの予見が困難であることなどから、その案件を断ることにする。
 
同じ日、加地耕平(伊藤淳史)は、都内の公立中学校・喜里丘中学に臨時教員として赴任する。大学時代は駅伝の選手として鳴らし、テレビドラマの教師に憧れて教職の道に進んだ耕平は、初めての教師生活に胸の高鳴りを覚えていた。
 
急病の教師に代わって2年3組の担任を務めることになった耕平は、クラスの生徒たちに赴任の挨拶をする。そのとき、教室に入らず、校庭で本を読んでいたのが藍沢明日香(志田未来)だった。明日香のもとに向かい、声をかける耕平。すると明日香は、ふいに「世界を変えることは、できますか?」と耕平に問いかけた。耕平が答えに窮していると始業のベルが鳴った。明日香は、そんな耕平に対して特にがっかりしたようすもなく、素直に耕平の指示に従って教室に戻った。
 
喜里丘中学校には、社会科教師の大城早紀(真木よう子)、英語教師の吉越希美(酒井若菜)、体育教師の戸板篤彦(大倉孝二)、数学教師の八幡大輔(水嶋ヒロ)、国語教師の熊沢茂市(佐藤二朗)らがいた。校長に代わって彼らを指導・監督し、職員会議なども取り仕切っているのは副校長の雨木真澄(風吹ジュン)だ。
 
職員会議の席で、その雨木から初めての授業の感想を尋ねられた耕平は、明日香のことを持ち出す。親元を離れ、児童養護施設で暮らしている明日香に関しては、他の教師たちもいろいろと問題を感じているようだった。雨木は、明日香から受けた質問に対して、「変えられる」と答えるよう耕平に告げた。生徒は顧客なのだから否定してはいけない、というのだ。
 
ある夜、仕事中の珠子のもとに、たい焼きを持った明日香が訪ねてくる。しかし珠子は、居留守を使って明日香を追い返してしまう。明日香は、ちょうど事務所に戻ってきた直之にたい焼きを押し付けると、何も言わずにその場を後にする。
 
同僚たちから歓迎会を開いてもらっていた耕平は、その帰り道、ひとりで繁華街を歩いている明日香の姿を目撃する。明日香は、クライサー法律事務所から帰る途中だった。が、耕平にはそれを知る由もなかった。明日香のことが心配になった耕平は、あくる日、クラスメートに彼女のことを尋ねる。すると、明日香はいきなりクラスメートに殴りかかるなどの騒ぎを起こしているだけでなく、援助交際をしているという噂もある、と教えられる。
 
耕平は、明日香が暮らしているという児童養護施設「ひなぎくの家」を訪ねたが、彼女に会うことはできなかった。その帰り道、耕平は、とある洋食店の前で偶然明日香を見つける。明日香は、珠子が事務所を出るのを待ち、帰宅する彼女の後を追いかけていたのだ。その洋食店は、珠子の行きつけの店だった。珠子に付いていく形で一緒に洋食店に入る耕平と明日香。そこで耕平は、珠子が弁護士であることを知るが、明日香とはどういう関係なのかまでは教えてもらえなかった。
 
珠子と別れた後、耕平は、明日香を送って地下鉄に乗る。質問に答えるために耕平が勉強したノートに目をやる明日香。耕平は、そんな彼女に、駅伝のたすきリレーを例えにしながら人との出会いの大切さを説き、学校に来るよう諭す。すると明日香は、「先生になら言えるかもしれない」と言って耕平に小さな鍵を手渡した。それは、コインロッカーの鍵のようだった。
 
久しぶりに明日香が登校した日、その事件は起きた。男子生徒たちが校庭でつかみ合いのケンカを始めたのだ。じゃれあっているうちにケンカになってしまったクラスメートを止めようとするうちに、逆に騒ぎが大きくなってしまったらしい。耕平や早紀たちは必死になってケンカを止め、何とか事態を収拾する。ところがその直後、ひとりの生徒が校舎の窓から転落するという事故が起きた。転落したのは、明日香だった。
 
翌朝、珠子は、直之からいきなりプロポーズされる。が、何故か、戸惑いを隠せない珠子。そのとき、珠子が吸っていたタバコの灰が開いたままの新聞に落ち、彼女はある記事に気づく。それは明日香の転落事故を伝える記事だった。
 
喜里丘中学校では、早紀を中心に、今回の事故に関する対応策が進められていた。早紀は、耕平たちに、マスコミの取材に対する回答例などを記した極秘資料を配布した。
 
夕方、明日香が運び込まれた病院に向かった耕平は、そこで珠子に出会う。明日香はまだ面会謝絶だった。耕平とともに洋食店「ぶらじる」を訪れた珠子は、本当に転落事故だったのか、と彼に問いかけた。この店で3人が一緒に食事をしたとき、箸の持ち方のことにムキになったり、いつまでも手を洗っていたりした明日香の態度を指摘し、いじめがあったのではないか、と主張する珠子。その話を聞いていた耕平は、明日香から手渡されたコインロッカーの鍵のことを思い出す。
 
駅に向かった珠子と耕平は、コインロッカーを開けた。中には明日香のカバンが入っていた。そしてそのカバンの中には、破られたり、陰湿な言葉がいたずら書きされたりした教科書やノートなどが入っていた。耕平は、明日香のカバンを抱きかかえて、喜里丘中学校に戻った。そのカバンをどうする気なのか、と珠子に問われた耕平は、部外者には関係ない、と答えた。が、帰ろうとする珠子のことが気になり、明日香とはどういう関係なのか、と問い返す。「母親よ」。珠子は、そう答えた。
 
そのとき、校舎から雨木が出てきた。雨木は、重体だった明日香が息を引き取ったことを耕平に伝える。
 
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志田未来さんは、「女王の教室」「14才の母」と、日本テレビ系のドラマでの印象が強いため、「日本テレビの秘蔵っ子」のようなイメージがあり、当初、フジテレビのドラマ出演には「あれっ?」という印象がありました。初回に、積木珠子が母親であることが明らかになり、原因不明のまま、転落事故で亡くなってしまいましたが、出番はこれだけではないですよね?(次回からは回想シーンでの登場のみ?)
 
「友達の数だけ強くなれる」との担任・加地の言葉は、自身の経験から出た真実とはいえ、いじめにあっている当人にとっては、非常に辛い言葉です。ドラマ冒頭の、いじめを受けている生徒への声の掛け方や、「幼稚園児にもわかることが、大人になると、どうしてわからなくなるのですか?」という、明日香の問いが描かれるドラマではなさそうですが、サスペンスタッチな展開とは裏腹に、考えさせられるセリフがたくさんあった初回でした。
 
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■主なキャスト
 
<親子(?)>
 積木珠子 : 菅野美穂
 藍沢明日香 : 志田未来
 
<喜里丘中学校・教員>
 加地耕平 : 伊藤淳史
 大城早紀 : 真木よう子
 吉越希美 : 酒井若菜
 八幡大輔 : 水嶋ヒロ
 戸板篤彦 : 大倉孝二
 熊沢茂市 : 佐藤二朗
 雨木真澄 : 風吹ジュン
 
<喜里丘中学校・2年3組>
 山田加寿子 : 鈴木かすみ
 仁科朋美 : 谷村美月
 山西麻衣 : 伊藤沙莉
 須藤彩佳 : 柳田衣里佳
 野部千春 : 山本ひかる
 本多雅樹 : 池田晃信
 兼良 陸 : 冨浦智嗣
 
<クライサー法律事務所>
 瀬里直之 : 谷原章介
 宇田昌史 : 前川泰之
 
<診療内科医>
 日野圭輔 : 小市慢太郎
 
 
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