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フジテレビ「救命病棟24時」長い長いサブタイトルの最終回は、2時間18分の拡大スペシャル。次から次へと起こる事故もあってか、長時間のわりにはだらけることなく展開し、実質的には全8話に相当するボリュームとなりましたが、シーズン全体としては、いささか中途半端に終わったように映ります。
 
患者を救う前にスタッフを救う必要があると、澤井は救命医療改革のため医局長を辞して救命改革機構へ。しかし、澤井を誘った国会議員の岡部は、澤井に命を救われたにも関わらず、澤井に対して「使えるか使えないかではなく、使うんだ」と口にするような政治家。それでも澤井は、救命の存続は、もはや待ったなし、国と戦い、国民を啓蒙するために、守屋に“ドンキホーテになるのがオチ”と心配されながらも、自分の信じる道を進みます。
 
澤井は、自分の後任に小島を指名。理由は、受け入れ制限の必要性を理解できるのは、救命の置かれた環境に起因する医療裁判を身をもって経験した小島こそと。「わずかでも助かる可能性があるなら、全力で救うのが救命医」という進藤の主張は、医師としてもっともだし理想だが、それを今の体制でやっていたらスタッフの身が持たない。救命の置かれた厳しい現実のなか、まずは組織としての存続、スタッフが倒れないチームづくりが第一であると。
 
しかし、進藤は、そんな澤井の方針に納得できず、「助けられる命を見捨てるのは犯罪だ」と言い切ります。交わることのない進藤と澤井。澤井は、進藤に、自分の考えに同意できないなら、ここを去るように命じます。事実上のクビです。他のスタッフのペースを省みることなく、休むことなく走り続ける進藤の存在は、今のチームにとっては危険過ぎるとの判断です。誰にもコントロール不能な進藤に皆が合わせていては、スタッフの脱落は時間の問題だと。進藤の扱いは、次の医局長である自分が決めると小島が澤井に申し入れて、ひとまず進藤の進退は保留に。
 
そんななか、進藤に心酔している研修医の工藤が、がんばり過ぎてパンク寸前になったところに、患者を救えなかったことが重くのしかかり、自分を過剰に責めてしまったことで心が折れてしまい(澤井曰く「希死念慮」だと)、それに遺族に責められたことが加わり、飲めない酒を飲んで泥酔、ビルから転落して救命に運ばれる事態に。澤井が、工藤の手術は自分が行なう、自分が必ず助けると言ったのは、工藤に昔の自分を見たからでしょうか。手術は成功、工藤は一命を取りとめ、澤井は救命を去ります。
 
救命改革機構の理事長就任の挨拶で澤井は、組織のメンバーに、今の救命は「キツイ」「危険」「金にならない」の3Kであり、現場はスタッフの犠牲と忍耐によって支えられている現状を訴え、その改善のために何ができるかを真剣に考えてほしいと訴えます。澤井が言うように、医療の問題は、明日は我が身、あるいは、いつ家族の身に降り掛かるかもしれない問題。素人が見ても、一刻を争う救命の場は、短距離走の勢いで、ずっと走り続けるに等しい状態です。
 
まさに「ゴールの見えないマラソンは、倒れることでしか終われない」過酷な現場は、救う命の数だけ、スタッフが自らの命を消耗しているかのようでさえあります。そんな今の救命の体制では、進藤の存在は危険であるような言い方をしていた澤井ですが、医師としての進藤は認めていたのでしょう。「助けられる命を見捨てるのは犯罪だ」との、進藤に言われた言葉をもって、就任の挨拶を締めます。
 
「踊る大捜査線」での青島と室井とで交わされたセリフを思い起こす、「今のことは俺たちがやる。明日のことは、あんたに任せる」「俺や小島が倒れる前に、この国の医療を何とかしてくれ」との、進藤から澤井への言葉でドラマは締められましたが、本来の第4シーズンは、ここから始まるべきではなかったのでしょうか。フィクションであっても、解決策を提示するのが困難なのは承知していますが、それでも、それに向かっての試行錯誤まで描かれるべきではなかったのかと。それが本題への長い長いイントロダクションで終わってしまったような印象があります。各回ごとは、おもしろく見ましたが(とはいえ、前話「狙われた救命センター」は、素材として適切だったようには見えません)、第4シーズン全体として見ると、澤井の描かれ方が不十分に思えます。その意味で、冬にオンエアが決まっているというスペシャルに期待しています。
 
明日への期待で終わらせるのだったら、進藤の言葉で締めずに、意識が回復した工藤の、初めのひと言で締めたほうがよかったのではないかと思います。第4シーズンのテーマである救命組織の改善は、主人公である“スーパードクター”の進藤を、主人公でなくすためのベクトルです。進藤の超人的な活躍に頼らず、平均レベルの医師たちによるチーム運用により、持続的かつ、確かな実績をあげられる組織としての救命のあり方をめぐる物語を目指していたはず。工藤のような研修医が育ち、第一線で活躍する日までに現場の環境を整えなければ、救命の明日はないと。そのために、非情も辞さずの心で澤井がここに来たわけで。そんな進藤と澤井の背中を見ながらも、傷つき、瀕死の重傷を負った工藤が、そこから得た思いを私たちに聞かせて、第4シーズンを閉じるべきだったと思うのですが。
 
 
PS.
◆第4シーズン一番の見どころは、澤井を演じたユースケさんの存在感と演技でした。
◆「希死念慮」という言葉は、初めて耳にしました。うつ病による希死念慮は、死ぬ以外は考えられない精神状況に陥るものの、回復すると、どうして死のうと思ったのか、自分でもわからないのだそうです。
◆ビデオリサーチの調査による関東地区の視聴率は「19.3%」、瞬間最高視聴率は23時9分の「23.5%」を記録しました。
 
 
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■第7話のあらすじ(番組ホームページより)
 
進藤一生(江口洋介)と小島楓(松嶋菜々子)は、研修医の工藤亮介(石田卓也)が睡眠導入剤を使っていることを澤井悦司(ユースケ・サンタマリア)から聞かされ驚く。楓は、工藤に無理をしないようアドバイスするが、工藤は聞き入れない。
 
建築現場の事故でドクターカーの派遣要請がきた。澤井によりドクターカーの出動は禁止されていたが、進藤の判断により、楓と工藤、看護師の山城紗江子(木村多江)と佐伯透(西山聡)が現場に向かう。
 
資材の下敷きになった怪我人が2人。楓は、迅速な診断を行ない、緊急性のないと見られる患者を工藤に任せ、重傷の患者とともに救命センターへ戻る。ところが、工藤が診ていた患者が急変。工藤は進藤に電話して指示を仰ぐ。進藤は現場に急行するが、工藤の緊急処置もむなしく、患者は亡くなってしまう。その一件以来、工藤は病院を無断欠勤する。
 
数日後、工藤が頭部の裂傷で救命センターに運び込まれる。衝撃を受ける進藤、鴨居千夏(北乃きい)。工藤は、先日亡くなった患者の葬式に参列した後、飲めない酒を飲み、階段から落下したのだ。医局宛に、工藤から無断欠勤を詫びるメールが届いたばかりだった。工藤は、一命を取り留めたものの、意識が戻らない。駆け付けた工藤の両親は、進藤の指導医としての不手際を責める。
 
翌晩、進藤は明らかに救急車を病院への足代わりに使っている患者を受け入れる。進藤の行動を責めた澤井は、医師や看護師を集め、辞意を表明。救命改革機構の常任理事になることを伝える。そして、楓に新医局長への就任を、あらためて依頼する。困惑する楓。受け入れ患者を選別してスタッフの負担を軽減しなくてはいけないという澤井に、「助けられる命を見捨てるのは犯罪だ」と意を唱える進藤。澤井は、医局に届いた工藤のメールを見せ、進藤に辞めてほしいと突き付ける。
 
さすがに堪えた進藤は、工藤のベッドの傍らへ。楓は、進み続ける進藤を心配し、休日を取るようにと頼み込む。翌朝、休みを取って病院を後にする進藤は、楓に医局長への就任を促す。楓は、医局長になることを澤井に告げる。澤井は病院を去り、救命改革機構の会議へ出席する。
 
そんなとき、花火工場で火災が発生。大量の花火に引火して爆発を引き起こす事故が起こり、多数のけが人が出る。救命センターへ次々運び込まれてくる患者に、楓らは懸命に処置を行なう。さらに救急から要請が入るが、人手が足りない。澤井は辞職し、進藤は休んでいる。楓が医局長としての搬送拒否の決断を下そうとすると、進藤が現われる。すると、今度はICUの工藤の容態も急変。そこへドクターカーの要請も重なる。進藤は、工藤を楓に託し、紗江子を伴って、現場に向かう。
 
黒煙が吹き上げる現場で、消防士の退避命令も無視してけが人の処置にあたる進藤。そこに澤井が現われる。会議のしらけたムードに焦燥を感じた澤井は、帰り道にドクターカーとすれ違ったのだった。進藤は、これを最後の治療にしてほしいと澤井に頼む。進藤も澤井の医療改革に期待していた。ふたりの連携プレーで最後の患者を搬送し終える。
 
そのとき、新たな爆発が発生。進藤が気気付くと、澤井が倒れている。澤井は、自分を置いて非難するよう進藤に告げる。だが、進藤は危険を省みずに踏みとどまり、澤井に応急処置を施し、救急車に乗せる。すると、紗江子の携帯に楓から電話が入る。進藤が代わると、楓は工藤の声を聞いてほしいという。それは、工藤の生還を教える規則正しい心拍モニターの音だった。
 
数日後、工藤は順調な回復を見せ、澤井は退院する。進藤は、澤井に、自分は病院を辞めないと話す。そして、澤井には自分や楓が倒れる前に、この国の医療を改革してほしいと、事故現場に続いて繰り返して、澤井を送り出す。
 
海南医大高度救命救急センターに、新たな医師たちが赴任してくる。澤井に未来を託した進藤や楓たちの、新たな日々がスタートする。
 
 
>> 「救命病棟24時」番組ホームページ