伊達でございます！ : ドラゴン桜

ドラゴン桜

2005年07月14日16:31

TBS「ドラゴン桜（新番組）」第1話：バカとブスこそ東大へ行け

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

　
原作は、三田紀房が「モーニング」で連載中の同名コミックです（今期はホント、コミック原作が多いですね）。主役の桜木に阿部寛、反感を感じながらも協力する教師・井野に長谷川京子、東大を受験することになる落ちこぼれの水野と矢島に、長澤まさみと山下智久というのが主要キャスト。なかでも阿部は、原作にかなり近い雰囲気です。
　
破産寸前の落ちこぼれ校・龍山高校に債権者代表としてやって来た弁護士・桜木が、自身の売り出しを目的に、驚愕の再建計画をブチ上げます。「5年後に東大合格100人」という超進学校化です。初年度に5人を東大に合格させることを公約に掲げ、債権者からすべての権限を取り付けた桜木は、自ら教壇に立ち、緩みきった教師たちにも喝を入れ、学校の再建を図ります。というのが基本ストーリー。
　
受験ハウツーマンガでもなければ、教育マンガでもないユニークな原作を、どうドラマとしてまとめるのか、制作者のお手並み拝見というところです。序盤は、「社会のルールは、頭のいいやつに都合のいいようにつくられている。ルールをつくる側になれ」という桜木の言葉に自分の未来を託して、まずは水野と矢島のふたりが特別進学クラス入るという展開。基本的なストーリーはコミックに忠実のようですが、男女の性別を入れ換えたり、複数の登場人物をひとりにまとめたり、ひとりのキャラクターを複数に分けたりなど、比較的大きな脚色が行なわれています。脚本は、秦建日子（はたたけひこ・本名同じ、男性です）。コミック原作では、過去の「編集王」を担当しています。
　
たとえば、原作での矢島の家庭環境は、本作では緒方のそれであったり、自身の保身に走ったり、桜木に反目する教師が多いなかにあって、自身の理想の教師像を視点に桜木を捉えようとする新米教師がカットされていたり（一部は井野に引き継がれているようですが）、といった点です。
　
コミックでは、入試突破の秘策として、カリスマ教師たちの力を結集した特訓が始まりますが、ドラマ版はどう展開するのでしょう？　この展開を取るなら、誰を当てるかが、番組を生かすか殺すかの重要なポイントになると思います。
　
番組ホームページは、結構力が充実しています。肖像権等に関する事務所の方針から、主役であってもホームページに顔写真すら掲載されない番組ホームページもあるなかで、出演者の写真も一杯。ロケ時のスチルや制作の舞台裏など、コンテンツもバラエティに富んでいます。近日オープン予定の「受験生応援サイト」も期待です（番組内で紹介するノウハウと連携するのでしょう）。
　
　
「ドラゴン桜」番組ホームページ
http://www.tbs.co.jp/dragonzakura/index-j.html
　

2005年07月15日23:32

フジテレビ「ドラゴン桜」第2話：自分の弱さを知れ！

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

　
大まじめに原作をドラマ化するのかと思っていたのですが、今日の展開を見ると、ほとんどドタバタのコメディですね。
　
第2話は、特進クラスの生徒集め。キーとなる矢島を入れるべく、桜木はあの手この手を使ってアプローチします。家の借金のこともあり、矢島は、納得はしないものの、従うことになります。と思ったら、緒方・香坂・小林の3人も志願します（水野と奥野も入るんじゃなかったの？　となると、6人？　まっ、いいや）。原作では、初年度合格の公約は2人の設定でしたが、5人にしたのは、学園ドラマに振りたいのでしょうか。次回予告を見ると、早くもそんな予感が。本作の見物のひとつである、カリスマ教師の登場もなさそうです。
　
そういえば、番組ホームページには、矢島役の山下智久のみ顔写真がありませんが、所属がジャニーズなんですね。この事務所は、肖像権管理の一環として、主役であっても、公式ホームページへの写真を載せない方針で有名です。草彅剛主演の「恋におちたら」しかり、中居正広主演の「砂の器」しかりです。ドラマファンとしては少々興ざめです。
　

2005年08月02日18:05

TBS「ドラゴン桜」第3話：遊べ！受験はスポーツだ！

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

　
特進クラスがスタート。学校に合宿して1日16時間、まずは勉強一色の生活習慣づくりからスタート。今回のメインストーリーは、桜木から特進クラス入りを誘われていた水野が、亡き父の店を継いだ母親の敷いたレールから抜け出ようと、特進クラス入りを決心するまで。当初は認めなかった母親ですが、娘の本気を見て応援することに。
　
水野の母親の生き方は、「報われない努力をするよりも、もっと楽に、要領よく生きよう」。しかし、努力の人だった父親を慕う水野は、そんな母親の生き方に納得できないものの、自分自身も努力して報われた経験がないこともあり、母親に抵抗できませんでした。しかし、桜木のフォローもあって、自分の足で歩き出します。
　
その第一歩が、数学の計算テストで満点を取ること。精一杯頑張ってはみたものの、半分しか取れませんでした。心から悔しがる水野。桜木は、受験においては、勉強が出来ないことを悔しがる気持ちが、何より重要と言います。その点で、水野たちは大丈夫であると。1年しかないのではなく、まだ1年ある。勝負はまだまだ、と。
　
今回の偏差値36からの合格テクニックは、卓球の形を借りたイメージトレーニング。問題を見た瞬間に公式が浮かぶようになるための特訓です。身体で覚えること。これは実際にも使えそうです。
　
コメディとはいえ、桜木を妨害する教師たちの幼稚さには、全然笑えませんでした。もっとまっとうな（説得力のある）設定にしてほしいところです（まじめな話にしろ、という意味ではありません）。原作が持つ、現状に安住して楽をしたい教師たちのエゴが全然感じられません。「一見、ただのお笑いに見えて、その本質は大まじめ」を描くのは、フジテレビのほうが一枚上手のようです。
　
毎回登場する井野の友だちの「究極の選択」話、そろそろうざったくなってきました。ふたりの男のキャラクターを物語の本質に絡めて、毎回、あの手この手で笑わせてくれるならまだしも、東大と非東大のドタバタに終わっているので、ドラマの奥行きを増すどころか、単なる時間の水増し感にしかなっていません。
　
矢島が言うところの「桜木が自分たちを利用しているように、自分たちも桜木を利用すればいい」。とかく初めに理想ありきで語られる教育において、まずは実利を説くことが大切と言っていたのは村上龍だったか。この展開での見どころある物語を期待したいところです。
　

2005年08月02日18:10

TBS「ドラゴン桜」第4話：壁にぶつかるまで我慢しろ

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

　
原作とは異なり、桜木がひとりで特進クラスをフォローするかのような展開に見えましたが、今回から助っ人講師陣の登場です。まずは「東大数学の鬼」こと柳鉄之介。演じるのは品川徹。平成版「白い巨塔」の大河内教授です。個人的には、秋山仁の起用を期待していたのですが、大河内教授も結構雰囲気出ています。この協力関係も「互いの利益が一致」による結び付きです。
　
柳のポリシーは、「詰め込み教育こそが真」と明快。現実の学校教育では、これが極度に否定されたがために、基礎学力の低下を招いているという指摘もあります。その効果の一例として出されるのに、日本と「九九」まで、インドでは「99×99」まで教えていることがありま。だからインドは数学大国であると。「詰め込み」が悪いのではなく、問題は「用い方」なのか・そうでないのかはともかくして、その効果は否定できません。
　
オリジナリティうんぬんよりも、まずは基本となる「型から」というのも、よく言われること。特に芸術や料理などの世界では。自分流・勝手流ではなく、きちんと基本を踏まえた上での壊し・崩し枠。勉強も同じです。そして、「99点は0点と同じ」。これも厳しいけど現実。1点でも足りなければ不合格です。
　
今回のメインストーリーは、香坂の脱落。井野のフォローで戻ってきますが、この展開は、よくある、生徒のことを思う教師の心が本人に通じてというもの。しかし、いつの間にか桜木のよき理解者になりそうな井野です。
　
今回の偏差値36からの合格テクニックは、トランプを活用した頭の回転向上と問題解答同時プリント。前者は、めくったカードによる暗算ゲーム、後者は数多く問題の解法パターンを覚えるために、解法が見えたら回答を見て、とにかく多数の問題解法を覚える方法。これも別の分野でも応用が効きそうです。
　
桜木のポケットから出てきた井野のハンカチ、何かの伏線なのかと思いきや、「何だこれ？」だけで終わり。「なぁんだ」であります。
　

2005年08月06日13:18

TBS「ドラゴン桜」第5話：泣くな！お前の人生だ！

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

　
数学の柳鉄之介（品川徹）に続き、理科の阿院修太郎（小林すすむ）と国語の芥山龍三郎（寺田農）が登場。設定も見た目も、原作を踏襲しています。阿院の授業は、受験テクニックの類ではなく、わかりやすい教え方の見本のような内容。まるで、歩く“「科学と学習」の付録”のようです。
　
今回の主ストーリーは、一郎（中尾明慶）が、秀明館高校に通う双子の弟・次郎（水谷百輔）との本当の関係と、自分の内なる声にきちんと向かい合い、特進クラス入りを決心するまで。サブストーリーとして、「龍山高校」というだけで色眼鏡で見られて、傷害事件の犯人にされてしまう英喜（小池徹平）と、英喜の無実を信じる特進クラスの仲間たち、その処理を巡っての桜木（阿部寛）との絆が描かれます。いずれもドラマのオリジナルのエピソードです（そのエッセンスは原作にもありますが）。前回のいささかドタバタ気味のストーリーに比べて、多くの要素を手堅くまとめた構成による、熱いドラマに仕上がっていました。
　
見る人の視点によって、見どころが様々に感じられたのではないでしょうか。
　
ひとつは、プライドの持ちようは一様でない、ということ。プライドにも優先順位がある、と。「濡れ衣を着せられてまで」というストーリーを巡っては賛否があると思いますが、「自分が一番に大切にするべきことは何か」を自ら考え、判断・実行させ、レッテルで判断される「悔しさ」を東大受験のモチベーションアップに昇華させようというのが、桜木の考えだったのでしょう。桜木も、過去が過去だけに、本心としては徹底抗戦を望むところだったと思いますが、警察と戦って“真実”を勝ち取ることよりも、受験と戦って“東大合格”を勝ち取るほうが、英喜にとって（そして自分にとっても）メリットが大きいとの判断をしたのだと思います。疑われ慣れした英喜が、桜木という後ろ盾を得て勝ち取ることで安住せずに、あらためて「悔しさ」を感じさせるほうが、英喜の発奮になると。
　
一郎のストーリーは、ちょっと悲しかったですね。親も弟も、押し殺していた自分の気持ちに気付いてくれなくて。見抜いていたのは、桜木ただひとり。その桜木も言っていましたが、どんなに心からの思いを込めても、それが相手に伝わるとは限らないのは、紛れもない事実。しかし、肉親・兄弟ゆえに、その現実は残酷です。しかし、これで一郎の目も覚めたのではないかと。でも、飄々としたノリは変わらず。静かな情熱を燃やす一郎です。
　
教師たちへの再雇用テストの話も、考えさせる内容でした（原作通りです）。これは、入社試験などでも使えそうです。井野（長谷川京子）は、「このプリントに書いてあることは……」と、桜木のやり方には納得していなくても、認めるべきところは、きちんと認めていますが、他の教師たちは、桜木をきちんと見ようともしない。この図式も、実社会のなかでもしばしば目にする光景です。
　
全員合格させるのか、それとも……。今後のストーリー展開が楽しみになってきました。ただ、コメディチックなドラマとはいえ、安易な決着ではなく、それなりの説得力をもったオチを期待したいところです。
　

2005年08月14日15:28

TBS「ドラゴン桜」第6話：英語対決！勝負だバカ6人

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

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今回は、英語を担当する川口洋（金田明夫）の登場と、川口は英語担当の座を争う井野真々子（長谷川京子）の対決話。今回は、並行して絡み合うサブストーリーはありませんが、桜木（阿部寛）による東大受験テクニックの形を借りての、これから社会に出てやっていくうえでのヒントなどが散りばめられており、荒唐無稽になりがちなストーリーを引き締めています。
　
桜木による教師陣への再教育もスタート。教育は“サービス業”。サービスを提供する「教師」は聖職者ではない。一般企業における「顧客CS」の徹底。お客様に対する“奉仕の心（おもてなしの心）”です。このあたり、公立高校よりも私立高校、私立高校よりも塾・予備校のほうが徹底している印象があります。
　
まずは、ツボを押さえた「ほめ」により、生徒のやる気を引き出すことからと。教師に限らず、その仕事に長くやっていると、それまでの成功事例が自身にとっての“永遠の方程式”のようになってしまい、変化への対応を拒む形になってしまいます。本来なら自らの“気付き”を促すのが正攻法ですが、龍山の教師たちには「首」をちらつかせ、強制的に変わらせるしかないと。実社会での会社建て直しと同じですね（このマンガ、大まじめに描けば「日経スペシャル～ガイアの夜明け」で使えそうな内容ばかりです）。
　
井野場合は、変化に対する対応力は備えているものの（桜木に対して認めるところは認めている姿勢、行動力など）、現実の認識力が問題であると。今必要なのは、英語の力を養うのではなく、東大入試の英語を突破すること。言われてわからなければ、打ちのめされて気付かせるかしかないと。いわば、桜木流“愛のムチ”です。
　
川口の授業は、英語を恥ずかしがらずに話す（英語コンプレックスをなくす、使うほど身につく）、恋をすること（シンプルな表現をまず覚える、生活のなかで使う）と、至ってシンプル。単なる落ちこぼれの苦手意識克服カリキュラムに見えて、その裏には、東大入試の分析に裏付けがありました。たとえば、英作文は、書かれた文章に対する減点法評価。「何を書いたか（内容）」は問われません。自分が知っている言葉を使って、ていねいに書くのが点を取る近道です。その川口の見た目や設定は、ほぼ原作通り（フィリピンパブではなかったと思いますが）。授業シーンを含めて、うまく映像化できていると思います。
　
桜木が説くように、「考えてばかりいないで、まずは動く」の一方で、「動く前に必要な情報を収集してから行動する」ことも大切。状況に応じた柔軟な姿勢が何よりでしょう。そして、受験においては、仲間も重要。ライバルであり、ともに助け合う。こんな桜木の考え、「女王の教室」の真矢は、どのように評するのでしょう。目指すところは近そうですが、そのアプローチはずいぶん違いそうです。ふたりが語り合うシーンを想像するのも、興味深そうです（秀明館の進路指導を真矢が担当していたら、なんて）。たとえば、「人間は失敗した直後にしか、他人の言葉が身に染みない」。「女王の教室」での恵里花を巡るエピソードが思い浮かびます。
　
折り返し地点を過ぎましたが、まだ受験科目すべての講師が揃っていません。社会は井野が担当するようですが、原作では桜木の担当だったような……。次回は模試ネタのようですが、連載中の原作がちょうど模試ネタ。合格までを描くのなら、ストーリーは次回で原作より先に進むことになります。原作を離れたオリジナルの展開になるのか、原作を先取りした展開になるのか、楽しみです。
　

2005年08月22日22:38

TBS「ドラゴン桜」第7話：見返してやる！東大模試！

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

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東大入試の最初関門、東大模試編の前編です。ほぼ順調に見えた特進クラスに、想定外の出来事が発生しました。それは、テレビ番組の密着取材。さすがの桜木も、今度ばかりは理事長命令によりOKせざるを得なくなりました。桜木ピンチ！　テレビ取材のくだりは、テレビドラマのオリジナルです。テレビ取材が入るきっかけは、なるほどでした。麻紀への携帯メールは、彼女の東大受験の動機付けだけではなく、ここにもつながっていたのですね。
　
「メモリー・ツリー」に「スクラム勉強法」。今回のハウツウもなかなか実用的ですが、それなりの時間がある連続ドラマとはいえ、原作に比べればずっと早い展開とあっさりとした描き込み（特進クラスが原作の2人に対して、テレビは6人というのもその要因のひとつです）。短い時間で東大合格レベルの学力アップという命題に対しては、原作のほうがフィクションにおけるリアリティは上です。いきなり、それなりの「スクラム」ができるのは、ドラマが言うところのバカではない証拠ですし。
　
原作では語られる“地頭のよさ”については、テレビドラマでは触れられていません。偏差値36とはいえ、彼らには“地頭のよさ”があります（地頭がよい者を桜木が選んでいる）。それを引き出すのが桜木の戦略であり、講師たちの指導力。そのあたりを抜きに描かれているテレビドラマは、回が進むにつれて、ドラマとはいえ、底が浅く感じられてきます。ドラマ内で桜木自身も言っているように、効率よく勉強を行なう方法はあっても、それは、ゲームの裏技的な方法とは違うのですから。
　
その意味でも、勉強法と同様に提示される心構えや考え方は、ドラマを現実サイドとつなげる糊しろになるとともに、ドラマを味わい深いものにしています。「ルールの遵守の精神なしに、学問上の発見はあり得ない」。発明発見は、無手勝手流による行き当たりばったりや、偶然を待っていて得られるものではありませんね。「試験というのは、相手との対話であり、己との対話である」。しっかりした学校ほど、試験問題にもそれなりの理由があるということですね。
　
理事長は本当に困った人ですね。金庫の金には手を付けるし、自分が出たくてテレビの取材、それも密着取材をOKしてしまうし。そもそも、テレビで受験ノウハウが流れてしまったら、自校にとって大きなマイナスとは思わないのでしょうか。優先順位が何かを理解してほしいですね。桜木は、債権者の信任を楯に、理事長権限の一部委任（または停止）を取り付けておくべきでした（笑）。
　
連載進行中の原作がまだ東大模試の最中なので、来週からはテレビの完全オリジナルストーリーに突入です。見ている人の数は、原作マンガよりテレビドラマのほうが上でしょう。来春の入試では、「東大理科一類」の志望者が増えるかもしれませんね。
　

2005年08月28日23:07

TBS「ドラゴン桜」第8話：バカの涙…夏休み課外授業

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

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センスのないタイトル。「バカ」はドラマ内だけで十分な気がします。今回は、東大模試の後編。
　
桜木と講師陣のアドバイスもあり、無事に試験を乗り切った6人。晴々とした表情。出来も悪くなさそうに思える。それに、あれだけ努力したのだから、という思いもある。だが、自己採点では、全員E判定。その意味は、「合格の可能性5％以下」「志望校変更の要あり」。必死の努力が点に反映されなかったことから、やる気を失う6人。しかし、それは、桜木たちの用意周到な計画だった。6人を東大に連れて行き、自らの真意を説明する桜木。模試はそのための最初の試練。妬みや僻みなどのつまらない感情を捨てて、目的のために一心不乱にやり通せ。それを心に刻み込んだ6人は、新たなやる気を胸に、夏合宿に臨む。
　
前回、原作で印象的なシーンのひとつ、桜木と井野の教育論のぶつかり合いを見たい旨を書きましたが、今回、それが盛り込まれていました。腹を空かせた生徒に「魚を釣って与える」か「魚の釣り方を教える」かのくだりです。釣った魚を与えて当座の飢えをしのがせるのではなく、自分で魚が釣れるにしてやるのが、生徒に対する本当の教育であると。教師の庇護下を出ても、ひとりで生きて行けるように自立させるべきであると。現役合格のための理想の偏差値カーブの話もそうです。桜木は説きます。生徒が自分で考え、自分で決め、自分で行動できる自立心を育てるための、最低限のサポートを行なうのがよい教師であると。「最低限」の理由は、自らの自立心を育むためには、自ら乗り越えさせるハードルが必要だからと。
　
原作マンガに散りばめられた種々のメッセージは、どれも説得力があり、なるほどと思わせるものばかりです。原作に比べてコメディ＆ドタバタ感の強いテレビ版ですが、桜木が語るこれらのくだりに関しては、阿部寛の演技力もあいまって、作中の桜木自身が身を持って体験したことによる、活きた言葉として響きます。この部分に関しては、テレビ版の圧勝に思えます（願わくば、もう少し、端折らず、丁寧に描いてほしいところですが）。
　
今回の6人、判定結果はともかくとして、平均点に近い点数が取れたというのは、当初のレベルからしたら、かなりの飛躍だと思うのですが……。彼らは最初から高望みし過ぎです。第一、本番は来春なのですから。そのあたりを、もっと諭してもよかったようにも見えます。桜木の真意を理解し始めた生徒たち。桜木と6人の関係も、だいぶしっくり来ました。
　
よい教師＝聖職者的な視点での理想論に走ることなく、登場人物が地に足が着いた形で描かれるところが、このドラマならではのポイントです。桜木は彼らを東大に入れることで、自らの名を全国区にし、講師陣は、時代の風で失墜した自らの指導方針の正しさを取り戻し（柳の場合）、生徒たちは東大合格を手に入れる。利害関係での結び付きながら、その目的に向かっての努力には嘘がないため、理想論をよりどころと展開よりも、ずっとリアリティが感じられると同時に、ある種のすがすがしさを覚えます。それは、目的のための彼らの取り組みが、非常に誠実なものだからです。
　
次回は、どのような試練が待っているのでしょう。
　

2005年09月04日01:09

TBS「ドラゴン桜」第9話：信じろ！成績は必ず上がる

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

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特進クラスの夏休みも終わり、二学期に入る。ひと一倍努力していた矢島（山下智久）は、思うように成績が上がらず、焦りを感じる。桜木（阿部寛）は、井野（長谷川京子）とともに、特進クラスの保護者に「受験生を持つ家庭の心得」と題した説明会を行なう。同じく、矢島と水野（長澤まさみ）を、“新生”龍山高校の“デモ・サンプル”として引き連れて、翌年度の学校説明会に臨む。龍山高校の“超”進学校化に向けた“種まき”として、6人を東大に送り込むのと同じぐらい重要なイベントだ。そんな最中に、水野の母が脳梗塞で倒れ、水野は東大受験をやめると言い出す。というのが、今回の基本ストーリー。
　
よかった。見応えたっぷり。これまでを通しての最高の出来でした。桜木が語っていることを中心に、描かれているシーンと語っているエッセンスのほとんどは、原作そのままの内容ですが（生徒と親、家庭環境などの設定変更に伴う入れ替えはありますが）、そろそろ残り話数が見えてきたところで、このくだりは使わずに終えてしまうのかな、と思っていた部分＝原作では何話に分けて登場する象徴的なエピソードを、このような形で、一話にまとめて一気に見せるとは、なるほど＆贅沢な展開です。エンディングに向けた、プレ・クライマックスですね。
　
阿部寛の“桜木節”も全開。今回は、阿部＝桜木の独演会状態でした。阿部ちゃん、うまいです。すっかり、成りきりモードです。“目力”が凄い。ドラマオリジナルの（だと思います。すみません、原作を読んだ記憶が薄れてきまして……）、職員室での柳とのやり取りも、印象的なシーンでした。原作では、桜木の生い立ち的な話はなかった（と思います）ので、この種の挿話は、ピリリと活きます。教師陣のドタバタも、今回は控えめでよかったし（理事長が不在なのもよかった）。全編に渡って教訓モノになりそうな内容を、うまく処理していたと思います。
　
すべての教科の基本は、「行間を読み取る力＝正しく読む力」にあり。物事に対する好奇心は、成長の糧。「どうでもいい」と投げ出してしまったら、それまで。思考停止にほかならない（言っていること自体は、「女王の教室」の真矢と同様ですね）。満腹感ではなく、飢餓感こそが精神的な成長を生む。ほめることは、おだてることは違う。子供の話をきちんと聞き、その言葉を繰り返すことで、共有意識を持たせる。決して結論を強要してはいけない。ひとつのことに熱中できる力が、受験における集中力と持久力と瞬発力の源になる。などなど。さまざまな立場の、さまざな仕事に対しても、応用の効く秘訣ばかりだったと思います。チャンネルは違いますが、ぜひ一度「世界一受けたい授業」に出演いただきたいものです。「某落ちこぼれ高校を超人気高校に変えた、元暴走族の弁護士が伝授する、黙っていても東大に入れる子供の育て方」なんて（笑）。
　
頭では大丈夫とわかってはいても、努力を重ねても結果が伴わないのは、しんどいですよね。だから、教師は、生徒が努力すれば乗り越えられる壁を用意するなどのサポートを行なう必要があると。前話では、6人全員に対する“壁”ですが、今回は矢島ひとり。その壁が乗り越えられるかは、桜木のサポート次第と。言われてみれば「なぁんだ」な話ですが、矢島にとっては身に覚えがあり、目からウロコな、楽器の練習にたとえての話。初回から、なぜ矢島がトランペットを？　と思っていましたが、ここにつながったのですね。こういう伏線あっての原作キャラの変更なら、なるほど＆スッキリです。
　
入試説明会での水野のコメント。母親のことがあり、言葉に実感がこもっています。母親がいやで、その掌から逃れようと東大を目指したものの、母親がいなくては、と初めて意識したのでしょう。桜木言うところの、さらに大人になることを求められてしまいました。そのプレッシャーを和らげてくれたのが、矢島の存在。
　
「合格保証」ではなく、「合格の素質判定」ですか？　桜木弁護士、いささかトーンダウンでは？　でも、なるほどな表現。言葉の使い方が本当に巧みです。でも、そこには嘘はなく、ホンネで語っているから、講師陣の信頼をしっかりと得ているのでしょうね。「吠える犬ほど繊細でナイーブ」というのが、柳評するところの桜木の高校時代。ドラマの評判がよければ、桜木の高校時代から弁護士になるまでの「スペシャル編」がつくれますね。
　
桜木の、神経を逆なでするような物言いに突っ込む井野に対して、自分はそうは思っていないという矢島。“桜木マジック”による生徒の成長の見せ方も見事でした。それにしても、「頭がからっぽ」という言い方もねぇ。たとえれば「乾いたスポンジ」とか、もっと言いようがあるでしょうに（笑）。
　
と、基本的には手放しでほめたいところですが、残念なのは、カット割りとカメラワーク。「基本に忠実にやってみました」な内容です。出来がひどい、と言っているのではありません。これまでは気にならなかったのですが、今回は、シナリオや演技の出来が光っていた分、見劣りがしてしまうのです。シナリオを読んで、現場で役者さんたちの演技を見て、演出＆撮影チームは、インスパイアされなかったのかな、と。何気ない日常シーンを処理の仕方は、米国ドラマのほうが何歩も先を行っていると思っています。たとえば、今テレビ東京で放映中の「トゥルー・コーリング」と比べてみてください。カメラワークは、段違いです。
　
長澤まさみは、映画デビュー作「クロスファイア」以来、結構出演作を見ていますが、「ドラゴン桜」でファンになりました。演技のうまさと役者根性は評価していましたが、今回はルックスに魅せられました（わりと着痩せするタイプなんですね）。その瞳に吸い込まれそうです。現在、役と同様、高校3年生とのこと。ドラマ内の各種ノウハウを、ちょっど実践できる立場にありますね。
　

2005年09月10日17:24

TBS「ドラゴン桜」第10話：友情か受験か？最後の決断

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目標に対して一丸となって向かっているグループ＆チーム物のストーリー（or 設定）では定番（or セオリー通り）ともいえる、仲間が脱落する話。挫折や人間関係などの感情的ないざこざ、神（＝脚本家や演出家）の気まぐれといったものではなく、単独エピソードとしての見応えはもちろんのこと、ドラマ全体に流れるメッセージとのつながり、登場人物たちの性格描写の掘り下げとしてもしっかり機能しているのは、シナリオと演出と演技の妙だったように思います。
　
突然、特進コースを辞めると言い出す水野（長澤まさみ）。それを聞いた桜木（阿部寛）は、ただうなずくだけで、理由を聞くことも、引き止めもしない。脳梗塞で倒れた母に代わって、小料理屋を切り盛りしていかなければ、というのが辞める理由。6人全員揃っての東大合格が絶対と信じる矢島（山下智久）たちと井野（長谷川京子）は、みんなで店を手伝うことにする。
　
これまでのことを通じて桜木を理解し、信頼している矢島たちは、納得が行かないからといって、これまでのような授業を放棄するようなことはせず、自分たちが使える時間のなかで、水野を精一杯フォローしようとします。教室でのシーンは、一見何気ないくだりですが、前話での桜木－矢島－井野の会話と同様、通して見ている視聴者には、桜木らの教えによる矢島たちの成長を物語るエピソードにもなっています。こういった単独と連続のつらなりが、連続ドラマの楽しさのひとつですね。
　
受験勉強と水野の店の手伝いを両立させようとする矢島たち。しかし、体力も集中力も長くは続かない。それに気づいた水野は、自分がみんなの足を引っ張っていることに気づき、これ以上はみんなの好意に甘えてはいけないと、手伝いを拒む。拒む水野の本心に気づいた矢島たちは、自分たちそれぞれにとって、今は何が一番大切なのか、何をやるべきなのかに気づき、さらなる気合を入れて、目標に向かって突き進む。
　
これまでありがちだった友情ストーリーにしないところに、まず好感です。柳と桜木の師弟のやり取りが絶妙。役への成りきり度を含めて、いいコンビですよね。矢島たちを本来の状態に戻すべく、水野は桜木に相談しますが、桜木は「自分で落とし前をつけろ」と突き放します。教師と生徒の強い信頼感が陥りそうな「信頼→甘え」「信頼→依存」の図式を断ち切るかのように。一見冷たく見えて、実は生徒ひとりひとりの性格や置かれた環境を見据えたうえでの対応＝桜木の持論＝生徒が自立するための“壁”としての対応になっています。
　
と同時に、水野に対しては、独習による東大受験を勧めます。講義形式にはない、時間の濃さがメリットであると。思いはみんなと一緒。進むルートが違うだけだと。桜木の真っ直ぐな目と、意思の強さそのもののような水野の目。母親に、心から勉強したいと語るシーンも印象的でした。桜木からの水野へのメッセージ、「俺が最も嫌いな言葉を一度だけ言ってやる」「がんばれ」「がんばれば、夢は必ず叶う」は、今回の名場面（長澤まさみの目の下のクマが、いささか気になりましたけど）。
　
このあと、どのような展開になるのかと思ったら、何と、9月から12月までを一気に駆け抜け、クリスマスに大晦日を通り越して、センター入試当日（東大模試と同じ部屋？）となる荒技。やはり本番ゆえの緊張感なのか、普段通りの力が発揮できなかったような矢島たちの様子が気になります。
　
除夜の鐘を耳にしながら、「もしかすると、全員ダメかもしれない」「俺が受験の神様だったら、あいつら全員を合格させてやりたい」と、珍しく気弱なセリフを吐くに桜木。実は、こっちのほうが、桜木本来の性格なのでしょうか。そこに現われた理事長（野際陽子）。「ならば、祈りなさい」「ドラゴン桜の神様に祈るのです」との言葉は、「トリック」の「山田里見」のようです（笑）。
　
「9月10月は得意教科を伸ばして、11月12月に弱点克服」「耳にした英文を即、続けて繰り返す“追い読み”学習」「気が散る時期は、暗記物を中心に行なう」などなど。今回も講師陣から“なるほど”なノウハウが語られますが、時間の都合であっさりと流します（来年の入試事情に合わせて、原作のノウハウをブラッシュアップしていますね）。ドラマはまだ終わっていませんが、このあたりも含めて、もっとじっくり描いてほしかったような心残りを感じます。
　
さて、次週が最終回。15分の拡大版です。予告編にあった桜木のセリフ「お前ら、胸を張って生きて行け！」が、引っ掛かります。どちらかというと、落ちた相手への励ましの言葉のように取れますので……。
　

2005年09月17日05:00

TBS「ドラゴン桜」第11話（最終回）：お前らはもうバカじゃない！運命の合格発表！

カテゴリ: ドラゴン桜; ［TBS］金曜ドラマ

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最終回。ドラマの内容が内容ですから、物語の焦点は、特進クラス6人の合否です。原作ではまだ二学期がスタートしたばかりですので（今週は「東大生と一般人の“楽すること”の捉え方の違い」。おもしろいです）、原作を追い越しての物語の決着（合否）は、テレビドラマのオリジナルになります。
　
結果は、東大合格への第一関門、センター試験は全員突破で、二次試験は矢島（山下智久）と一郎（中尾明慶）とよしの（新垣結衣）が合格で、英喜（小池徹平）と麻紀（サエコ）は力及ばず不合格。水野（長澤まさみ）は、母親の病状の悪化に伴う付き添いのため、2日目の試験を受けられず、途中棄権。ただし、合格した矢島は、家計の負担を考えて進学せず、独学で司法試験を目指し、英喜と麻紀は来春の再チャレンジ目指して浪人に。
　
物語の焦点でもあり、原作ではまだ描かれていない部分を扱う場合は、原作者から制作サイドへの注文等はあるのでしょうか？　そのあたりの事情はわかりませんが、水野を入れて3勝3負という落とし所は、無難なところだと思います。全員合格では、テレビドラマとはいえ、ご都合主義に映り、全員不合格では、ストーリーとして救いに欠けますので（このドラマの場合は、冒頭のナレーションにも反することになりますし）。合否を半々にし、あえて受かった側に「進学せず」という予想外のカードを用意するなど、結論を一点に集約させず、多様性と含みを持たせたまとめ方は、うまいやり方だと思います。
　
桜木は、誰よりも、落ちた彼らの想像を超えた努力を知っているだけに、報われなかった結果に対して、深い悲しみを抱いていたのでしょう。阿部ちゃんの演技（演出）とシチュエーション（前話での弱気な言葉）もあり、今回の桜木は、結構感傷的に見えました。でも、矢島も指摘していましたが、そこに、桜木本来の人間性＝温かさを感じました（だから、うだつが上がらないのかもしれません）。
　
ただ、水野の母の件は、物語の必然性というよりも、「多様性と含みを持たせての3勝3負」に持って行くための、制作サイドの都合のような展開にも映りました（それこそが、物語の必然性なのだ、言われるかもしれませんが）。水野視点では、母に振り回されて生きてきて、その呪縛から逃れる意味でも東大を目指していたわけですから、合否はともかくとして、その母の元に戻る展開は（母子の関係は改善されたとはいえ）、何となくすっきりしません。井野の好フォローで何とか受験に間に合った、ありがちかもしれませんが、そんな展開のほうが救いがあってよかったと思います。ある意味、不合格よりもつらい結末だったと思いますので。
　
一郎の弟・次郎（水谷百輔）は、最後まで根性が腐った奴で終わりました。落ちたのは、その報い、とも取れるような描かれ方でしたが、僕は、「賞味期限の切れたサンドイッチ」のエピソードは、なかったほうがよかったと思います。というか、入れたことに疑問を感じます。あえて、ここで、姑息な手段を取らせるよりも、ふたりのセンター試験の結果と、両親の期待値や家庭内ポジションの変化などの描写などを入れたほうが、ふたりの対比（兄の自信と弟の焦り）の面でも、このドラマのテーマにも関わるサイドエピソードとしても、はるかに効果的だったと思いますので。
　
と、最後の試練については、僕は否定的です。小細工なしに、直球勝負でドラマを締めてほしかったと思います。テーマ、メッセージ、配役と演技など、見どころ満載のドラマでしたが、ここが一番の不満でした。
　
井野（長谷川京子）は、桜木イズムの伝承者なんですね。桜木は、買っている奴にしか文句は言わないという、ドラマ半ばで矢島が言っていた“設定”が、ここにつながってきました。落ちた英喜と麻紀をサポート役として引き入れた流れも、前向きな雰囲気をかもしだしていて、効果的な展開だったと思います。
　
予告編にあった桜木（阿部寛）の言葉、「お前ら、胸を張って堂々と生きろ！」は、勝者敗者それぞれに向けての発したものでした。「人生には正解がいくつもある」「生きることに臆病になるな！」「自分の可能性を否定するな！」「努力次第で超えられない壁はない！」などなど。最後まで素晴らしい桜木語録の数々。しかも今回は「！」を入れずにはいられないものばかり。
　
英喜の「学歴は自慢にならないけど、その努力は認める」という父親を認めるセリフは、桜木の言葉と表裏一体に聞こえましたが、矢島の「知らないというのは、実はとても怖いことだ」というセリフは、原作の世界観とも、桜木のキャラクターとも異なるように思えます。これは、脚本家からのメッセージでしょうか？
　
前にも書きましたが、ドラマ内では、桜木の過去があまり描かれませんでしたので（柳とのやり取りに少しありましたが）、スペシャル編等があれば、桜木の高校時代から弁護士になるまでを、ぜひ見せてほしいと思います。
　
　
>> 連続ドラマ、夏クールを振り返って思うこと
　

2006年05月12日19:30

「ドラゴン桜」の桜木建二が説く、勝者の言い訳「たら・れば」思考

カテゴリ: ドラゴン桜; ［気になる言葉と数字］

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5月11日発売「週刊モーニング」最新号「No.24」掲載、三田紀房「ドラゴン桜」のなかで、桜木の言葉として語られている言葉です。
　
ケアレスミスで点数が伸び悩む矢島に、桜木は、ミスの原因を問うことで同じミスを繰り返さないようにと反省を促しますが、言い訳をよしとしない矢島は、取り合いません。言い訳するぐらいなら、東大受験をやめるとまで言い出す矢島に、桜木は、矢島の家庭教師を介して、この言葉を伝えます（で、矢島は立ち直るという、結果はいつものパターンですが）。
　
言い訳は、「いい言い訳」と「悪い言い訳」があると。よくない言い訳は、「くよくよしないで気を取り直して、次はがんばろう」といった類のもの。いい言い訳は、できる人間が使う「勝者の言い訳」＝《「たら・れば」思考》であると。失敗の原因を検証し、その分析結果を次に活かすことで、「同じ失敗を二度と繰り返さない」＝「失敗から学ぶ」ことにあると。
　
「言い訳」という“行為の型”ばかりに目を奪われて、とかく否定しがちな「言い訳」ですが、それを切って捨てず、明日のために活かす発想の切り替えです。物語のなかで桜木が語る言葉は、そのすべてが新しいものばかりではありませんが、物語のシチュエーション設定が巧みであるため、ハッとさせられることが少なくありません。
　
ちなみに、コミックのほうは、これから受験の追い込み段階に入るところで、試験本番は、まだ少し先です。
　

2007年07月02日17:40

講談社「週刊モーニング」連載、三田紀房「ドラゴン桜」がついに最終回！

カテゴリ: ドラゴン桜; ［コミック］

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2003年から連載が始まった三田紀房の「ドラゴン桜」が、6月28日発売の「週刊モーニング」No.30にて、ついに最終回を迎えました。
　
連載中の2005年7月～9月にテレビドラマ化され、最終回ではドラマ版としての東大受験結果が描かれましたが、それから1年9か月を経ての原作の最終回、結果は水野が合格、矢島は15点及ばず不合格でした。しかし、落ちた矢島も心は晴々としており、受験に失敗したのではなく、点が足りなかっただけであると。来年は大丈夫だと。そんなたくましさと清々しさ。もう今までの矢島ではありません。桜木が当初描いた目論見通りのふたり揃っての合格には至りませんでしたが、落としどころとしては最も妥当な（予定調和な終わり方という指摘もあるかもしれませんが）、納得と感動の最終回でした。
　
本作は、東大合格に的を絞り、ベテラン講師の経験と科学的な考察と戦略に裏打ちされた効果的・効率的な受験テクニックをもとに、偏差値ランクの合格圏の遥か下から、短期間で現役合格を図るという大胆な内容が注目を集めましたが、単なる受験ハウツーに走らず、ふたりの落ちこぼれ高校生の、ありきたりな成長物語に終わらない作品になりました。
　
勉強が嫌いで仕方がなかった水野と矢島が、最初は強要されたからとはいえ、何とか勉強を続けるうちに、勉強に対する達成感を感じるようになり、さらには、勉強をしないことに不安を覚えるようになり、次第に勉強が楽しいものと感じるようになり、最終的には、もっと知りたいと、知ることの喜びを得ます。読んでいるこちらも、水野と矢島同様、知ることの楽しさを再確認することになりました。
　
水野の合格という宣伝効果により、龍山高校の入学希望者は12年ぶりに定員越えになり、経営の建て直しの目処も付き、桜木は、依頼を受けた新たな学校を訪れるところで物語は終わります。
　

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アーカイブ（2005年5月～）

伊達でございます！

埼玉生まれ。「太陽にほえろ！」のサウンドトラックの素晴らしさから、テレビドラマを見るようになりました。小学校4年時に体育館で生オーケストラを聴いてクラシックが大好きに…。初めて買ったクラシックのレコードは、スッペ「軽騎兵／詩人と農夫」のEPと、バーンスタイン「運命／未完成」とセル「ベト9」の2枚組LP。初めてのオペラは、銀座・ヤマハホールで見たベルイマンの映画「魔笛」。中学の吹奏楽部（ホルン）で演奏することの楽しさを、高校の頃に通った銀座・日立ローディプラザの生録会でフュージョンに出会うとともに、音楽録音の魅力を知りました。

＜お気に入りの曲＞
◆東海林修「ディスコ・キッド」◆大野克夫「太陽にほえろ！」◆冬木透「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」◆宮川泰「宇宙戦艦ヤマト」◆岡村孝子「未知標」「潮の香りの中で」「ひとりごと」「愛を急がないで」「天晴れな青空」「晩春」◆薬師丸ひろ子「元気を出して」「トライアングル」◆麗美「国際線」「君の友達でいたいから」◆荒井由実「卒業写真」「海を見ていた午後」◆松任谷由実「最後の春休み」◆大貫妙子「会いたい気持ち」「黒のクレール」◆辛島美登里「Merry Christmas to You」「Silent Night －祈り－」◆今井美樹「野性の風」「瞳がほほえむから」「セカンドエンゲージ」「Peace of My Wish」「Miss You」◆飯島真理「Melody」「シグナル」◆宮里久美「背中ごしにセンチメンタル」◆米屋純「水色時代」◆高橋洋子「魂のルフラン」◆古内東子「うそつき」◆MISIA「忘れない日々」◆笹川美和「金木犀」「向日葵」◆柴田淳「ため息」「夜の海に立ち...」◆熊木杏里「最後の羅針盤」「朝日の誓い」◆池田綾子「ひとつの願い」「月」「プリズム」◆諫山実生「手紙」「Eternal Love」◆平原綾香「孤独の向こう」◆arp「まぶた」◆lisa「Will」「TIME IS ON MY SIDE」◆山﨑麻衣美「We are the Stars」◆Chocolove from AKB48「明日は明日の君が生まれ」◆城南海「誰カノタメニ」「ワスレナグサ」◆沢田研二「ヤマトより愛をこめて」「時の過ぎゆくままに」◆布施明「愛よその日まで」◆町田義人「戦士の休息」「長距離ランナー」「愛」◆さだまさし「療養所」「道化師のソネット」「親父の一番長い日」◆浜田省吾「愛という名のもとに」「Midnight Flight」「J.BOY」◆橋本仁「青空になる」◆中孝介「路の途中」◆Mr.Children「HERO」「HANABI」◆SEAMO「Continue」◆EARTHSHAKER「EARTHSHAKER」「WALL」◆X JAPAN「Rusty Nail」◆プリズム「KARMA」「MEMORY OF THE MOMENT」◆カシオペア「朝焼け」「GYPSY WIND」「EYES OF MIND」◆スクェア「いとしのうなじ」「TRUTH」◆クロスウィンド「そして夢の国へ」◆YOU「BALLAD 9.36」◆鳥山雄司「GHETTO PEOPLE」◆柴田敬一「まどろみのなかで」◆YMO「1000 KNIVES」「MAD PIERROT」「TECHNOPOLIS」◆Maynard Ferguson「Gonna Fly Now」◆TANGERINE DREAM「NETWORK 23」◆YANNI「DANCE WITH A STRANGER」「NOSTALGIA」「SANTORINI」「PATHS ON WATER」

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