2008年12月03日

「ジンジャエール」と「ジンジャービア」

今日は、前回、アサヒの「ジンジャードラフト」を紹介した際に話の出た「ジンジャエール [ Ginger Ale ] 」と「ジンジャービア [ Ginger Beer ] 」について、もう少し掘り下げたお話をしたいと思います。

実は、お酒について書かれたいろんなサイトを見ていると、『「ジンジャービア」は「ビア [ BEER ] 」という名前がついているけれどノン・アルコール・ドリンクです』というような説明がなされていることがあります。

確かに、現在では「ジンジャービア」という名前のノン・アルコール飲料が多く出回っているので間違いとは言えないのですが、本来の「ジンジャービア」は、生姜、砂糖、水に酵母を加えて発酵させた飲料のことですので、度数の強い弱いはあるにせよ、アルコール飲料であったはずです(ただし、日本では酒税法上、アルコール度数1%未満のものをお酒とみなしません)。

さらに、発泡しているのはビールやシャンパンと同じく、自然発酵する過程で発生した炭酸ガスによるものですので、元々は炭酸水を加えて発泡させていたわけではありません。

これに対して「ジンジャエール」は、1904年に「カナダドライ」が開発した製品が最初で、炭酸水に生姜エキス(絞り汁)、砂糖、香料などを加え、カラメルなどで着色していたそうですから、両者は全くの別物だったはずなのです。

わかりやすく言えば、本来は「ビール」と「麦芽シロップのソーダ割り」くらいの差があったわけですね(笑)。

ちなみに、開発当初の「ジンジャエール」には、しっかり生姜エキスが入っていたそうで、現在のものに比べるとかなり生姜の刺激がキツかったんだとか。

現在、コンビニなどで手に入る一般的な「ジンジャエール」は、生姜エキス(絞り汁)すら入っておらず、代わりに、ほのかに香る程度の生姜の香料を使っていますので、最近では「ジンジャエール」が生姜風味の炭酸飲料であることをご存じない方も多いようです。

なお、数年前に、当時の製品を模した「カナダドライ・クラシック・ジンジャエール」が発売されましたが、生姜の刺激はそこそこあるものの、やはり生姜エキスではなく香料が使用されていたのを覚えています。

時代と共に、生姜の刺激が一般ウケしなくなり、大手飲料メーカーがこぞって生姜の香料を控え目にした結果なのかも知れませんが、個人的には、生姜の香りすら感じられない炭酸飲料を「ジンジャエール」と呼ぶことに違和感を感じてしまいます。

ま、そもそも「エール [ Ale ] 」とは苦みの強いビールのことを言うはずなので、「ジンジャエール」という名称自体がおかしいとも言えるんですが…(笑)。


ところで、ビールと言えば、常陸野ネストビールの「リアル・ジンジャエール」や、日本ビールがライセンスで国内製造している「ジンジャービア」のように、ビールの製造工程で生姜エキスを加えたものを「ジンジャエール」や「ジンジャービア」と呼んでいることがあります。

味的には、前回紹介したアサヒビールの「ジンジャードラフト」に似ているんですが、「ジンジャードラフト」は完成したビール(発泡酒)に生姜の香料を加えた製品ですので「ビア・カクテル」もしくは「フレーバード・ビア」的なもの、これに対して、「ジンジャエール」や「ジンジャービア」と名乗っているビール系飲料の多くは、発酵させる前の段階で生姜エキスを加えたものですので、その名の通り「ジンジャー・ビア(エール)」ということになりますね。

その結果、今では、「ジンジャービア」という名前のアルコール飲料、生姜エキス入りのノン・アルコール飲料、生姜の香料入りのノン・アルコール飲料、「ジンジャエール」という名前のアルコール飲料、生姜エキス入りノン・アルコール飲料、生姜の香料入りのノン・アルコール飲料などが存在し、プロであるはずのバーテンダーの頭の中すら混乱させているわけです。

発泡酒に「ビール」という表示はできないわけですから、「ジンジャービア」という名前のノン・アルコール飲料を規制することもできそうなものですが、輸入品がほとんどでである上、一般ウケしにくい飲料だけに、なかなかそこまではできないのかも知れませんね。


さて、「ジンジャエール」を使ったカクテルは、「モスコミュール」「シャンディガフ」「サラトガ・クーラー」など、非常に数多くあるんですが、どれにどれを使うのが正しいのでしょうか。

これについては、バーテンダーによって見解が大きく異なるんですが、個人的には、飲む側の好みの問題であり、どれを使っても間違いではない、と考えています。

ただ、アルコール飲料の「ジンジャービア」を使うと、銘柄によってはアルコール度数がそれなりに高くなりますので、これをお店の定番で使うには注意が必要です。

また、生姜の刺激の強い「ジンジャエール」や甘くない「ジンジャービア」を使うと、お客様から、辛い、味がおかしい、まずい、といったご指摘を受けることがありますし、炭酸が弱めの「ジンジャエール」や「ジンジャービア」を使うと、炭酸が抜けてるというご指摘を受けることがあります(笑)。

つまり、手軽に入手できる「カナダドライ」のような「ジンジャエール」に慣れておられるお客様が多いため、他のものを使う場合は説明が必要になってくるわけですね。

そう考えると「カナダドライ」を使うのが無難ではあるんですが、ここでそれぞれのお店のこだわり具合を見せることは可能なわけですから、冒険してみて損はないと思います。

ま、好き嫌いの激しい飲料だけに、ここの選択は難しいところですが…。


ちなみに私のやっていたお店では、オープン当初から数年間、「ウィルキンソン」の辛い方のジンジャエールだけを使っていたのですが、当時は今ほど知られてはいませんでしたので、ちょっとした看板メニューになってくれました。

しかし、辛くない普通のジンジャエールを希望されるお客様も多くおられましたので、同じく「ウィルキンソン」の普通のジンジャエール(「Dry」と表示のある方)、また、本格志向のお客様もおられましたので、「フェンテマンス」のジンジャービアーと種類を増やし、いつの間にか「ジンジャエール」を使用するオーダーに対して、いちいちお客様の好みをお聞きするという面倒くさいことになっていました(笑)。

まぁ、これはこれで親切ではあると思うのですが、決してスマートとは言えませんので、通常は一般的な「ジンジャエール」を使い、指定があった時にだけ他のものを使う、もしくは、それぞれのバーテンダーのこだわり、もしくは、考え方に沿った銘柄を一種類絞り込んで使い、初めてのお客様には説明をしてから作る、というのもアリだと思います。

なお、ウィルキンソンのジンジャエールは、なぜか「Dry」と表記のある方(ピンクの三角マーク)が「カナダドライ」的な味で刺激が弱いです。
生姜の刺激の強い方(赤茶の三角マーク)には「GINGERALE」という表記しかありませんので、お求めになる際にはご注意ください。


さて、ここで、手軽に通販で購入できる生姜風味の強い「ジンジャエール」と「ジンジャービア」をいくつか紹介しておこうと思います。

それぞれ楽天の検索結果をリンクしておきましたので、興味を持たれた方はこちらもご覧ください。

ちなみに、個人的な好みではありますが、入手の容易さ、値段、味の面で、ウィルキンソンの辛い方の「ジンジャエール」か、フェンテマンスの「ジンジャービア」をおすすめします。


<ジンジャエール>

☆ウィルキンソン・ジンジャエール [ Willkinson Ginger Ale ]
ウィルキンソン小
・英国産(日本でライセンス製造)
・190ml
・ノン・アルコール

●こちらが生姜の風味の強い、いわゆる辛い方のジンジャエールです。
他のものに比べると色が濃く、見た目からして違います。
未体験の方はまずこれをお試しになってみてください。
ジンジャエールの概念が変わるかも知れませんよ。

 →楽天で『ウィルキンソン・ジンジャエール』を検索


☆はかた寿賀や・n.e.o・プロフェッショナル・プレミアム・ジンジャエール
n.e.o
・日本産
・95ml
・ノン・アルコール

●老舗バーSAMBOAプロデュースの、微炭酸で生姜風味のかなり強いプロ志向のジンジャエール。
モスコミュールに使うと炭酸をほとんど感じないのは好き嫌いの分かれるところですが、個人的にはこの味にかなり惹かれます。

 →楽天で『N.E.O・ジンジャエール』を検索


☆常陸野ネストビール・リアル・ジンジャエール
リアルジンジャー
・日本産
・330ml
・アルコール度数 7%

●ビールの製造工程で生姜エキスを加えたタイプ。
生姜の刺激はしっかりありますが、ビール系飲料としてはアルコール度数が強い方なので、変わり種の地ビール感覚でこれ自体を単品で飲む方が良いでしょう。


 →楽天で『常陸野ネストビール』を検索



<ジンジャービア>

☆フェンテマンス・ジンジャービア [ Fentimans Ginger Beer ]
フェンテマンス
・英国産
・275ml
・アルコール度数 0.5%未満(日本ではソフト・ドリンク扱い)

●生姜の辛みの利いたバランスの良いジンジャービアです。
やや割高ですが、ウィルキンソンの辛い方より色が薄めで、味がしっかりしているので使い勝手は良いですね。

 →楽天で『フェンティマンス・ジンジャービア』を検索


☆パノコ・ジンジャービア [ Panoco Ginger Beer ]
パノコ
・米国産
・355ml(缶入り)
・ノン・アルコール

●ファンテマンスに比べればマイルドですが、生姜の辛みはしっかりあります。
缶入りしか見たことがないので、酒場では少々使い勝手が悪いかも知れません。

 →楽天で『パノコ・ジンジャービア』を検索


☆ジンジャー・ビア [ Ginger Beer ]
ジンジャービア
・英国産(日本でライセンス製造)
・330ml
・アルコール度数 4.5%

●ビールの製造工程で生姜エキスを加えたタイプ。
炭酸が弱めで砂糖が加えられていないので甘くないカクテルができますが、単品で飲むにせよカクテルに使うにせよ、ちょっと中途半端な印象はあります。
しかし、ドンキホーテなどでも販売していましたので、比較的容易に手に入るはずです。

 →楽天で『ジンジャービア』を検索



最後に、お手元に一般的なジンジャエールしかないという方のために、ちょっとした裏技を紹介しておきます。

ジンジャエールを使ったカクテルは、レシピに生姜の絞り汁を加えることで生姜の刺激を加味することができます。

生姜の絞り汁は、新生姜でも土生姜でもそれぞれ違った個性が楽しめますが、面倒でしたら、手軽な「チューブ入りのおろし生姜」を使うのもアリかと思います。


また、賞味期限はやや短めですが、市販の「ジンジャーシロップ」をソーダで割ってジンジャエールとして使うのもアリだと思います。

ただ、「ジンジャーシロップ」も、生の生姜が入っているものと生姜の香料を使ったものがありますので、本格的な味を求めておられるなら、生姜が沈殿しているタイプをオススメします。


あと、「モスコミュール」に限って言えば、ウォッカに生姜の千切りを漬込んだ「モスコ専用のウォッカ」を作っておくのもテです。

生姜を入れてからわずか数日で辛みは出てきますし、ウォッカだけあって日持ちしますよ。


機会があれば一度お試しになってみて下さい。



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davidbatt at 23:42│Comments(3)TrackBack(1)ソフトドリンク | バーテンダーの知恵袋

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1. アルコール  [ アルコール ]   2008年12月04日 12:37
ダイエット

この記事へのコメント

1. Posted by 有限会社サンボア   2008年12月05日 09:17
この度は弊社「n.e.oプレミアムジンジャーエール」をご紹介いただきまして、
誠に有難うございます!!

今後ともよろしくお願い申し上げます。
2. Posted by Ile de France   2009年01月02日 22:19
5 はじめまして。このブログを初めて見せていただきましたIle de Franceと申します。

カクテルにはまったきっかけは、モスコミュールでジンジャービアーを使って出された時でした。

ジンジャービアが「正式」なのを全然知らず、居酒屋のモスコしか知らなかった事を中年になった今恥じていました。

改めて、ブログのように整理していただけるとわかりやすくて、大変参考になります。

3. Posted by 角谷勝巳   2012年10月02日 21:51
モスコミュール、チューハイに毛が生えたようなものと盲信してましたが実に奥が深い。ジンジャーが効いた超辛口を飲ってみたい。

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