2009年08月10日

小説紹介兼レビュー@きみとぼくの壊れた世界

最近あついっすね。だらだらしている内に夏が終わっていくがするだっくすです。みなさんお久しぶりです。
このブログをどうしようか。と常々思ってきました。
日記はmixiに書いてるしメルブラの公開するようなネタもあんまりやってないんで書くものも無いですし。
あ、月光再輝はなんだかんだでベスト8までいきました。アチョで勝ったの初めてじゃね?


さて、タイトルにもあるようにレビューをこっちに書いていこうかなと思います。
実は私結構小説読むんです。中でも推理小説が好きで高校時代からちょくちょく呼んでいます。
レビューというのに少しあこがれていた面もあって書いていこうかなと思い立った次第です。

さぁ記念すべきレビュー初作品となるのがこれ!

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
著者:西尾 維新
販売元:講談社
発売日:2003-11
おすすめ度:4.0
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著西尾維新の「きみとぼくの壊れた世界」です。
ちなみにこの本はハードカバーでも出版されています。それがこっち。

きみとぼくの壊れた世界きみとぼくの壊れた世界
著者:西尾 維新
販売元:講談社
発売日:2007-10-10
おすすめ度:3.0
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新書サイズのほうには登場人物である病院坂黒猫が書かれていて
ハードカバーのほうは赤を基調に「壊」と書かれたデザインとなっております。
ちなみに私は両方持っていますw

著者の西尾維新は最近アニメ放映がされている「化物語」の原作者でもあります。
勿論視聴してます。ガハラさんいいっすわ。

レビューを書くにあたって色々考えたんですがやっぱりこの作品かなと。
なぜなら西尾維新の作品の中で最も好きな作品であり西尾維新にハマったきっかけとなった作品だからです。
ではそろそろレビューいってみますか!!

まずはwikiからこの作品の変遷とあらすじを。

『きみとぼくの壊れた世界』(きみとぼくのこわれたせかい)は西尾維新によるライトノベル作品。世界シリーズ第1作目。イラストはTAGRO。講談社発行の雑誌『メフィスト』に掲載された「もんだい編」に書下ろしの「たんてい編」・「かいとう編」・「えんでぃんぐ」を加えたもの。

あらすじ
主人公・櫃内様刻は、妹である櫃内夜月を溺愛している高校生。友人である琴原りりすや迎槻箱彦、保健室通いの天才・病院坂黒猫などにかこまれ、平凡な生活を送っていた。ある日様刻は、夜月にちょっかいをかけた彼女のクラスメイト・数沢六人に制裁を加える。しかしその翌日、彼が校舎内で死体となって発見される。様刻は病院坂とつき合わされ、事件の謎を追うこととなる。


この小説はwikiにもあるように「ファウスト」という雑誌に「もんだい編」が掲載され犯人当てを企画した「読者参加型小説」だといえます。
似たような形態のものとして東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」などがありますね。
そういう変遷もあるので「もんだい編」だけでも犯人を当てることは可能になっております。

少しあらすじを読めば分かると思うんですが、すっげぇ名前ですwちなみに主人公は「ひつうちさまとき」と読みます。
濃いのは名前だけではなくキャラのぶっとんだやつだらけです。特に妹である夜月と病院坂がすっごいです。
だが、そこで引いたらこの作品はとてももったいないと思います。

そして先ほど名前を出した病院坂黒猫というキャラが個人的にクリーンヒットでした。
黒猫さんの饒舌っぷりがとても好きです。話しているときの元気っプリがたまりません。
この様刻と黒猫の会話もこの小説の魅力のひとつです。同著の「化物語」に通ずるものがありますね。

さて、肝心の推理部分なのですが推理小説をたくさん読んでいる方には少し物足りないと感じるかもしれません。
それでも私は楽しめましたし上手いと思わせるところもありました。
読者参加型の作品としてはちょっとずるいかも?と思わせるところもありましたが。

そしてこの小説は一番重要な部分は「えんでぃんぐ」だと私は思っています。
「えんでぃんぐ」を初めて読んだ時の感想を是非とも大切にしてください。
あなたの抱いている感情はきっと正しいはずです。

そしてもし良かったら読み終わった後にもう一度読んでみてください。是非とも何度も読んで下さい。
あなたの感想は変わるでしょうか。変わっていたら幸いです。

推理部分としては少し物足りない、キャラも濃くライトノベルの様に感じる方も多いはずです。
それでもこの作品はどんな推理小説よりも推理小説です。少なくとも私はそう思います。

以上小説紹介でした。

この文章を読んで既読の方には私の言いたいことがよくわからないというかたもいるはずです。
それで正しいです。それでもこういう考え方もできるという蛇足を付けたいと思います。
この先は未読の方はご遠慮したい重要部分のネタバレです。是非一度読んで考えてから読んで下さい。
この小説は「読者参加型小説」なのだから。

小説をそのまま読んだとしたら私の評価は「中の上」、アマゾンなら3、5星をつけます。

しかし「えんでぃんぐ」におけるラストの一文が
俺にとってこの小説が西尾小説の中で一番好きと言わしめる要因であり、
今までの伏線と呼ぶにはか細いものを伏線たらしめています。

違和感に気づいたのは3回目を読み終わった時。これはミスなのか?と思い確認してみてゾクっとしました。

あの時の完璧なまでの敗北感は今でも忘れられません。その後に浮かんだのは流石という言葉。
この小説に厳密な答えはないでしょう。個人が思うように解釈するのが一番だと思いますし答えは書いてありません。

では感想の変化と共に始めましょう。

最初読んだ時の感想。
まず一言。困惑。なんでああいう展開からこうなるの?という読者の置いていかれっぷりがすごい。
そしてそのまま終わる。読者からしたら「はぁ?まじ意味分からん」となること請け合い。
勝手に行けばいいだろ!とちょっと呆れ気味。

2回目読んだ時の感想。
トリックとかの確認で感心。色々な雑学を覚えだす。
みんなが幸せな世界でいいんじゃね?だけどお前その前でムッチャ凹んでたじゃん!
愛しの彼女に会いにいくんだな〜。と会話風景をちょっと考える。

3回目読んだ時の感想。
色々なシーンのセリフ回しが頭の中に入っている状態。
しかしこの小説はくろね子さん一強だな!まぁこの最後はやっぱ納得いかんけど。
あれ?このセリフ前にどっかで・・・・あーやっぱりね・・・・うん?・・・・あれ??

このように感想が変化していった「きみとぼくの壊れた世界」をこの小説たらしめいる「えんでぃんぐ」の感想です。

この結末は最悪だ。
いわゆるギャルゲーならハーレムエンドですね。小説の中で選択肢が何度も見えるのでそういう意味合いも強いでしょう。
全員と仲良く暮らしていける世界。
結果だけを見ればこれが一番ベストなんだろう。
しかしこの終わり方は納得できない違和感がある。それについて考えたい。
この終わり方には一人だけ絶対に納得していない人がいるはずだ。

そう櫃内様刻本人である。

彼は選択の自由がない世界に窮屈感を抱き、妹との関係に一応の解決を見たとき「終わりの続き」と称していた。
そんな彼がこんな圧倒的に「完結」して選択肢の無い世界に納得しているはずがない。
ではどういうことなのだろうか?それを考えるための駒は「えんでぃんぐ」に出揃っている。

「えんでぃんぐ」の最後はこう締められている。

”気分がいいので保健室に行こう。”と。

この文だけやけに浮いているとは思わなかっただろうか?好きな人に会いに行き終わると解釈すれば妥当か?
だがしかし待って欲しい。探偵編での琴原と屋上で会ったシーンの最後にはこうある。

”気分が悪いときにはどうするか?決まっている。保健室に行くのだ”と。

様刻にとっては保健室は”気分が悪い”時に行くものだったはずだ。
「好きな人」がいるから?いやそういう訳ではない。以前から友人としての黒猫には好いていたし
その数少ない友人に会いにいくときにでも保健室にいくのは”気分が悪い時”と言っていた。

この違和感に気づいたらその後は一直線。「えんでぃんぐ」に入る直前にはこういうやりとりがある。

「僕だけは何があっても騙されない。きみがたとえ世界中の全員を騙しても、
世界そのものを騙しても……僕だけは、きみの嘘を見抜いてあげる。
どんなことよりも優先して、きみの欺瞞を立証してあげる。だから、きみは大丈夫なんだよ、様刻くん。
きみの世界は、まだまだ、全然大丈夫なんだよ、様刻くん。きみの世界は、壊れていない」


そして「えんでぃんぐ」にはこの嘘を見抜いてくれるはずの病院坂黒猫は登場しない。会いに行く場面で終わりだ。

そう。彼は世界(≒読者)に対して嘘をついているのである。

だからこそのこの結末。出来すぎた終わり。
最悪すぎる結末だ。この小説の後味の悪さの正体がこれ。かなしい位嘘だとわかってしまう。
そして黒猫はこうも言っていた。警察は慎重になっているだけでもう気づいているかもしれないと。
様刻はそれでも自分の名前を書き忘れたと称された今にも壊れてしまいそうな世界を嘘をつき続けることによって繕い、直していく。
嘘をつき続けることは難しいとわかっても尚この結果が最悪に近いベストだと信じて。
まさしく彼は「ピースメーカー(破片拾い)」であろう。

冒頭でギャルゲーっぽいだと言っていたが、
あくまでこれは小説であり プレイしている人がいるとすればそれは様刻だ。
様刻は何度やろうが常に自分の最良だと思う選択肢を選び続けるだろう。

結末は一切変わらない。
この小説の表紙の見返しにこうある。

「人生は罰ゲーム」なのだと。

これで私のレビューは終わりです。
最後に断っておくとこれは俺の感想であり、こういう作品だと作者が考えて書いているとも限りません。
実際になんだこの終わり方。で終わっている人も多いでしょう。
小難しいことを考えずそれが正解なのかもしれません。

しかし、この作品が「読者参加型」の小説だったということ、解決編の締め方、ラストの文の対比等から こういう読み方も出来るんじゃないか。
と読者に考えさせることが出来るというのが素晴らしい。
ラストの一文だけで読者参加型「だった」小説が完結しても尚読者参加型の作品だとほのめかす事に成功しているということにただ驚きます。
そして西尾ならこういうこともしてくるんじゃないかという俺の期待も込められています。

こういう解釈で見ていくと
「心に傍線を引いてある」という表現や
箱彦の黒猫の売春云々の曖昧さもこの小説は謎がそのまま残ることがあるという
ラストの為だけにある伏線のような気がしてきませんか?

毎回新しい発見があったり解釈があったり感想も毎回違うという本に様変わりするはずです。

気づけば何度も読み返して色々なセリフを覚えてしまうあなたがそこにいるかもしれません。
あなたの感想はどうでしたか?


dax1124 at 01:22│Comments(2)TrackBack(0) 作品レビュー | 西尾維新

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この記事へのコメント

1. Posted by 通りすがり   2011年02月20日 00:53
5 この小説を読んで何かすっきりしなかったのでググってみたらこのページが出ました
まさしくその通りだお思います素晴らしい読解力だ
2. Posted by だっくす   2011年02月28日 20:25
あくまで僕個人の意見でありこういう読み方も出来るのでは?
という提示ですので自分の意見は大切にしてくださいね。
その上で考えに共感してくださるのであればありがたいことであり光栄です。
国語のテストなんてナンセンス。小説なんて自分の面白いように解釈するのが一番楽しめる方法なんですからね!誰もが楽しめればそれでいいと思います。

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