2014年05月03日

ゲーム音楽の演奏における著作権のお話

バナナフラペチーノ終わる前に飲みたい、2083の斉藤です。

たまたま考えてたネタがタイムリーになりそうなので書きます。

ゲーム音楽好きなら誰もが気になるゲーム音楽の演奏における著作権のお話。
厳密な法的な内容で書くと逆に分かりづらくなるので、
あくまで事例で分かりやすく書こうと思います。
(なので端折って書いてある部分もあります)


JASRAC信託かそうでないか

つまるところゲーム音楽演奏における著作権の難しさはここに集約されます。
(“難しさ”と書いちゃうとネガティブなイメージ持たれそうですが)

これまでポップスや映画、テレビの音楽など9割以上JASRACに信託されていたため、
コンサートの演奏や動画配信が成り立っていましたが、
ゲーム音楽は2割以下ともいえるJASRAC信託率のため成り立たない部分が多いです。
※ここでいうJASRACの中には他の同業信託会社も含むような形で書きます。

■クリーンなケース
結局のところクリーンに演奏や動画配信できるのが理想だと思います。
完全なクリーンというのは下記の二点を守った場合になります。

極端な話、下記二点を完全に守ってないと
いきなり内容証明とか送りつけられても文句言えません。

【1.演奏(または配信許諾)を守る】
JASRAC信託の楽曲はJASRACに申請、支払いをします(非営利の場合は免除の場合もあり)。

JASRAC信託されていない場合は、例えばゲームメーカーや
作家個人など権利を有しているところに連絡します。
(↑ゲーム音楽以外ではあまり事例のないことだった)

JASRACの包括契約がされているライブハウス(配信の場合は動画サイト)では、
JASRACに申請、支払いの必要はありません。
何を演奏したかをライブハウス(または動画サイト)に提出するのが理想です。
(仕組み上、支払いの分配に影響します)
※小〜中クラスのライブハウスの多くは包括契約されています。
※コンサートホールなどは基本的に包括契約されていません。
※youtubeやニコニコは包括契約されています。
※JASRACに信託されていない曲が包括契約に含まれてることは基本的にありません。
(つまりゲーム音楽の多数は包括契約が通じない)

尚、一概にJASRAC信託といっても演奏や録音など区分があり、
全ての区分を信託しているケースもあれば、
演奏はOK、動画配信はNGなど楽曲ごとに権利者が設定をしています。

【2.編曲許諾も守る】
公式で出版されている譜面を使用するか、権利者に直接確認をとりましょう。
※JASRACは編曲許諾の信託は行っておりません。
※キー変更や楽器変更だけでも厳密には編曲に該当します。

編曲許諾に関しては意外と無視されているケースが多いですが、
コンサートの演奏などでは権利者側も寛容な場合が多いです。
(問い合わせてもCDとか形に残らないものならチェックしないですよ〜みたいな)

ただし、公式で編曲許諾の連絡をするよう促がしているケースもあります。
例えばドラゴンクエストの作曲でも知られる
すぎやまこういちさんは公式サイトでも編曲について最近言及されました。

権利者側が編曲を気にするケースは大きく2つと言えます。
1つは原曲のイメージや構成を壊されたくない。
もう1つは出版されている譜面を使ってほしい(つまりお金になる)。

まとめ
・JASRACの包括契約と権利者が暗に編曲を許容していることで、
ほとんどのコンサートと動画配信が権利的には成り立っている。
(ゲーム音楽の多くは包括契約に含まれてないため成立しない部分が少なくない)

・JASRAC信託ではない場合、窓口がそれぞれ異なるので大変。


■よくありそうな質問
ここからはコンサートや動画配信に付随するところで、
よくありそうな質問をまとめていきたいと思います。

Q.JASRAC信託されているかどうか分かりません。
見づらくて重いですがこちらで頑張ってチェックして下さい。
尚、数は少ないですがしっかり信託されているゲーム音楽の楽曲もあります。
その中でも有名どころを挙げると「ドラクエ(すぎやまさん楽曲全般)」「MOTHER(3の一部除く)」
「クロノ・クロス(スクウェア退職後の光田さん楽曲)」などなど
※クロノ・トリガー、ゼノギアス等の在籍時に書かれた楽曲は非信託

Q.著作権法第38条ってのがよくわかりません
ざっくり説明すると非営利であれば演奏、上映、口述配信を許容するという内容です。
(動画サイトなど公衆送信にあたるものは除く)

このあたり認識も曖昧で提示しても権利者からNGになるケースがあるのが謎ですが。
(といって不毛な争いで心証を落としたくない)
ただ権利者側からは別要項の侵害などの理由付けも可能な部分もあります。
あと1,000人クラスのホールとか動画の視聴者数になるとやはり許容されない節もありますね。

Q.申請する前にコンサートの告知とか奏者募集とかしちゃって良いですか。
JASRAC信託されていない楽曲の場合、グレーな感じですが基本NGです。
なんらかの事情で許諾が降りなかった場合、もちろんコンサートは開催しないと思いますが、
その場合、権利者にも主催者にも不利益です。
※この辺は不特定多数が見れるインターネットを使うから問題になりやすい部分もあります。
例えば身内同士のメールのみで誘っている場合、ほぼ問題は起きないでしょう。

Q.流行の一発オケで某ゲームタイトルを演奏します。
コンサート名称にそのゲームタイトル名を入れてもいいよね。

これは演奏許諾とかとは別に確認が必要です。
同様にゲーム内で使われる固有名詞などを用いる場合も一応確認しましょう。

Q.2083WEBって権利守ってないコンサート載せないんでしょ。ヒドイ!
ごめんなさい。。守っててもたまに載ってないコンサートもありますが、
あれなんですよ。守ってない(グレーなレベルでも)の載せてると
2083で何かやるとき不都合が出て活動の幅が狭まっちゃうんですよ。。(実際何度かあった)

Q.JASRACに支払う金額は公式サイトでわかるけどそれ以外はどうなの?
これは経験上本当にそれぞれ対応が異なりますし流動的です。
JASRAC規定で計算する場合や一曲○○円で決まっている場合、
プロモーションと捉えて無料で大丈夫な場合、そもそも許諾が降りない場合、
こればっかりは問い合わせてみないと何とも言えません。

Q.任天堂の楽曲ってガードが固そうだけど
非営利であれば公式サイトの記載で許容されています。
有料の場合は確かに中々難しいと言われています。

Q.MOTHERとかポケモンもやりたいのに!!
前述の通りMOTHERはJASRAC信託が多いのでJASRACの規定に従えば問題ありません。
ポケモンは任天堂ではなく螢櫂吋皀鵑吠垢い討澆泙靴腓Α

Q.スマブラDXのアレンジは至高なので演奏せずにはいられない
無料ならOK、有料なら中々難しいですね・・・気持ちは分かります。

Q.ぶっちゃけ無視しても問題なくない?
JASRACはホント細かいところまでチェックしてますよ!
JASRAC以外の場合でも、いきなり文句言われても責任取れません。
(クリーンに活動しようと思ったときにペナルティ込みで精算が必要な時もある)

あと無視している側は必然的に気付かないですが、意外と権利者はチェックしていて、
人気あっても実は許諾対応に不備があってイベントに呼ばれないとかよくあります。
道徳的に言えばちゃんと守ってる人にとって権利無視は嫌な気分です。

Q.つまり守ってない人は悪ですか
権利的に言えばそうですが、リスクもある中、自己を犠牲にしても
音楽を広めたいというのはある意味高尚な考えとも言えなくもないです。
確かにここに書いてあること全部守るの大変だし、
そういうのがなかったらゲーム音楽も盛り上がってなかったかも。
まあでもまずは現状のルールを守ることが大事かと。

Q.JASRACはやはりカスラックですか
JASRACに信託されていないケースの方が大変な場合が多いので、
むしろJASRAC信託は神様くらいの勢いです。
確かに独占しすぎているので競合は必要だと思いますしやり方もアレな場合もありますが。

Q.ファルコムの楽曲が無料で使えるって聞いたけど
そうです!詳しくは公式サイトをチェックしていただく感じになりますが、
演奏だけでなくBGMに使ったりもOKです。
結婚式の入場で「TO MAKE THE END OF BATTLE」を流しても権利的には問題ありません。

Q.そいえば結婚式とか身内のイベントとかで演奏とかCD使うのってどうなの
この辺ってちょっとグレーですよね。色々内容にもよりますが。
(ちょっと前にご祝儀が入場料にあたるので非営利ではない!みたいな謎の言い分もありましたが)
まあでも例えばそのことをネットとかで書いたりすると
少なからず情報が広がる(煙が立つ)ことなので、
本当に私的な利用なら内に閉まっておくと良いかと。

Q.あるゲームの楽曲が好きすぎて演奏してみました。
色んな人に聴いてほしい!youtubeにアップしちゃおう!

冒頭に書いた内容ですがJASRAC信託曲なら編曲許諾のみ確認。
JASRAC信託されていない曲はメーカーなどの権利者に確認するのが確実です。
尚、動画サイトの許諾はコンサートでの演奏、
更には生放送より許諾が降りづらいと言われています。
これは再生数が流動的で例えば金額の算出などが難しいためです。

Q.あるゲームのサントラが好きすぎて色んな人に聴いてほしい!youtubeにアップしちゃおう!
ダメダメダメダメダメダメ!!
サントラとかの音源に関しては配信許諾とかとは別に原盤の権利があります。
これはCDのリリース元に確認しましょう。
というかまず許諾降りないです。CDの裏とかにもアップしちゃダメって書いてあるでしょ・・・

Q.あるコンサートを隠し撮りしちゃった・・・アップしちゃおう!
ダメダメダメダメダメダメ!!これはそのコンサートの主催にも確認が必要です。
そもそも撮影NGって顔がレンズの人とかがよく言ってるでしょ・・・
(前にコンサートで前の席の人がスマホでこっそり撮影しててかなり気分悪かった)
逆に主催者がOKで冒頭の二点が守ってあれば大丈夫です。


そんな感じで簡潔にまとめようと思ったけどかなり長くなった!
よくありそうな質問集は随時更新できるようにしてどこかにまとめたいなと思っています。

※尚、前の記事もそうでしたがなるべく公開されている情報の範囲内で書いてます。
※見方によっては誤解される内容もあるかもなので書き方とか訂正するかもです。
 
 
 

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Posted by dayotan at 22:29│コメント(3)
この記事へのコメント
大変勉強になります
一点、疑問点です

>Q.著作権法第38条ってのがよくわかりません
>ざっくり説明すると非営利であれば演奏や配信を許容するという内容です。

著作権法38条って非営利演奏の配信も許容するんでしたっけ?
私は包括にしろ個別にしろ権利者の許諾が必要だと思っていました
Posted by とおりすがり at 2014年05月06日 14:31
>とおりすがりさん

コメントありがとうございます。

すいません。配信の部分ですが、
動画サイトの場合、公衆送信権にあたるため
本文も訂正させていただきました。

包括契約の場合、原盤を使っておらず、
編曲許諾がクリアしている場合であれば問題ありません。
個別の場合は、要確認となります。
Posted by だよ at 2014年05月06日 16:33
ご対応ありがとうございます

著作権は、複数の権利者や権利がからんでいるうえ、
許諾の仕方もさまざまなので、整理するのが大変ですよね

引き続き勉強させていただければと思っています
それでは
Posted by とおりすがり at 2014年05月06日 17:00