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「教授のおかしな妄想殺人」

良くも悪くもウディ・アレンらしい作品。主人公の哲学教授は孤独でやる気がなく人生に絶望している。相手役は可愛くて頭のきれる女子大生で、好青年な彼氏もいて親公認の仲。しかし教授と女子大生はいつの間にか恋愛関係になり…と、またこのパターンかー、と。
だけどどうせもう、アレンのファンしか映画観ないだろうから、まあ、いいか。
無意味な人生に「目的」ができたとたん、輝きを取り戻し急に生き返ったような活力を得る教授。ブラック・ユーモアもきいている。
ホアキン・フェニックスはアレン作品の神経症的な主人公としてはいささか骨太だが、今回はそれも含めてよかった。「her」の時もだが彼は意外に繊細な演技ができる人だ。
最近お気に入りのミューズ、エマ・ストーンも相変わらずキュート。
こうして年1本のペースで新作を撮り続けることが、アレンにとってある意味リハビリなのだろうから、最後まで見届けるつもりだ。



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「マネーモンスター」

ジョディ・フォスター監督作品。本人の出演はなし。
「マネーモンスター」とは、ジョージ・クルーニーがMCを務めるテレビの財テク番組の名前。ショー的要素が強く、クルーニーの三枚目ぶり(おかしなダンスまで踊って見せた)と、暴走する毒舌が売りの人気番組だ。
彼が番組内で話したことを信じ、全財産を失った若者が銃と爆弾を持ち込みスタジオを占拠する。しかも生放送の真っ最中で、すべてが放映されているのだ。
冷静沈着な番組ディレクター役にジュリア・ロバーツ。犯人を刺激しないように指示を出しながら、株取引のからくりと企業の陰謀を暴いていくのだからすごい。
つかみは抜群、テンポもよく非常に手馴れた監督ぶりだ。特にダメ男たちの描き方が巧妙で、その上ユーモアにあふれている。これだけの内容を99分という尺の中に収めた手腕もすごいと思った。



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「ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン」

ミック・ジャガーがプロデュースしたJBのドキュメンタリー映画。彼をよく知るバック・ミュージシャンや関係者、雑誌ライターたちによる証言と実際の映像も散りばめている。
自分のバンドを成功に導いたビジネス面での手腕や、公民権運動での活動家としての顔など、一般的なはあまり知られていない一面も。意外にも社会派のドキュメンタリーなのだ。
プロデューサーはミック・ジャガーで、インタビュー映像もある。いかにJBの影響を受けたかという証言の後、彼のポーズや動き、ダンスを真似しているデビュー間もないストーンズの映像に、クスッとした。
JBの熱心なファンというわけではないけど…という人には昨年公開した劇映画「ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男」の方がわかりやすいかもしれない。JBの生い立ちや人生、人となりも伝わってくるし…