二〇〇七年如月廿六日

第61回 日本放送映画藝術大賞

第61回(2006年)
日本放送映画藝術大賞


最優秀作品賞
PICTURE OF THE YEAR

『フラガール』

フラガール昭和40年の福島県の寂れた炭鉱町を舞台に、常磐ハワイアンセンターの誕生までを情緒豊かに描いた痛快娯楽作『フラガール』。廃れゆく炭鉱では大幅な人員整理が行われていた。愚直に生きようとする人と、活気を失っていく町を再生させるために新たな可能性に書ける人。まだ日本が貧しくも美しかった時代を背景に、時代の荒波に立たされた炭鉱の厳しい日常と、少女たちの健気な姿をコミカルにかつ、生き生きと描きあげた。都会からやって来た落ちこぼれダンサーと田舎の娘たちが一致団結して、ラストシーンへと結実していくクライマックスは圧巻であり、蒼井 優が眩しいくらいの輝きを放ち、圧倒的な存在感を示した。

優秀作品賞
□ 『嫌われ松子の一生』
□ 『武士の一分』
■ 『フラガール』
□ 『雪に願うこと』
□ 『ゆれる』



最優秀外国映画作品賞
REIGN PICTURE OF THE YEAR

『硫黄島からの手紙』
LETTERS FROM IWO JIMA


硫黄島からの手紙クリント・イーストウッド監督が日米それぞれの視点から硫黄島の戦いを描いた二部作の日本編『硫黄島からの手紙』。硫黄島で米軍を翻弄した栗林中将の人となりを中心に据えながらも、無意味な精神主義を嫌い、全ての兵士の命を尊重し、現実的な作戦を展開した司令官をことさらに英雄視はしない冷静な視点から切り取る。現在の我々と変わらない心情を抱いた男たちが戦場という極限の場所に立ち、相手を苦しめてなお、畏敬の念を抱かせた日本の男たちの姿が綴られる。愛する者のために散っていく男たちの讃歌ではなく、善悪の価値観を超越した重みを漂わせた戦争映画として高い評価を受け、姉妹作の『父親たちの星条旗』と票を二分した。

優秀外国作品賞
■ 『硫黄島からの手紙』
   LETTERS FROM IWO JIMA
□ 『クラッシュ』
   CRUSH
□ 『太 陽』
   THE SUN
□ 『父親たちの星条旗』
   FRAGS OF OUR FATHERS
□ 『麦の穂をゆらす風』
   THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY


最優秀監督賞
DIRECTOR OF THE YEAR

根岸吉太郎
『雪に願うこと』

雪に願うこと1950年東京都生まれ。大学卒業後、日活に入社。78年映画『オリオンの殺意より情事の方程式』で監督デビュー。独立系製作の81年映画『遠 雷』が高い評価を集め、優秀監督賞を初受賞。その後も映画『ウホッホ探検隊』、『永遠の1/2』などを発表。一時は映画製作から離れるものの、98年映画『 絆 』で見事に復帰を果たす。本作『雪に願うこと』では北の大地の息吹を兄弟の葛藤や家族の絆に重ね、都会化現象の中で疎外される若者の姿を丁寧に描き出し、才能あふれる監督たちをおさえ、悲願の最優秀監督賞を獲得した。

優秀監督賞
□ 中島哲也
  『嫌われ松子の一生』
□ 西川美和
  『ゆれる』
■ 根岸吉太郎
  『雪に願うこと』
□ 山田洋次
  『武士の一分』
□ 李 相日
  『フラガール』


最優秀脚本賞
SCREENPLAY OF THE YEAR

西川美和
『ゆれる』

ゆれる1974年広島県生まれ。テレビマンユニオンの面接官だった是枝裕和監督にその意気込みを見出され、是枝組の映画『ワンダフルライフ』にフリースタッフとして参加。以後、諏訪敦彦監督の映画『M/OTHER』など、さまざまな日本映画の現場で活動した。03年映画『蛇イチゴ』で監督デビューを果たし、日本の典型的な家族の崩壊をシニカルに描いて、いきなり優秀脚本賞を初受賞するなど、注目を浴びる。本作『ゆれる』では兄弟の微妙な心の揺れを緻密な描写で仕上げ、自身の高い演出力と共に才能を傑出した。

優秀脚本賞
□ 加藤正人
  『雪に願うこと』
■ 西川美和
  『ゆれる』
□ 羽原大介/李 相日
  『フラガール』
□ 三谷幸喜
  『THE 有頂天ホテル』
□ 山田洋次/平松恵美子/山本一郎
  『武士の一分』


最優秀主演男優賞
LEADING ACTOR OF THE YEAR

渡辺 謙
『明日の記憶』

渡辺 謙 明日の記憶1959年新潟県生まれ。79年演劇集団・円に入団。87年大河ドラマ『独眼竜政宗』の主役・伊達政宗役に大抜擢され、卓越した演技力と圧倒的な存在感で人気を集める。89年映画撮影中に白血病に倒れるも、見事に復帰。国際派俳優としても活躍し、03年映画『ラストサムライ』では米アカデミー賞助演男優賞にノミネート。本作『明日の記憶』では若年性アルツハイマーに冒されていく主人公を熱演。病気が進行して自我が崩壊していく様を全身全霊で演じ、その俳優人生をかけた渾身の演技により最優秀主演男優賞に輝いた。

優秀主演男優賞
□ オダギリジョー
  『ゆれる』
□ 木村拓哉
  『武士の一分』
□ 佐藤浩市
  『雪に願うこと』
□ 寺尾 聰
  『博士の愛した数式』
■ 渡辺 謙
  『明日の記憶』


最優秀主演女優賞
LEADING ACTRESS OF THE YEAR

中谷美紀
『嫌われ松子の一生』

中谷美紀 嫌われ松子の一生1976年東京都生まれ。91年バラエティ番組「桜っ子クラブ」からアイドル歌手デビュー。93年ドラマ『ひとつ屋根の下』への出演を機に女優に転向。99年ドラマ『ケイゾク』では頭脳明晰ながら個性的な主人公、柴田 純を好演。03年映画『壬生義士伝』で優秀助演女優賞を受賞以降、映画を中心に活躍を続ける。本作『嫌われ松子の一生』では教師から風俗嬢、そして殺人犯にまで身を落とす主人公、松子の破天荒な人生をテンポよく熱演。歌や踊りだけでなく、特殊メイクにも挑戦し、演技の幅を見せつけてくれた。

優秀主演女優賞
□ 小林聡美
  『かもめ食堂』
■ 中谷美紀
  『嫌われ松子の一生』
□ 原田知世
  『紙屋悦子の青春』
□ 松坂慶子
  『るにん』
□ 松雪泰子
  『フラガール』


最優秀助演男優賞
SUPPORTING ACTOR OF THE YEAR

笹野高史
『武士の一分』

笹野高史 武士の一分1948年兵庫県生まれ。自由劇場などを経て、72年より俳優活動を開始。中村勘三郎の舞台「コクーン歌舞伎」などにも出演し、淡路屋の屋号を持つ。85年映画『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』以降、山田洋次監督作品には描かせぬ存在としてその名脇役ぶりを発揮し、多くの作品に出演する名バイプレイヤーである。本作『武士の一分』では主人公、三村新之丞を支える忠実なる中間・徳平を好演し、軽妙な存在感を残した。最有力と目された香川照之との大接戦を僅差で凌ぎ、名脇役の手に輝かしいスポットライトが照らされた。

優秀助演男優賞

□ 伊勢谷友介
  『雪に願うこと』
□ 大沢たかお
  『地下鉄に乗って』
□ 香川照之
  『ゆれる』
■ 笹野高史
  『武士の一分』
□ 玉山鉄二
  『手 紙』


最優秀助演女優賞
SUPPORTING ACTRESS OF THE YEAR

蒼井 優
『フラガール』

蒼井 優 フラガール1985年福岡県生まれ。99年ミュージカル「アニー」のポリー役に選ばれてデビュー。01年映画『リリィ・シュシュのすべて』で映画初出演。02年映画『害 虫』で脚光を浴び、優秀新人賞を受賞。ドラマ『高校教師』、『タイガー&ドラゴン』で存在感を発揮し、注目を浴びる。05年映画『男たちの大和 YAMATO』でも愛らしい存在感を残し、多くの感動を呼び起こした。本作『フラガール』では三ヶ月に及ぶ猛特訓を経てダンスに挑戦。ラストシーンでは輝くばかりの存在感を放って見事に演じきり、満場一致で最優秀助演女優賞に選ばれた。

優秀助演女優賞
■ 蒼井 優
  『フラガール』
□ 樋口可南子
  『明日の記憶』
□ 富司純子
  『犬神家の一族』
  『フラガール』
□ 桃井かおり
  『武士の一分』
□ もたいまさこ
  『かもめ食堂』


最優秀新人賞
ROOKIE OF THE YEAR

檀 れい
『武士の一分』

檀 れい 武士の一分1971年兵庫県生まれ。芸名は自身の本名である「まゆみ」にちなみ、同音の樹木「檀(まゆみ)」に由来。90年高校卒業後に宝塚音楽学校に入学。92年宝塚歌劇団に入団し、同年「この恋は雲の涯まで」で初舞台を踏む。99年月組男役・真琴つばさの相手役として大抜擢を受け、娘役トップスターに躍り出る。05年惜しまれつつ退団。その後もしばらくは舞台を中心に活動するが、本作『武士の一分』のヒロイン役にと、山田洋次監督からのラブコールを受け、映画初出演を果たす。純真無垢な美しさで献身的に夫を支える凛とした妻、加世を好演した。

優秀新人賞

□ 多部未華子
  『夜のピクニック』
■ 檀 れい
  『武士の一分』
□ 塚地武雅
  『間宮兄弟』
□ 松田翔太
  『長い散歩』
□ 真木よう子
  『ベロニカは死ぬことにした』
  『ゆれる』


最優秀撮影賞
FILMOGRAPHY OF THE YEAR

川上皓市
『紙屋悦子の青春』

優秀撮影賞
■ 川上皓市
  『紙屋悦子の青春』
□ 小林達比古
  『あおげば尊し』
□ 長沼六男
  『武士の一分』
□ 町田 博
  『雪に願うこと』
□ 山本英夫
  『フラガール』
  『THE 有頂天ホテル』


最優秀音楽賞
MUSIC DIRECTOR OF THE YEAR

澁谷 毅/ガブリエル・ロベルト
『嫌われ松子の一生』

優秀音楽賞
□ 加古 隆
  『博士の愛した数式』
□ 三枝成彰
  『るにん』
□ ジェイク・シマブクロ
  『フラガール』
■ 澁谷 毅/ガブリエル・ロベルト
  『嫌われ松子の一生』
□ 本間勇輔
  『THE 有頂天ホテル』


最優秀美術賞
ART DIRECTOR OF THE YEAR

種田陽平
『THE 有頂天ホテル』
『フラガール』

優秀美術賞
□ 磯見俊裕/馬場正男
  『花よりもなほ』
□ 金田克美
  『地下鉄に乗って』
□ 桑島十和子
  『嫌われ松子の一生』
■ 種田陽平
  『THE 有頂天ホテル』
  『フラガール』
□ 出川三男
  『武士の一分』


最優秀照明賞
LIGHT DIRECTOR OF THE YEAR

ヴィッレ・ペンッティラ
『かもめ食堂』

優秀照明賞
■ ヴィッレ・ペンッティラ
  『かもめ食堂』
□ 上田なりゆき
  『初 恋』
□ 尾下栄治
  『紙屋悦子の青春』
□ 小野 晃
  『ゆれる』
  『フラガール』
□ 木村太朗
  『雪に願うこと』
  『嫌われ松子の一生』


最優秀録音賞
SOUND RECORDING OF THE YEAR

白取 貢
『ゆれる』
『フラガール』

優秀録音賞
□ 小野寺修
  『雪に願うこと』
□ 尾崎 聡
  『赤い鯨と白い蛇』
□ 岸田和美
  『武士の一分』
□ 志満順一
  『嫌われ松子の一生』
■ 白取 貢
  『ゆれる』
  『フラガール』


最優秀編集賞
FILM EDITING OF THE YEAR

小池義幸
『嫌われ松子の一生』

優秀編集賞
□ 石井 巌
  『武士の一分』
□ 今井 剛
  『フラガール』
□ 川島章正
  『手 紙』
■ 小池義幸
  『嫌われ松子の一生』
□ 宮島竜治
  『ゆれる』


最優秀衣装デザイン賞
COSTUME DESIGN OF THE YEAR

金森 香
『パビリオン山椒魚』

優秀衣装デザイン賞
□ 芦田 淳
  『早咲きの花』
□ 伊藤佐智子
  『無花果の顔』
■ 金森 香
  『パビリオン山椒魚』
□ 鳥居ユキ
  『るにん』
□ 申谷弘美
  『嫌われ松子の一生』


最優秀メイクアップ賞
MAKE-UP OF THE YEAR

森田 誠
『嫌われ松子の一生』

優秀メイクアップ賞
□ 江川悦子
  『THE 有頂天ホテル』
□ 西村喜廣
  『デスノート』
□ 中田彰輝
  『最終兵器彼女』
□ 松井祐一
  『犬神家の一族』
■ 森田 誠
  『嫌われ松子の一生』


最優秀視覚効果賞
VISUAL EFFECTS OF THE YEAR

大屋哲男/佐藤敦紀
『日本沈没』

優秀視覚効果賞
□ 浅野秀二
  『ありがとう』
□ 石井敦雄
  『LIMIT OF LOVE 海 猿』
■ 大屋哲男/佐藤敦紀
  『日本沈没』
□ 前川英章/土井 淳
  『デスノート』
□ 柳川瀬雅英/増尾隆幸
  『嫌われ松子の一生』


最優秀音響効果賞
SOUND EFFECTS OF THE YEAR

斎藤昌利
『雪に願うこと』

優秀音響効果賞
□ 岡瀬晶彦
  『嫌われ松子の一生』
□ 倉橋静男
  『時をかける少女』
■ 斎藤昌利
  『雪に願うこと』
□ 柴崎憲治
  『日本沈没』
□ 帆苅幸雄
  『武士の一分』


最優秀主題歌賞
THEME-SONG OF THE YEAR

小田和正
『手 紙』

優秀主題歌賞
■ 小田和正
  『手 紙』
□ カリフラワーズ
  『ゆれる』
□ Salyu
  『地下鉄に乗って』
□ スピッツ
  『ハチミツとクローバー』
□ 竹内まりや
  『出口のない海』


最優秀ドキュメンタリー作品賞
DOCUMENTARY OF THE YEAR

『蟻の兵隊』

優秀ドキュメンタリー作品賞
□ 『あの鷹巣町のその後』
■ 『蟻の兵隊』
□ 『ディア・ピョンヤン』
□ 『三池 終わらない炭鉱の物語』
□ 『ヨコハマメリー』


最優秀アニメーション作品賞
ANIMATION OF THE YEAR

『時をかける少女』

優秀アニメーション作品賞
□ 『ゲド戦記』
□ 『鉄コン筋クリート』
■ 『時をかける少女』
□ 『パプリカ』
□ 『ブレイブストーリー』


企 画 賞
AWARD FOR PLANNING

渡辺 謙
『明日の記憶』

話題作品賞
POPULARITY AWARD (PICTURE)

『涙そうそう』

話題俳優賞
POPULARITY AWARD (CHARACTER)

松山ケンイチ
『デスノート』


協会特別賞
SPECIAL AWARD FROM THE CHAIRMAN

伊福部昭
(音楽監督)

今村昌平
(映画監督)

岸田今日子
(女 優)

黒木和雄
(映画監督)

田村高廣
(俳 優)

丹波哲郎
(俳 優)

2007年2月25日 各賞が決定しました。


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