一言でいえば俺たちにとって厄介な存在になっているAさんに、またしてもやられた。

そして今回の経緯を主宰者であるKさんに伝えたところ、Kさんの意外な本音を聞かされたことが収穫といえば収穫だった。

Aさんはアドプションコーディネーターという、レスキュー団体の重要な役割をになっており、俺たちが預かったメリーを担当している。

先週、メリーの希望者は現れていないのかという俺たちからの問合せを数日間無視したあと、Aさんは「ひとりいる」と言ってきた。

その希望者には木曜に電話インタビューし、結果がよければメリーと引き合わせることになるという話だったが、金曜になっても音沙汰なし。

誰しも私生活や本業が忙しくて音沙汰がなくなることはあるが、Aさんの場合は重要な連絡が滞ることが普通なので、どうせ今回もそれだろうと思っていた。


だが引き合わせをするとなれば週末の可能性が高いため、俺たちとしても予定が立つようにしておきたい。

「どうなってるの?」とストレートに尋ねれば機嫌をそこねる相手なので、メリーの健康問題についての報告にかこつけて「養子縁組についてわかることがあったらよろしくね」とつけ加えて送った。

だがなんの反応もないまま金曜は暮れていった。


Aさんからメールが来たのは土曜の朝だった。審査が無事終わったので、メリーを引き合わせてほしいという。

つまり俺たちは、木曜の電話インタビューの結果を土曜に知らされ、それをもとに週末の予定を立てろとAさんから要求されたわけだ。

メリーのことを最優先する気持ちから「週末はすべて空けて待っている」とAさんに伝えてあったことがいいように使われたような気がした。


ふざけんな!

という思いを押し殺して希望者Lさんと連絡をとり、30キロ離れたお宅へメリーを連れて向かった。

merry home visit (2)

静かな住宅地で大学生の息子と暮らす女性で、長い間ピットブル(ミックス)と暮らしてきたベテラン飼い主さん。

彼女は勤め人だが、自宅勤務と休日をふくめ週のうち4日は在宅のため、息子さんと分担することで子犬の面倒をしっかり見られるとのことだった。

なかなかの好条件だし、現在飼っている若いピットとメリーの挨拶もうまく行き、俺たちはホッと胸を撫でおろした。

merry home visit (1)


ただ、ショッキングなことがふたつあった。

まず、Aさんによる電話インタビューが行われたのが木曜ではなく、金曜だったことが判明。

薄々そう思っていたので何気なくLさんに尋ねてみたところ、予定していた木曜には何故かAさんからの電話はなく、一日遅れたのだという。

Aさんは過去にも大切な予定を失念してすっ飛ばしたことがあるので驚きはしない。今回は、俺たちがAさんへ金曜に送った「お伺いメール」でインタビューのことを思い出し、あわててLさんに電話したらしい。

Lさんにとっては迷惑な話だったろうし、今や遅しと連絡を待っていた俺たちはちょっとしたピエロだったわけだ。


はるかにショッキングだったのは、希望者Lさんが「メリーは引き取れないかも」と言いだしたこと。

彼女はアメリカ環境保護局で働いているが、昨今のテキサス洪水への対応のため、翌日(日曜)朝に緊急招集がかかっており、今後最低でも1週間は職場に入り浸りになる可能性が高いという話だった。

たいへんご苦労さまなことだが、それであれば 一日でも早い養子縁組 を求めて 次の候補者 へ移るのが団体のルール。

だがコーディネーターAさんは良好なプロフィールをもつLさんへの強い執着があったようで、なかば強硬に俺たちをLさんのもとへ向かわせたらしい。

俺たちゃ暇人だからいいけどさ、闘病中のメリーにとって知らない場所へ半日がかりで連れていかれることの負担が理解できないのかなAさん?


このことがあった翌日、親分Kさんと直接話す機会があったので、Aさんの対応についての懸念をけっこう明確に伝えた。

ごめんね、と言ったあとKさんは苦々しい表情で続けた。

「彼女はね、実は問題が多いの」

うわあ、そうハッキリおっしゃいますか…


KさんにとってAさんは、団体創立いらいの重鎮として大きな権限を与えてきたが、ちゃんと機能していないため困っている人が多いのだという。

気分屋さんで行動にムラがある、外部との連絡をおろそかにする、平等なパートナーであるはずのフォスターペアレントを軽視するから協力が得られにくい。

それに加えて今回、希望者Lさんの難しい事情を知りながらリストから外さなかったことをはじめ、飼い主の選定に 強すぎるこだわり を持っている…

というあたりかと思っていたのだが、最後のは少し違った。

親分Kさんによれば、Aさんの選定は「よくわからないことが多い」という。

Aさんは過去に、2匹の子猫を21歳の学生に譲ったことがある。生活パターンからしても経済力からしても責任ある飼育が不可能なことは明白。

結局その学生さんは8か月後「もう飼えません」といってネコたちを返却してきた。そのときになって初めて事情を知ったKさんは、絶句するほかなかったという。


Aさんにそういう問題があったとしても、複数いるコーディネーターのひとりに過ぎなければ事態はそれほど深刻ではない。

だが実はAさん、送り込まれてきたイヌネコを全コーディネーターに振り分ける「元締め」的な役割を果たしているのだが、他人を信用していないせいか、大半の子を自分で担当してしまうという。

前向きな姿勢はけっこうだが、奇妙な里親選定をはじめ業務が滞る要素てんこ盛りのため、団体にとっては巨大なブレーキになっている…

ことがKさんの目にはっきり映るようになってきたらしい。


そんななか、難しい子犬にも見境なく挑戦する俺たちには「どうしても他所の団体へ行ってほしくないので」 ストレスなく動けるようにしたいと言っていた。

アドプションコーディネーターになれば、自分で預かった子は自分で扱えるようになるという話。

そうなんだよね。うちにはたくさんの子をコーディネートする余裕はないが、そのプランは大歓迎。

サイトのアップデートをふくめ、先輩の姐さん方の多くが不得意とする作業もがんがん進められると思うし。

とはいえコーディネーターになるためには研修が必要で、今のところその講師はAさんひとりらしく、まあなんだかよくわからん。

親分Kさんへの尊敬がなかったらすでにオサラバしている状況ではある。


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