かみさんが研修第二段階の最初の試験を終えた。

ある科目は10問のうち3つ間違えたらアウトとなり、ここまで2週間の授業を最初から受けなおすというしんどい試験。

「落ちるかも落ちるかも」

といって勉強にはげみ、週末も机にかじりついて頑張っていた。

彼女が一番苦手にしていた科目は、10問のうち3つ間違えたらアウトのやつで、省内のオンラインシステムを使いこなす能力を問うものだった。

システムはここ何十年かにわたって増築を重ねるうち、二階から階段をのぼったら地下室に出てしまうような複雑怪奇な構造をしており、すっきりと理解することが難しいらしい。

何ごともきちんと整理したかたちで頭に入れたいタイプのかみさんにとって、こうしたしろものは難敵。一方で若い同期の諸君は、システムを丸ごと飲み込むように理解しているように見えたという。


わけても頭の回転が速く、パパッと理解してしまうP君は、試験のとき隣の席にいたかみさんを驚かせた。

かみさんが問題の1/3も解かないうちに試験を終え、さっさと退室していったのだ。

このペースじゃ周回遅れどころか時間切れ?!

かみさんはずいぶん焦ったようだが、自分のやり方は変えられない。石橋を叩く慎重さで解いていった。

とくに授業で耳にタコができるほど念押しされた間違えやすいポイントについては、自分でもアホかと思うほどしつこく確認したという。

最後に全体をよく見直し、もうこれ以上はないと十分に納得がいったところで終了。


苦手の科目、結果は百点満点だった(総合でも百点)。

そういう人はけっこういたから、とりたてて自慢するほどのものじゃなく、猛勉強でやっとこさ人並みレベルが維持できたふひゅぅという感じ。

ところが早ワザを見せて悠々と退出したP君は、2問不正解でぎりぎり合格だった。

間違えたのは、授業でしつこく言われた間違えやすいポイントだったという。


この話を聞いた瞬間、俺が一緒に働きたくない人の典型だと思った。

すぐに「わかったわかった」といって気楽にアクセルを踏む人は事故を起こしやすく、一方で「まだ不安だから」と慎重に行く人は安全運転というのは、どの職業でも同じだろう。

P君は普段の授業でもこの「わかったわかった」タイプであるようだ。

どちらが絶対に有利ということではないが、個人的には同僚にせよ部下にせよ、頭はいいけどケアレスミスをやりがちな人よりは、それほど鋭くなくても着実にやり遂げる人のほうが仕事をやりやすい。

後者は、その人の仕事が70点から80点にグレードアップするよう協力するだけで済むが、前者の場合は思わぬ大ポカのせいでずっと低い点からのスタートになるリスクがあるからだ。

そういう失敗をフォローする余裕があるときはいいが、こっちもギリギリのときは避けて通りたい道だ。


ただし後者のタイプの人でも、失敗から学んで堅実な仕事のやり方を身につけてくれれば問題ないのだが、大人になってからではちょっと難しいかなという印象がある。

たとえば2問不正解したP君は、講師から「授業であれほど念押ししたポイントを、そのまんま間違えた人がいました。誰とは言いませんが」と報告あったとき、

あっそれボクボク、ミスっちゃったよ~

とあっけらかんな告白をしたという。

彼にとって今回の不正解は単なる不運であり、自分に欠けているものに気づくチャンスにはならなかったのかもしれない。

振り返れば俺のまわりにも、P君タイプの失敗を数限りなく繰り返す人が何人かいた。人間にはどうしても子供のうちに身に着けるべきことがあるのだろう。

俺自身、丸ごと呑み込んで理解したり切れ味鋭く行動したりというタイプではないので、以上のことはあくまで「どんくさい人」サイドの価値観ということになるわけだが。


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