2007年08月02日

国際情勢真相 <FBI未公開ファイルと、プロパガンダの原理>

 ニューヨーク・タイムズやCNNの報道によると、ペンタゴン(米国防総省)は、ロシアの新型生物兵器爆弾の性能を調べるために'95年頃、CIAに対して武器商人などを装って、買い付けるよう依頼したが、CIAhttps://www.cia.gov/index.htmlはその仕事を達成できなかった。そのため、ペンタゴンhttp://pentagon.afis.osd.mil/facts.cfmは この爆弾に関する情報をもとに、同じものを米国内で作ってみることにした、というのである。
 そして、その中に入れるための炭疽菌も製造していたという。

 企業や政治団体は、各地域 (国家、州、県) の ルール(1.判例 2.慣習法)の中で、目的を遂行していく。 立法(議会) や 司法(裁判)への投資によって、目的達成のために 有利なルールへと 変えていくのも重要だが、基本ルールから あまり離れたルールを押すのは不採算だ。
 また1.も 2. も、先進地域である 米・独・スイスなどの 「歴史的事件」 が指針となる。多くの 「歴史的事件」 は非公開だが、それらが米連邦政府情報公開法などによって公開されたとき、それまでのルールが根底から変わることも少なくない。「歴史的事件」 の真相を知ることは、ゲームの参加者にとって重要なのである。
 中小団体はそれによって運営手法や組織形態を変えなければならないし、大手なら、子会社法人の所在地や登記地を変えなければならない。
 ルールだけの問題ではない。例えばイラク戦争で、米政府のシナリオに投資した連中は、真相を知っていても 同じように投資しただろうか? 旧ソ連と取引していた連中は どうだろう?

 その後、’01年に起こった炭疽菌テロ事件 (9.11直後) は、死者数こそ少なかったものの、アメリカでも初のバイオ・テロであったこともあり、当時、世界の話題を独占した。だが、この事件の裏では、あまり報道されない、もっと恐るべき事件の数々が起こっていた。
 FBIhttp://foia.fbi.gov/の命令によって、アメリカ政府が持っていた炭疽菌のサンプルが、すべて破棄された ことは、あまり知られていない。もっと知られていないのは、まったく可能性のない容疑者を「重要参考人」としてマスコミにリークし、「吊るし上げ(みせしめ)」 を行なうことで、抑止のプロパガンダを行なったことである。
 この事件により、FBIは 「フーバーの亡霊」 が健在であることを、明確に示した。
 「フーバーの亡霊」 とは、FBIの創始者にして 死ぬまでの半世紀、FBI長官であり続けたエドガー・フーバーが、生前、遺言的に残した取り決めについての隠語である。(死者であるにも関わらず)フーバーにとって不利な情報や、フーバー自身が 「公開するな」 とした情報に触れようとする者に対しては、他の案件とはまったく異なる結束と迅速をもって対処が行なわれることから、この言葉は生まれた。炭疽菌テロも、もちろんフーバー死後の事件である。では、なぜ 「フーバーの亡霊」は作動したのだろう?

 まず、アメリカには3つの巨大なロビー(勢力団体)、すなわち武器ロビー(多くはWASP=アングロサクソン系支配階層)と、ユダヤ・ロビー(マスコミを支配)、そして石油ロビー(多くはWASP)、があり、それらがしのぎを削っている。その戦いは米ソ冷戦や太平洋戦争のような、「一方の戦力が圧倒的」な戦いではなく、加えて「完全な本気」である。
 世界のあらゆる国の政権与党も、このどれかの勢力と組んでいるのであり、だから、アメリカの選挙(ロビー闘争の一端)は常に熱いのだ。詳細はhttp://www.opensecrets.org/またはhttp://www.publicintegrity.org/lobby/などを参照されたい。
 以前は権力者の自宅でしか開かれなかった彼らの会合も、今ではワシントンのKストリートにある彼らのオフィス(ロビイスト名義よりシンクタンクの形式の方が多い)で公然と行われ、ヘッジファンドや財閥の幹部からの通達を待つ。

 ロビー活動公開法や、連邦ロビイング統制法、外国代理人登録法の規制をあざわらうかのように、彼らの命令系統が秘密結社や友愛団体を迂回していることは広く知られており、それを一般公開しようなどとするのは「不可能であると同時に自殺行為である」、と考えられている。実際、ロビーの末端は単に指令を受けて選挙対策や不買運動を行うだけで、「ビジョンや目的」までは知らされないのが常だ。マスコミに露出する議員などは、幹部になることさえも稀となった。
 

 20年前では考えられなったことだが、議員出身のロビイストは敬遠されている。
  /ワシントン・ポスト
 

 例えば、クリアビジョン計画(http://blog.goo.ne.jp/breguet_dd/e/0852e057da0801b09775091a5b9ed159)は、当時のクリントン大統領にも全貌を明かされないまま、秘密裏に進められた。ペンタゴン(国防総省)はネバダ州の砂漠の中に生物兵器の爆弾の外側を作る工場を作ると共に、オハイオ州のバイオ製品メーカーに炭疽菌の製造を発注した。
 ホワイトハウス(大統領府)は こうした計画の進行を後から知り、無断で進めたペンタゴンを批判したものの、ホワイトハウスとペンタゴンの法律担当者などが再度、条約違反かどうか検討したところ、結局違反していないという結論になり、炭疽菌などの開発はそのまま続けられた。
 このような現象が起こるのは、「クリントンのバックが(民主党の議員の多くはそうであるように)ユダヤ・ロビー」であり、「ペンタゴンは完全なるウェポン・ロビーの一員である」からだ。そして、ユダヤ・ロビーはマスコミを持つために大衆に強く、したがって選挙に強いが、交渉はいたって弱いのである。

 このような背景を理解した上で、この事件の真相に立ち会っていただこう。

 炭疽菌テロが起こるとすぐに、FBIはスティーブン・ハトフィル氏が重要参考人であることをマスコミにリークし、ハトフィル氏を社会的に抹殺した。
 FBIのリーク内容は、次のようなものである。
 1.炭疽菌テロが起こる直前に、炭疽菌に対する抗生物質である「シプロ」をハトフィル氏が服用していた。
 2.警察犬がハトフィル氏の家に反応を示した。
 3.ハトフィル氏が陸軍の研究所に勤めており、炭疽菌を手に入れられる立場にあった。

 1.だが、ハトフィル氏は、炭疽菌テロの起こる5週間前に、副鼻腔炎の手術を受け、医師から「シプロ」を処方されていた(この事はカルテにもしっかりと残っていた)。
 2.警察犬は、ハトフィル氏が勤務する事務所の他の研究員に対しても、反応を示していた。それ以前に、「犬が間違う事もある」、というのは、カリフォルニア州での著名な冤罪事件(DNA鑑定で冤罪が晴れた事件)でも実証済みである。
 3.は、最も、「それらしい」ので、多めに証拠を挙げると、同研究所でハトフィル氏は炭疽菌を扱ったことがない。しかも、その炭素菌を扱っていたフォート・デトニック生物兵器研究所の所長は、「これまでウイルスが紛失した形跡はまったくありません」と宣誓証言している。
 それ以上に、原理的な問題がある。その研究所にあった炭疽菌は粘土状であり、粉末状ではなかったことである。テロに使われた炭疽菌は粉末状だ。粘土状のものを粉末状のものにするには、精巧で大がかりな装置が必要である。それらをハトフィル氏がそなえていたら、24時間監視されていたハトフィル氏でなくても、すぐにその装置が見つかっているハズだ。
 第一、学歴を詐称して陸軍に入ったハトフィル氏が?!そんな大物だったりする?
 

 炭疽菌兵器には、皮膚から入れるもの(粘土状)と、肺に吸い込ませるもの(粉末状)がある。肺から入れる炭疽菌は非常な微粒子にしなければならない。「ものすごく」高度な技術が必要だよ。
  /ビル・パトリック(元国防総省主任研究員)
 

 そして、このようなことは、たとえFBIでなくても、つまりネブラスカ州警察や栃木県警でも分かるハズだ(ちなみに栃木県警の2005年度平均リスポンスタイム=通報から現場到着までの時間は全国最下位で、なんと北海道警さえしのぐ。少しだけ心配かも)。つまり、FBIは 「わざと」 偽情報をリークしたである。その理由は、2つしか考えられない。1つは、単に、「みせしめ」を作り、巨大なテロを未然に防ぎたかったため。2つ目は、WASPによる「自作自演」だ。
 本当はどっちなのか? 私はこう思う。「どっちでも一緒」と。重要なのは、「そのような行動原理でFBIが動いた」ということと、「それを止めることは誰にもできなかった」ということである。
 
 「誰が情報をリークしたか、つきとめるべきで、そのためには、全捜査員を嘘発見器にかけるべき」との提案を、モーラーFBI長官は却下しました。
  /ロバート・ロス特別捜査官

 当時、炭疽菌調査班と容疑者追跡班がコミュニケーションをとることは、禁止されていた。9.11と、まるで同じだった。
  /リチャード・ランバート特別捜査官

 後に、「司法省の高官やFBIが犯人を示唆した」ことに非難が集中したが、アシュクロフト司法長官は4時間半の宣誓証言の中で、質問に対して85回、「I don't know」と繰り返した。バックがよほどしっかりしていることを表す行動だった。

 実は、ダシュル上院議員に届いた炭疽菌などは1グラムあたり1兆個の胞子からなる高密度のもので、人類の科学水準では上限だろうと思われる密度だった。つまり、冒頭に出したロシア製の兵器をも、上回っていた。名も知られていないテロリストが開発しうる炭疽菌となると、せいぜい二十分の1程度(1グラムあたり500億個)の密度がせいぜいと言われる。
 仕掛け人は世界的な著名テロリスト組織(先進国政府並みの人脈と資金力を持つ)か、先進国政府ということになる。

 ロシアが兵器として開発できる炭疽菌は、1グラムあたり1000億-5000億個の胞子のものが上限だ。
  /ケン・アリベク(旧ソ連の炭疽菌開発者)

 このような事から、ニューヨーク・タイムズや英インディペンデンスhttp://news.independent.co.uk/business/は 「アメリカ当局の自作自演説」を繰り返し報道したが、そうは言い切れない。優れたジャーナリストは状況証拠から真実をつき止めるが、論理上、「情報を隠し、偽情報を流したから犯人だ」 とは言い切れない。
 同じことは9.11テロにも言える。確かに旅客機の激突程度で崩落する近代ビルなど有り得ないし、世界に無数にあるビル火災を見ても、10時間以上燃えていても骨組みはいつも残っている。ジェット燃料が燃えている程度で溶ける鋼鉄など、存在しないからだ。例えば一昨年、マドリードのウィンザー・ビルが火災となった際も(20時間燃え続けていたが)、骨組みはそのまま残っていた。
 ビルの崩落スピードが空気抵抗さえ受けないスピードなのも、崩落のシーンを見れば、あのスピードで天井が200メートルも一気に落下していることで分かる。腕のいい解体職人によるビル解体よりも早く、崩落しているではないか! 同じ同時テロで、ソロモンBRsビルも、たった6.5秒で崩落した。
 さらに、天井が落下する途中で、まだ崩落していない下部から煙が噴出している様子や、テルミット系爆薬が使用されなければ溶けるはずのない金属が溶けていること、サウスタワー81階から溶けた金属が流れ落ちていた映像などから、内部協力者がいるのは確実で、彼ら(ビルに勤務する内部協力者)による爆破テロであったことは明白だ。だからといって、当局の仕業だとは言い切れないのである。当局が動いたとすればDIAやNSAといった機関が動いていることになるが、「その線は論理的に薄い」、と私は考えている。

 論理的に薄かったり、言い切れないだけでなく、そんなことは 「どっちでも一緒」 なのだ。
 ハッキリしているのは、「FBIが偽情報を流し、本当の情報を未公開ファイルのコレクションに加えた」ということだ。そしてその手法が、冷戦時代の 「赤狩り」 以上の強引さであった、ということだ。
 

 アメリカは移民の国だが、後にFBIの半永久長官となるフーバーが生まれた頃には、すでに、その盟主が武器ロビー(多くはWASP)とユダヤ系(マスコミ・ロビーを持つ)、そして石油ロビー(多くはWASP)とに集中していた。そしてこの体制は今に到る。

 ワシントンに生まれ、貧しいながらもWASPの中で育ったフーバーにとって、WASP系ロビーである武器ロビーと石油ロビーこそが「アメリカ」であり、ユダヤ・ロビーを 「外敵」 と捉える価値観は、ごく自然に生まれたのだろう。
 多くのWASP(アングロサクソン系支配階層)は、生まれながらのWASPである。だが、社会の底辺から這い上がり、少ないチャンスとコネを逃さずにWASPの仲間入りし、逮捕権もなく、拳銃の携帯さえ許さていなかった(つまり日本の警備会社程度の権限しかなかった)司法省捜査局を現在のFBIにまで育て、同時にWASPのトップにまで上り詰めたフーバーにとって、「WASPは努力と鍛錬の結果としての階層」であり、どこにも穴のない、誰にも文句の言えない存在だった。マスコミや映画界の大物を重点的に攻撃する所にも、ユダヤ・ロビーに対する敵対意識が現れている。
 また、差別に苦しむ黒人やヒスパニック系など少数民族も、徹底して嫌悪していた。
 吃音症を努力で克服し、後に「スピード」と呼ばれるほどの早口で、頭の回転をアウトプットするようにまでなるフーバーにとって、彼ら貧民層は 「努力せずに環境のせいにする連中」 と映っていたのである。 WASPの「AS」は、「アングロ・サクソンの略が語源」 とする説と、「アングロサクソン・サブアーバンの略が語源」 と解釈する説がある。なぜ 「郊外」 なのか。アメリカ社会の成熟と共に、都市部に集まりだした黒人を嫌う中流階級以上の白人世帯が、こぞって郊外に居住地を移したからなのである。これは現在では白人やアメリカに限った傾向ではないが、当時は、アメリカと白人にだけ見られる現象だった。
 同性愛者に対する彼の差別意識と同じく (彼が他のFBI幹部と同様に生涯独身を通したからといって、「彼がホモだった」などとする誇大妄想家がいるが、理論的にも 「安全面でも」 間違いである)、努力しない有色人種に対する彼の憎悪と嫌悪感は、激しいものだった。ただし、彼の嫌悪はあくまで「努力しない人間」に向けられていた。戦時中、アメリカで要職にある人物では彼だけが、日本人の強制収容に反対したことはあまり知られていないが、その考え方の一例であろう。
 フーバーの死後、遺言によって秘書のヘレン・ガンディーが多くのファイルを破棄したが、事実が消えるわけではない。だが、FBI本部ビル(正式名称はJ・エドガー・フーバーFBIビル)に現存する多くの未公開ファイルもあわせ、「パンドラの箱」 にカテゴリーされるファイルはすべて、公表されない方針、または「紛失する方針」となった。それらファイルの指定は、生前のフーバー自身が行なっている。
 それらと同じく具体的な指令として、WASPの利権をユダヤ系から守ったり、保守主義を共産主義から守ったり、という、フーバーの定めたFBIの行動原理・行動理念があったのである。そしてそれは、「フーバーの亡霊」 のまさに、バックボーンなのである。
 だからこそ、緊急時、つまりWASPや保守主義にとって危機的な状況下では、いわゆる 「でっちあげ」 や 「戦略的プロパガンダ」 を使うのも、「やむを得ない」、ということになる。公開されていない こうした 「規定(フーバーの亡霊)」 がなければ、今回、プロたちがこのような行為に及べるはずがない。彼らにとって、発動するのに充分の 状況 だったのである。

 覚えておかねばならないのは、ハトフィル氏を最も苦しめた報道は、「犬」だったことだ。
 ニューズウィーク誌が、「FBIの派遣した優秀なブラッドハウンド純血種3匹が、ハトフィル氏の家で激しい反応を示した」と報道した分だ。これをテレビ局なども多用した。
 「ブラッドハウンド純血」 だろうが 「柴犬」 だろうが、「3匹」 だろうが 「76匹」 だろうが、「家で激しく反応」 したことなど、証拠にならない。と、当サイト読者なら、分かるハズだ。だが、頭の悪い連中が9割である以上、それを1日に15回ぐらい聞くと、「ほーぉ……」 となってしまう連中が 9割なのである。
 プロパガンダは基本に忠実であるべき、という例の典型であろう。何かを隠すとき、核心を隠蔽するよりも重要なのは、核心を外す、ということなのだ。ネバダの「エリア51」を隠蔽するのに当局が使ったのは「宇宙人」というバカげた「ガセ」だったにも関わらず、情報量でしっかりだまされた大衆がいたのである。
 今回のケースでも、確かに旧ソ連は炭疽菌の開発をしていて、ソ連消滅後、ロシアはその技術を使った生物兵器(小型爆弾)を開発、武器の国際ブラックマーケットに流していた。だからといって、当局に有利なこうした材料を使っても、冷たい「核予算」戦争や、ベトナム「武器販売」戦争で戦い方を知っている反戦ユダヤロビーには、論争で勝てない。
 彼らは論争を避け、「プロパガンダ」を選択したのである。完璧っ! 

 個人的には、腹が立ったりしない。ひたすら、「いい仕事だ」と思うだけだ。
 

 たとえ5000万人の人間が、口をそろえてバカなことを言ったとしても、それはバカなことでしかない。
  /アナトール・フランス(ノーベル賞受賞作家)
 

 私が示唆した時期から数年で、報道機関も検索機関も、「アルゴリズム(言語選択習性。同じことをどのように表現するかという特徴法則)」や、「思考の角度」こそ最も重要であると認識するようになった。(※当サイトの メディアの明日‐3 <テレビと新聞のニュースが死ぬ日> http://blog.livedoor.jp/dd_freak/archives/50451282.html を参照されたい) しかし、プロパガンダにおいては普通、高度なアルゴリズムは用いられないことが多い。レベルの低い相手には、アルゴリズムなど理解できないから、「情報量でマクれ」、というワケだ。
 世界全体では、着実に 「プロパガンダが通用するような人間の割合は減っている」 と言えるが、プロパガンダの影響を受けまいとする連中よりも、プロパガンダを仕掛けようとする連中の方がレベルが高い、という図式が続いているため、まだまだ有効性を保っているのである。

 私は、そのような状況を打破したいと願っている。つまり、「もはやプロパガンダは世界のどこでも通用しない」、という世界を見てみたい と思う、今日この頃なのである (←気が変わる可能性もある)。

 歴史は常に不思議な因果を生み出す。’78に成立した外国諜報監視法では、米国内にいる人物の通信傍受を行なうには、専用法廷から令状をとるよう定められていたが、当局の判断で通信当事者の一方に疑いがかかれば令状なき傍受を認める改正案を、米議会はまさに明日 (8月3日)、採決にかけるようだ。恐らくこれは可決し、減りつつある「愚鈍な大衆」を、より強固に束縛・支配・洗脳できる環境は整う。「愚鈍な大衆」が減りつつある以上、当局としては、より彼らを完全なる「奴隷」にしなければならないのである。もちろんこれはCIAよりもFBIに有利な法案となる。大方の予想に反し、フーバーの死後もFBIの権力は失墜しなかったわけだが、それどころかフーバーの存在感は一層強化され、FBIの牙城を守っているのだ。

 一方で、フーバーの死によって権力の集中が懸念されたCIAは、ストラテジックな失態を繰り返し、権力を削減、公的予算も削減される傾向にある。
 今月('07年8月)末までに、CIAは、ある未公開ファイルを公開する。 機密解除されるファイルは 当サイト '06年3月の 「CIA vs FBI」(現状は削除状態) でも 「2年以内の公開が確実」 と予告していたものだが、当時のCIA長官ジョージ・テネットが 同時テロ・炭疽菌事件発生前に 「十分な予算や労力を広範な国際テロ組織対策に割かなかった」 とする 「内部監査報告要旨」 である。ユダヤロビー主導の 「情報機関改革に関する9・11委員会勧告」 の完全実施を求める法律 (「情報開示条項」) に沿って、要旨の機密解除を迫るものだ。恐らく 後任のポーター・ゴス前長官は機密解除勧告を拒否するだろうが、米有力メディアは すでに有力筋の爆弾ブログなどから充分な裏付けを獲得しており、逃げ切ることはできないと予想される。当然、今後の世界情勢・国際情勢に強い影響を与えるだろう。

 当サイト系列で、CIA・FBI・ペンタゴンなどの 未公開ファイル を公開するとき、多彩な媒体、無数のURL・ミラーサイト で一斉公開し、多くは一斉削除しているが、その読者数の多さには、いつも驚かされる。

 いずれにせよ、情報と目的に飢え、世界を胸に抱く 「ヒト」 は、確かに存在する。
 世界に存在するのは、(必ずいつか死ぬのに)生きるために食べて生き、死ぬだけの、家畜ばかりではない。知的好奇心を持つ 「ヒト」 は、冷戦時代(多くの人々が歯車と化した)の壁を壊し、いま、急激に 増殖しているのだ!



2007年07月25日

国境も鉄格子も越える、ヒト、組織、そして誓約

※この記事は’06年3月に公開した記事である。削除後、リクエストが多かったので再公開の運びとなった。今回の記事URL(再公開分URL)永久残存予定 (衛星サイトは記事リンク可)。

1. 事実は小説より奇なり。
2. どこかで 蝶が舞えば、世界の裏側で 嵐が起こる。
 
 近年、上記の (誰が言い出したのか分からない) 有名な 2つのことわざ が、日々、説得力を増している。 まず 、1.  2. を 際立たせているのは、旧史以来の 民族大移動 だ。
 かつては 軍事の結果 が決定した 民族移動 (植民と難民) が、現代では 産業競争の結果 やルール(法律・慣例) の変化によって起こる。
 
 CBSの報道によると、アリゾナ州だけで、1年で、 23万人!を越える不法入国者が摘発された。これは入国失敗者 の数である。アリゾナ州の国境は 東京-大阪間 ぐらいの砂漠地帯であり、まず失敗は しない。入国成功者は アリゾナ州だけで、年間 200万人を越えるのではないか。アメリカ全土では 年間どれぐらい いるのだろう? 1000万人? 2000万人?
 今後10年では? 1億人? 2億人程度 (元々合衆国民の95%以上が移民) だろうか?
 
 ドイツでは、2005年1月の移民法で年間50万人、計2500万人の移民受け入れを目標設定した。今後、確実に2500万人が流入するが、その数倍が不法入国するのではないか。ドイツではすでに、不法入国者に仕事を奪われる合法入国者が急増しており、「ドイツ国民」の中で失業者認定を受ける 500万人のうち、多くは「トルコ民族」である。
 だが、どちらが 「善」 で、「支援する価値」 を持つのだろう? アメリカ国民であるドイツ民族と、ドイツ国民であるトルコ民族と、どこの国の国籍も持たないドイツ住民は、誰が一番ドイツ的で、ドイツ政府は誰を支援する法を作るべきであろう?
 また、ドイツでは 歴史を理由に ユダヤ民族の入国規制 が緩やかだったが、新法で 再び迫害されているのが運命的だ。
 その本拠 イスラエル では、選挙・軍事対策で、エチオピアで 黒人に同化したユダヤ民族 の受け入れを決定した。旧約聖書 (ユダヤ経典) に出てくる 「シバの女王」 は エチオピアの女王 だが、 その当時から 数千年の時を越えて 黒人に同化したユダヤ人が再び安住の場所を求める様 は、 旧史以来の民族大移動を象徴している。 イスラエル政府は同時に、 人工授精を国庫負担 で推奨する。
 
 日本では 移民拡大策が まだ不十分だが、かつてのドイツと同様、不法入国 に関しては しっかりと先行拡大している (←これが どの国でも 移民法の制定を 急がせてきた)。
 外国人が1日数千人も入国する 16時の成田や関西、中部、福岡空港で、不法入国者を摘発するのは 「不可能」 と入国審査員は言う。
 海港 にいたっては、国交のない国 (例:北朝鮮) からも 船が入港するように、無審査に近い。犯罪でも絡まない限り、偽造ビザが 追求される理由はない。
 日本橋のコンビニ店員は大半が中国人だが、単純作業なのに 「月給10万円!」 という高給で迎え入れる国など、ほかにない (平均で月給3千円程度) 。ごく自然な「移動」だ。
 
 これらの 民族大移動 を、日本人、ドイツ人、アメリカ人 が理解しようとすれば、逆の立場でシュミレーションすればいい。
 飛行機で数時間 の所に (中国→日本、トルコ→ドイツ、メキシコ→アメリカ)、給料が50倍もらえる国がある、という話。
 日本を基点にするなら、「月給2500万円!」 の国が、飛行機で1時間の所にある、ということだ。
 しかも コンビニや工場の単純労働で!だ。
 「物価が世界中で大きく違う」 と 錯覚 している人も多いが、現実には 世界の物価は さほど変わらない。所得水準の高い国では 「贅沢なモノ」 を消費し、所得の低い国では 「粗悪なモノ」 を消費しているに過ぎず、違うのは 「物価」 ではなく 「生活費」 である。
 行かないバカ がいるだろうか?
 何十年か前は、日本からブラジルからペルーへの移民が絶えなかったが、いまでは逆に、ブラジルとペルーから日本にきて働く人が、合法入国者だけで30万人もいる。
 
 彼らの立場は弱い?とんでもない。
 移民研究センター(ワシントンの民間研究団体) によると、最低でも 「93ヶ国が二重国籍を容認」 していると言う。2005年には メキシコ移民のアメリカ国民が、メキシコの大統領選挙の投票権を獲得した。
 拡大する権利は市民権(投票権)だけではない。参政権までもが拡大している。
 南米コロンビアの上院選挙に、アメリカのニュージャージー州の市会議員が立候補した。アメリカのイリノイ州でパン屋を営むイタリア移民のアメリカ人が、イタリア国会に立候補した。イタリア国会は上院6議席、下院12議席を移民の特定割り当て議席に設定した。
 世界で最も権威ある社会学者として知られるアルビン・トフラーは、「なぜ2重が前提なのだろう? 3重や7重ではいけないのだろうか? 明日の地球市民は、税金が有利だから、政治的な連帯を示したいから、などの理由で、ますます一連の国籍を使い分けるかもしれない」 と語る。
 世界銀行 によると、労働者の海外送金 (資本取引などは除く) は、2004年の1年間 だけで1260億ドル (約15兆円)。
 世界全体では現在、外国人労働者が 2億人以上いる。もっと驚くべきことに、諸事情により、「どの国の国籍も待たない人口」 が1100万人もいるのである。
 
 アメリカとは思えないほどヒスパニック系の多いカリフォルニア州では、スペイン語のTV番組の視聴率が英語番組を越える事が出始めたという。
 「同じ本人証明(社会保障ナンバー)を持つ人間」が 4人いた!ケースもあった。実態調査目的で当局が 科学力・組織力を駆使して調査してみると、1人は マフィアから買った本物の本人証明 (社会保障ナンバー) を持つ不法入国者 で、後の3人は 偽造を持つ不法入国者。 その社会保障ナンバーを 「元々持っていた人物」 は浮浪者で、「本人証明を取り返す予定はない」 と言い、逆に偽造しか持たない 不法入国者の使用者 (経営者) は、「彼をクビにするのかって? 冗談だろ。そういうやつの方がよく働くのさ。いざとなりゃ、市民権を取れるように力を貸すつもりだ」  と笑う。
 それ以前に、このように 科学力と組織力を駆使しなかった場合、彼ら5人の 誰がどうなのか、確認する手段もない。
 
 いまや、彼らの受け入れ先は、マフィアやテロ組織 ではない。
 「映画の都」ハリウッドの某大手スカウトマンは、「不法入国者以外のモチベーションは信用していない」 と語る。「不法入国はリアル・ディールへの一歩」 と語る諜報員もいる。
 人一倍 民族意識の薄い 彼ら映画俳優たちは、アンジェリーナ・ジョリー のように エチオピアやカンボジアの難民キャンプの孤児を実子にして 未婚の母 となったり、人工授精 (父親は明らかにされない) で ジョディ・フォスター が 未婚の母 となったり、、シャロン・ストーン が シングル・マザーとして 2人目の養子 を迎えたり、メグ・ライアン が 離婚後、中国で養子をもらったり、と、実生活でも 「ボーダーレス」 を体現する。
 
 世界最大の非公開会社 カーギル(社員約10万人) は、盗難だろうが強奪だろうが 社会保障ナンバーさえ持っていれば、(中小企業並みに) 採用 することで知られる。CBSのインタビューで カーギルの人事担当者は 「面接で英語が話せないからといってアメリカ市民でないと結論付けるのは差別では?」 と豪語した。 

 1. 事実は小説より奇なり。
  (意味:映画俳優や小説・マンガのヒーロー よりも、本物は 無茶苦茶にカッコを付ける。そして 映画や小説・マンガ より、人々の心を動かす。このページもまさに、その一端 を担っている)
 
 2. どこかで蝶が舞えば、世界の裏側で嵐が起こる。
  (意味:人の移動スピード は速度を速め、現代においては 江戸時代の藩境 より簡単に、国境を越えられる。 さらに、非公開だった ヤルタ会談の内容 が世界中の クラブやバー で話されたように、どんなに高度な情報も隠せず、事実は一人歩きし、人々の生活や夢、行動に影響する。 その伝達速度は、人の移動速度と同様、加速している。このページもまさに、その一端 を担っている)
 
 
 そして、「有史以来の民族大移動」 以上に、1. 2. に説得力を持たせているのが、ロシアを舞台とした 『ロマンスの行方』 (←拙著メールマガジンの題を借用)。
 
 3兆円以上の追徴課税!(1億円入ったトランクが3万個。トヨタグループの3年分の利益) を請求されている ミハエル・ホドルコフスキー (ユーコスからロスネフチへの移行を バイカル・ファイナンスを通じて説明する機会は、衛星サイトに任せよう) 。 彼が陣頭指揮をとる該当企業グループは、世界中の話題を集めていたにも関わらず、国家の明暗とエネルギー情勢に影響を与えるため、ほとんどの国で、このソースには報道規制がかかっている。
 
 報道規制 の及ばない完全会員制の各高級誌は、みずからの存在価値を知らしめるかのように書き立てる。
 
 プーチンは、自分が KGBのデジンフォルマーティア担当第一管理本部初代局長イワン・イワノビッチ・アガヤンツの末裔人脈の1人であることを 思い出していただろう。それはたとえようもない快楽であったに違いない。
 
 釘止めされる軍。あまりにも迅速な 内務省と大統領府の統制 と 国会の制圧。スペツナズ並みの武装集団 を用いて令状なしで飛行機の給油中に突入させる苛烈な手段。背後に、 「特殊な洗脳によって極限まで鍛えられた、末端の戦士に到るまで怪物化している集団」 のオペレーションが作動 している事は明らかだった。 
 「クーデターだ」 と 誰かが叫ぶヒマさえ与えなかった。

 
 逆襲も迅速だった。オーナーが拘留中にも関わらず、「悪魔の風」に吹かれてハリー・エンタープライゼス社 (メテナップ系企業) などの得体の知れない企業群に株主名義が変更、各国政府は拘置所に石油取引を打診する。

 
 拘置場所は独房ではなく!、その理由と結末は よく知られているが、(暗殺は) 成らず。沈黙を破ったジェンティーレ が背後で始動。エクソンの3兆円のオファーを蹴り、遠大なオペレーションが続行 していることを市場は再確認する。 誰もが知る シチリアでの 「前職」 を彷彿とさせるような 揺るぎない結束 が組織を覆い、「いつも通り」 、効果的に国境をまたぐデスクドローアー (トンネル会社) が 猛烈な逆襲を開始する。 ユーコス本体も、役員の半分以上を アメリカ国籍取得済の直系騎士 で固め、現場の検察を あざ笑うように、単体で20億ドル(約2500億円)という途方もない配当を実施(三井物産の連結経常利益よりも巨大である)! そして、たたみかけるようにホドルコフスキーは獄中から下院補選への立候補を表明!
 
 だが 戦いは決着どころか激化。禁固8年判決で下院補欠選挙の立候補資格はく奪、’05年10月には、モスクワの未決囚拘置所から シベリアのヤマロネネツク自治管区刑務所 (同刑務所1月の平均気温は 零下20度以下) に移送、戦いの裏時間で ベレゾフスキーは ウクライナの オレンジ革命 を指揮 (これは一般プレスにも最近リーク)。
 
 「ロマンスの行方」 は ノン・フィクションだけに、「面白い」 だけでなく、世界経済を動かす 最大の要因 である。
 数年前に日本で10円台(税抜1リットル) だったレギュラー・ガソリンが、いまや60円(税抜1リットル)を越えている。税金の53.8円(1リットル) や 輸送費を入れると、スタンドの小売が かつての70円台から125円(1リットル) に上がっているからといって、スタンドに文句を言うのは 「筋違い」 というものだ。彼らは赤字で石油製品を提供 してくれている。
 代替エネルギーのエタノール需要 急拡大で、数年前に 1kg17円台だった粗糖も1kg50円を越え、今後 コーンにも波及すると思われる。
 エネルギーだけではない。化学製品を含め、現代世界で石油を使用しないで作れるモノなど、ほとんど何もない。TV番組で 「この部屋で 石油を使わずに作れるモノだけ残したら」 というのがあったが、残ったのは海外旅行で買った という 木の彫り物 ぐらいだった。その彫り物にしても、買いに行った 部屋の主人 は歩いて 東南アジア には行けまい。飛行機か船で、石油の力 を借りて行ったのだろう。それ以前に、その部屋 (建築物) 自体が、石油 なしには 存在しない。
 日本が 国家の将来 を託すメイン・プロジェクト (サハリン機Ν供法▲▲献 をゆるがすアンガルスク・ライン、各国が争うリビア利権、オイル・メジャーの再編……といった ビッグ・ビジネス だけでなく、あらゆる国家・業種 の中小企業まで、この戦いの行方 に影響を受ける。
 
 〇実は小説より奇なり。
  (意味:小説なら無理があるほど、現実では奇跡が起こり、運命的。古い密約や固い意志が、世界を動かす)
 
 △匹海で蝶が舞えば、世界の裏側で 嵐が起こる。
  (意味:130年前から 世界は1つであり、誰もが世界の一員であり、世界が回転すれば 誰もが影響を受ける。そんな中、騎士たちは独特の価値観で、どんなに遠くても 約束を果たしにいく)


2007年03月28日

国家破産と債券 <Time Is Money....日本政府の現状>

 日本の債券取引量が1京円(1兆円の1万倍)の大台を超えた。
    /日本経済新聞社
 
 日経新聞社は、「2006年の日本の債券取引高が、現物と、東証に上場する先物だけで1京358兆円となった」、と報道した。
 
 数年前、アクセス数で1万位にも入っていなかった我々は、今や月に25億PV(ページビュー。アクセス数の事)、世界30位にランクするサイトとなり、人類史上最大の百科事典となりました。
  /ジミー・ウェールズ他(ウィキペディア・スタッフ一同)
 
 たった数年で世界最大の百科事典となったスーパーサイト「ウィキペディア」。その「定義」こそは世界的な「一般認識」だろうから、今後たびたび使う予定であるが、その定義の中でも、「債券は、発行体、償還期間、残存償還期間、償還順位などの組み合わせで、商品数が株式よりかなり多いため(流動性を有す国債を除くと)、市場取引が向かず、基本的に相対取引である」、とあり、そう考えると、1京円というのも氷山の一角 であることが明白である。
 先月、世界で初めて、「もどき」ではない本格的なヘッジファンドが株式公開した(フォートレス)。一般プレスは、「未公開企業への投資で急成長。06年9月末で運用残高約3兆1600億円(MSN毎日)」「今後も成長が見込める」などと報道しているが、今後の展開が明るいのなら、上場するはずがない。単独で約10兆円規模のクラビスやカーライル、ブラックストーンといったファンドも、「すでにポジションやディーラーの陣容がリークしている」 ことを主因に上場を模索中のようだ。
 そのようなファンドにとって、日本の債券市場は格好の主戦場と成り得る。
 だから日本の債券がいいというわけではない。むしろあまりに悪いから取引が増えているのだ。
 
 債券の代表はもちろん国債である。
 
 国債は国の借金である。23日に財務省が発表した数字では、現在の日本政府の国債発行残高は676兆円。ちなみに政府の借金は、その他にも政府短期証券が約100兆円、直接的政府借入れが約60兆円、さらに、総務省発表の地方自治体の債務残高は201兆円、それに政府保証債務などのようにまだ確定していない債務や、数字が公表されないものを含めると、「政府の金融資産と差し引きして正確な純債務を計算してみよう」 などという気はなくなってしまう。
 財政融資資金・社会保障基金・郵貯・簡保、日銀などの公的部門がある程度保有しているといっても、それらの機関の他部門が運用成績を満足に出していない以上、1. 増税、2. 債務不履行、3. 国家破綻 が、秒読み段階に思える。
 50兆円の予算で支出が80兆円、1000兆円を軽く超える借金の金利だけで年間10兆円以上払っている状態(http://www.kh-web.org/fin/ ←クリックでリアルタイム化)とは、数字を小さくすれば、月収50万円の人が子供がたくさん居て月に80万円の生活費がかかり、1億円借金していて、金利だけで月に10万円以上払っている状態 である。
 しかもこれは、現在の過去最低金利が続いたら、という条件での話。
 金利が10年以上前の高水準に戻れば、月に60万円ぐらいの金利になる(日本国だと年間60兆円)。こうなると即、破産である。
 藤原紀香ちゃんや小雪ちゃん といった完全無欠型イメージのタレントで宣伝し、国会議員を中心に厳しく言論を統制しているが、数字が改善するわけではない。
 また国債、政府保証債、地方債などの場合、財務上の特約などがあるケースは少ない。したがって発行体が倒れれば普通に紙切れとなる。国家破綻すればまず円が紙切れになるが、同時に円建て債券も紙切れとなるのだ。
 
 いずれにせよ債券取引とはすなわち「時間」の売買であり、時間が経っても改善し得ないような国家や会社の債券には投資できない。崩れる時は劇的だろう。
 あまり言いたくはないが、上記に紹介したような債券市場は、世界で最も巨大な 「金利=時間市場」 の中において、プロの市場ではない。実際には ユーロ市場(ここでいうユーロは欧州通貨のユーロと関係ない)で取引される.罅璽蹈疋襦↓▲罅璽蹈罅璽蹇↓ユーロ円 という三通貨が金利取引の中心である。ここを簡略にスルーしなければ「ユーロ市場」の説明で今号が終わってしまうので、ユーロ市場については別の機会に説明するが、バランス感覚が狂わないよう、念頭には置いて欲しい。
 例えば 同じ円でも、「日銀の円」より「ユーロ円」 の金利取引が、金利取引の大半だ。そしてそれらのマーケットでは、クラッシュの直前にプロがやるような、典型的な買いオペ(金利ベースでは売りオペ)が少なからず確認されている。
 
 国債の誕生は、近代から現代への脱皮だった。
 王が発行する公債は、王の私的債務か国家の公的債務かの区別が曖昧 で、償還の原資が必ずしも保証されておらず、資金繰りに困った王により恣意的に債権放棄させられる危険性ばかりでなく、次代の王が先代の債務を引き継がないなどの原因で、しばしば債務不履行(デフォルト)に陥った。そのために公債は償還期限が短期でリスクを反映して利率が高く、王が返済に困ってデフォルトを繰り返す悪循環が繰り返された。絶対王政の時代、欧州の王はしばしば戦争を行い、それらの戦費はこうした公債で賄われた。
 ネーデルラントを「オランダ」と発音するのは日本だけだが、これは日本人がホラント州出身のネーデルラント人に「どこ出身?」と聞いたためだ。そのホラント州の議会が、償還期限が長期で利率の低い(すなわちリスクが低い)国債を安定して発行するため、恒久的議会が国家の歳出・歳入・課税に関する権利を国王から奪取、君主の私的財政と国家の財政(国庫)を分離する先鞭を付けた。
 オランダ国王はその後、ホラント州議会の保証を裏付けとして公債を発行するようになった。
 イギリスはオレンジ公ウィリアムの時代に、このホラント州の制度を導入、国債の発行時に返済の裏付けとなる恒久的な税を創設するようになった。
 名誉革命と権利章典により、議会が国庫と課税を管理し、王は議会の同意なしに課税も国庫からの支出も行えなくなった。イギリス議会はコンソル債とよばれる単一の国債に既に発行済みの複数の公債を一元化し、金利の安定化と流動性の確保に務めた。それにより、コンソル債は欧州で最も低リスクな債券として信用され、各国の国債ベンチマークとなった。
 この過程で、イングランド銀行は国家の歳出・歳入口座をもつ唯一の銀行、すなわち中央銀行としての地位を確立 するのである。
 
 もちろん、国債をどのように王と切り離しても、国家 (政府) とは切り離せない。
 破産したことがない政府として知られるアメリカも、1800年代はモルガンの援助がなければ破産していたし、二次大戦時も、硫黄島のヒーローを仕立てたプロモーション (映画 『硫黄島からの手紙−父親たちの星条旗』 でも描かれた) が失敗し、国債がさばけなかったとすれば、日本政府よりも先に破産していた可能性がある。
 
 日本国債の場合、政府からシンジケート団が引き受けるか(この方式は平成17年度末に廃止)、入札方式により銀行・証券会社・生損保等の金融機関が購入し、これがその他の機関投資家や個人に販売されたり、財投債という形で郵貯・簡保・年金資金運用基金に引き受けてもらう、というシステムである。流通においては、通常の売買、レポ・現先といった貸借取引の他、日銀によるオペレーションも大きな役割を担っている。
 最近では、短期市場の支配者としても君臨し始めた欧州系大手ヘッジファンドなどが、大手プレイヤーとなりつつある。
 
 これ以降の内容は口頭で。だって怒られちゃうもん。


2006年04月04日

メディアの明日 - 3 <テレビと新聞のニュースが死ぬ日>

60159a8b.jpg 「ブログは新聞を殺すのか」……ニューズウィーク誌 3月15日号の カバー・ストーリー である。そして翌週の 同誌 (3月22日号) カバーは、「ネットはテレビを殺すか」 というものだった。最近多くのメディアが、「メディアの再編成」 を みずから特集している。
 
 結論から言えば、
 1. ブログは、テレビや新聞のニュースを確実に 殺す。
 2. インターネットはテレビを殺さない。
 
 まず先に 2.
 
 これを読む読者や我々は、ネオ・リベラリズム(世界の自由化・規制撤廃を求める 純粋右翼主義) の旗手であり、同志たちによる ここ数年の、めざましい成果に満足すると同時に、「ここで 敵対者の心の根まで へし折っておきたい」 と考えているハズだ。
 
 ネオ・リベラリズムの妖怪が、世界を徘徊している。
  /『ル・モンド・ディプロマティク』誌のカバー・ストーリー
 
 資本の完全なる 自由化 と 規制撤廃 を求め、世界を 自由市場 にすることを目的とした 「ネオ・リベラリズム」 は、新しい 「世界資本市場」 の形成を目指す 革命的思想 だ。
 ある国民国家は解体され、そこの国民は脱国民化するかもしれない。つまり その国の国民ではない 「地球民」 となる。
  /柴山哲也 (元朝日新聞記者、元米国立シンクタンク研究員)
 
 我々ネオ・リベラリスト側についたのは フォックス系の弱小ニュース局ぐらいであり、メディアの大半は驚くほど露骨に、世界中で、我々の敵対者となった。
 にも関わらず、我々ネオ・リベラリストは 1990年代のように相手を力でねじ伏せるだけでなく、しっかりと議席を獲得し、先進国の ほぼ すべての内閣 を支配している。世界最大の政府 であるブッシュ政権 にしても、個別の場面では保守派の価値観を守りながらも、経済政策では 完全にネオ・リベラリストの言いなり である。
 既存メディアを敵に回してなお、我々の側が あらゆる地域の選挙に勝つ状況 が示唆するように、人々がいかに 新聞やテレビを信用しなくなっているのか、という事実を、浮き彫りにしている。
  日本でも、郵政選挙での執行部圧勝には 様々な政治学的側面があったものの、「新聞やテレビは色々言うけど、現実論では……」 という感じで、今回は(珍しく)、国民与論も確実に マスコミのバイアスの逆に動いていた。与論が我々を支持する、という 「異様な」 感覚の中で、我々は戦局を見守った。
 
 メディア界は今、まるで総合格闘技ルールで 戦っているかのようだ。
 総合格闘技では、よほど苦手な分野がない限り、相手が 打撃で仕掛けてくれば、タックルで崩してサブミッションで 関節の破壊を狙うか、頚動脈を絞めて 失神を狙いにいく。相手がタックルにくれば、それを切って打撃で 脳震盪を狙いにいく。
 これは 戦争の掟でもある。どんなに強力な 大和型の戦艦も、航空機の編隊に襲われれば ひとたまりもない。しかし 航空機を載せる空母は、戦艦どころか、小さな駆逐艦と遭遇しただけで 撃沈される。空母も戦艦も 潜水艦に狙われるが、潜水艦は浮上したら 機関銃を2〜3丁装備した漁船に白旗をあげる。陸上のすべての兵器は、海から、戦艦の艦砲射撃を46冕い膿らえば無力。ただし戦艦は 莫大な燃料と数千人分の食料を必要とし、歩兵に持久戦を挑まれれば 黙って後方へ帰るしかない。
 メディア界では、新聞は雑誌化・ブログ化し、ネットはテレビ化し、テレビはブログ化している。
 2003年度のワールド・プレス・トレンドの調査では、アメリカで発行される新聞は1456紙 にものぼり、それらの新聞を大手メディア・グループが効果的に配布する。ニーズごとに細かく発行される新聞は表紙のない雑誌だ。
 雑誌的な新聞が志向され、アメリカ最大の新聞社であるガネット・グループの総合発行部数のうち、最大の新聞である 『USAトゥデイ』 が占める割合は35%に過ぎない。2位のトリュビューン・グループの最大新聞 『シカゴ・トリュビューン』 も、世界の20位にすら入らない。3位のナイト・リッダーの主力紙 『(フィラデルフィア)デイリー・ニュース』 は、アナリストに廃刊を勧められている。雑誌化を遅らせた新聞は衰退をたどる一方である。
 その雑誌界にしても、イギリス、フランス、日本、ドイツ、イタリア、ロシア、スイス、カナダで最大の発行部数を誇る 雑誌 は、今やなんと、テレビガイドである。世界のほとんどの主要国で、最も売れている雑誌はテレビに関するコメント・紹介雑誌なのである。
 各メディア界の境界や規制はかつての金融界と同様に、消えつつあるのだ。
 
 いずれにせよ 最強兵器はブログだが、ブログが ネット界のみの武器であった時代は終わった。放送形式や発行形式に関わりなく、あらゆるコンテンツが、あらゆるメディアで報道されるようになったからこそ、インターネットはテレビを殺せないのである。いずれ多くのテレビ番組や新聞紙面が、「ブログの公開部門」となるだろう。
 ブログは 総合格闘技で言う パンチだ。グラウンドになれば、キックの威力は軽い嫌がらせ程度でしかないが、三角筋、広背筋、大円筋を使えるパンチは、座った状態からでも、それほど破壊力が落ちない。相手はフットワークを使えないから、かえって立っている状態より、脳震盪のリスクは高まるというワケだ。ブログはあらゆるメディアに対応能力を持ち、あらゆる方向性を、自動的に模索する。
 リアルタイムでニュースを報じるブログだけでなく、映画のように リピート需要を形成(テレビは通常15%程度しか同じコンテンツを再利用できていないが、映画界は300パーセント前後再利用できている)するようなブログも、出現している。
 
 こうした傾向を、ブン屋やテレビマンたちが捉えていれば、テレビはネットに殺されないで済む。往年の大女優のように、自分たちの役割が変化していることに気付き、主役を降りる覚悟さえあれば、だ。
 もちろん、ブン屋やテレビマンたちが、そうしたことを完全に把握し、完璧に対策を練っていても、報道ニュースなどの特定分野は急速にネットへ傾倒していく。
 2005年5月31日。この日 発売された『バニティ・フェア』は、ニクソン大統領の ウォーターゲート事件で使われた匿名情報源 「ディープスロート」 の正体を明かす記事を掲載しており、それが事実であるのかどうか という返答を、ワシントン・ポスト は迫られていた。33年間 封印されていた秘密 が明かされるのかどうか、ポストの返答に世界が釘付けとなった。
 
  とにかく興奮したよ。
     /ジム・ブレーディー (ワシントン・ポスト・インタラクティブ副社長)
 
 『ポスト』はなんと、紙面よりも早く、ネット上で、記事が事実であることを認めたのである。「ボブ・ウッドワード記者(当時、ディープスロートから情報提供を受けた本人)が、それを認めた」、とポストはネット上で報じた。
 
 ニュースペーパー・アソシエイションによると、アメリカの新聞(日刊紙)の統計発行部数は 1985年の6277万部をピークに 歯止めなく減少を続けている。しかも、読者の高齢化が進み、いまや新聞しか読まないヘビーユーザーの大半が、デジタル機器に弱い老人だ。
 ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルのような新聞が さえない中、ウォールストリート・ジャーナルは 部数を飛躍的に伸ばしている。結局、「株式欄以外のニュースは紙じゃなくていい」 という我々の潜在意識が、統計に表れているわけだ。しかも、プリンタの低価格化が進めば、ネットの記事はいつでも紙にできる。最後の砦と思われている株式欄さえ、いつの間にか征服されているかもしれない。
 ヨーロッパで発行部数を急拡大する、『メトロ』や『20ミニュット』といった無料新聞(フリーペーパー)も、それらの動きに拍車をかけている。
 気付いたら、すべての新聞が無料新聞となっている可能性もある。
 
 もっと厳しいのはテレビである。一定の購読料収入などでコストをまかなえる 新聞や雑誌と違い、収入のすべてを広告に依存するテレビは、コンテンツ制作を 番組製作会社やCM製作会社、局本体などに分けていながら、それらをセットで視聴者に提供し、広告収入は別の企業体などから受け取っている (しかも広告会社を仲介して)。このようなビジネス・モデルが、今後通用し続けるはずはない。
 情報操作が、国際政治・国際ビジネスにおいて重要なことは解っている。国連でフランス代表に送られた熱烈な拍手は、確かにCNNによってカットされた。だからといって、根に持って国際ニュースを国費で作り始めたフランスは、本当に政治的な成果を出せるだろうか?
 米CNNや英BBCですら、国際ニュース部門は年間数十億円の赤字なのに? BBC国際ニュース部門の年間赤字だけで、日本のNHK国際ニュース部門の年間総経費に匹敵する。CNNは数字を公開していないが、赤字額はBBC以上と言われている。世界最強のTV局である彼らですら、この有様だ。いずれ、国際ニュースはブログのみで見て、テレビは バラエティとスポーツだけを、バック・ミュージック的に流す役割に なるかもしれない。
 第一、フランスには、英米のように、赤字を押してでも国際情報を操作しようとするスポンサーがいるのか?
 むしろ、高額の契約料を払わなければ読めない、同じフランス系の高級雑誌に倣って、「有料放送」をこそ、彼らは目指すべきではないだろうか。思えば、武器ロビーの完全支配下にあったフランス・メディアから独立した情報ソースを求めて、ル・モンドと読者・編集部が出資して『ル・モンド・ディプロマティック』が作られ、それにすら飽き足らない市場はメディア・コンプレックスの怪物たち(シンクタンクや討論会・有識者会議を兼ねた存在)を生み出していったのだった。今ではフランスはかつての逆、つまり 「真実が最も入手しやすい国」 となっている。
 
 高度な情報入手ルートを持たず、もし入手できても、報道することは許されていないテレビ局や新聞社が、国家や大企業の利権が絡む、重要な国際ニュースを報道しようなんて、始めから 考え方がおかしい。
      /某高級誌編集者
 
 ニールセン・メディア・リサーチによると、平日夕方のテレビ・ニュース視聴率は、80年代には、3大ニュース局(NBS、CBS、ABC)で 「最低」でも10%を切る局がなかったのに、今では「最高」でも7%台を下回る。
 悪あがき的に、テレビ局は、自分の持てる人材と技術資産を駆使してネット・メディアに生き残りを賭けている。
 ABCは2004年にネットを利用した「ABCニュース・ナウ」を開始、2005年にはCNNがネット向けライブ・ニュース・チャンネルを開始したが、これらの試みはいずれも、まったく成功するとは思えない。彼らには、テレビ以外のメディア媒体に関する技術的蓄積がないのだ。
 日本の大手民放はそれ以上に、馬鹿げた挑戦を準備中であり、テレビ画面でインターネットを利用できるようにするのだと言う。逆なら分かるが、あんな大きな画面で、ノートパソコンと競争するのだろうか?
 それ以前に、技術的な部分で、特にテレビ局が得意とするキラー・コンテンツの映像流通にインターネットが弱いことは周知であり、広告・ソフト面も弱い。
 TBS、フジ、テレ朝が共同設立したトレソーラ(動画配信会社)が人気ドラマなどをイベント配信した時も、事業化を早期断念するしかない極端な不振であった。ちなみにトレソーラ(今も存在するかは知らない)の社長だった原田氏(TBS執行役員メディア推進局長)自身、インターネットが映像コンテンツの流通に弱いことを認めていた。
 テレビ局のこのような不甲斐なさは、広告主が直接メディア界に参入するという事態を招いている。これまで広告主であったP&Gが 自社直営で「ホームメイド・シンプル」というオンライン雑誌を運営、コカ・コーラも自社で「マイコークミュージック(www.mycokemusic.com)」という音楽ダウンロード・サイトを運営し始めた。
 
 クライアントとメディアと広告会社を隔てるバリュー・チェーンの境界線は消えつつある。
       /ランドール・ローゼンバーグ(広告アナリスト)
 
 そんな連中よりもずっと重要なのは、世界最大 (というより 「すべて」 と言ってもいい) の検索サイトである グーグル の存在である。いまのところグーグルは独占禁止法の作動を恐れて多くを語らないが、その立場はかつてのマイクロソフト(コンピュータ・ソフト)、ロックフェラー(石油)、AT&T(電話回線)、グラマン(航空管制システム)以上に、「無敵の状態」である。ネット会の弱者集団であるマイクロソフトやYahooが定石通りに手を組んだとしても、まったくライバルにはならない。
 グーグルは他人に 「選んでもらうコツ」 に通じた彼らならではの理論で、最強の男たちと水面下で 「白騎士」 「黒騎士」 契約を取り付け、アマゾンと同様、株主やホワイトナイトを大手ヘッジファンドの系列で固めている。
 技術買収やM&Aにおける騎士たちの支援は絶大だった。資本規模からは想像できない工作を続ける背景には、強力なナイトたちの顔ぶれがあった。例えばAOLはワーナーの完全子会社と思われているが、グーグルは昨年末AOLの大株主となっている。これによってAOLのコンテンツをGoogleのWebクローラーがよりアクセスしやすいようにできるほか、動画検索においても協力を迫られるのは必至。AOLのプレミアム動画サービスをGoogleVideo内で展示することも可能だ。さらに水面下でアメリカの衛星テレビ放送大手のエコスター・コミュニケーションなどと急接近、テレビ広告の仲介事業に参入すべく着々と効果的な提携を準備中だ。こうして、インターネット、新聞、ラジオ、テレビ、つまり主要媒体すべてに広告を配信する体制が整う。彼らは満を持して2006年1月。ラジオ広告会社を買収した。みずからの手で広告し、自らの手でニュースを報道できる体制を、着々と進めている可能性がある。
 最も侵食がj簡単なのはテレビだろう。彼らはインターネット広告で培ったノウハウを活用し、競売方式で広告枠を販売するかもしれない。
 だとすればテレビ広告のシステムそのものが完全に崩壊する。広告主は放送地域や番組名などを特定して競売に参加し、最も高い広告単価を提示した企業が広告枠を取得するシステムが、未来の広告システムとなる。視聴回数の計測には、衛星放送の加入者宅に設置された受信装置が使用されるだろう。広告主に視聴回数など広告効果を報告し、広告料を、広告仲介会社や番組供給会社と分け合う未来が、はっきりと見えるではないか。
 
 私たちのサイトを訪れた人々を、いかに素早く、的確に、目的の場所へ辿り着かせるか。それ以外のことに関心はないよ。
     /ネイサン・ストール(グーグルニュースのプロダクト・マネージャー)
 
 Googleが、みずからの手でニュースを報じようとしても、どうして驚くことかね?
        /メリル・ブラウン(メディア・コンサルタント)
 
 Googleの利権者たちの顔ぶれを見れば、Googleが30文字以上の社名のアンシュタルトでないことに驚きを感じるわ。逆に、いつGoogleがクレディ・スイスやUBSのような事態になっても、わたしは、いえ世間だって、少しも驚かないんじゃない?
        /某高級誌編集者
 
 結局のところ、通信業者(携帯電話会社、テレビ局、プロバイダー業者)にとっても、「コンテンツ(メディア媒体を通じて伝えられる作品。映画、音楽、小説、スポーツの試合、バラエティ、ニュース)」 提供業者にとっても、最も重要なのは「アルゴリズム(言語選択習性)」だ。特に、国際ニュースや検索サービスといった世界的なビッグ・ビジネスに、この傾向が顕著である。
 グーグルはニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)の学生が開発したテキスト検索技術Orionを買収し、その開発者を登用してOrion開発プロジェクトを進めている。昨年9月のプレスリリースでは「Orionは検索サービスを補完するために設計されている」というだけだったが、このエンジンは重要な武器となる。通常の検索エンジンは検索キーワードを含むWebページを抽出するが、Orionは検索キーワードと関連性の高いトピックを持つコンテンツを特定、ページのセクション単位で検索結果を返す。また、検索キーワードに関連するトピックもリスト表示する。この技術により、ユーザーは検索エンジンから個々のWebページにアクセスしなくても情報が取得できるようになるという。
 恐らく2011年頃には、特殊なアルゴリズムを用い、サイトやブログ、ブログのコメントなどを抽出してそれを新たな記事にするというロボットを、現在の検索ロボットと同様に、完成させてしまうのではないか。
 そして、もう一人の独占者であるアマゾンのベゾフ会長の思考回路はどうだろう。ヘッジファンド・グループに勤務した経験を持ち、ヘッジファンドやインベストメントバンクのM&Aスタッフに強力なコネクションを持つベゾフ会長は、自分たちが持つ独占的分野と、グーグルが持つ 「検索」 などの独占的な分野を提携すれば、夢の (あるいは恐怖の)「進化型パーソナライズ情報構築網」の形成を、2016年頃には期待できるとのグランド・ストラテジーがないだろうか?
 
 私の悪いクセが出てしまった。 「過去からの狙撃手」 は、気軽に未来を撃ってはならないのだ。
 
新型ブログの蹂躙! そして 1.
 
 驚異的に勢力拡大するブログが、マスコミのルールを根底から変えつつある。
       /ニューズウィーク誌
 
 ブログが、ニューヨークタイムズのような大手メディアと対抗できるようになったのは重大な変化だ。
   /ジェフ・ジャービス(メディア企業オーナー)
 
 ブログはその破壊力を、既存メディアに赤っ恥をかかせる形で示し続けている。
   /ニューズウィーク誌
 
 法律的には 日記 であるために 報道規制 をほとんど受けない ブログ が、テレビ・ニュース や 新聞 を殺すのは、まさに 時間の問題 である。 
 
 2004年9月。CBSがブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を報じた際、その証拠となったメモが 「ガセ」 であることを ある強力ブログが ブログ上で立証・責任追及し、看板キャスターのダン・ラザーをプライムタイムのニュース番組から降板させる。
 2005年2月。CNNのニュース部門最高責任者のイーソン・ジョーダンは、世界経済フォーラムでの失言を、ある強力ブログによって執拗に追求・非難され、辞任に追いやられた。この発言は非公開の場でのもので、しかも軽口的な内容だっただけに、強力ブログの破壊力をまざまざと見せ付けられる結果となった。同じように、攻撃的な強力ブログの「スモーキング・ガン(www.thesmokinggun.com)」も、些細なウソを追求して人気トークショー司会者のオプラ・ウィンフリーを謝罪させたりしている。
 2005年3月。ホワイトハウスの定例記者会見 に、ついに、強力ブログ「フィッシュボウルDC(www.mediabistro.com/fishbowldc/)」の運営者、ギャレット・グラフが出席した。記者証申請の段階からホワイトハウスはおびえまくり、大手メディアの担当記者が数多く所属するホワイトハウス特派員協会に相談、記者証を発行した。グラフは5回ほどホワイトハウスを訪れたが、「退屈だな。記者発表はラジオで充分」 と一蹴、もうホワイトハウスには行かないと言う。
 
 30年前にブログが存在していたら、ディープスロートの正体はとっくに彼らの手で明らかにされていただろう。
    /ニューズウィーク誌
 
 アメリカはおそらく、世界で最も自由な国だ。言論統制など どこにもない。
  だが、大衆心理は簡単に動かせる。彼らを テレビの前に座らせ、スポーツや コメディや 暴力映画を見せておいて、時々、ただし繰り返し、誘導したい方向にニュースやメッセージを 流せばいいだけだ。
 反面で、そうした事を知ってしまっている人間には、なんの効力もない。
    /エイブラム・ノーム・チョムスキー(マサチューセッツ工科大学教授)
 
 1961年、ニューヨークタイムズが、ケネディ大統領の要請でキューバ侵攻作戦に関するスクープ記事の掲載を見送ったことは、広く知られている。2004年にピュー・リサーチ(シンクタンク)が行なった調査では、アメリカで 「新聞やテレビのニュースが信用できる」 と答えたのは たった9%だった。
 アメリカですらそうなのだから、日本やイタリアといった情報後進国 (闇社会の人間が正体を隠さずに生活できている理由でもある) では もっと、テレビや新聞の信頼がない。
 TBSでキャスターだった田英夫は例の 「ハノイ・レポート(反米論調)」 で自民党にクレームをつけられて降板させられたワケだし、日テレが制作した 「南ベトナム海兵大隊戦記」 は、第一部が放映された後に自民党からクレームがつけられ、以降が放映停止となった。
 イタリアのメディアは イラク戦争をめぐり、テレビ局8局(公共3社、民営5社)のうち7局までが 完全なアメリカ寄りに 「宣伝」 活動を繰り返す一方、大手新聞の 『イル・コリエル・デラ・サラ』、『ラ・スタンパ』、『レ・パブリカ』は、いずれも反戦一色で、互いのオーナーの利権と意向を宣伝しあった。
 オセアニア (オーストラリアのニューズ・コーポ) のルパート・マードックと、アメリカ (CNN) のテッド・ターナーが 「TVメディアの覇権」 を争う様子は 世界中に報道されたが、戦う相手に有利な報道をする会社など、有り得ない。
 
 人々の、リアルディール(正真正銘の本物を示す諜報世界の隠語。反対語で一般世界をワンダーランドと呼ぶ)の情報を渇望するスタンスは、いまや爆発寸前にエスカレートしている。
 高級雑誌、高級メルマガはもはや、マーケットの世界だけの ものではない。
 2003年3月に 『ル・ヌーブル・オプセンドール』 が、「ブッシュとシラク、離婚確実」 と報じたことは その後のヨーロッパの政局や米仏関係を決定づけ、『ル・ヌーブル・オプセンドール』 はイラク戦争当時、各国政府をマトリックス的に採点していて、その中で日本について、「唯一アメリカを支持した国。ただし国民は戦争に反対した」 と的確で明快な説明をしているのが印象的だ。
 そして これらの高級誌が 「日記」 である ブログ にリークしている場合、面白くないハズが ないではないか。
 
 ブログが真に怪物化する時とは、我々がそれを手掛けた時さ。
    /某高級誌コラムニスト
 
 NBCニュースの副社長マーク・ルカシェビクスは、「わが社の経営陣の一人は、自分たちの仕事はTVニュースを作ることだと考えるのは、もうやめようと言っている」  と語る。
 実際、NBCを代表するニュース番組 「ナイトリー・ニュース」 の看板キャスターであるブライアン・ウィリアムズみずからが、ブログを執筆しているのだ(http://dailynightly.msnbc.com/)。
 ニューヨーク・タイムズのニーセンホルツは、「ブログにはイラク戦争を取材したり、役人の腐敗を追及したりする組織力や資金力がない? なるほど。じゃあ、そうしたものを持つブログが現れたら?」 と 既存メディアに警告する。
 いまや、マンハッタンに通勤するモントクレアやブルームフィールド、グレンリッジの人たちが最も信頼するニュースは、元ニューヨークタイムズのコラムニスト、デビー・ギャラントが2004年の5月に開設したブログ 「バリスタネット(www.baristanet.com)」 のニュースであり、テネシー州ナッシュビルのテレビ局WKRNの総支配人マイク・セクリストは、地元の強力ブログ運営者であるブリトニー・ギルバートに、テレビ局直系サイトの運営を一任、他局を おびやかしている。
 全米最大手クラスの新聞、(フィラデルフィア)デイリー・ニュース紙は、「瀕死の状態」とアナリストにレッテルを貼られているが、先月(2006年2月)の12日、同紙オンライン版エディターのバンス・ラムキュールが 日曜の数時間のヒマに、「ディック・チェイニーとウズラ狩り」というゲーム的サイトを作ると、木曜日までにアクセスが20万件を越えた。
 同紙シニア・ライターのウィリアム・バンチは、「80年の歴史を持つこのタブロイド紙は、生きるか死ぬかの瀬戸際だ。人員削減で空いた机が目立つ編集部は、まるで中性子爆弾でも落ちた後みたいだよ」 と語るが、1年前にスタートした自分のブログ(www.pnionline.com/dnblog/attytood/) が早くも 1日に約1万件のアクセスとなっており、親会社のナイト・リダーを、臆することなく 過激に攻撃する。
 
 情報レベルだけの問題ではない。
 新聞やテレビに出る程度の情報であれば、少しぐらい情報が伝わるのが遅くても、構わないはずだ。同じニュースソース (情報源) でも、よりシュールな視点で、卓越した角度と独自のアルゴリズムで切り込み、そして血沸き踊る文体と技巧的文法テクニックで語りかけてくる、「新型の爆弾ブログ」 がある場合、そうでもない新聞やテレビが、勝てる道理はない。
 
 書き手が匿名のまま一大ムーブメントとなった「TVニューザー(www.mediabistro.com/tvnewser/)」にしてもそうだが、今、最も人気のあるサイトの多くは 「ニュース・アグリゲーター」 と呼ばれるサイトだ。独自の視点でブログや新聞、雑誌からニュース記事を集め、トピック整理したサイトである。
 こうした流れに いつまでも逆らうのは、既存メディアにとっても得策ではない。特に アメリカにおいては、得策でない手法を経営者が続行すれば、株主たちによって経営者はクビにされる。
 ニューヨークタイムズは、新聞そのものにブログ機能を取り入れ、「セレクト」という有料会員がコラムの意見を書き込めるようにした。
 ワシントン・ポストも新聞にブログ機能を取り入れ、一部のコラムニストのコラムを連載ブログ形式にし、読者からのコメントなどにも返答する。そして2005年1月には最初のブログを開設、いまや自社のサイトに30本のブログを運営する。
 いまやシカゴ・トリビューンやLAタイムズも、コラム欄とは別に公式ブログを運営しているのである。
 
 私の このブログと同様、ブログの読者が、株主のように強力なシンパとなって運営者と共同体を形成する部分も、ブログが他のメディアと違う部分だ。IT関連ニュースを扱う「ディグ(www.digg.com/)」などは、どの記事を先に掲載するかを、読者の投票で決める。
 
 先月(2006年3月)NBCは、登録者が1500万人を越える有力サイト、「i ビrッジ」を6億ドル (約700億円) で買収した。
 昨年10月には、AOLがウェブログズ(複数のブログを運営)を買っており、7月には世界最大のメディア・グループである オセアニア (オーストラリア) のニューズ・コーポが、5億8000万ドルで 「マイ・スペース(登録者2000万人以上)」 を買収した。
 NBCはその 「マイ・スペース(ティーンに強い)」 を、ニュース番組の中で  「テクノロジーに弱い両親が知らない、サイバー上のティーンの秘密空間となっている」 と紹介し、多くの学校が、ファイアー・ウォールでアクセス遮断措置を進める。だが 「テクノロジーに強い」 ティーンにとって 「空き地のロープ」 程度の存在でしかないのではないか。
 冒頭文で言葉を拝借させてもらったジェフ・ジャービスは、自らのブログ 「バズ・マシーン(www.buzzmachine.com)」 で、「メディア論」そのものを 高らかに発信し、メディア企業の戦略を指南する(このページのように)。
 もはや 新型の爆弾ブログと、それを取り巻くムーブメントは、かつて 我々が起こしてきた数々のムーブメント同様に、すべてを吹き飛ばすように設計されている。
 
 我々は、既存メディアのニュースを殺し、その功罪を、子供のように一切省みることなく、「現在」 と、「明日」 を、模索する!
 破壊の影に出現する 弊害と、数々の憎悪、そして反論を、力づくでねじ伏せ、我々の哲学とフォースを、提示しよう!