2007年01月02日

2007年01月02日

機関士のTom

Tom Harvey and the Circus Train 1976年夏、筆者は友人を訪ねて、Wyoming州、Rock Springsという町に滞在していた。するとラジオが「サーカス列車がやって来る!」と興奮した声で伝え始めた。

 友人が見に行こうと言うので隣の町のGreen Riverの駅まで行ってみて驚いた。近在の人たちがたくさん集まっている。予定時刻よりやや遅れて列車がやってきた。DDA40Xを先頭にした約30輌編成のRingling Brothersの貨客混合列車であった。最初の10輌くらいの客車は人間が、次の10輌くらいの貨車には動物たちが、そのあとにはテントその他の機材が積まれていた。昔見たダンボの映画そのままの列車であった。筆者もいささか興奮してあっちこっち写真を撮っていると、長身の機関士が、「Newspaperman(新聞記者)か?俺を撮れ。俺が機関士だ。」と言う。

 話を聞いてみるとUPで1941年から働いているという。現役で3番目に古い機関士であると胸を張る。「Big Boy を知っているか。」と聞く。「チャレンジャも800も俺が運転した。俺はUPで一番速く列車を運転したのだ。」と自慢する。横にいた機関助士は「またかよー。」 という顔をした。

 「こんなクソ・ディーゼルなんか、俺に運転させやがって、」と悪態をつき始めた。「蒸気機関車の運転にかけては俺様が一番だ。いや、俺の親父は俺より速かったかな。ディーゼルは誰でも運転できる。お前でもできるぞ。」と言う。  

 「俺の家に来い。何でもあるぞ。蒸気機関車の部品なら山のようにある。」というので、後で遊びに行くことにした。

 これが、機関士Tom Harveyとの出会いであった。自信家で、実際に能力もあった。後で遊びに行くと近所の老機関助士を呼んで酒を飲みながらの昔話に付き合わされた。この機関助士は機関士に昇進せずに退職した人であった。機関士になるのはそれなりに大変なことであったようだ。

 日本に帰ってからも、大量の手紙を送って寄越し、写真のネガも貸してもらえたので一部は日本で出版された。

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