2006年01月21日

クリムゾンバーニング 1−5巻 三木原慧一

 レーニンたち亡命ロシア人の陰謀によって共産主義に目覚めたアメリカ社会主義合衆国VS大日本帝国・英国・カナダという頭の痛い設定の架空戦記小説。
 歴史変更点は菱刈金山が幕末に発見されていることになっていたり(実際には露頭が地上にない金山なため技術的に発見は不可能)、第一次世界大戦が発生していない代わりに合衆国の内乱に列強が出兵(第一次大戦後のロシアがモチーフ)していたり、多岐多大にわたる。ひとことでいえば、よくこれだけでかいホラを吹いたものだ、ということになる。

 話の筋も見事に狂っていてフィリピンの内戦において、主人公伊達英明の孤児院時代からの友人――実は赤いアメリカのスパイ――が伊達の乗る戦闘機を後ろから撃墜するところから始まる。
 両国の戦争準備とすえた臭いのする権謀数術の後に日本がアメリカから強奪したハワイを巡る海戦、陸戦、最後はアメリカの権力闘争でしめられる。

 パロディの密度も半端ではない。作品そのものの中にレッドサン・ブラッククロスや皇国の守護者、征途、モンスター、ブラックジャックなどへのオマージュを染み込ませつつ、打ち切りになった自分の作品や2ちゃんねる、先行者(作中では車)までネタにしてしまう。自身2ちゃんねらーである三木原氏の面目躍如といったところか。
 作中作である『社会主義はメイドスキー』に至っては…コメント不能。

 しかし、いちばん重要なのは架空の世界を通して現代を風刺する視点が文章の影にひそんでいることだ。それが、この作品で起きていることは他人事ではない、という感覚を与えることに一役買っており娯楽以上の価値を与えている。

クリムゾンバーニング6−8巻感想

クリムゾンバーニング〈1〉裏切りの赤い大地 (C・NOVELS)
クリムゾンバーニング〈1〉裏切りの赤い大地 (C・NOVELS)

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