2006年02月26日

アルスラーン戦記6−7巻 田中芳樹

 諸外国勢力は戦乱の根源となったルシタニア軍をのぞいて脱落し、3人のパルス王位主張者が率いる3つの軍勢が首都エクバターナに殺到する。今までに伸ばしてきた伏線の枝を剪定し束ね、望みの形にする田中芳樹氏のあた――手腕が光る。

 完全なやられ役に堕しながらも希望だけは捨てないルシタニアの王弟ギルバートの意気に感心した。彼とアルスラーンだけはむやみやたらと前線にでて自ら剣を振るうみっともない真似をしないので好感がもてる。
 一騎当千の演出がしたいのは分かるが、もうお腹いっぱい。ここまでやられると兵数の議論が空しくなってきて結果として国力、国家、世界までもが空しくなってきそうだ。ダリューン、お前は何人殺せば気が済むんだ?
 見せ場であるはずの会戦は兵力に劣る方が、兵力が優る方の補給の不備と士気の低下による自滅によって勝利する流れなのが残念だし、王位争いの処置も主人公にとって邪魔な駒を神の権限によって強引に排除した感は否めない。
 主人公も作者もご都合に走らず、するべき苦労をしてくれたら、さらに評価はあがったのだが。

 これで第一部完ということで第二部ではひとつの樹木として完成させた物語を、残りの伏線と共に枝までぶったぎり、木製の彫刻として完成を図るのだろう。端的にいえば『キャラ殺しの田中』が本領を発揮することになると思うので話を忘れないうちに続きを読んでおきたい。

アルスラーン戦記

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