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 EDENとは探すものなのか、造るものなのか、それとも既にあるけど見えないものなのか。全てが正しく間違っているように思う。だから物語はいつまでも紡がれる。

 折り返しの歌のようなコメントの感想から入ってみた。
 この巻からは近未来の地球が経験している国際情勢がみえてきて「何だ、けっきょく人間って進歩してないのか」と呆れさせてくれる。いつまでたってもマネーゲームにパワーゲーム、飽きないのはプレイヤーの方が次々とすげ替えられて行くから。それでも原父政府はわりと飽き飽きしている方なのだが……。

 さてナザルバイエフ・カーン大佐と愉快な旅の仲間が原父連邦の支配域を脱しようとアンデス越えを企図する。まずは山岳ゲリラの関所を血祭りにあげて世界の無常と戦闘発展の表現を達成、次のマチュピチュ戦へのステップとする。この世界最初の職業とサイバーな戦闘を絡めたプロットが巧みで、微視眼的にも技術の進歩と人間の進歩を切り離している。
 マチュピチュでのソフィアとお粗末君ことトラビスの電子戦はお約束といえばお約束だが、戦闘距離が伸びきっているのにまるで一騎打ちのように振舞えるのは愉快であった。

 それにしてもソフィアは、あの意識はどこから来たのだろう。少女の義肢に41歳の精神がおさまっていると設定されているが、神に対する思慮などは人生経験豊富な中年女性では説明しきれない気がする。実に不思議で脳を移植したとき彼女の中に別の何かも降りてきたのでは――と妄想させる。
 まぁ、ここは人類もまったく進歩してこなかったわけではなく、彼女のようなイレギュラーを人工的にも生み出せる可能性を帯びはじめたと考えておく。
 それでもEDENは遥か遠い。

EDEN1巻感想
EDEN3巻感想

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