2007年11月03日

Web漫画「魔道」 パーダ

 非常に良い意味で――読んでて死にそう。
 いっきょ2000ページくらい読んだのかな?途中で止まることができず、微風の悪魔の術を食らい続けているかのようにガンガンHPが削れていった。それが無性にキモチイイ……アブねーな。だが、やっぱ恍惚として二周目に突入したくなる……。
 しかし、作者の膨大なエネルギーにはまったく圧倒される思いだ。作画もストーリーのテンションもとんでもない安定感で描き続けている(普通に週刊連載のペース)。商業誌で描いている人でもここまでできる人は稀なのでは?
 どことなくマテリアル・パズルを連想させる原因は設定の類似だけではなく、作品の背景にある強烈なオーラに求めてもよさそうな気がした。

 「魔道」は、圧倒的な戦闘力をほこる魔道師が20世紀前半の戦艦のように国家に保有される世界、魔に生きる者たちの熾烈な戦闘が描かれるファンタジー漫画だ。
 複数の世界を基調とする世界観にとんでもなく大仰な敵をもってきて臆面もなく世界の命運をかけた戦いを繰り広げてしまえる犬まっしぐらなほど骨太なストーリーや、魔法をも個性に取り込みまた個性を魔法にする魅力的な魔道師をはじめとするキャラクターたち(ソシルの萌え度は戦闘力と等しく戦略核クラスだ……レキシュア王のハドリアヌス帝を思わせる名君っぷりもいいよぉ〜いいよぉ〜)それらを豊かにする骨格となりながら単体がすでに非常に豊穣な設定(特に魔道師を中心にした歴史のつくり込みは異常)などなど、文句なしの傑作だと思う。
 それぞれのセリフに素敵な含蓄があるのもいい――ラミートのある歩兵隊長の叱咤には感動した。
 キャラクターの絵にちょっと癖がある――たとえば斜め視点のときの目の描き方が変わってる――のと、あまりにも物語が率直すぎることが今の時代でメジャーになるには難がある感じがしたが、これはこれで完璧。というかこういうのが読みたかったのだ(こんな記事を書いている身としても)。


 リントやブラウンら主人公たちの運命にはもちろん目を奪われるけれども、やや外縁に配置されているキャラクターのもつ経験と変転の深みがいっそう物語を引き立てていた。メッシュはその筆頭といえる人物だし、自分でも知らないうちに禊をやってしまったザグムや、使われようが激しいのに意外と魔界での仕事もしっかりしているハケキなど、誰をとりあげても面白い愛せる部分がみつかる。
 悪霊デギにいたっては付き合いが長引くにつれて、彼こそが真の主人公と思えるような深い愛着が湧いてきてしまった。憎しみと愛はよく似ているというが、それを実感させてくれたのかもしれない。
 まぁ、マーツ国史上最強のあの方のインパクトには誰も及びはしないが!!

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ガンガンW連載:磨道1巻感想
「魔道」キャラの強さ議論
忘れるな いつか必ずそれは来る:魔道
Web漫画「パンドラ」感想
Edit こいん │Comments(6)TrackBack(1)漫画 

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1. 魔道  [ web漫画探索記 ]   2010年10月16日 00:59
掲載サイト : PD     ジャンル  : 少年漫画系の中世ヨーロッパ風ファンタジー。 状態    : 完結済み作品。131話の大長編。 ...

この記事へのコメント

1. Posted by K   2007年11月04日 17:48
こんにちは。
このエントリで「魔道」を知って、貪るように読み進めています。(現在92話辺りまで読了)

王道的なキャラ設定やストーリーも魅力的ですが、冥界の住人たちが死後もなお存在感を放ち、生界にも干渉していく構成の妙に度肝を抜かれました。歴代魔道師の参戦をはじめ、昔語りやちょっとした余話がパズルのピースのように本筋へはまっていくのも、読んでいて快感ですね。個人的には「石文の手形」の伏線に感服です。
商業作品顔負けの素晴らしい作品を教えていただいて、ありがとうございます。今後とも、更新頑張って下さいね。
それでは失礼しました。
2. Posted by 秋月らせん   2007年11月04日 18:06
素晴らしい漫画を紹介していただきました。

別にソシル萌えとか、そんな単純な評価じゃなくて(いえ、当然萌えますよ?)
もっとずっと高い評価を持っています。

毎月コンスタントに600話ぐらい漫画を読んでいると
ついつい無意識に新しい漫画に触れた時は粗探ししてしまう気がするのですが
『魔道』はそんな暇も無いくらい、一気に読んでしまいました。
途中全然失速しないというのも凄いです。

素敵な作品を教えていただきありがとうございました。
3. Posted by こいん   2007年11月04日 18:46
 Kさん、秋月さんコメントありがとうございます。

 実は「魔道」を私が知ったのは、このブログにいただいた紹介のコメントからでして、この記事を書くことで更に輪を繋ぐことができたかと思うと感無量です。

 きっかり伏線を繋げ、また新しく発生させて緊張感を保ちながら展開される話は本当に圧巻ですね。
 Web漫画だからこそ締め切りに終われずにゆっくり構想されているのだろうと思いもしたのですが、鬼のような更新速度をみると、たんに作者さんのストーリーテリング能力が神掛かっているだけ、という恐ろしい結論に到達せざるをえません……。
4. Posted by こいん   2007年11月04日 18:47
 私がいちばん感心した伏線は魔道師が生まれてくる秘密でしょうか。ちょっとソシルが強すぎる気もしましたが、デギのしぶとさをみればやっぱり納得です。
 しかし、今も結界を突破中の悪霊たちが必死の思いで生界にきたときのことを思うと泣けてきます……。あと1000年はこの世界に魔道師が生まれ続けるんでしょうね。

 ソシルはクーデレになるのでしょうか。無意識に様付けしてしまいそうでいけません。最強を語られるだけで結局まともに戦わないキャラがよくいるので、ああやって本気の戦いを演じてくれたのがとても嬉しかったです。
5. Posted by パーシー   2007年11月07日 17:41
 魔道は傑作ですよね!
ガンガンウイング誌上で連載中の魔道のリメイク作品「磨道」も気になります。
なんだか最近WEB漫画の扱いが多いので俺も紹介してみますね。
 長編ファンタジー漫画「12時の権力者」、青年漫画「DUDS HUNT」なんかお勧めですよ。
 あとWEB漫画を探すならWEB漫画レビューブログ「まんがおう。」が使いやすくて便利です。
 WEB漫画は面白さのわりに知名度が低いと思うのでこいんさんが扱うことで読者が増えればいいなと、思っています。
6. Posted by こいん   2007年11月07日 23:35
 コメントありがとうございます。

 実は磨道も二話ほど読んだことがあるのですが、作者さんは歴史で世界観を作るタイプだからか、あまり強烈な印象は感じられてませんでした。
 単行本で読めば相当おもしろいんでしょうね。

 Web漫画の推薦ありがとうございます。「12時の権力者」は是非読みたいと思います。
 実は「DUDS HUNT」は2年近く前に感想を書いていたりします。あの作品の構図は素晴らしかったです。

 私の紹介にどれほどの影響力があるのか自信はありませんが、このブログが良作が世に知られる機会になれたらと思います。

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永遠に覚醒しない楚の荘王

漫画を愛する心に卒業なんてないんだ…

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 読書、作文、漫画、写真、天体観測、石集め、歴史(古代欧州、三国志、日本戦国時代)、ネットサーフ、その他たしなむ程度にいろいろ。
そして、このブログ

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