2007年11月13日

STRIPE BLUE(ストライプブルー)2巻感想

 高島コーチの熱意にほだされて縞青高校にやってきたアー坊。その後ろにアヒルの子供よろしくピヨピヨとついてくる花ちゃんにのりっぺ。
 さらにさらに世界大会に行った諸谷シニアのバッテリーコンビまで釣れて大繁盛――しかし、それが悲劇のはじまりになるとは誰も知るよしもなかった……あ、ストライプブルーはおおよそ野球漫画です。

 縞青高校でのテストはちょっと汚い大人の駆け引きをみせて、高校野球の世界がピュアな少年たちのものではないことを如実にしている(坂上先生は別の意味で魑魅魍魎の気配がしたけど)。
 そんな現実を知ってもなお、高校野球への憧れとアー坊への執着――できれば逆にしたいがこれで正しい――から邁進してしまう江口花には見ていてハラハラされ通しだ。夢を全て叶えられる可能性が絶無であることが分かっているにも関わらず、夢の一端に過ぎなくても掴みたいと必死な彼女の姿には胸が熱くなる――もっと下の方も熱くなる気がするけど、それは置いといて。
 しかも、両刀投げという一風変わった言ってしまえばキワモノ能力を見初められたアー坊や決して試合に出れないことが分かっている花ちゃんに比べて、センスの塊を思わせる平太や八五郎――は、まぁ…「ピッチャー体型じゃない」の呪いが掛かって微妙だが――のキラキラしさは前者をいっそう惨めにしている。この巻ではアー坊というちょっと珍しいタイプの才能をもった少年を一枚噛ませることで、リアルな高校野球漫画では決して主役たりえずエレキギターを抱いて絶頂するのが関の山だった女子高生を擬似的な主人公にしたててしまっていた。
 未だに試合どころか本格的な練習にも到達していないが、こういう趣向もおもしろい。

 そして野球部マネージャー縞青空の存在……これほど業深いマネージャーがかつてスポーツ漫画にいただろうか(いただろうなぁ)。彼女の“個性”と引け目に圧倒されて少年たちが虐げられる展開がある種の倒錯趣味を出芽させるほどに強烈だ。
 一般的に青春とかブルーとかの文字には爽やかなイメージがあるが、この作品の青はむしろ深海の青。油断して仄かに青い光源へふらふらと近づくと、ダーウィニズムの暗黒面を一身に具現化したような深海魚にぱくんちょされてしまう、限りなく黒に近い青の世界だ。
 いっぽう前巻では花ちゃんを寝取る気満々だった直木が癒し系へっぽこキャラになっちゃったりして、思春期らしく性格の変化がノートの記憶でも甦ったかのように著しい。誰が白化するか不透明な事実は誰が黒化するか分からない予感にも通じて、白い期待と青い不安の高速増殖炉をフル稼働させている。

ストライプブルー1巻感想
ストライプブルー3巻感想

ストライプブルー 2 (2) (少年チャンピオン・コミックス)
ストライプブルー 2 (2) (少年チャンピオン・コミックス)
Edit こいん │Comments(0)TrackBack(1)漫画 

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1. ストライプブルー1巻・2巻感想  [ ストライプブルーワールド ]   2007年11月16日 16:55
漫画『ストライプブルー』の単行本1巻と2巻の感想です。 今日は時間がないので一言

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