2008年07月27日

磨道1巻 パーダ・五十嵐洋平

 Web漫画「魔道」を原作とするこの作品、「只、面白いだけのファンタジー」のアオリを見るたびに創作に関わるものがシラフで口にする文句じゃないなぁ、と思っていたのだけど実際に読んでみた第一印象は、作画担当がついたことによって絵柄がクリアーになりすぎて「確かに只、面白いだけのファンタジーかも……」というものだった。
 ありがちな攻撃魔法の乱舞に異常なケレン味を与えていたのはパーダ先生の描線がもつ迫力によるところが大だったようだ……ブラウンが「銃と剣の磨道士」の名にふさわしい制圧射撃をくわえるシーンなど、何度みても容赦のない迫力を表現するのに必要な構図や線圧の力がよくわかる。
 おまけ漫画2P読んだだけで作品の印象が原作絵に戻ってしまったし……3000Pオーバーした原作の呪縛は強烈である。
 まぁ、五十嵐先生の作画がまったく駄目なわけではなく、スクエニ系らしい喉越しの良い絵柄がプラスに作用している部分もある。とくにリントが「普通に」可愛らしくなっているのは妙にドキドキした。原作の浮浪児具合はブラウンのクールな優しさが引き立つほど凄かったから(いかん、何を書いても原作賞賛に流れていく)。
 ともかく五十嵐先生版ソシルの登場には大いに期待を寄せているよ――きらびやかな宝石に〜〜のコマにいる女性がもしかして……。まずは不気味に美麗な魔王テールさんが試金石になるかな、宝石ファンタジー漫画だけに。


 さて、原作とのもっとも大きな変更点に「磨道士の力の源は宝石」の設定がくわわったことが挙げられよう。
 とりあえず一般的な概念で宝石に分類されるものなら、琥珀や真珠からダイアモンドまで何にでも一定の効果があるらしく、それを利用したタブレットなんかも目立っている。ダイアモンドやルビーが宝石として天上の地位を確立した背景には「研磨技術」の向上があったりするのだが(これらは硬すぎてカットが効かないと水晶やガーネットよりも見栄えがしない)、その点は磨道士が自らの力で石を加工できる設定をくわえたことで解決している。
 石はなんの因果か磨道士の体表にちょくせつ浮き出るのだが、反応性の低い宝石をもつリントたちはいいとして、メッシュのマラカイトは酸性の温泉に浸かったら溶けるんじゃないかと無駄な心配をしてしまった。そこらへんは磨力でカバーしているのかなぁ。真珠が最悪だと思うが、毎日のお手入れも大変だ(スタラグサの石はなんだろう)。
 力の強いブラウンとリントがともに元素鉱物で、メッシュとカサギが割と複雑な化合物を力にしていることを考えると純粋な石ほど力が強いのかもしれない。でもパワーストーン(笑)の要素を取り入れている関係上、組成が複雑きわまるトルマリンの磨道士は普通に強そうな予感も……けっきょくは趣味か?

 あと、リントの見捨てられまいと必死で、エゴの強い思考が強く描かれている部分も新規に感じた。彼女の昨日まで力なきものであった立場からすれば、周囲の不幸もそこそこにああいう方向に走るのは致し方ないのだけど、力の対価に多くの物質をえた彼女がしめす考えかたの変化も見どころである。
 その一事をとっても「只、面白いだけのファンタジー」ではないはず。

原作掲載サイト:PD
Web漫画「魔道」感想

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