洞窟の地図をみるとゾンゲ組が余計に哀れになった。リスクを犯した結果が行き止まりへの突撃とは……むしろ知らずに生還できたことが幸いだな。
 サソリゴキブリを毒で牽制できたらあえて攻撃することもなく、素通りするところに敵とみれば野獣のように襲いかかるジョンブル万物の霊長とは違う点がみえて良い。お互いに食うために命を賭けているわけで、黒衣の6本足とのつきあいは紳士的にさえ見えた。
 また帰り道にも相手にしなければいけないのは厄介だが、同時に他の美食屋が近づいてこれなくしてくれる点では役に立つこともあるわけだ。

 ココの能力は毒の抗体を大量にストックすることで生まれた新たな毒――レベルEの女王を彷彿とさせる。ウイルスや細菌でないだけ、ココのほうが始末がよい。
 ただ、毒ならば大抵は時間の経過とともに排出されていくはずで、ココが自分の境遇を嘆きながらも毎日せっせと特殊毒の素材を摂取しているかと思うと妙な気分だ。それとも裏返って自然に生み出される「抗体そのものが毒」の状態になってしまっているのかな?外に発揮されるアレルギーみたいなもの。

 耐性のある毒はトリコが70種で、ココが500種と捕獲レベルに引き続いてまたもや「数字で強さをアピール」する路線なのだけど、考えてみればこれほど変態的な生態系を誇るトリコ世界の毒が百や千のオーダーで済むはずもない。自然の規模にまで拡大してみれば、そこにあるのは「多様性の偉大さ」ということになり、数字自慢も児戯に等しくみえてくる。
 このように背比べするだけでもバカバカしい猛者、自然の存在をはっきりと示していければインフレを避けられるかもしれないなぁ。

 さらに奥へ進むトリコ一行の足元に散らばる骨の数々よりも、トリコがひたすらキノコを食い続けていることのほうが気になってしまった。懸垂下降中にアゲハコウモリに襲われた主人公の対応が、どうせ殺したら食わねばならないなら食い殺してみせる一石二鳥とも獣とも言えない虫。食べるのは本人の義務感から来ている行為だけれども。
 ところで他の美食屋がすでに下にいるのにロープが張っていなかったのは、他にも通路があるってことになるのだろうか?デビル大蛇の圧倒的迫力に思考停止しつつ思考してみた。まだ伏線っぽかったのんべえ爺さんが出てきてないな……思わせぶりだっただけで本当に単なる酔っ払いだったらどないしよ。

トリコ グルメ10 ココの秘密!!感想