2009年01月26日

将国のアルタイル 19fasil 至誠の仮面劇

 なんとマーベラスな扉絵か!!?どうやら本当に『マフきゅんは滞在した国家の民族衣装を男装女装問わず必ず一度は身に纏わなければいけない』法案は可決されてしまったらしい。ポイニキアに続いてヴェネディック議会もいい感じに煮えてきた。

「法律とは国民をより良く悦ばすために各々の変態権力者がそれぞれに趣味嗜好に合わせてつくったもの……彼にそれを拒否する権利はない……」

 まぁ、あんなに妖艶な姿をみせられては我慢できないのもいたしかたあるまいて。
 倒錯の梃子をつかえる分だけ男の方が妖しさの到達点は高いのかもしれない。さすがに両性具有者は手強い競争相手だが、まかり間違って想いを遂げれる場所さえなければ恋しさの上乗せで圧倒できるのになぁ。あ〜やれやれ、人類は進化の道を誤りました!

 二次元(完璧なリアル)の中にいるマフきゅんについていえば、それも満たしているが……だから主人公が最強ヒロインすぎて、スタンダードな女性キャラにお鉢が回ってこないのか。妙に納得した。
 この「非文法」のことを考えれば大陸に帰るのがもったいなすぎて、モンスーンに乗って遥か東方まで行ってほしくなる。主人公はアオザイとか着るべき。
 その手前でパプアニューギニア系先住民の装束をしなければならない危険はあるけどね……それはそれでアリだな!!


 さて、アビリガが法律違反の咎でヴェネディックを追い出されそうになってからの展開だが――とてつもなすぎて第一声がない。
 この上なくもっともらしく隠された動機さえ、さらに深い動機の偽装なのだから恐れいる。マフムートが通りすがりに話を聞いてしまう展開は確かに「劇的」すぎたけれど、余命3ヶ月の説得力に押し切られてしまった。「これぞヴェニスの商人!」と分かりやすい餌に食いついてしまったのも大きい。
 まったくヴェネディック人というやつは底が知れない……彼らの哲学においては「交易とは貨幣をもってする戦争の延長である」のではないか。高度な専門家であってもマクロの繋がりを良く認識している世界観が大陸から叩きだされた元少数弱者たちの力を何十倍にも高めている。
 高利貸しまで国策に加わってのけるのだから航海者であることだけではなく「国の中に世界がある」ことも大きいのだろう。世界中から人を受け容れ、五首信仰をバランスよく国体にまで反映しているのは伊達ではない。
 ただし、中世の金貸しは国王を直接相手取って「金貸しがいなければ戦争ができない」状態にもっていく事もあった職業なので世界動向に疎いのが普通とも言い切れないのだが……。

 読者心理まで手玉に取るヴェネディック上層部の懐の深さを開陳された後だと、モーロのような悪党中の悪党らしさを発露もせず、ただ激昂してチェスの賞金を踏み倒そうとしたゴロツキ連中にホッとしてしまう。
 しかし、犬鷲のマフムートもただでは転ばせられず――大人たちが深遠な策謀を巡らせて完成させた陥穽を、現場の一撃で覆してしまう特質はヒサールの時から衰えていない!彼こそは右に開くか左に開くか不安定な歴史のドアを決定づけるルメリアナ最高の「蝶番」なのかもしれない。
 もちろんアビリガを射とめられたことも大きくて、これがザガノス将軍だったらヴェネディック側が警戒しすぎて託される目はなかっただろう。公然とした諜報員は、下手をすると二重スパイに変えられてしまう恐れがあるし、裏切らせなくても偽情報を握らせたり、与える情報をコントロールして政治決定を遠隔操作される恐れがある。
 その点でマフムートの現実的視点と同居する青臭さが信頼を呼んでいるのだから、何が長所で何が短所になるかは一概にはわからないものだ。

 そういえばチェス勝負の賭け金はどこで調達したのかな?何かを質に高利貸しに行ったのでなければ、我が身の自由か――いや、さすがにトルキエの軍人としての立場を優先するだろうし、700ドゥカートは安すぎる。女装していないマフきゅんなら7000ドゥカート…いや、デロス島の金庫を賭けても惜しくはない!!
 資金の調達にはキュロスがどこかのマダムを口説いて借りた可能性もなきにしもあらず。陸にあがったポイニキア人の彼にも魅せどころはほしいねぇ。キュロスといえば大反乱者の名前なんだから――成功率は50:50だが。
 でも、チェスはそこまで「軍人のやり方」じゃない気がするよ。私はてっきり脱獄や銀行強盗の武力行使を行うものかと思ってしまった……さすがに洗練されてるなぁ。

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1. 月刊少年シリウス2009年3月号の感想1  [ 黒きオーラの戯言 ]   2009年01月27日 01:53
5 今年の抱負として、初心に返ってマンガのレビューをやってみる。 特にシリウスを。 『少年シリウス3月号の感想』

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