2009年10月26日

将国のアルタイル 28fasil 水門の将軍

 名門の水門の訪問が鬼門となる衝撃の28話。東弓の砲門が開くか!?

 ……なによりも衝撃だったのは大将軍が喋ったことだ!こんなに長いセリフを口にできたなんて驚いた。
「あーあ、しゃべっちゃった。今日は特別なんです。長い間ね、水門のサルジャと仲間でいましたけど、『どうめいできるかな?』の五将国から『ともだちいっぱい!』という新しい大トルキエ体制に替わります」
 虚構の上下関係を優先し、友達になれない人々には消えてもらう。そんな意図をもってサルジャと親将王派の将軍たちを訪問団に送り出す、彼もまた徹底した現実主義者にして能力主義者だった。
 でも、バラバンたちを排除したあとの行政を考えると四将国にくわしい人材も必要だと思うんだ。スルタンよりも親トルキエ派の将子や将弟に親しい先見性のある将軍はいないのかな?
 まぁ、後継者候補にはそれぞれ

バルタ将国:辛辣で取っつき難い将姫
ムズラク将国:ベタベタするとバラバンの目が怖い
ブチャク将国:子沢山
クルチュ将国:遠い

 という障害があるからなぁ。


 同じころ、クルチュ将国の首都「奇岩の町(アカイブ)」郊外では、大将軍の発言に匹敵する奇跡、琴弾一座のシャラたんの再登場が起こっていた。背景の岩をみていると妖しい気持ちになってきませんか(岩質の違いと、砂の混じった風が岩を研磨する効果で、奇岩地形が生まれまふ)。
 せっかく旧知の女性とあっているのだからマフくんには、もうちょっと色気をだしていただきたい。たとえば女装した時のように――あの逸話が琴弾一座にバレたらとんでもない珍事が起こりそう。バレろ!
 シャラが持っている紙の束は人相描きかと思ったがもっと別のものだった。

 で、いったん他の段取りに戻る。スレイマンはオルケスタに負けたけど、流石にアビリガは押している。スレイマンは負けたけど。そういえば前回のオルケスタが、エルルバルデス山岳兵と同じ形式の刀を持っていた件に触れそこねていた。
 南ルメリアナが半島部を指さないのなら、彼らのルーツは相当近いのではないか。

 イスマイル将子が暗殺のあとの処理を気にして直接兵を交えることを提案する。商売は一流かもしれないが、兵法はダメだな……兵は用いないのが最上で、用いるにしても被害は最少にとどめるべきなのだ。物だけじゃなく思想も輸入するように。
 どうみても東弓の威力を過信しすぎだよ。77丁じゃ有効打にはなっても決定打するのは難しい。関連記事:東弓(シャルクイ)77丁の有効活用法について考える
 手に入れた玩具を使いたくてしかたがない子供のようで、彼の姿勢には危惧を覚えた。単独で交易路を確保できないからトルキエについたってことは、逆に確保できる目途さえ立てば裏切る可能性があるということだ。
 それに、民衆の考えなど将王の支配する国では関係ないとバラバンが言い放っていなかったか?彼の言う通りなら多少「お上」で血なまぐさいことが起きても自分たちの生活に影響しなければ受け容れられる。むしろ下手に戦争に巻き込んで恨みを買う方が怖いよ。

 まぁ、正統性に難がある以上は民衆の支持があるに越したことはない。てなわけでマフムートがシャラに準備させた工作の種明かし。親トルキエ派の将子たちを擁護する劇が上演される。
 向こうが人相描きなら、こちらは演劇。数少ないメディアを駆使してのプロパガンダ合戦の様相を呈してきた。この分だと、政権が変わった途端にバラバンたちの顔を刻印した貨幣はイスマイル商会の力で回収されて、簒奪者たちのコインに鋳直されるな……ファトママ金貨だけはコレクションに残させて!

 シャラのアイシェはこれはこれで可愛いけど何かが違った。あの劇をきっかけにあのおっぱい服が大トルキエ圏に流行してくれればいいなぁ。いや、ルメリアナ大陸全土に広がれ、おっぱいの輪!!
 暗い部分でも観客の顔がしっかりと描かれているところにカトウコトノ先生の凄まじいこだわりを感じる。
 そして、感想を述べるオルハンが可愛かったよ。隣の頭巾ちゃんも気になるんだが――これ絶対、観客の中にサクラを混ぜて民衆の感想を誘導しているだろ、マフきゅん。彼女もその一員なら再登場してくれるかもしれない。
 主人公が情報工作に抵抗を覚えないのは、オアシスの町での経験があったおかげ。こうやって成長がはっきりと見えるのはとても嬉しい。シャラとの少し名残惜しい雰囲気もよかった。

 同じころアイシェは見せかけ上の幽閉をされている塔で「キュロスの代わりに」食事を摂っていた。キュロスが食べずにアビリガとヒロインが食べているなんて、第三の衝撃である。
 というかイタリアの男と結婚直前の姫をふたりっきりで残しちゃいかん!アビリガへの信頼が厚いのは嬉しいけど、もう少し配慮をですね……そんな必要もないくらいアイシェが女傑ってことなのかー。
「しかし まあ」の顔が血が暴走するほど綺麗。手に持ったケバブ?の食べ口にいきなり食い付きたい。
 なお、彼女のセリフから台本の作者が明らかに――叔父さまへの想いを作品に昇華しおった。重ね重ねオルハンが可哀想になってきた!おーよしよし、私が嫁にもらってやるぞ。なるほど、バラバンがアイシェとの婚約を結ばせたのは、オルハンきゅんの愛らしさに目をつけていたからか。間違いないな。


 場面はまたもや荘厳に、本当に舞台のように移り変わってムズラク将国の首都「東の町」に。
 そこではサルジャの困ったちゃんが、思いっきりアイシェの陰謀をバラバンにぶちまけていた。なんちゅーことをしでかすんだ、このお馬鹿さんは。ザガノスが四将国の背後に帝国の影ありと判断した理由を聞いていないのか?彼の行動はある意味、将王たちの能力さえ馬鹿にしているぞ。
 副市長キャラはホントやーねぇ。でも、日本の外m
 まぁ、おかげでバラバンはひとつうえの男になれる。水門の将軍の自覚なき裏切りを受けて、トルキエ将国の軍事侵攻はないと判断した虎好きの将王はクルチュ将国を全軍で征伐することを決するのだった。
「姪っ子の結婚式なんか、むっちゃくちゃにしてやんよ!」――おぢさま酷い!みんなみんなオルハン将子に対してSすぎるよ。彼からは何か誘うオーラが出ているの?
オルハン「私のM力は53万です」


 そして、毒薬の罠は門を閉じる。空家になった三将国への電撃的侵攻。そのアイデアと展開に震えが走った。予想の斜め上をいく展開だ。大将軍が(おそらくザガノスと目配せしていたカリル将軍も)打ち合わせなしにザガノスの意図を完璧に読んでいたことにも驚かされた(実は裏で毒の香り付便箋をやりとりする仲なのかもしれないが)。
 今回でトルキエの首脳陣は一気に株をあげたなぁ。これが血筋ではなく能力で人材を集めるトルキエ体制の力か――活躍すればするほどサルジャへの皮肉になっている。
 上手くいけば兵を大して損ねることもなく決着がつくわけで、この局面ではベストの指し手だろうね。
 ただし、6つの州軍を帝国国境に展開するのは過剰反応を引き起こさないか、少し心配。それと、もっとも手強いムズラクの相手がザガノスの第一州軍単独で、ブチャク相手には三つの州軍を投入する点が気になった。
 おそらく侵攻経路の問題だ。
 国境を接しているとはいっても、ブチャクに通じる大きな街道はないから複数の軍団を平行して進める必要がある。いっぽうで遠いムズラクとバルタを攻めるには海の街道一本が頼りだから混雑を避けるためにも機動力に定評のある精鋭の第一州軍が担当するのだろう。いざとなれば水源に痺れ薬を放り込めば大集団を相手にすることになっても何とかなるし。本当はバルタとムズラクについては帝国の脅威がなければもっと大量の兵を手当てしたいところだったんじゃないかなぁ。
 しかし、タイムリミットを切って機動力で勝負をつけようとするのは砦の町の事変を彷彿とさせる。また何かどんでん返しがあると思う。

レレデリク「なるほど完璧な作戦っスねーーーっ。私たちが山脈を強行突破してくる可能性に目をつぶればよぉ〜」とか。


 確実に計算違いを起こしそうなのは「最少の犠牲」の方で、山岳地帯での時間稼ぎという最も東弓とオルケスタに向いた戦場を得られるなら生き残って「しまう」可能性は高い。そう、惜しむようでいて四将国後継者たちには死んでほしいとザガノスは考えているはずだ。そうなれば持論の通り一気に併合にもっていけるから。
 さすがにスレイマン長官や政治的利用価値のあるキュロスは失いたくないだろうが――マフムートにはツンツンだ――アイシェたちが生き残れば戦後処理でまた一悶着起きそうだ。
 まぁ、水門のサルジャの席が空くから(これ、決定事項)アイシェ将姫にムズラクとバルタをまとめて継がせてクルチュの実権も握らせて、彼女を十三将軍に編入、三将国領を州の扱いにしてしまうといいかもしれない(商売さえできればイスマイルは諦めるはず)。
 ポストを増やしていいなら、それぞれ十七将軍にした方がシンプルか。ともかくマフくんが上手く食い込んでくれることに期待しているよ。やはり大きなことをなすには大きな権力が必要なので。


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