2009年11月26日

将国のアルタイル 29fasil 洋梨の将姫

 まず水蓮のファトマ将王にはアイシェの他に息子もいたことがいきなり判明。旦那は前の戦争で亡くなったわけではないようだ。息子がいるなら彼を将王にして、ファトマが摂政になった方が治まりがいいと思うのだけど、彼女の即位はバラバンやトルキエ将国の意向が交錯した結果なのかもしれない。
 元気な少年は姉と母のケンカのことを知らないのかなぁ。彼の将来に待ち構える悲劇を思うと不憫でならない。
 ウズンの息子たちに至っては数が多すぎるのでフォローできないけれど……まぁ、食っていく技術を身につけているぶん下手なことをしなければ何とかやっていけるだろうし。

 どこか憔悴した表情で兄の愚痴にも無言を貫くファトマは何を思うのか――ムズラクを他国に翻弄されない国にしたいと思っている将王が、妹の意思は無視して翻弄しまくっている現実が皮肉すぎるよ。ウズン将王はあいかわらず血色が良さそうで何よりですねぇ〜。おなじ車に乗っていないのは、バラバンの虎がヨダレを垂らしまくるから?
 あの馬車を曳いている馬は、虎に対して恨み真髄に達していそう。でも後ろから睨まれているので、ついつい脚に力がこもっちゃう。ギャグ漫画にありがちなニンジンぶら下げ作戦の反対だ。


 続いてムズラク将国における回想で、先代の将王ウスマンが帝国との戦いに倒れたことが描かれる。
 運命共同体に近いトルキエ将国が侵略を受けても他人の問題に巻き込まれたように感じるバラバンの感覚こそが問題だと思うのだが……やっぱり将王の子供はアルトゥンに留学させるくらいは抑えておかないとダメだな。それをやっても兄弟全員を教育できないと、マケドニア王国がローマに滅ぼされたときのようにに展開してやっぱりダメかもしれないが。
 いろいろ考えていると「第2世代」なのに反トルキエになったブチャク将王ウズンへの不満が湧いてきた。体重増加で諸国の様子を自由に見聞できなくなったことが裏目に出たか……。将王にはダイエットを課すことも必要と。ザガノっさんメモっといて!


 クレーンがないと馬に乗れないくらいの重武装を施されたアイシェを掴みに、視点はクルチュ将国に移る。どんなに着込んでもおっぱいは白い布で強調するところに劣情洋梨の将姫のこだわりを覚えるのだった。まさか首からあの部分にかけてのシルエットから洋梨の二つ名が付いたのか?
 ならば、いつの日か異名の時期を探ることで、バストの成長速度を知ることができる希有な歴史上の人物に〜。
 マフくんのびっくりどっきり暗殺作戦!は将王を殺せる確実性に優れるが、半分囮にされる後継者たちも危険な目に遭う諸刃の剣だった。そんな計画を立てておきながらトルキエの都合から血縁者が殺し合う自体は避けたいと考えている。
 いまのところ利益は一致するけど、思惑において完全な一枚岩ではないことを主人公みずから感じさせてくれるなぁ……。

 でもって、護身用の剣をわたされてバヤジットと逢瀬を愉しむ花嫁の姿が!
 オルハンの可愛く可哀想な立ち聞きはひとまずおいて、バヤジットがロリコンだったことに衝撃が走った!おじさまはやっぱりムズラク将王家の血を引くものじゃのー。彼とアイシェが結婚したらムズラク将国によるバルタ将国の乗っ取りが完遂されてしまうと思ったが、冒頭の少年がいる以上それはない。
 逆にいえば洋梨の将姫は弟が誕生したおかげで想い人との結婚を逃した可能性があるな。聡明すぎる彼女が屈託を覚えていなければよいが……。
 妙にそそる描写のおかげで、最初はマフムート×アイシェを期待し、言動の可愛さにオルハンがアイシェの嫁でもいいかと納得していた私が、今度は禁断の叔父姪&花嫁強奪のバヤジット×アイシェを応援させられてしまった。
 ハーレム狂の私がここまで手玉に取られるとはアイシェ、恐ろしい子…!もう、将姫の逆ハーレムにしてしまえ!

 前回シャラ相手にこういう色気のあるシーンができなかったマフくんは純情というか、ヘタレだということも際立った気がするのであった。「い、いまはトルキエ将国が想い人みたいなものなので」――と言い訳。
 残酷な真実に衝撃を受けてしまったオルハンの方は、バルトライン帝国のスパイが遠慮するほど――笑った――の落ち込みぶりを見せる。好きな相手の内面を夢想するだけで知ろうとしないから、こういうことになるのだよ……。
 そして、お父ちゃんの励ましを受けたオルハンが奮起しすぎて死にそうで怖くなった。同時に期待も覚える自分の心理がさらに怖い。基本的にイイ奴なんだけどなぁ。

 だが、事態はさらに「悲劇の将太子」を翻弄する。三将国連合軍の襲撃をうけてセリム将王がアイシェの切り捨てを決断したのだった。好きな人が父親に殺される事態を手をこまねいて見ていたら一生立ち直れない精神状態になりかねないぞ?
 クルチュ将国の将来を第一に考えるセリム将王もそれで本当にいいのかと思ってしまった。ここでオルハンが決意を固め父王を倒してクルチュをまとめてくれると、世代闘争の構図からもすっきりするのだが――どうなることか。
 アイシェの死亡も普通にありえる作品にみえるからドキドキだ。


 外ではザガノス将軍から「意訳:そこで死んでね」というお手紙をもらったマフムート元将軍は、命令に合わせるように紅き虎が牙を剥くのを見るのだった。
 確かにサルジャを派遣する前の時点ではザガノスたちにも判断の余地はあったように見えないこともなかったけどさ。暗殺なんて不確定要素の多い手段を取るよりも、手元で不確定要素になりかけている連中を処理しつつ、バラバンを確実に動かす策の方を徹底した現実主義者である大将軍たちが採るのも無理はないかと。
 情報が少ないマフムートの立場からだと、ザガノスに不満を覚えてしまうのはしかたない面もあるが。

 だが、さっさと思考を眼の前の敵への対処に切り替えたのは流石で、自ら騎兵を率いての時間稼ぎを決断したのは限りなく無謀に近い勇敢だ――名だたる軽騎兵だけでも6倍に近いのだから。余程の策がなければ生きて帰還するのは難しい。
 風の谷のナウシカのオマージュっぽく、イスカンダルに笛をもって飛ばせて音で馬を驚かせるなんて、ありかな?ポイニキアで威力を発揮した釘爆弾と(マフくんは知らないけど)東弓の援護を期待した方が堅実か。
 このシチュエーションに映画KINGDOM OF HEAVEN(キングダム・オブ・ヘブン)のバリアンを思い出した。そういえば、あのエルサレム王も仮面だったな。


 さぁ、外は大軍勢、中は主導権争いで混乱の渦に呑まれかけている状況で、マフムートたちは生き残ることができるのか。思ったより進まなかったが、次回も非常に気になる成り行きである。
 ここであっさりクルチュが屈してしまうとブチャク将国に侵攻する、おっさん将軍トリオが非常に危険だ。もともと時間稼ぎ戦闘の準備はある程度しているはずとはいえ――クルチュに赴任した眼帯のロットウルム教徒も顔に味があって、ちょっと気に入ってしまった。暗殺劇があれば確実に殺されていた彼がどう立ち回るかも楽しみの一つだ。

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1. 将国のアルタイル29話・洋梨の将姫  [ 黒きオーラの戯言 ]   2010年01月19日 01:38
月刊少年シリウス2010年1月号。 トラバ先 将国のアルタイル 29fasil 洋梨の将姫:360度の方針転換

この記事へのコメント

1. Posted by 黒きオーラ   2010年01月19日 01:44
なんか著しく機を逸してる気もしますけど、トラックバックしてみました。
改変ネタのキレは相変わらず、まさか団結でやるとは凄いです・・。
2. Posted by こいん   2010年01月22日 12:39
 トラックバックありがとうございます。
 団結みたいなキャラを並べるネタはむしろやりやすいですよ。やろうと考える神経の問題はありますが。
3. Posted by 陣   2010年03月06日 13:37

 たとえトルキエが勝ったとしても、この内乱編の最終的な問題は「今後とも四将国を存続させるか」になりそうですね。

 冒頭でも言ってましたが、ザガノスならば「この際いっそ一気にトルキエ一国にしてしまえ」となるでしょうが、バヤジットたちは果たしてどう出るか。
4. Posted by こいん   2010年03月07日 21:22
 このままクルチュが勝利すれば、少なくともクルチュの強引な併合は無理でしょうねぇ。

 帝国との戦争が片付いたあとのことを考えるとトルキエ将国のシステム自体から整理する必要がある気がします。
 特定の相手に専守防衛しているうちはいいですが、もし強敵の重石がなくなったら出世のために無理やり戦争をはじめてしまう士官が続出しかねないシステムっぽいので。

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